今回取り上げるのは、「コードバン」を素材としたシューズ。
コードバンというと、質の良い革でベルトやお財布といった革小物に使用されているという
イメージが強いかと思います。
そんなコードバンを贅沢に使用したシューズは、時とともにエイジングが進み
まさに10年20年と寄り添いたい相棒へと育つ存在。
そんなコードバンシューズの魅力とお手入れ方法をご紹介します。
さて、突然ですが、これから2足の靴をご紹介します。
2足で異なる部分にご注目ください。
一見すると、全く異なる別々の靴に見えますが、
実はこの2足は、chausser(ショセ)が手がけるコードバンと呼ばれる革で作られたシューズ。
ナチュラルなベージュ色の靴はまだ未使用の新品の状態で、
次のブラウンに色が変化した靴は1年以上履いた同じシューズです。
色や輝きが全く異なるので、同じシューズとは思えないほどですが
染色していない自然素材である馬革のさらにコードバンの部分を使ったシューズは
履いていくほどに、徐々にこうした変化が表れる特徴があります。
早速その変化を詳しく見ていきましょう。
【コードバンとは?】
馬革の一種である、「コードバン」。
耳慣れない方も多いかもしれませんが、美しい輝きを放つ様子や
非常に手間のかかる採取方法から、別名「革のダイヤモンド」や「キングオブレザー」と呼ばれています。
コードバンは馬の表面の皮膚ではなく、臀部の裏側を丁寧に削っていくと現れる、
2mmほどのコードバン層と呼ばれる繊維質の内側の部分に当たります。
馬1頭から採れるコードバンの量は非常に少なく、希少価値がとても高いことでも知られています。
高い希少性ながら、なぜレザー好きには特に好まれる種類なのか。
それはコードバンの持つ独特な特徴にありました。
<長く使うために問われる硬質性>
革製品は使ううちに徐々にくったりと柔らかくなり、傷やシワが付いて、馴染んでいくイメージがありますね。
一方で、きちんとお手入れしないと汚れが目立ち、革本来の魅力である
艶や柔らかさが発揮されないという点もあります。
コードバンはもちろんこうした一般的な革の性質を備えているものの、ほかの革と異なるのはその硬質性です。
硬質性、つまり革の硬さ・頑丈さは牛革の2〜3倍とも言われるほど非常に丈夫なコードバン。
軽くこすった程度であれば傷がつきにくく、もともと起毛した革のため、磨くことで革の表面が整うのだそう。
実際に1年弱履いたコードバンシューズの表面の革にも、ほとんど傷やシミは見受けられません。
革靴を好んで履く方にとって、革の耐久性が高いことで傷に強いのは魅力的ですね。
<輝きと美しさ>
コードバンのさらなる特徴といえば、その革のきめ細やかさ。
しなやかで非常に目の細かい表面をしているため、光を柔らかく反射させ、高級感のある美しさを作ります。
日頃から丁寧にお手入れをしていけば、さらに艶を増し、「輝いている」という言葉が合うほどに変化。
さらに色合いも濃いブラウンへと変化していくのも、革ならではの美しさです。
美しい艶を出すためにはただ履くだけではなく、日頃のお手入れも大切になります。
左:新品のコードバンシューズ。まっさらな革本来の色。表面はマットな印象です。
右:エイジングが進むと、「輝き」が生まれつやつやとした見た目に。色は飴色に変化しています。
【コードバンシューズのお手入れ】
さて、コードバンシューズを美しく育てるには何より日頃のお手入れが肝心です。
chausser(ショセ)によると、おろしたてのコードバンシューズは
2回履いたら1回、くらいの頻度でこまめにお手入れすることが大事だそう。
<揃えておきたいお手入れ道具>
・靴用ブラシ
・柔らかい布(古いTシャツ等でも可)
・革用汚れ落としクリーナー
・革用保湿クリーム
<お手入れ方法>
1. 紐靴を外し、シューツリーを入れて履きジワが伸びた状態にする。
2. ブラシで表面の大きなホコリを落とす。
3つのブラシセットを使い分け。シューブラシセット・ G.B.KENT(ジービーケント)
3. 革用クリーナーで、油性の汚れや古い革クリームを落とす。
特に履くと革の表面に付くシワにホコリが溜まりやすく、
そのままにしておくと黒ずみの原因となりますので、ブラッシングとクリーナーで汚れを落とすことを心がけてください。
革の汚れ落としに。レーダーオイル・TAPIR(タピール)
4. 革用保湿クリームを柔らかい布に少量とり、革表面の全体に伸ばし、馴染ませていきます。
革に油分を含ませ、艶を出します。レーダーフレーゲクリーム・TAPIR(タピール)
5. クリームが馴染んだら、柔らかい布で乾拭きしますと、徐々に美しい艶が表れます。
<気をつけたいこと>
コードバンシューズの大敵は乾燥と水濡れです。
革自体は丈夫なコードバンですが、繊維が一方向になっているため
乾燥した状態になると革が裂けてしまう恐れがあるのだそう。
保湿に優れたクリームを選び、まめなお手入れが重要です。
また、水に濡れるとシミやカビの原因となります。
雨の日はご使用を控え、濡れてしまった場合は十分に乾燥させた上で
保湿のために上記の手順でお手入れしてください。
【履き心地が良い、chausser(ショセ)のコードバンシューズ】
コードバンは良質な革をふんだんに使うため、どうしても高価になります。
せっかくのコードバンシューズ、見た目だけでなく履き心地の良いものを選びたいですよね。
今回ご紹介してきたchausser(ショセ)のコードバンシューズには
履く人のことを考えた数々の工夫があります。
「良い革を生かす」とは、靴の場合は「履きやすく美しい靴を作る」ことに他なりません。
chausser(ショセ)の靴に盛り込まれた工夫をご紹介しますので、
ぜひコードバンシューズをお探しの方はご参考ください。
まず、こちらのコードバンシューズはグッドイヤーウェルト製法と呼ばれる手法で作られています。
靴は一般的に、アッパー(表の革の部分)・インソール(内側の足裏に当たる部分)・アウトソール(外側の靴底に当たる部分)
といったパーツのほか、中物と呼ばれるインソールとアウトソールの間に入れるパーツを組み合わせて作られています。
グットイヤーウェルト製法という手法で作られたシューズは、
アッパーとアウトソールを直接繋ぎ合わせず、間にウエルト(靴の外側周辺に付いた細革)を挟んで
縫い付ける手法のため、アウトソールを容易に外すことが出来ます。
そのため、たとえアウトソールが擦り減った場合でも張り替えが可能といった利点があります。
アッパーのコードバンレザーはエイジングが進んで美しいのに、
ソールがガタガタになってしまい見た目を損なってしまう・歩きにくいという風に
なってしまったら、こんなにも勿体ないことはありません。
上質なコードバンシューズを使ったシューズを選ぶ時は、
ソールの交換がしやすいということも大切なチェックポイントになります。
また、アッパーに使われているコードバンの硬質性により
コードバンシューズは硬くて足に馴染むまでに時間がかかるのでは?といった印象を受けるかもしれませんが、
chausser(ショセ)のコードバンシューズのようにグッドイヤーウェルト製法で作られている場合、
インソールとアウトソールの間にコルクを入れるため、靴が足裏に馴染みやすくなります。
アウトソールにも通常の革靴よりオイルを含ませる製法により、歩き方に合わせてしなやかに曲がるので、
革靴で長時間歩かねばならないという場合でも安心ですね。
【一足持っていたい靴】
手入れの行き届いた靴は、その人の第一印象を決めるといっても過言ではないかもしれません。
コードバンシューズは、スーツを着るビジネスのシーンにも使い勝手が良く、きちんとした印象を作ってくれます。
履き初めのナチュラルな色合いは、淡い色合いの服に合わせて。
足もとから爽やかな姿を演出してくれます。
どちらかというと、フォーマルな印象の強いコードバンシューズですが、
意外とデニムやカジュアルなシャツにも相性良く決まります。
経年変化をしたシューズに合わせて、コーディネートを楽しむのも素敵ですね。
【chausser(ショセ)のこと】
ブランドを立ち上げたのは、デザイナー兼オーナーである前田洋一氏。
オーダーメイドの靴職人であった父親の影響を受け、幼い頃から靴作りへの憧れを持ち、
早くから靴業界に身を置いていました。
靴を人の手に届けるための様々な仕事を経て、企画に携わり靴作りを学びます。
そうした数々の経験を経て生み出されたのが、シューズメーカーchausser(ショセ)です。
ブランド名はフランス語で「履く」という意味。
東京を拠点にして、現在世界7ヶ国で展開されています。
30年後、古着屋さんでchausser(ショセ)の靴を見たときに、
履きたいと思ってもらえるような、時代に関係のない普遍的な靴を作りたい。そ
して、手入れをすれば「30年履ける靴」を目指したい。そんな想いから、ずっと履きたくなる靴作りを目指しています。
chausser(ショセ)の靴は、大量生産を目的として作られていません。
量産品にはない暖かみと愛敬のある靴。
職人の手を離れても、身につける人と一緒に時を経ることで幾重にも味わいが増し、
やがて唯一無二の存在へと昇華していく。それが、chausser(ショセ)の靴の魅力なのかもしれません。
※今回メインでご紹介したコードバンシューズは、在庫なくなり次第取り扱い終了となります。
chausser(ショセ)ではコードバンの他にも様々なレザーの特製を活かした
シューズをご用意していますので、ぜひアイテム一覧ページをご覧ください。
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