飽きを知らず、明日のお出かけもこの子となら安心と思えるバッグ。バッグには収納力はもちろん重視したいところですし、せっかくなら希少性、つまり街で同じものになかなか出会わない珍しさ、それでいて可愛さとかっこよさがあって、持っていることがちょっと自慢。
そんな愛着の湧くバッグとはなんだろう?と考えた時、思いついたのはSEIL MARSCHALLのことでした。
まずは、SEIL MARSCHALLを初めて聞いたという方のために、少しだけブランドのご紹介を。
SEIL MARSCHALLは、ドイツ生まれのハンドメイドバッグブランド。そのポリシーには
1、使うことで消費してしまわないもの
2、オーラがあって、経年経過をともに楽しめるもの
3、丈夫で修理をしながらでも使い続けることのできるもの
という3つを掲げてものづくりを行なっています。
SEILとはロープの意味。その名の通り、ロープの生産から始まり、現在ではアウトドアやハンティング用など幅広いアイテムを製造するメーカーです。ZUTTOでは主にバッグを取り扱っていますが、もともとの専門であるロープ使いが巧みなアイテムもいくつかご用意しています。
▲SEIL MARSCHALLのドイツの店舗
創業以来、家族経営を続けており、会社の規模を大きくすることよりも品質を保つことに重きを置いているSEIL MARSCHALL。その職人気質は日本のものづくりにも通ずるところがあります。
例えばポリシーからわかるように、ものに愛着を持って長く使うのをとても大切にしているということ。壊れたら捨てるモノではなく、直しながらいつまでも使う。それは、単に愛着へとつながるだけではなく、結果的にお財布に優しく、地球にも優しいという、良いことづくしの選択肢だと言えます。
ただそう言うことは簡単ですが、長く使えるモノ選びは簡単ではありません。しっかり丈夫でなければいけませんし、もちろんデザインもお気に入りであってほしいところ。なかなか出会えないそんなバッグですが、私がSEIL MARSCHALLとなら何年先も一緒にお出かけしたいと思えた理由をいくつかご紹介します。
何年先も使いたい理由その1
なんといっても、ドイツ製の機能美でタフな作りはSEIL MARSCHALLを語る上で外せないポイントです。素材は長く使うことを前提に選ばれており、経年変化も楽しめるようにナチュラルな風合いをしっかりと残しています。
使うたびに自分だけのオリジナルな風合いへ変化する、ヴィンテージ好きの方からしてもたまらないバッグです。素材やパーツのコーティング・色止めなどの表面加工は必要最低限。使用開始からしばらくで、アタリやヴィンテージ感のある色落ちなどの経年変化を楽しめるようになっています。
今回は、実際に愛用中のバッグをお借りして、どのようにエイジングしたのか新品と比べてみたいと思います。
【愛用品プロフィール】
使用開始日: 約2年前。2021年の冬頃から。
使用頻度: 月1回程度
お気に入りポイント:「リュックでもトートバッグでも使える2wayの仕様がアウトドアに便利で愛用中です。ヌメ革の経年変化も楽しめるのもお気に入りです。」
こちらはZUTTOでは取り扱いのない大きいサイズですが、2WAYバッグ NEW TOTE PACKシリーズのバッグです。普段は旅行やキャンプなどで着替えやキャンプ用の荷物を入れるためのバッグとして使用されているそうです。
程よくかっこいい使用感が現れていますが、どこが変化してきているか細かくみていきましょう。
▲SEIL MARSCHALLの使うレザーには元々の色味に個体差があります。今回選んだ新品バッグは淡めのレザーでした。
まず、大きく変化がみられるのはやはり「サドルレザー」です。
新品の淡くマットなヌメ革らしい色味から、艶と深みのある飴色へ変わってきているのがよくわかります。2年の愛用品ですが、さらに年月を経るとより深く濃く、艶も増していく予感を感じさせてくれています。
愛用品に触れて感じたのは、全体的に柔らかさが増しているということ。かっちりとした堅牢な作りのSEIL MARSCHALLのバッグだからこそ、長く使い続けるとどのようになっていくのかは気になるポイントの一つでしたが、愛用品を実際に見て、その答えが見えてきました。
ハンドルを比べてみると、レザーの柔らかさの変化は一目瞭然でした。重たい荷物もしっかりと支えてきたであろう丈夫なレザーが、持ち主の手の形へ馴染んでいるのがよくわかります。
このように、部分使いのサドルレザーは使い始め硬くてマットな質感のものが多いですが、使い続けると艶が上がり、より使い手に馴染んでいくので、育てがいのあるレザーであると言えます。馬の鞍(サドル)に使われる非常に丈夫なレザーですので、多少ラフに扱っても自分だけの飴色レザーに育てられて、アウトドア使用にもおすすめです。
次に注目したいのは、それぞれのパーツをしっかりと固定する金具。新品では艶のあるまっさらな金具ですが、長く愛用していくとヴィンテージ製品に見られるような格好良さのある絶妙な使用感が現れます。特にわかりやすいのは、ハンドルを固定する「コッパーリベット」です。
▲コッパーリベットの比較。
コッパーリベットは、一般的な金具パーツと違って中に空洞がないことから非常に丈夫で、腐食も防げるという特徴を持つパーツです。SEIL MARSCHALLではそのコッパーリベットを負担の大きいハンドルに取り付けることで、重たい荷物も安心して持てる仕様にしているのです。
コッパーリベットはその名の通り銅製で、新品には明るさも見られるコッパーリベットも、使い続けていくことで光沢が落ち着き、渋さと味わいが現れていますね。
次に、肩の負担を抑える、ウールフェルト内蔵のショルダーを比較してみました。
新品ではストンと真っ直ぐで、まさにこれから馴染ませていきたいという形をしているショルダーストラップですが、2年間使用したものを見ていくと肩に合ったカーブを描いているのがよくわかります。
使いはじめにはハリがある硬めの使用感となっていますが、ウールフェルトの特徴により、使い続けることで自分の肩の形に馴染み、どんどん柔らかくなるというこちらも経年変化が楽しみになる作り。数年使い続けると、これほどしっくりくるバッグはないと思える自分だけのバッグに仕上がる、2WAYバッグ NEW TOTE PACK MEDIUMです。
最後に、本体のキャンバス生地について比較してみます。素材は「ワックスドヘビーウェイトコットンキャンバス生地」と言われる、ハリ・コシに優れる非常に堅牢な生地です。
こちらはキナリ生地のためアタリなどが目立ちにくくなっていますが、濃色は特に色味という点でも使い込むほどに見え方に個性が出てくると言われています。
触り心地は使い続けたものと比べてみると、かなり柔らかさが増している印象です。新品の生地は緊張した硬い表情ですが、使い続けたものはとてもリラックスしてソフトな表情に。それでもくたびれた様子がないのが、さすがタフなワックスドヘビーウェイトコットンキャンバス生地です。
何年先も使いたい理由その2
SEIL MARSCHALLのバッグには、一つ一つドイツの職人たちの手が触れています。部分的に手縫を残し、品質への強いこだわりも感じさせるものづくり。それもこれも、数十年先まで気兼ねなく愛用してもらいたいという思いからです。これだけの高品質を誇りながらも、PRはほどほどに、知る人ぞ知る良いバッグとしての立ち位置を定着させていることから、周知されることを目的としたモノづくりではなく、本当に良いモノを作りたいというこだわりも感じさせられます。
SEIL MARSCHALLのものを大切にする思いは選び取る素材にも表れており、例えば、使用するレザー。サドルレザーは牛の革ですが、できる限り捨てる部分の出ないよう、裏側に印字の残ったままのレザーを使用することもあります。
もちろん、文字が書かれていても書かれていないレザーと品質は全く一緒です。こういった細かなところに触れると、ドイツの職人の一つのものを大切にする姿勢がまざまざと見えてくるようですね。一つ一つが自信を持って作られていて、色合いや風合いに個性があるのがSEIL MARSCHALLの良さであり、一点ものの希少価値でもあると言えそうです。
何年先も使いたい理由その3
強いこだわりを持って作られるSEIL MARSCHALLのバッグですが、こちらのバッグで特徴的なのは、上のボタン。少し開け方が変わっていて、引っ張りながら開ける仕様です。
一般的なスナップボタンは口が簡単に開いてしまいますが、こちらのボタンは勝手には開かないけれど、ワンタッチで開く優れものです。コツを掴めばとっても簡単ですよ。
開口部には紐が通っているので、巾着のように絞ることもできるのもこちらのバッグの素敵なところ。絞ると丸みのあるシルエットになり、無骨な素材感とは相反して愛らしい印象になるのです。
紐部分のストッパーには、鹿や水牛のリアルホーンをカットしたものを使っています。天然素材であるだけに、サイズや色味も同じものが二つとない自分だけのものに。
ベジタブルフルタンニン鞣しの厚みあるサドルレザーなど風合い豊かな素材を使うことで、使うほどにどんな風に変化していくのかと想像するのも楽しみになるバッグ。今回ご紹介した経年変化は一例で、どれだけ身につけたかなどによっても雰囲気は変わっていきます。
ぜひSEIL MARSCHALLの自分だけのバッグを育てて、自慢のバッグにしてみてくださいね。
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