人生のライフスタイルが変化する度に、みなさん関わる友人が変わっていく経験をしたことがあることと思います。例えば、幼馴染が旦那さんの転勤に付いて地元から離れてしまい、物理的に遠くなってなかなか会えなくなってしまった。学生時代一緒にゲラゲラ笑って一日中いた友人に子どもができ、子育てでなかなか時間が合わずに疎遠になってしまった。夢を追いかけて海外で仕事を成功させ移住し、ちょっと精神的にも遠くなってしまった新卒の時の同期であり、戦友。はたまた自分自身が仕事や子育てで忙しくしており、自由な時間をなかなか取れないでいるなど、長い人生の中で、ずっと大切にしたい友人と、物理的に会えなくなる時期は、なんとも心細く、寂しいものであります。
とはいえ今はSNSを通じて、簡単に連絡を取ることができます。ネット上で気楽に緩いつながりを持てる一方で、やはりお歳暮などの年末年始のモノの贈り物を貰うと、その人のことを想い、やはり贈り物を通して感謝を伝えるのは良いことだなと思ったりもするもの。そこで、友人にモノをプレゼントし、そのモノを愛でて大切にする豊かな時間を贈りませんか?というのが今回のよみものです。
ここでいう、豊かな時間とはこの3つを指します。
・時間が経つと、モノが自分らしく変化する
・ひとつのもので複数の使い道がある
・お手入れの時間を楽しくする
この3つに共通することは、【モノと向き合う時間が多いこと】。大量生産、大量消費の時代に置いて、モノは向き合うものでなく、痒いところに手が届くような暮らしのツールでしかありませんでした。しかし、世の中は変容し、ひとつのものを丁寧に使っていく風潮をよしとし、皆が皆判を押したように同じものを持たず、自分らしいものを選んでいく傾向にあります。きっとこれは自然なことで、多様性を受け入れ、環境に配慮するという考え方の成熟なのです。ゴミを出さず、汚れたり使い道がなくなっても、また他の使い方があるならば、捨てずに使い続けられますし、子や孫に受け継いでいくことだってできます。
時間をかけること、つまり【モノの経年変化】は、丁寧に長く使える丈夫なものを持つという豊かさに加え、自分らしいレザーの色の変化や、使っていくうちに付いた傷、そのひとつひとつが顔に刻まれる皺のようにその人らしさを表しています。こういった美しい経年変化は、自分の分身のようになり、更にはそれを贈った人のことも、日々思い出すというものです。
FUTAGAMIの真鍮アイテム
鋳肌キーホルダー
【真鍮】・・・真鍮は腐食しにくく加工しやすいという特性があり、太古から建築・造船・家具など様々な分野で使用されてきました。素材の持つ風合いが柔らかく、光沢も優雅。一番身近なものだと「5円玉」が真鍮。真鍮は腐食しづらい一方で、使えば使うほど表面が酸化し、独特の味わいが出て、人や環境に馴染んでいく素材です。
おすすめの鋳肌キーホルダーは、無垢の真鍮でできたバーに、プレートが付いたキーホルダー。プレートとバーはネジで固定されており、外してバー部分に鍵を取り付けられます。よくあるキーホルダーにある二重リングの場合、鍵の取り付け・取り外しの際に指や爪を痛めてしまうことも多いですが、ネジ式の場合、そうした心配が少ないのも嬉しいです。プレートは飾りだけでなく、仕分けにも便利。例えば家の鍵と、会社の鍵の間にプレートを挟むことでどれがどの鍵?と確認する手間が省けます。(一般的なサイズの鍵で約5〜6本ほど取り付けられます。)
経年変化が感じられる、無垢の真鍮。素材に表面処理を施すことなく、あえてそのままの状態で軽く磨いただけの仕上げです。こういった仕上げにすると後から手直しがきかないぶん、素材のクオリティがダイレクトに感じられるもの。使い始めはぴかぴかとしていますが、酸化により少しずつ色が深みを増し、緑がかったような枯れた風合いに馴染んでいきます。キーホルダーは日々使うものなので、より真鍮ならではの変化を強く感じられます。
もっと真鍮を知るなら→【よみもの】はじめての真鍮、どう使う?
ZUTTOオリジナルのコインケース
コインケース
【レザー】・・・レザーのエイジングは最も馴染み深いのではないでしょうか。革のランドセル、革のバッグ、革の財布など、使っていくとどんどん自分らしくなっていくレザー。レザーの種類や鞣しによっても、その経年変化のスピードや状態は変わります。
このコインケースは、イタリア・トスカーナの老舗タンナーであるTEMPESTI(テンペスティ)社を代表するレザーで、植物タンニンなめしの特徴が最大限に表現されているELBAMATTという革です。革の中でも最も革質が良いと言われるベンズという部位の中でも厚みのある中央部分を使っています。この革は特に他の革に比べても経年変化を感じやすいです。変化の様子をみていくと、大切に愛情を持って使いたくなるのです。
こちらはスタッフが2年愛用したものと、新品を比較したもの。まるで別物のようですね。
ZUTTOのコインケースについてもっと知りたい方はこちら→【よみもの】スタッフ愛用品のエイジング調査 ーZUTTOオリジナルコインケース編
fog linen workのリネン
リネンオーバーエプロン
【リネン】・・・リネンは、フラックスという植物の繊維から作られる天然繊維。天然素材の中で、最も汚れが落ちやすく、お洗濯に強いのです。吸水性、速乾性に優れていて、使い込めば使い込むほど革のように馴染みます。使った回数だけ自分のものになっていく。クタっと感が味になり、魅力へと変わります。愛着がわく素材なのです。
リネンオーバーエプロンは、Aラインワンピースのようなエプロンで、裾に向かって広がった綺麗なシルエットが特徴。洋服のように被って着るので、肩こりを感じやすい方にもおすすめの一着です。背の高さや年齢に関わらず、バランス良く着られます。洗濯していくと、くたっとしていき、リネン特有のシワもなんだかこなれた印象になります。素敵なエプロンを新調するだけで、気分も一新するというもの。普段家で家事をしている友人に、プレゼントしてみては。
気の利いた贈り物には、余白が大切だと、常々感じます。身近な人からのプレゼントならばあまり考えなくても良いですが、中々会えない友人に、普段どんなものを使っているか聞かずに「こうやって使って欲しいから、これをあげる!」といってプレゼントするより、「とても使い勝手が良いから、好きなように使ってね」というものを貰える方が、貰った方としては気遣ってもらえている、と嬉しくなったりするものです。それに、使い道が一つしかないものは、飽きたりその方法で使わなくなった時に、ゴミになってしまいます。汚れたり、使い道がなくなっても、別の使い道が想像できるものであるならば、捨てずに使い続けられ、人に譲ったりもできる。そんな複数の使い道があるギフトは、あまり頻繁に会えない人への贈り物にぴったりなのです。
ALDINのトルション
りんごトルション(キッチンクロス)
ギンガムトルション(キッチンクロス)
トルション、というと馴染みがない方もいらっしゃるかもしれませんが、基本は「お皿拭き」布です。キッチンクロスとして、洗いあがった食器の一時置き場にしたり、水滴のついた食器を拭くのに便利です。その他、トルションは、【キッチンペーパー代わり】【インテリア代わり】【ものの目隠し】にも使えます。
例えば、パンを切り分ける時に、パンくずが飛んでしまうことがありますよね。そんな時に、キッチンペーパーを使うのではなく、トルションを下に敷いておいて、出たパンくずはまとめてゴミ箱に入れ、トルションはさっさっと払ってしまえば、ゴミも出ません。さらに、お気に入りのデザインを壁にかけておくのは、キッチンインテリアのアクセントになります。ギンガムチェックのトルションが並んでいる姿は本当に惚れ惚れする可愛さ。キッチンクロスは毎日目にするものだから、見てカワイイ!と気分が上がるもので、リネンコットンで洗いやすく、なおかつ丈夫であると贈りやすいですよね。その他、家電やキッチン周りの目隠しにもできますよ。
Brent Rourke(ブレント ルーク)のシェーカーボックス
SWING HANDLE BOX
シンプルで無駄な装飾がそぎ落とされているのに、ハンドメイドの温かみも感じられる木製ボックス。それがシェーカーボックスです。
シェーカーボックスとは、18世紀から19世紀を中心にアメリカで活動していたシェーカー教徒によって創られていた木工品の一つで、現在でも家具など日用品のデザインに、多くの影響を与え続けています。無駄なものを排除した引き算のデザインで「機能美」という言葉が似合う洗練された収納ボックスは、ブレントルーク定番のOVAL SHAKER BOXに持ち手がついた形で、持ち運びに便利なアイテム。
SWING HANDLE BOXは2種類のサイズです。サイズに合わせて、シューケアボックスにしたり、工具入れにしたり、小物入れや化粧箱にもなります。自室以外でお化粧をする方は、化粧道具をひとまとめにしてしまい込んでいる方もいらっしゃるのでは?衛生面でも、見た目にも、こんな素敵なボックスに収まっていたら、嬉しくなってしまいますね。インテリアとして棚の整理用にもいいですし、中にドライフラワーなどのグリーンを入れて飾っても素敵です。チェリー材は年月とともに深みのある色に育ちます。そんな様子を楽しみながら、長く大切に使っていただけえるシェーカーボックスです。
手のかかる子ほど可愛いと言いますが、それはモノにも言える、かもしれません。ここではお手入れをする豊かな時間を贈る提案。靴やコートのお手入れ道具って、多くの人が持っているものではあると思いますが、実は若い時に買ってアップデートしていなかったり、しばらく使っていなかったなんてこともあると思います。お手入れの時間って、すごく贅沢に感じませんか?忙しい日々の中で、黙々と靴を磨いたり、毛並みを整えたり・・・と、していくうちに頭が空っぽになり、新しい発見があったり、アイディアが浮かんだり、前向きな気持ちになれたり、それは人それぞれではありますが、お手入れしたくなる、そんなアイテムを贈るのも良いでしょう。
中村銅器製作所の銅の玉子焼き鍋
東京下町の職人が作る銅製玉子焼き鍋は、プロがこぞって愛用する逸品。熱を均一に伝える銅は、卵焼きをふっくらと美味しく仕上げます。卵のように火が通りやすく、気をつけていないと焦げ付いてしまうような熱に敏感な食材は、銅のように熱が素早く均一に広がる素材の鍋と相性が良いと言われています。中村銅器製作所の玉子焼鍋はコンロに載せるとちょうど良いサイズ感で、熱が一気に回ります。さらにハンドルを卵を返しやすい角度にし、銅の接合部分を極力少なくすることで、玉子焼きをいかに美味しく焼き上げるかという点をこだわり抜いた作りになっています。「卵焼きが美味しく焼けたよ!」なんて、相手からメッセージが来たら嬉しくなってしまいますね。
銅鍋で気をつけたいのは、お手入れと収納方法。使用後はすぐに柔らかいスポンジで洗い、洗剤は使いません。洗い終わったら火にかけて水分を飛ばし、その後、キッチンペーパーに油を含ませて擦り込むことで錆予防になります。収納は出来るだけ湿気の少ない場所にしまうのがよく、新聞紙などに包んでおくのも良いです。
銅のお鍋は、すごくお料理が美味しく作れるんですが、お手入れにワンステップ必要。でもその時間も、なんだかノンストップの家事を一旦リセットしてくれるような気持ちになります。
鍋底もこんな感じで色合いが変化していきます。
REDECKERの靴磨きセット
靴が好きな人なら、シューケアグッズを贈るのも手。靴磨きセットを持っている方は多いですが、素材や形に合わせたブラシセットは、なかなか持っている人がいないかもしれません。靴磨き 8点セットは、汚れ落し磨き用ブラシ(馬毛)2点、細部用汚れ落し磨き用ブラシ(馬毛)2点、スエード用ブラシ(真鍮/豚毛)、汚れ落し用ブラシ(豚毛)、靴べら、コットンクロスの計8点セットで、ブリキの箱に入っています。旦那さんと一緒に手入れする時に使ってね、とプレゼントするのも良いですね。
あげた時の一瞬の喜びだけでなく、使っていくうちにモノと向き合える。そんなものを選ぶことで、プレゼントした後も、贈った側、受け取った側で豊かな気持ちになれます。なかなか会えないけれど、次に会った時に「あの時にもらったこれ、まだ使っているよ。こんなにクタクタになったけど、まだまだ現役。使うたびにあなたのことを思い出すよ。良いものをプレゼントしてくれて、ありがとう!」なんて言ってもらえたら、きっとネットのゆるい繋がりでは得られなかった、古い友人との強固な繋がりが築けるかもしれませんね。
▽クリスマスの贈り物を探すには