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MAITO、自然素材へのこだわり - 小室真以人さんインタビュー

 

MADE IN JAPANの天然草木染めブランド、MAITO(マイト)の魅力をお伝えする特集。
今回伺ったのは、東京都の東エリア、最近は新しいものづくりブランドが集結する蔵前にある、
MAITO(マイト)のアトリエショップ。中に入るとそこは様々な色に染められた洋服やマフラー、
靴下などと共に「染め」の素材である枝や木の実、葉っぱなども所狭しと並ぶ、ナチュラルな雰囲気の空間。
奥には染めものワークショップを開催したり試作をするための大きな釜やテーブルがある作業スペースも。
この穏やかな場所で、MAITOについて伺ってきました。


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MAITO (マイト)

糸作りをベースとしながら、天然素材とメイドインジャパンをコンセプトにモノづくりをしています。
素材は至ってシンプルでナチュラルなものばかり。天然素材は、毛玉も出来るし、時によれたりもします。
草木染めの色は、擦れたり、褪せたりもします。でも、日々の生活を共にし、着込んでいくうちに身体に
なじむ風合いと色合いが出て次第に愛情が湧いてきます。
愛用するヒトと共に年を重ね、暮らしの心を育てていける様な、人に寄り添うアイテムを目指しています。
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ー染色の道に進んだ経緯を教えて下さい。

高校の頃、今後の進路を考えた時に、ものづくりの世界に入りたいと思い、
芸大の工芸科に入りました。
そこで、自分の目指したいものの素材は、土なのか、漆なのか、ガラス、
金属なのかと探りましたが、 やはり、子どもの頃から見てきた染色の世界を
深めて行きたいと改めて思いました。

そこで、実家の父の元で修行しました。 修行する中で、これからは染色だけでは駄目で、
商品にすることが、草木染めの良さを伝えられる、という考えに行き着いたのです。

 

ー商品にする、ですか。

はい、着物を着ていた時代は、布に柄や色を染めるだけで、衣類になったのですが、
洋服のためには布を立体にする必要があると。そう思って、大学と並行しながら、
文化服装学院へと通いました。
しかし、染色だけでも大変なのに、パターンを憶えて縫う作業まで自分でやるのは、
大変で、そこは断念。染色した糸を車に積んで、自分の目指すものに向かって
産地の職人さんを回りました。 そうして出会った職人さんと、今ある製品が生まれてきたんです。

 

 

ー電話やメールなど便利にコンタクトを取り合える時代に、車に糸を積んで、
産地の職人さんを直接回ろうと思ったのはなぜですか?

自分の目で現場を見ないとわからないと思っています。
それと、工場や職人と直接知り合うことで、
ものづくりが良く回るようになるので、
大事にしているのです。

それは技術に関しても同じで、MAITOの糸を使って
最初にホールガーメントニットを作ろうとした際、
ホールガーメントの機械の調整が難しく、日本には
まともに使える人が10人程度しかいないという機械
なのですが、僕もうまく使うことが出来ず、
和歌山の工場で機械の隣に簡易ベッドを置いて
工場で寝泊まりして毎晩機械の調子を見て習得しました。

 

 

ー自然素材の色ということは、その年々で色の出方が変わりますか?

その年でも違いますし、地域や樹齢、
採取する部分(枝、根、つぼみ)でも違います。
なので毎年同じ色味を作ろうと思ってもそうはいかず、
難しい点でもあり面白い点でもありますね。

現在の化学染料は一定で明るく様々な色味が出せ、
何度洗濯しても定着し続ける強みがあります。
安価で制作がしやすい化学染料は制作者にとっては
良い素材かと思いますが、時として、使う人や
自然にとって重金属や化学物質による染料が決して
魅力的であるとは言えません。

 

 

ー草木染めの色は一期一会ですね。

その点が草木染めの良さと面白さだと思っています。
一点一点違うということは、草木染めには、
ストーリーがあるということです。
ただのピンクなのか桜のピンクなのか。
色に対してバックボーンがあるのは素敵なことだと思います。

昔の人は、色の捉え方が違ったんだと思います。
色に対しての憧れもあったのではないかと。
赤い紅をさしたいとか、色が身分を表したりしていましたし、
そういう色に対する捉え方は良いですよね。
自然のものが生み出す色は、何か力があるんだと思っています。

 

 

ー確かに、日本人は色に敏感な気がしますよね。

文化でもあり、四季があることが影響していますね。
春夏秋冬で山の色が変わるのは、なかなか無いし幸せなことですね。
太陽の光で色の見え方は違います。

着物文化であったこともあって、色を形作るより染める技術に
長けたんだと思います。
ヨーロッパはドレスだったので、形として楽しむから向こうは
デザインが進化しているんです。だから、日本は染めたり、
柄を出す事に技術が今も伝わっているんですね。

 

 

ーそうした草木染めの良さを活かしながら、
難点をカバーする技術を模索していらっしゃるのですよね。

原綿から染める「トップ染め」は正にその、難点カバーのための技術ですね。
色が弱い=変化する、ということは草木染めに慣れ親しんだ方であれば
それを楽しむことも出来るのですが、はじめて草木染めの製品に触れる方には
ハードルが高く、いつも解決策はないか考えていました。
何回も染め重ね、濃い色を染めた後に表面の色を落として色のトーンを上げる事
で草木染めの色は強くなるのですが、それだとどうしても高価なものになってしまう。
悩みに悩み抜いて考えついた結果が「トップから染めること」でした。

 

トップ染めをした原綿

 

ー綿から染めた場合、色味に特徴はあるのですか?

綿から染めたものを糸にすると、1本の中に様々な色が混じり合います。
それを編むと豊かで奥行きのある表情の製品になるんですよ。
従来の草木染めに較べ色味は定着し変化しにくくなるので、
機能性も合わせ持っています。

 

 

ー染め物に適した土地とはどんな土地ですか?

染め物はどこでも出来ますが、大事なのは水ですね。
東京は硬水でカルキが入っているので、適してはいないです。
桜の色を出すのも、東京で染めるより、福岡の秋月で
染めた方が断然綺麗です。秋月は水脈が3つあるんです。
カルシウムをたくさん含む弱アルカリと、マグネシウム
を含む硬水と超軟水と3種類あって、染め物に適して
います。山水はわき水をパイプで引っ張ってきて
いるのですが、毎月、地元の人たちで水源地清掃に
行って、補修したり、草を刈ったりしています。

 

 

 

ー大変な点はどんなことですか?

技術と技術を繋げることが大変ですね。
草木染めの技術と製品を作るための技術を合わせる
こと。それぞれのルールを知り、検証と実験を
するのですが、だいたい1年くらいかかります。
ホールガーメントも4〜5年かかりました。
それなので、常にいろんな実験と新しい試みは
同時進行で進めています。

(好きだからこそ挑戦し続けられるんですね)

そうですね、好きですね。
草木染めで実現するためのベストな方法を
職人さんに相談して、難しいものは、勉強します。
常に研究の繰り返しですね。

今はちょっとずつやりたかったことが出来ている
ところで、次は新たに刺繍をしたいと思って、
糸づくりや刺繍機の調整をしたりしています。

 

蔵前の店舗の奥には「染める」ためのスペースが。

 

ー妥協がないですね。

新しいものを作りたいと思っています。
誰もやっていないことをやることで、職人さんの技術も
上がり、世界が広がれば良いなと思っています。
また、それぞれの職人さん達の地域の若い世代に、
興味を持ってもらったりするきっかけにもなればと思っています。

後継者が増えるようにしないと、僕たちもお願いする
職人さんがいなくなってしまいます。
万が一はその技術も自分達で引き継ぐことも考えています。

 

 

ー日本のものづくりの後継者不足は私たちも良く聞きますね。

土地もあると思うんですよね。
東京に出てくるといろんなモノに触れられ学べるように、
地方の技術も東京で学べるといいですね 。

(何もその地方に住む人だけが、受け継ぐ必要もないですもんね。)

興味のある人は多いのに、場所を限定していることが、
たくさんの人がそれを知ったり、学ぶ機会を持てない
所は確かにありますね。

今の時代はわざわざそこに行かなくても、
美味しいものを食べることが出来たり、
モノを買えたりしますから。そう思うと、
どこでも学べる環境があれば、興味ある人にとっては
それはありがたいことですね。

 

 

ーMAITOの製品はどんな人に使ってもらいたいですか?

草木染めを知らない方を含めて、たくさんの人に
本物に触れてもらいたいですね。
自然素材のものは不便だったり、手間がかかったり
することもありますが、だからこそものを大事に
しますし、その素材を知る機会になると思うんです。
そういうことが、暮らしの心を育てる気がします。

 

 

ー今後の夢を教えて下さい。

夢はたくさんありますね。
一つは海外で染めたいですね。
その土地土地で水が違い、採れる素材が違うので、
いろんなところで染めてみたいです。
現地で素材調達して、現地の水で染めると色の出方も
違いますし、そしてその土地の空の下で見る色の印象も違うと思います。

もう一つは、日本人として、日本にこの技術を残す
ためにファクトリーを作りたいです。
だから自分たちは、この蔵前辺りにファクトリーを
持ちたいですね。たくさんの人に見てもらい、
やりたいと思う人に出会い、未来に繋げたいと考えています。

 

 


<インタビューを終えて>
初めてMAITO(マイト)のお店に伺った時に、様々な
色に染められた服が並ぶ空間が非常に穏やかだった
ことを思い出しました。
多くの色が並ぶのに、目に優しく、草木染めが化学
染料と異なることを感じました。
今回のインタビューは、小室さんが、自然素材を
熟知し研究してきたからこそ、この製品が生まれた
のだということを改めて知ることが出来た良い機会でした。
また、MAITOの製品を作るだけでなく、産地の
職人さんや地域、 自然のことを考え、小室さんが
未来に向かっているという想いが、草木染めの優しい
風合いから出ているような、そんな気がしました。

 

 

 

 

ニットJQ マフラー

ニットJQ マフラーは、刺繍のようなモチーフを美しくかたどる、
ジャガード織りで作られています。まるでタオルのように柔らかい
綿素材の手触りで、モチーフの部分とベースの部分で
少々凹凸を感じられる風合いもまた素敵。
木の実のような雫のような円と直線で出来たモチーフは、
ベースの色に自然と溶け込み、それでいて程良いアクセントとなってくれます。 

表裏でベースの色とモチーフの色が逆になっていて、
どちらの面を見せても素敵なリバーシブルタイプ。
首にぐるぐる二回巻くとちょうど良い長さです。

 

 

 

草木染平編みレギンス
草木染平編みレギンス
平編みなので履いてももたつくことなく、すっきりとしたラインになっています。
編み地のデザインがナチュラルなので、コーディネートがしやすいのもポイント。 
スカートやワンピースに合わせるコーディネートはおしゃれを楽しむだけでなく、冷え対策としても役立ちます。

 


草木染レッグウォーマー
草木染レッグウォーマー
少し肌寒い日、足を冷やさないために、さっと履けるレッグウォーマーは重宝しますよね。
レッグウォーマーは縦に入った編み地がポイントです。 
素足では寒い時や冷え対策にタイツの上に、室内では踵まで覆って履いたり、
足だけでなくアームウォーマーとしても活躍してくれます。
クシュクシュのボリュームもお好みで調整しておしゃれをお楽しみ下さい。 

 


草木染 WT リブスローケット 紫香
草木染 WT リブスローケット 紫香
シンプルな薄手のスローケットは、スカーフやショールとして男女問わずお使い頂け、
カジュアルにもフォーマルにも合わせられる万能なアイテムで贈りものにもぴったりです。 
首にくるりと巻いて、風よけに使うもよし。大判なので、広げて膝の上に置いたり、
肩にかけて身体を温めることも出来ます。 

 

 

投稿者: 丸山 日時: 2015年10月16日 11:00 | permalink

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