1日に何度も目にする壁掛け時計。携帯電話やパソコンなど、時間を確認するためのツールは様々登場していますが、リビングや書斎の部屋の壁にいつもそっと佇んでいてくれる存在は、安心感を与えてくれます。日本を代表するプロダクトデザイナーとして知られる渡辺力が作る壁掛け時計は一見スタンダードなデザインですが、数字の大きさやバランスを追求し、普段の暮らしに馴染む、誰にでも見やすい時計です。
シンプルさの奥に秘められたこだわり
渡辺力氏は家具などの大きなインテリアから腕時計のような小さなプロダクトまで同じように、常に使う人のことを考えてデザインしてきました。中でも時計については、目に見えない生活の流れを的確に伝えてくれる最も身近な計器と捉え、この計器をどのようにして使う人に寄り添ったものにするかを考え、ライフワークとしてデザインしてきたアイテムです。
掛け時計 RIKI RING CLOCKは、1981年、クロックデザインに一旦区切りをつけた最終期の作品。メガネのような丸い輪がついた短針と、オレンジ色の秒針の絶妙なバランスには、渡辺さんのアンティークや時間認識に対する再解釈が感じられます。モダンクロックの多様な可能性を追い続けて辿り着いた、「抜け感」が魅力の壁掛け時計です。
フレームにはアルミを使用し軽やかな印象に。木を基調としたナチュラルな空間にも、打ちっ放しのモダンな空間にもすっと馴染んでくれる不思議な魅力があります。シンプルだけどポイントになるもの、インテリアの好みが変わっても長く使えるもの、そんな時計をお探しの方におすすめしたい壁掛け時計です。
工業デザイン界の巨匠
デザイナーの渡辺力は、戦後日本のデザイン黎明期に革新をもたらしたパイオニア的な存在でした。
1940年代にデザインがまだ一般的ではなかった時代に、デザインの原点、機能をデザインにした数々の名作を世に送り出してきました。時計のデザインは、渡辺力にとってライフワークといえるほどで、どんなに太い文字や針を使っても 見た目が軽やかでないといけないというデザインベースで、時代を超えても愛される時計を多く生み出してきています。
また、現代において日常の中で渡辺力のデザインに触れていることは少なくなく、時計以外にも、ホテル等のインテリア、椅子、家具などサービス施設や公共の場におけるプロダクトデザインにも数多く携わっていました。
『インテリア・デザインは、舞台装置のように「虚構」の世界に入り込むことも十分に考えられます。しかし舞台と役者のかもし出す空間と時間が観客にとって虚構を乗り越えた「何か」でなければなりません。虚構がみえみえではしらけてしまいます。』こうした言葉を残した日本が誇るデザイナー渡辺力。 101歳で逝去するまで生涯現役を貫いたデザイナーが手がけた渡辺力(わたなべりき)のアイテムには、しっかりと渡辺力の「 Riki 」というサインとデザインに対する情熱が刻まれているように感じます。
サイズ | 直径約25.1×奥行き約6(cm) |
重量 | 約1032g |
素材 | アルミニウム、ガラス |
仕様 | スイープ式
単三電池一本使用 |
生産国 | 日本 |
1911年東京に生まれた渡辺氏。
東京高等工芸学校・木材工芸科を卒業し、母校にて助教授を勤めた後に、東京帝国大学(現東京大学)の林学科助手になりました。
戦後はフリーランス・デザイナーとなり、1951年に発表した「ひも椅子」で国内外から注目を集めます。
1957年には、代表作でもある「トリイスツール」などがミラノ・トリエンナーレでコンパッソドーロ賞を受賞。その他にも新制作協会展新建築賞、ミラノ・トリエンナーレ展金賞、通産大臣賞、毎日産業デザイン賞、グッドデザイン賞など、多数の賞を受賞しており、日本を代表するデザイナーの一人です。また旧東京ヒルトンホテルに始まり、10数のホテルを手がけた他、日本デザイン・コミッティー、JIDA、クラフトセンター・ジャパン、東京造形大学・室内建築科などの開設に深く関わりました。
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