羊の毛を家庭で手紡ぎ・手織りしたホームスパンは、産業革命以前の英国で生まれました。
ホームスパンの技術が日本に伝えられたのは明治時代。軍服用の毛織物の需要が高まる中、各地で緬羊飼育が奨励されました。しかし第二次世界大戦が始まると、羊毛は軍需物資として管理され、ホームスパン生産は規制されてしまいます。
休眠状態だったホームスパンが再興したのは戦後のことです。
岩手県花巻市東和町に明治時代から根づいていた緬羊飼育と、その土地の農家の副業であった羊毛生産と毛織物加工は、やがて事業となり歴史が始まりました。
国内の産地が消滅していく一方で、岩手のホームスパンは伝統産業として守られ、制作者は高品質の作品を生み出すことに力を注いできました。
昭和30年4月、現会長が設立した菊池ホームスパン民芸社が、伝統技法を受け継ぎながらも時代のニーズに対応し、ホームスパンを産業として根づかせました。
現在は、世界のオートクチュールブランドのデザイナーから認められる技術で、世界を舞台に広がってきています。