パカっと開く口金に、
ぱちんと可愛らしい音がチャームポイント。
今回取り上げるのは、がま口です。
どこか昔懐かしい雰囲気のある、がま口。
そういえば田舎のおばあちゃんが使っていた…、
和装の時に着物に合わせたがま口を使う…など、
和テイストなイメージがありますよね。
しかし、がま口の歴史を紐解くと、意外や意外
実は明治時代に日本にもたらされた舶来品なのです。
がま口の原型は、ヨーロッパで使われていたバッグ。
貴婦人が舞踏会に持っていくような
装飾の施されたミニバッグが思い浮かびます。
明治維新の時代、様々な欧米文化が日本にもたらされ、
身に付ける物、日用品から食べ物まで、
人々の生活は著しい変化を経験しました。
古くから日本にあった文化へ
新しい欧米諸国の文化が持ち込まれ、
最初は新旧が対立し、やがて模倣、折衷へと発展していきます。
がま口についても、和柄のちりめんや伝統的な織物のものを
良く見かけるので「和」の象徴のようにとらえがちですが
最初は異国文化の1つだったのです。
まるで、がま蛙のように口をぱかっと開けることから
「がま口」と呼ばれ親しまれてきたわけなのですが、
日本に入ってきた当初は「西洋胴乱(どうらん)」「がま巾着」
のような呼び方をされていたのだとか。
「胴乱」とは、薬や印、銭などを入れて持ち歩くために使われていた簡単な巾着のこと。
日本における初期のがま口は、今のように一般的な持ち物ではなく、
とても高価なものだったのだそう。金属を加工する技術も限られていたため、
女性用のかんざしや帯などを加工する職人が真鍮を加工して
1点ずつ製造していたようです。
庶民の持ち物として大衆化されるのはもう少し後のことで、
小額紙幣が発行され、人々が札入れを持つようになる頃には、
金属加工技術も改良され、現代の口金に似た形状のがま口を
安定的に製造することができるようになったのです。
がま口=小銭入れというイメージのルーツは、この頃にあったのですね。
がま口といえば、やっぱり小銭入れです。
オートゥイユ スモールコインパースは、
11×11cmと小さすぎず大きすぎずの、程よいサイズ感。
間に仕切りが1つ付いているので、
片側にコインを、もう片側に折り畳んだお札を何枚か一緒に入れておけば、
このスモールコインパース1つだけでお出かけ出来そうです。
その他にも、例えば
・「ピアスや指輪+ネックレス」→アクセサリーケースに
ネックレスと他のアクセサリーを一緒にポーチに入れておいたら、
ネックレスのチェーンが絡まってぐちゃぐちゃに…。
がま口の仕切りを活用すればそんなこともありません。
口が大きく開くがま口は、細かなアクセサリーの収納にぴったりなのです。
・「イヤホン、リップクリーム、チケット…」→無くしやすいもの専用の収納に
ひとまずパンツやバッグのポケットに、と入れたら
いざ使いたい時に見つからない。
そんな小さなものを入れるのもおすすめ。
小銭入れとしても良く使うがま口は、
外側の手垢、内部の汚れなどだんだんと汚れが気になってきます。
本体の素材に応じたお手入れをするようにしましょう。
・革製のがま口
革製のものは、一般の革小物と同じように
革専用のクリームやワックスでメンテナンスします。
革は磨くほどに艶が増していくので、
是非丁寧に磨いてあげましょう。
特に、開閉する際に動く口金の脇のあたりに
ホコリや汚れが溜まりやすいので要注意です。
・布製のがま口
手垢が気になる布製のがま口、
お洗濯してさっぱり使いたいのはやまやまですが、
基本的に、がま口は水に浸しての丸洗いが出来ません。
理由は、口金部分の金具と本体の接合に接着剤を使っているため。
口金を接着剤で固定し、本体の袋と口金の間に紙ひもを詰めて
隙間を埋めるという製法が多いので要注意です。
表も裏も布を使用した袋なら、袋の部分だけを水洗いするか、
布用洗剤、染み抜き洗剤を溶かした水をふきんに付けて固く絞り、
汚れが気になる箇所を叩くように汚れを拭き取るのがおすすめです。
がま口は、何度も開閉すると口金の部分が緩くなり、
蓋を閉じる時の圧力が弱くなることがあります。
いつまでも気持ち良く「ぱちん」と閉じる感覚を楽しみたいですよね。
口金が緩くなってしまった時は、調整を試してみましょう。
使うのは写真のようなペンチ。
手芸や日曜大工用の小さなもので大丈夫です。
左右の口金の玉の部分を内側に寄せる感じで調整します。
口金に傷を付けないように、
ペンチが当たる部分に布や紙を当てるようにします。
強い力で一気に寄せると、破損や、
口金が固くなりすぎる原因になりますので、
少しずつ様子を見ながら力を加えるように注意しましょう。
がま口というアイテム一つとっても、
これだけ奥深い歴史とストーリーに溢れています。
手のひらサイズの可愛いがま口。
是非お気に入りを見つけてみてくださいね。
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