1851年(ヴィクトリア時代)に、世界でも有名な窯どころのイギリスのストーク・オン・トレントで生まれた陶器のブランドBurleigh(バーレイ)。豊かな土と気候に恵まれたその土地からウェッジウッドやミントンも誕生していて、当時からBurleigh(バーレイ)は、生産効率や廃棄物、環境汚染を減らす技術革新で他社の模範となる窯元として食器ととも世界に拡大していたメーカーです。
しかし、2度の世界大戦が起きたことで、人々の生活様式や流通が大きく変わり経営難に陥り、その所有者はこれまで幾度と変わるという苦難がありました。そんな中で「銅版転写」技法は守り続けてきたのがBurleigh(バーレイ)です。当時はいくつかの工場が作ることができたこの技法も、今では世界で唯一という貴重なものづくりで工場自体も重要文化財となり、食器は大英博物館や王室にも献上されているほどです。
今回は、その「銅版転写」技法と製品についてご紹介します。
Burleigh(バーレイ)の魅力は「銅版転写」による絵柄の素晴らしさと、160年変わらず熟練の職人の手で一つ一つ丁寧に作られているMADE IN ENGLANDという点です。
まずは原料。土も全てイギリス産を使用し、液体状にしたものを自社工場で作る石膏型に流し込み、素焼きの陶器を作ります。
素焼きが出来上がると、スポンジを使って表面を滑らかにしながら、ポットの口やカップのハンドルなど全て手作業で取り付けます。
こちらは絵柄をつける銅版の型づくり。ロール状になった銅板に、何種類ものニードルを使って手彫りで柄を刻んでいくというのですから、想像するだけで至難の技。そして、なんと今この銅板を彫る職人さんはわずか2人で一つ完成するのに6週間かかるのだそうです。
出来上がった銅板にインクを塗って、薄い半紙(ティッシュ)に柄をプリントしていきます。
印刷されたロール紙は、インクが乾く前に陶器にそれぞれの形に合わせて紙をカットし貼り合わせ、版画の要領で柄を転写します。この工程もまた凹凸のある素焼きにぴったり貼り合わせられること、漏れなく擦りつけて絵柄をつけるのはまさに職人技です。
転写後はガラス質の釉薬を塗って、3度目となる焼きの作業を経て完成します。釉薬の下に絵柄がつくため柄は半永久的というので、これまでの工程を思うと安心する情報。
こうして創業当時の製法を守り続けるBurleigh(バーレイ)の食器は、単なる日用品ではなく、160年前から今も暮らしの中に温もりと華やかさを提供しているのではと思う手仕事です。
Burleigh(バーレイ)の食器は、一つ一つ手仕事で完成しています。柄や色、状態が同じものが2つとない焼き物で、メーカーの品質基準をクリアしたものを日本で再度検品しお届けしております。工業製品のような食器とは異なりますので、予めその品質にご理解をお願いします。
・お皿の裏面には、3箇所釉薬がのっていない箇所があります。これはお皿を炉で焼く際に、セラミックの部品で3点支えているため、その接合部分で釉薬がのっていません。
・3点は引っ掻いたあとのような傷にみえますが、製法として付くものになっています。
・インクが溜まってかたまりのようになっている場合があります。
・焼成中にインクが弾けて、小さな点となって複数つくことがあります。
プリントのズレ、切れ目、濃淡の違い、インクの色飛びがありますが、ハンドメイドの味としてお楽しみください。今では非常珍しい製法の証です。
どれもが素敵な絵柄のBurleigh(バーレイ)の食器ですが、ブルーの花柄は人気のキャリコというシリーズで代表的なデザイン。氷のうえに落ちたプルナス(桜の一種)をイメージしたもので、桜がモチーフということもあってとても親しみが湧きます。白と黒のシックなリーガルピーコックは、優雅な孔雀が描かれていてクラシカルな雰囲気です。近年生産されていなかったものが2014年に復刻したシリーズで、ヴィクトリア時代らしいようで素敵。その他、キャリコ、リーガルピーコックに、フェリシティを合わせたフルーツプレート4枚セットでは、異なる花柄、色でも調和することを感じますが、自然界という一貫したモチーフのおかげかもしれませんね。
創業から100年以上経ってもなお愛されているBurleigh(バーレイ)。今後ますます希少となっていくであろう温もり感じる食器は、花を飾ったようにテーブルの上を彩ります。