食卓にそっと置くだけで、空間がやさしい空気に包まれる。そんな不思議な魅力を持つ「Blanc Pa(ブランパ)」の器。自然が描き出した杉の独特なグラデーションやコントラストは一つとして同じものがなく、見るたびに新しい発見があります。
スタッフは使い心地の良さを日々実感し、大館工芸社さんに制作秘話まで取材しました。今回は愛用レビューも交えてその魅力をたっぷりとお届けします。
伝統的な曲げわっぱを作り続けてきた大館工芸社が手がけるBlanc Paシリーズには、ある秘密が。それは、長らく工芸品には不向きとされてきた杉の「白太(シラタ)」をあえて活かしているということ。扱いの難しいこの素材に職人たちが真摯に向き合い、新たな可能性を形にしました。
伝統工芸の技術と持続可能なものづくりへの想いが重なり合い、白太に新しい価値を生み出すまでにはどのような試行錯誤があったのか。素材との向き合い方から、未来への展望までお話を伺いました。
最初にお伺いしたのは、素材について。
Blanc Paシリーズには白太を活用していますが、昔から白太部分というのは低級材とされてきました。
▲真ん中の赤っぽい部分が赤身、その外側の白っぽい部分が白太
その理由は、山林から切り出された後の保管状態が悪く、虫食いや黒ずみが多く見られて使いづらかったから。しかし、近年では林業の管理が改善され、保管状態の良い美しい白太が増えていますし、材の仕入れが難しくなる中で廃材の削減を目指し、白太の活用に取り組みました。
白太を使用することで、器に洋風の印象を与えることができます。また、白太と赤身の配分による独特なコントラストが、一つ一つの製品に唯一無二の個性をもたらしています。この特徴がBlanc Paシリーズの大きな魅力ですね。
素材としての機能性は赤身のみを使用する場合と全く変わりませんので、安心してお使いいただけます。
白太と赤身の割合に特に注意を払っています。例えば、曲げ輪の部分では全体の3割を目安に白太を配分するようにしています。
また、材の中には色合いが均一でない白太もあるため、製造工程では職人が丁寧に材を選別し、赤身材と同様に目利きを行っています。
続いて、Blanc Paシリーズのコンセプトについて。
「Blanc Pa」は2023年2月に誕生したブランドで、そのコンセプトは、ひとつひとつがオンリーワンの個性を持った「曲げわっぱ」というもの。
ブランド名のBlanc Paは、白太という白い部分を使っているので、フランス語の白であるblancと曲げわっぱを合わせた造語です。
▽こんな思いも教えていただきました。
秋田杉は、育った環境が生み出す自然の個性と美しさが特徴です。この素材の魅力をポジティブに捉え、それぞれが異なる個性を持つ製品として表現したいと考えています。また、天然秋田杉の供給が停止して以来、樹齢100年以上の木材を使用しています。この貴重な素材を無駄にしないためにも、従来は廃材となっていた白太や色の悪い部分を積極的に活用していますが、場合によっては半分近くを廃棄せざるを得ないこともあります。
私たちは、伝統工芸を持続可能な産業として次世代に継承するために、大量生産・大量消費から脱却し、良いものを長く使うライフスタイルを提案しています。また、一つの製品を5年から10年以上お使いいただけるよう、修理サービスにも力を入れています。
最後に、今後の展望をお伺いしました。
従来の曲げわっぱにとらわれずに「ものつくり」をしていきたい。後世に秘術を伝え残すためにも、培ってきた技術を取り入れた商品の開発に努めていきます。
〜取材を終えて〜
今回の取材で特に印象に残ったのは、大館工芸社さんが素材や伝統に向き合う姿勢です。白太というこれまで見過ごされがちだった部分を、「こんなにも素敵なんだ」と気づかせてくれるその目線がとても新鮮でした。
また、「Blanc Pa」という新しいブランドには、伝統の良さを未来につなげるための挑戦が詰まっています。新しいけれどどこか懐かしい、そんな温かさも感じられて、手に取るだけで豊かな気持ちになれそうです。また、大館工芸社さんの取り組みを知って、「長く愛せるものを選ぶ」ことの大切さを改めて考えさせられました。使い込むほどに味わいが増していく魅力を、これからも発見していきたいと思います。
毎日の暮らしの中で、自然と手が伸びるお気に入りの器ってありませんか?私は、使い始めて半年になるBlanc PaのBowlがそんな存在です。秋田杉の優しい香りと、機能性、そしてどんな料理も馴染むシンプルなデザイン。その魅力に気づいてからは、毎日のように使い続けています。
こちらは、ある日の朝食。
杉の香りがほんのりと感じられるのがお気に入りポイント。なんだか、お米も喜んでいそうです。
わっぱ弁当と同様に秋田杉がまるで呼吸するかの様にご飯の水分を吸ってくれるので、少し時間が経ってもふっくらとおいしい状態を保ってくれました!
こちらは、ある日のランチ。
サラダだけで軽く済ませたい日は、サラダボウルとして使いました。
お米と同様に余分な水分を吸ってくれるので、シャキシャキっとした野菜の食感が最後まで続きました。
この日は、あったかポトフ。
スープ皿としても使えることに驚きました。木製の優しい口当たりは、癖になります。
熱くなりにくいのも特徴で、手で持ってごくごくとスープを飲むことができました。軽さのおかげで持ちやすいのも嬉しいです。
この日は、ミートパスタ。
食品衛生法に適合するウレタン塗装が施されているので、油物も気にせず盛り付けられます。
ごちそうさまの後はお手入れです。
染み込みがないかな・・と少し不安だった私。
台所用洗剤と柔らかいスポンジで洗っていきます。
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汚れがするっと綺麗に落ちました!
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汚れを落としたら、水気をしっかり拭き取り、十分に乾かすだけ。柔らかい布巾で水分を拭き取ります。
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お手入れも楽ちんな、Blanc Paの器です。
※匂いの強い食べ物は、匂い移りがする場合があります。その際は軽く水につけてから台所用洗剤で洗ってください。
Q.使い始めに気をつける点は?
匂いや汚れの浸透を防ぐため、使い始めはぬるめのお湯に2、3回湯通ししてから、しっかり拭き取り、風通しのよいところで乾かしてください。
Q.使用上の注意点は?
・取り扱いは従来の曲げわっぱと変わりません。洗剤で洗い乾かす、特に乾燥を強くお願いしています。
・食洗機、乾燥機、直火、電子レンジ、オーブンの使用はお避けください。
・水やお湯に長時間浸けたままにすることはお避けください。
・変色や変形の原因となりますので、直射日光や火のそばに放置しないでください。
・金属カトラリーや尖ったモノなどで表面を突くと仕上げ塗膜に傷がつき、黒ずみの原因となります。
Q.修理はできますか?
有償にて、汚れ、シミ、塗装の剥がれなど含めた修理を受け付けています。木地調整(研磨)と再塗装も可能です。
汚れや傷みが気になった際は、お気軽にZUTTOカスタマーサポートまでご相談ください。
※ただし、修理が不可能な場合もあります。
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製造終了からおよそ50年、半世紀の時を超えて再び登場です。
こちらは、木製人形「お杉わらべ」。出会った瞬間、思わず「かわいい!」と声が出ました。
大館工芸社と言うと曲げわっぱで有名ですが、創業当初は主に木製の花器や土産品を製造されていたそうで、昭和37年頃から作られていたのがこちらのお杉わらべです。
雪国秋田の冬を象徴する藁の雪帽子をかぶった子どもの姿を模した木製人形は、なんとも言えない可愛らしさ。つぶらな瞳に、少し離れた眉とおちょぼ口。そのどこかトボけているかのような表情が愛らしく、暮らしの中にほっと和む時間を与えてくれます。
大きさはS、M、Lの3セットご用意しています。部屋の雰囲気や置く場所に合わせて、お好みのサイズをお選びくださいね。
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