ともに過ごした年月を物語る、美しい光沢。まるで時を経るごとに刻まれる年輪のように小さな傷さえも愛おしく育っていくのが、レザークラフトの魅力です。今回ご紹介するのは、雄大な自然溢れるスコットランドから届いたGLENROYAL(グレンロイヤル)のブライドルレザーアイテム。数ある革の中でも、特に堅牢で使い方によってエイジングの様相が異なるというブライドルレザー。職人の手仕事によって、製品として一度完成され持ち主の愛着によって、唯一無二の愛用品へと完成されていく。そんな物語を紐解いてみましょう。
GLENROYAL(グレンロイヤル)は、スコットランドの中西部エア・シャーに拠点を置く、レザーグッズのブランドです。GLENはゲール語で「谷・渓谷」を表し、ROYALは「王室」。豊かな自然に溢れたスコットランドという場所で、由緒正しいものづくりを続けている風景が目に浮かぶようなネーミングです。ブランド設立は、1979年。当初より高グレードのブライドルレザーを使用したバッグ、財布、小物などを開発。伝統的な素材、技術を継承しつつ、時代の要求する機能性を加えた製品は、スコットランドの職人によりハンドメイドで作られています。
豊かな自然に恵まれた、エア・シャーという地には、現代も人と馬が寄り添い生きていくという文化が息づいているのだそう。そんなGLENROYAL(グレンロイヤル)の最大の特徴はブライドルレザーへのこだわり。ブライドルレザーとは、牛革をワックスや蜜蝋、牛脂で仕上げ、ベジタブルタンの製法で作られた革の総称で、もともと馬具にも使われていただけに屈強で耐久性が高いだけでなく、自然な光沢が美しいのも特徴です。
その歴史は1000年を超えるほどに古く、もとをただせば馬具用。手綱やくつわの不具合から落馬することがないよう、革素材随一と謳われるほどに磨き抜かれた強靭さが魅力。またその一方で、格別なしなやかさと堅牢性を持ち、末永く美しい佇まいを保つことも出来るという特徴から、馬具の領域を超えて現代ではビジネスマンのバッグや革小物へと変化を遂げてきたのです。丁寧に塗りこまれたワックスが白く浮かび上がる「ブルーム」もこの素材ならではの特徴で、持ち主の使い方やお手入れの具合によってエイジングの様相も異なってきます。その点で、経年変化を楽しみたいレザー好きの方にこそ、うってつけの素材なのです。
今もなお、英国貴族の間では乗馬文化と密接な関係性を保っているというブライドルレザーですが、仕上げまでに数ヶ月という非常に長い時間を要することから、英国本国においても本物のブライドルレザーを手掛けられるタンナーは数社のみ。
GLENROYAL(グレンロイヤル)では、レザーは5種類の厚みを用意し、職人の手によってさらに製品特性に応じた厚みに調整されています。手間のかかる工程ではありますが、こうしてアイテムごとに革を調整することで、より長く丈夫に、そして美しく品質を保つプロダクトへが完成するのです。
そして縫製においても、並々ならぬこだわりが。GLENROYAL(グレンロイヤル)の製品づくりを担うのは、「ロイヤルワラント」の称号を授かるブランドのOEM生産を長年にわたって手掛けてきた、 熟練工たち。長期使用に耐え、美しく経年変化していく希少な革と、職人の至極丁寧な手仕事。その二つが両立することで初めてGLENROYAL(グレンロイヤル)のプロダクトが完成します。
レザーなもちろん、スイスの高級ファスナー「riri社」のジッパーを採用するなど、ディテールへのこだわりも余念がありません。スムーズな開閉はもとより、見た目にも高級感が漂う仕様。riri社は1936年に生まれたスイスのメーカーで、レザージャケットやコートの名だたるブランドにも採用された実績があります。特に1日に幾度も開閉する機会のあるお財布だからこそ、より長く快適にお使い頂けるようにというブランドの気遣いが感じられるようです。
使うほどに光沢を増し、まるで透明感さえも感じさせるようなエイジングを楽しめるのが、ブライドルレザーの良いところ。グレンロイヤルのブライドルレザーは、英国古来の伝統を重んじた化学染料や顔料を含まない染料染めを採用しています。そのため、使い込むほどに風格を増し、美しい経年変化を楽しむことが出来るのです。ブラックは、上手にお手入れしていくとガラスや鏡を思わせるような光沢感が増し、よりシックな味わいに。一方ブラウンのお色味は、少しあたりが出て手の脂によって黒ずむことがあります。こまめに拭き取って艶やかな表面の味わいを保つのも良いですし、手垢や黒ずみも一つの味わいとして、育てていくのもおすすめです。
革表面の白い粉は、天然の脂肪分が浮き出たもの。製造の段階で蜜蝋や牛脂を染み込ませているのでその油分が馴染んでいくことでブライドルレザーならではの光沢が生まれます。お財布は、頻繁に手に取り開閉する機会が多いため、革が柔らかくなる過程を楽しみやすい製品でもあります。長く使う過程で適度に油分を補い、革に潤いを与えることで革のしなやかに保つことが出来ます。
▼基本的のお手入れ方法
1.財布の中身を全て取り出し、お手入れクロスで汚れを拭き取ります。
2.クリームやワックスで油分を補います。
3.毛の柔らかいブラシやクロスで磨き上げます。
4.クリーム、ワックスが乾くのを待ち、中身をもとに戻します。
▼汚れが目立つ時のお手入れ
1.お湯で軽く湿らせた布を用意します。
(革の色によっては、水分によってシミになる場合があるので
出来るだけ硬く絞り、目立たない場所で試し拭きをしてください。)
2.布で汚れの付着部を軽く拭ったあと、暖かい室内で乾燥させます。
3.乾燥後、ワックスやクリームで保湿のケアを行います。
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