undyed+(アンダイドプラス)は、無染色ウールを中心に、天然繊維の柔らかな手触りと飽きのこない味わいを感じるものづくりの心をほっとさせてくれるものが揃うブランド。
ZUTTOでは、ラグにチェアパッドなどをご紹介してきましたが、ラグはなんとZUTTOなモノの仲間になって10年目でした。
長年チベットやネパールのものづくりに注目してきたundyed+から、この冬最後に日本でつくったというブランケット(ウール毛布)が登場です。見て触れて納得の品質で、ZUTTOに新たに迎えた、愛用したい日用品の一つです。
昨年は寒さに耐えられず、大手メーカーの吸湿発熱のポリエステル寝具も試してみましたが、なんだかんだと天然素材は、体温調節の加減がいいことを実感。日本のウール毛布には、ヨーロッパのものとは一線を画すなんとも心地いいその手触りと優しさがあって、そこには日本人のための細やかな感覚を大事にしたものづくりが見えてきました。
素材の羊毛は、吸放湿性が高いためブランケットや毛布にすると、寝具内の湿度調節に役立ちます。また弾力のあるふんわりとした肌触りは体にフィットさせやすく、保温性の高さでしっかりと暖かさを感じます。これらは特殊加工された化繊でも、宣伝に謳われる特徴ですが、やはりそれらが追い求めた先の本物には叶わないということなのでしょうか。
今回、海外製品と違うこと、化繊と違うこと、触れて感じた日本製のブランケット(ウール毛布)についてundyed+(アンダイドプラス)さんにお話を聞きました。
A. このブランケット(ウール毛布)はニュージーランド産の羊毛を大阪泉大津市で織ってもらいました。大阪泉大津市は、日本一の毛布の産地なんです。
A. きっかけは2年間のコロナ禍ですが、以前から興味のあった泉州で毛布製作での良い出会いがあり挑戦する機会となりました。
A. 日本の工場では、日本人が何を好み、どこにこだわれるか良くご存じです。日本人は素材、肌触りをとても重視しますので、そのこだわりの期待に応える品質で作り上げることができます。以前トルコでキリムを製作した時ですが、ウールの洗いが十分でなくにおいが残ったり、日本人ほど素材や質に丁寧にこだわることはなかなか海外では少ないと思います。
A. 高い保温性や吸湿性、寝ている間の湿気を吸ってくれるので、快眠できることは化繊以上ではないでしょうか。その他にも、静電気も起こりにくいことと、丈夫で使っていくと味わいも感じられる点でしょうか。
A.ブランケット(ウール毛布)に使用される糸は、従来のものよりもさらに細番手の糸を使用し、独自の設計バランスで工夫することで、より柔らかい風合いに仕上がりで他に類を見ない質感だと思います。
A. デザインは、長年のお付き合いのある北欧のブランドも手がける日本人デザイナー脇阪さんで、インテリアに合うあたたかみあるデザインで、2種類用意しました。無染色にしジャガード織りで裏表で色の出方が違うようになっています。
<脇阪 克二 Katsuji Wakisaka >テキスタイルデザイナー。1944年 京都市生まれ。北欧フィンランドのマリメッコ社、ニューヨークのジャック・レノア・ラーセン社、ワコール社のデザイナーを経て、現在は京都を拠点にSOU ・SOUのデザイナーとして活躍中。
どちらにしようか悩む可愛さですが、ともに日本の室内に馴染みがいい無染色のナチュラルさです。
テーブルクロスやカーテン、絨毯とかで良く商品で耳にするジャガード織りと、生地の模様や柄が立体的で大きく見えるような織り方で作られた生地のことを言います。
大阪には様々な織物や繊維産業の地域があり、明治以降、ヨーロッパから様々な織物が入ってきて発展してきました。ジャガード織りもその一つで古くから産業として発展してきた技術です。
ここからは製造について教えてもらいました。
製造は、創業し、約半世紀という大阪府・泉大津の毛布・織物工場日の出毛織物さん。1968年創業の国産毛布の約90%を製造している老舗です。アクリル毛布が主流の時代だった1993年に、日本で初めてオーガニックコットン毛布の製造に成功し毛布業界を牽引してきた工場です。
A. 織毛布は、デザインの紋紙作成に始まり、織り、洗い、起毛、仕上げとすべての工程を熟練の職人が経験の技で作り上げていくそうです。
工程は、
紋紙を作る(絵柄の彫りを入れていく)
↓
生地を織る
↓
洗いをかける
↓
乾かす
↓
起毛かける
↓
まわり端のしまつ
仕上げ
↓
完成
と、このような順です。
織るだけでなく、洗って乾かして、起毛させてと手間がかかりますね。これを古い機械を動かしていると思うと大変な作業ですね。
製造時の写真もいただきました。工場見学の気分で工程に沿ってその様子を見てみましょう。
上の絵柄は赤と黒の市松模様のように細かいドットの集合になっていてジャガード織機で柄を出すための型を作る前段階のものだそうです。下は上の絵柄をアップしてみた様子。
下の写真は、機械に設置された長い紙は紋紙(もんし)。上に並ぶ赤と黒の絵柄を、織機で再現するように紙にデータのように起こした状態です。
ジャカード織機で図柄を織るために用いられる紋紙は、印刷でいうところの「版」ですが、なんとも細かい。「紋紙」を見ただけでは柄は一切わかりません。
上から吊り上げられた紋紙と細い糸が集まる画は、迫力ありますね。
機(はた)に紋紙がセットされ糸が乗り、機が動いている様子です。
木機がガシャーン、バタンと音を出してゆっくり織られているのを想像してもワクワクします。
織り上がると洗いにかけられ、乾燥させて起毛の工程です。起毛は人の目で加減をみます。起毛しすぎると弱くなり破けますし、きちんとしないと気持ちいい柔らかさにならないという難しいもののようです。
こうした様々な工程を経て、完成するジャガード織りのブランケット(ウール毛布)。手にした毛布の心地良さは、日本人の繊細な感覚と長年の毛布の産地の技術によるものでした。
ブランケット(ウール毛布)は、横約100×縦約150(cm)の大きさです。ソファや車で膝掛けとしてだけでなく、羽毛布団の上にかけて使うのにもおすすめです。より暖かさを求める人は、体の下に敷くための毛布「敷き毛布」としてもお使いください。きっとこれまで使っていた毛布以上の心地よさと暖かさで、布団に入るのが楽しみになる毛布です。
健康を気遣う方や遠方の方への贈り物に。また、贈り物のお返しなどにも、受けとった方が愛用できるundyed+のブランケット(ウール毛布)でした。
イメージ:ウールブランケット(脇坂克二デザインジャガード織ブランケット)、リトルカドルベア、ガラ紡のピローケース
コロナ自粛生活は、家族や友人の存在のありがたさ、今まで気づかなかった近所のお店の良さというように日常の中に発見があった人も多いと聞きます。世界の様子を見ていきながら、改めて日本のものづくりに興味が湧くZUTTOなモノでした。