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越前和紙の老舗・山次製紙所から見る、福井のものづくりの祭典「RENEW」

 

福井県鯖江市・越前市・越前町で開催される「RENEW(リニュー)」は、越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、眼鏡、繊維といくつもの産地が一斉に門戸を開く、大人の社会科見学のようなイベントです。

 

 

職人技と想いが息づく場所 - 山次製紙所訪問記

 

昨年のRENEWでは、ZUTTOで茶筒をはじめラッピング包装紙や帛紗を作っていただいた山次製紙所さんを訪れました。明治元年創業の越前和紙の老舗で伝統工芸士がいる和紙の老舗です。木造の趣ある建物に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは、壁に並ぶ和紙のサンプルたち。工房からは、水路から汲み上げる水の音と、和紙を乾燥させる機械の規則正しい音が響いていました。

 

こちらは、山次製紙所が独自でつくるカラフルな手漉き和紙。カラフルな色バリエーションは、従来の和紙イメージではない楽しい見た目。

 

山次製紙所は、伝統の技を守りながら新しい価値をと「UKIGAMI」という革新的な製品を作る老舗です。伝統的な手漉き和紙の技法を活かしながら、現代的なデザインと用途を提案する新しい和紙のカタチで、これまでの和紙のイメージを変える鮮やかな発色に、凹凸のあるデザインが特徴です。

 

「UKIGAMI」は、「伝統工芸」と見られるようになってきた手漉き和紙を、昔のように生活の中でより身近に感じる存在にしたいという想いから作られています。そうした作り手の想いを直接聞くことができる貴重な機会がこのRENEWの面白いところでもあります。

 

その奥には、レースのような、雲のような白の手漉き和紙が掛けられていて、この2つの壁を見ただけでときめきワクワクする気持ちは上がっていきました。

 

 

目に入るもの何もかもに興味が湧く状況で、工房内をくまなく見ると、高い窓から差し込む光を浴びて和紙のかたまりが雲のように浮いていました。現場はモノづくりに興味がある方にとっては、気になるモノだらけです。

 

 

その和紙を漉く工房へお邪魔すると、ベテランの職人さんが大きな枠で和紙を漉く姿に、若い女性職人が丁寧に和紙を漉く姿がありました。

 

福井県は一年を通して曇り空が多いと聞き、色白の綺麗な方が多いように感じましたが、紙を漉く女性に「つるの恩返し」の世界を思い浮かべました。そのくらいタイムスリップしたような、代々続く歴史あるものづくりの風景がそこにはあります。

 

 

大ベテランの職人さんは一升瓶用のラベル用和紙を漉いていました。木枠で水槽の中の紙を漉く作業を何度も繰り返して厚みをつくりラベルは完成するそうです。木枠を前後左右に揺らして、一枚の紙の厚みを調整しているというのですが、体験してみるととても難しいものでした。

 

 

紙漉き体験をした後は、一旦外で休憩。

 

ゆるやかな坂の途中にある山次製紙所ですが、綺麗な和紙を漉くためには良質な水も必要で、工房の前には水路がありました。和紙屋さんがこの辺りに多いのもこの水源のそばということもありそうです。

 

 

その湧き水を引いている工房を見回すとたくさんのバケツと桶があります。豊富で良質な水資源がある環境だから作られている手漉き和紙です。

 

 

 

その後は、漉いた紙を乾燥する工程も見せてもらうことができました。

高温の大きなローラーで回ってくる和紙をひょいひょいと剥がす作業を担っていたのもベテランの職人さん。首に手拭い、足元にはスマホがあって音楽や動画、写真も楽しみと、今時の若者のように元気にお仕事していました。

 

 

 

年齢を尋ねると90歳になるというのですから驚き、手に職は一生ものだよ。と祖父母に教わったことも思い出しました。和紙のこと、人生のこといろんな話を聞きながら、手にしていた道具のタケベラに日付が書かれたので、そのことを尋ねるとこれは消耗するものだから、日付を入れることでどのくらいで作り変える時期かわかるように。ということ。

 

そして、もしもの時があっても困るからと、次の1本もすでに用意してあって、長く仕事ができることはありがたいけれど、いつまでできるかわからないからと。少し切ない気持ちにもなりましたが気配りの温かな仕事。いつまでもお元気でいて欲しいと思いながら、また機会をみて訪れようと思いました。

 

 

帰り際、工房出口でプランターに出ていた新芽があり、聞いてみると、和紙の原料に使うガンピ(雁皮)という植物とのこと。野生のものが使われることが多いようですが、次に伺う時にはこのガンピも育っているといいなと楽しみが増えました。

 

 

RENEWで出会える7つの産地の物語

 

山次製紙所での体験は、RENEWの魅力を凝縮したような一例です。会期中は、同様の貴重な体験が7つの産地それぞれで待っています。例えば、1500年の歴史を持つ越前漆器の工房では、職人たちの丁寧な仕事ぶりを間近で見ることができ、越前打刃物の工房では、火花を散らす鍛造の様子を見ることができます。その他にも樹脂加工メーカーさんの現場では、吹付作業をする職人さん。鯖江の方にいくとメガネ加工の工程を垣間見ることができます。それぞれの産地では、一般に流通しない、そこでしか買えないものにも出会える機会です。

 

 

 

 

こちらは、山次製紙所でみつけたマッチ箱のような小さな箱に入った色鉛筆。近所の和紙屋さんでは手すきのハガキや便箋なども売っていました。ここで出会った人や出来事を誰かに絵手紙で伝えたくなるような体験と穏やかな時間の流れる産地でした。

 

 

 

ものづくりを知り、発見する

RENEWを訪れることは、モノの背景にある地域の歴史や、受け継がれたり、進化する技術、職人さんの姿、ものづくりの未来を考えることができる特別な機会です。そこには、都心の整いきらびやかな商業施設では出会えない、時間をかけて育まれた技と想いが込められたモノと、その向こうにある物語の体験になるイベントです。

 

 

越前漆器・越前和紙・越前打刃物・越前箪笥・越前焼・眼鏡・繊維の7産地の工房・企業を一斉開放し、見学やワークショップを通じて、一般の人々が作り手の想いや背景を知り、技術を体験しながらお買い物することができます。作り手に出会い、制作する現場を目にして、モノとの出会いにもなる貴重な機会です。

 

日  時 2024.11.1.FRI - 3.SUN
会  場 福井県鯖江市・越前市・越前町全域
総合案内
河和田案内所: うるしの里会館(福井県鯖江市西袋町40-1-2)
ハピラインふくい「鯖江」駅より、つつじバスで20分
今立案内所: 岡本郵便局前元畳縁工場
(福井県越前市新在家町11ー21ー1)
JR「越前たけふ駅」より、RENEWシャトルバスで15分

 

▼アクセス方法についてはこちらを参考に

https://renew-fukui.com/access/

 

投稿者: ZUTTO編集部 日時: 2024年11月02日 11:20 | permalink

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