寒くなると毎日手放せないのがウールやカシミアのあったか素材のニット、コート、マフラー、手袋など。でも、夏物と違ってウールやカシミアは一度着たからと言って毎回洗う訳ではありませんよね。
汗をあまりかかないからと言って、着たものをそのまま引き出しに仕舞って良いの?
1日着て脱いだものはどうやってまた仕舞う?
シーズン中にどういうお手入れをしておけば、また来年も気持ちよく使うことが出来るの?という疑問の答え、調査してみました。
まずお伝えしたいことは、ウール(羊毛)製品は本来あまり汚れが付きにくい優秀な素材であるということです。ラノリンという成分が水分をはじく役割を果たすので、ウール素材の上に水をこぼした場合でも、すぐに乾いたタオルで吸い取るように拭けば浸透することは少ないのです。
また、素材そのものが調湿効果を持っています。動物繊維の表面にはキューティクルがあり、これが開閉して湿った環境下では吸湿し、乾燥している場合は放湿を行い、空気中の水分を調節する役割を果たします。特にウールは、30%以上の水分を吸湿すると言われており、化学繊維にはない快適さはこの天然の機能からきているのです。
このように、ウールやカシミアは汚れや湿度に強い素材で、そのため日々の洗濯は必要ないですし、そこまで神経質になる必要もありません。頻繁にドライクリーニングをしてしまうと、素材の風合いや肌触りを損ねてしまいますのでおすすめしません。
特にカシミアのあの滑らかなタッチと光沢はキューティクルが潤っていることによるものなので、油分を奪わずに保つのが重要です。
では、何もせずに「綺麗」を保っておけるかと言えば、それは違います。着用すればホコリも付きますし、何よりウール・カシミアは「摩擦に弱い」という欠点を持っており、それを解決するのが洋服ブラシなのです。
ニットの上からコートを着る、コートを着た首元にマフラーを巻く、など冬は重ね着が増えます。ニット・カシミア製品は摩擦による静電気でホコリやゴミを集め、繊維に絡めてしまいます。ホコリやゴミは虫喰いの原因になり、乱れた毛並みは毛玉が出来る原因にもなるのです。
洋服ブラシを使ってブラッシングすることは、絡んだ繊維の流れを戻しほこりやゴミを取り除くこと。また、繊維の毛羽立ちが少なくなるので新たなごみの付着を抑える効果もあります。また、洋服ブラシは必ず静電気が起こりにくい天然素材を使用してください。おすすめは、適度なコシがある豚毛です。1日の終わりにブラッシングをするだけで、ウール・カシミア製品はぐっと長持ちしますよ。
ウール・カミシア製品は、「着たらその日のうちにブラッシング」してください。乱れてしまった毛の流れをそのままにしてしまうと戻りにくくなるので、なるべく早めに行いましょう。
基本的なブラッシングの方法
1.まず、軽く振って表面についているホコリやゴミを落としてください。
2.ハンガーに掛ける、またはテーブル等の上で平置きします。
3.ブラシを当て、手首のスナップをきかせて、毛の流れに沿って一方向に、ホコリを払うようにブラッシングしてください。
力を入れてゴシゴシこすっては繊維を傷つけたり、編み目が広がってしまうのでご注意ください。
!ポイント!
ブラッシングはあくまで、ホコリやゴミを掻き出して毛並みを一定に整えることで、毛玉を取ることではありません。優しく行ってください。
▼アイテム別、ブラッシングのポイント
ニット:
デザインや編み方によって、力加減やブラッシングの方向にご注意ください。毛の流れに沿わずに行ってしまうと、ニットのデザインが損なわれてしまう可能性があります。
コート:襟の裏、ポケットのフラップなど細かい部分も忘れないようにしてください。
マフラー:フリンジ部分は、ほどけてしまうのでブラッシングしないでください。
ウール・カシミアの洋服を長持ちさせるポイントとして、「連続着用しない」ことです。1日着たら、2〜3日は休ませてください。着た当日、ブラッシングをしたら風通りの良い場所で陰干しします。
室内でも良いですが、椅子やソファにそのまま広げておくのではなく、きちんとハンガーに掛けたほうが良いでしょう。ハンガーラックなど一時置き場を用意しておくのもおすすめです。
※ニットを長い間ハンガー掛けしておくと自重で伸びてしまう恐れがあるので、様子を見ながら行ってください。
洋服を休ませるのは、湿気を取り、毛の乱れを落ち着かせるためです。着用で多少伸びてしまう袖口や襟ぐりも、数日休ませることで落ち着きます。
しっかりとしたハンガーがおすすめです。
出来てしまった毛玉は、必ずハサミで取り除いてください。指でむしり取るとその周辺の毛が引っ張られ、新たな毛玉が出来やすくなります。
毛玉取りブラシや毛玉取り器は、毛玉を削り落とすので綺麗になったように見えますが、生地を傷めますし、何より大切なウール・カシミアの洋服がどんどん薄くなっていってしまいます。
ー次に仕舞うまでにすることー
シーズン中、着終わったウール・カシミア製品をブラッシングしてもすぐに仕舞わないでください。最適な状態で保管するためには、湿気をしっかり取る必要があります。冬でも満員電車の中や暖かいオフィス、レストランの中ではじんわりと汗をかきますし、吸湿性の良いウール・カシミアは汗を抱え込みます。放湿する機能をしっかりと果たしてもらうためにも、一度着たコートやニット、マフラーは陰干しすることをおすすめします。
ー虫喰い対策ー
虫は、なぜか高価な素材を好むようで、カシミアは虫の大好物と言われています。シーズン中は、Woodlore(ウッドロア)のシダー収納ボックスに入れておくのはいかがでしょうか。
防虫・消臭・防湿効果があるレッドシダーを使ったボックスなので、大切な洋服を優しく守ってくれます。レッドシダーならではの爽やかな木の香りがまるで森林浴をしているかのような気分にさせてくれますよ。香りが弱くなってきたらサンドペーパーで軽くこすると香りがよみがえります。
シーズンオフは、密閉性のある収納ボックスに移動させて、防虫剤を入れてください。おすすめは、天然樟脳です。
樟脳は、樟(くすのき)を原料に、枝葉を蒸留して作られる天然の防虫剤で、爽やかな芳香が、衣服を包みこんでしっかりガードしてくれます。空気にさらせば、香りがすっと消えるので、防虫剤の匂いが気になることもありません。ここが、化学薬品の防虫剤と大きく違い嬉しい点です。
せっかく手に入れたお気に入りのウール・カシミア衣類。
安いものではありませんし、値段にかかわらず大事にして長く使い続けたいと思うのは当然のことです。シーズン後にまとめてケアするのではなく、着たらその時々でこまめにケアをするのが正解のようです。帰宅後にスムーズに行えるように、玄関からの導線にブラシを置いておくだけでも、違うかもしれません。少々面倒に思うかもしれませんが、手をかけた分だけ必ず長持ちしますので、ぜひやってみてください。
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