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蘇るウール。尾州の羊毛再生技術から生まれた、毛七×ZUTTOのオリジナルストール。

 

 

貴重な天然資源を無駄にしない。トレンドではない羊毛再生

 

ファッション産業の負の側面である、「大量生産」「大量廃棄」が問題視され、サステナブルアイテムやリサイクル生地が使われることが多くなってきています。着飾るため、表現のためのファッションアイテム、というデザイン中心の自己顕示から抜け、自分軸の価値感で良いと思う素材、製法、そしてブランドへの共感が、大人が目指すべき「もの選び」となりつつあるのではないでしょうか。

 

 

そんな流れがきているファッション業界において「リサイクルウール」という言葉が生まれるずっと前から尾州で続く、羊毛再生から生まれるテキスタイル、毛七(けしち)。

サステナブル/リサイクルの”トレンド”から生まれたのではない毛七は、羊毛再生の技術と想いを地域の文化として残すために生まれました。

今回はそんな毛七の生地を使った、ZUTTOのオリジナルストールをご紹介します。

 

 

尾州の歴史と文化、技術を丸ごと表す"毛七"

 

日本最大の毛織物産地のである尾州(愛知県一宮市を中心とした地域)では、半世紀以上前から、着古したセーターや紡績工場の落ちワタなどを回収して反毛することで、再び繊維に戻し生まれ変わらせる技術が発展してきました。

 

戦後の物資が不足していた時代も含め、日本では気候の問題があり羊の放牧が盛んではありません。当然ながら、現在でも国産の羊毛(ウール)はとても少ないのです。日本では自給が難しい、貴重な天然資源であったウールを捨てない、無題にしないために発展したのが羊毛再生の技術。そうした時代背景も重なって、羊毛再生は次第に尾州地域の特色になっていきました。

 

 

毛七ブランドを立ち上げた大鹿株式会社は、ZUTTOでもご紹介している「blanket(コート)」、そして「糸と色(カットソー)」など、ウール生地を使ったブランドを複数展開するテキスタイルメーカーです。1922年の創業以来、機屋、生地卸、メーカーとして尾州のウールづくりを牽引してきました。

 

 

毛七のブランド理念は「資源を大切にする文化を、後世に残す」。

大鹿では、これまでも再生羊毛の生地は長く作ってきましたが、羊毛再生の技術とウールを無駄にしないという想いを尾州の文化として広く知ってもらい、かつ実際に着てもらうことを目的に2019年に毛七をブランドとして立ち上げました。

 

「着物は一枚の反物から生まれますが、生地の余りが出ないように考えられ裁断されます。それは、資源を無駄にしないことを常としていた日本人の心と技術の現れ。毛七の羊毛再生もそれと同じで、文化なのです。」

 

 

糸の混率からくる「毛七」という言葉は、古くから尾州では認識され使われてきた言葉でしたが、古着であるということで長くネガティブなイメージをはらんでいたのだとか。ただ現在では、リサイクルや持続可能性ということが当たり前のようになってきて、尾州の羊毛再生文化も世界から注目されるように。

 

 

反毛機で蘇る、羊毛

 

羊毛の再生に欠かせないのが「反毛機(はんもうき)」。生地をワタ状に戻すための機械で、コットンをほぐし不純物を除くための打綿機にヒントを得て、日本で生まれました。

 

再生羊毛が出来るまで

1. 資源の回収

 

全国から古着のセーターや生地、縫製工場の糸くず/ハギレ、紡績工場の落ちワタなど様々な「資源」を全国から集めます。(ウール素材のみ)

 

2. 色で選別する

 

色を揃え、ウール100%になるよう混率も揃えます。(製品に付いているタグなども外します)

基本的には染色を行わないため、同じ生地を作る場合は特に、毎回同じ色にするために色を合わせる選別作業はとても重要で、羊毛再生を知り尽くした熟練の職人による作業となります。ここでの作業の丁寧さと細かさが、出来上がる糸と生地の品質に直結するのです。

 

3. 反毛機にかけ、繊維に戻す

 

生地をほぐし、ワタ状に戻す作業です。裁断された生地は反毛機の無数の針が付いたローラーをいくつも超え、徐々に小さくなり、ほぐされていきます。

 

 

 

そのままだと繊維が短く、糸にすることが出来ないので化学繊維を少量ブレンドし、強度と風合いのバランスを取ります。その配合が毛七(毛70%)で、ブランド名の由来にもなっているという訳です。(毛70%に、15%のポリエステル、10%のアクリル、5%のナイロンを混ぜます)

 

4. 糸をつくる、紡毛

 

 

繊維を寄せ集め均等にしながら、紡いでいく工程を経てウールの糸が出来上がります。

 

5. ゆっくり織り、新たな生地に

 

 

尾州産地の旧式の織り機を使い、熟練の職人が時間をかけてゆっくりと丁寧に織ります。糸に余分な力をかけず、空気を一緒に織るようにすると、ふっくらと柔らかい生地になります。

毛七が織るのは、フランネル、シャンブレー、メルトン、デニムなど様々なウール生地。

 

きっと、もう生産されていない旧式の機械をメンテナンスすることも大変なはずですが、新品のウール以上に得られる、異素材が混在する再生羊毛ならではの色や生地の風合い、そして文化の継承が大事だという信念のもと、続けているのです。

 

 

 

毛七フランネルを使った、ZUTTOのオリジナルストール

 

このような工程を経て蘇った毛七のフランネル生地を使って、この秋冬にぐるりと巻きたいZUTTOオリジナルのストールを作りました。

企画担当とデザイナーは、生地を選ぶ前は薄手で表面がプレーンなストールを作ろうとイメージしていました。でも毛七のフランネル生地の素晴らしさに惚れ、この生地のためのストールを作ろうと方向転換したのです。

 

 

毛七のフランネル生地の特徴はこちら。

・程よい厚みがありながら、軽くしなやかな質感。

・ほわほわ感があるので保温性も、肌触りも最高。

・経糸と緯糸で異なる色糸を使用し、さらに表面を起毛させることで霜降り感のある、柔らかい印象のカラー。

・「レピア」と呼ばれる旧式の織機で職人が糸に負担をかけないように時間をかけてゆっくりと丁寧に織られている。

 

 

この特徴的なフランネル生地の良さを堪能してもらえるように、デザインは出来るだけシンプルにすることにしました。ポイントは、四方にぐるりとつけたパイピング。素朴な綿素材のパイピングにすることで生地と溶け込み、生地の良さをより引き立たせるようなデザインに。同系色でもやや色の違うパイピングをあしらうことで、シンプルさの中にも巻いた時にほんのりとアクセントになるよう加えています。

 

 

また、張りのある素材のため、巻いた時にストールを固定出来るようにスリットを入れました。このスリットを入れることで、巻き方にも変化をつけられて、プレーンなストールよりも様々な遊びを効かせられるようになっています。

 

 

スリットの基本の使い方はとても簡単。ストールの両端が前に垂れるように一重巻きして、スリットにもう片方の端を入れて形を整えるだけです。

 

 

カラーは5色ご用意しました。奇抜な色はなく、どのお色も秋冬の装いにそっと寄り添うような馴染みやすさがありますが、企画担当のイチオシは「レンガ色」。ブラウンともオレンジともまた違う、まるで秋の落ち葉のような素敵な季節カラー。ブラックやグレーのストールをすでにお持ちの場合は、ぜひこのレンガ色を。

 

 

 

 

 

「ものづくり」というと私たちが手にとって使う最終製品を形づくる作業のように感じますが、製品になる前の生地だって「ものづくり」。ものづくりとものづくりを繋いでいって、実際に私たちが使うアイテムになっていくのだと感じる、毛七とZUTTOのものづくりの旅となりました。

 

▼毛七フランネル パイピングストールの購入ページはこちら

 

投稿者: 丸山 日時: 2022年11月22日 11:00 | permalink

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