誕生日や転職、バレンタイン、父の日など、男性へ贈り物をする機会があると、必ずや候補に入るネクタイですが、やはりそこは女性が分からない世界。どういう柄、カラーが使いやすいのか、無難すぎても面白くないし、と考え出すと選べなくなってきます。そう、ネクタイとは女性からするとどうにも贈りにくいアイテムなのです。
ですが、多くのビジネスマンがネクタイを締めて働いている以上、喜んでくれるものを選べれば、日々使ってくれるモノであることも確かです。やはりプレゼントする以上、使って欲しいですものね。
ZUTTOでご紹介している日本のネクタイブランド、HADACHU ORIMONO(羽田忠織物)をピックアップしつつ、メーカーの方にネクタイを選ぶポイントを解説してもらいました。
早速質問なのですが、男性は、自分のネクタイはどういう基準で選ぶものですか?
「やはり無難さを優先させる人が多いと思います。HADACHU ORIMONOでも一番人気は無地で、色はネイビーですので、白シャツやネイビージャケットと合わせやすい色柄が好まれる傾向です。」
定番・皆さん1本は持っているであろう、使いやすい無地のネイビーネクタイ
では、女性からの贈り物の場合もその傾向を踏まえた方が良いでしょうか?
「いえ、いつも同じような色柄のネクタイを買ってしまう、と言う男性が多いので、贈り物とするならば自分では選ばないような、色や柄が入っているネクタイを選ぶのも良いと思いますよ。その中でも相手の好みのものに近づけるためには、
・どのようなネクタイを持っているか
・どのような色や柄のシャツを持っているか
・どのような色のジャケットを持っているか
を知っていると選びやすいかと思います。」
例えば、無地ネイビーやグレーなどの定番色ネクタイが多いならば
・「無地」だけれど、色を少し明るめのブルーにしてみる
・「グレー」ベースだけれど、レッドとのストライプにしてみる
など、相手が安心するポイント・要素が入っているものを選ぶと使いやすさも上がります。
職場がかたい雰囲気で、柄や色のネクタイを締めるのが難しそう、と感じる場合は、やはり無難なものになりますか?
「そういう場合は、素材を少し変えてみるのが良いですね。ネクタイというと、ツルツルとしていて光沢があるものを想像しますが、HADACHU ORIMONOは糸から作る織り屋としてバリエーションが豊富で、糸のネップを生かした凹凸感のあるものなど、一般的に知られているシルクとはひと味違った一本もあります。」
シルクのネクタイなのに、ポコポコとネップ(糸のかたまり)が。これも、HADACHU ORIMONOならではの糸遊びです。
こちらもシルク100%ですが、長繊維のシルクをわざと短くし様々な色の繊維と混紡して、凹凸のある生地に仕上げ、今までのシルクには無いざっくりとした風合いを生み出しています。
無地のネイビー・グレーでも、いつもの一本とは異なる雰囲気を出すことが出来て、新鮮に感じてもらえるかもしれませんね。
ビジネス用と休日用のネクタイはどう区別しているものなのですか?
「やはり色遣いや柄の選び方、サイズ感も変わってきます。休日にもジャケットを着るお洒落な男性には、少しポップで遊び心あるネクタイも良いですね。
チェック柄はマス目が大きければカジュアル度が上がり、小さければビジネスでも使えますので、柄の大きさでも判断してみてください。」
同じ、ホワイト・ブラック・レッドの組み合わせのチェック柄でも、マス目のサイズが違えば印象も大きく異なることが分かります。
ストライプやチェックのシャツが好きな方の場合、合わせやすい無地のネクタイばかり持っているようですが、そういう人には柄ネクタイは避けた方が良いですか?
「柄シャツに柄ネクタイを合わせるテクニックもあります。チェックシャツにはチェックネクタイというように同柄で合わせ、柄のサイズを変えてみるのが良いと思います。また、どこかの色を合わせると統一感も出て、違和感がなくなりますよ。」
水色の細ストライプシャツには、同じブルーベースの太いストライプネクタイを合わせて。
ギンガムチェックのシャツに、大きめのチェックネクタイを。ここまで遊ぶとカジュアル度が上がりますね。
ZUTTOでご紹介しているHADACHU ORIMONOのネクタイの人気モノを調べてみると、意外にも柄ものが多い様子。贈り物として購入される方が多いのですが、やはりギフトになると相手が選ぶものとは少し異なるテイストのものを、と思う方が多いようです。
取り入れやすいグレーベースに、グリーン、レッド、ブラックのラインが入った大きいチェック柄。目を引くグリーンですが、寒色暖色の両方が入っているからか意外にも合わせやすく、男女共に人気が高かった1本です。
無地のグレーなのに、濃淡のあるヘリンボーン柄で単調な印象を与えません。どこか落ち着いた雰囲気もあり、仕事を任せられる安心感にもつながりそうなので不思議。HADACHU ORIMONOのネクタイはやはり、こうした色合いの微妙な違いが出るところが魅力です。
太めのストライプは同系色の色合いだと抵抗なく付けられます。若々しいブルーとホワイトの中にネイビーが入ると引き締めてくれるので、普段は定番色のネクタイばかり、という方にもお使い頂きやすいですよ。
こうして人気ネクタイを見てみると、HADACHU ORIMONOのネクタイは一般的なツルツルと光沢のあるネクタイよりも、少しカジュアルで、ざっくりとした風合いを楽しめる1本が男女ともに選ばれていることが分かります。
富士山の麓、山梨県の富士吉田で1935年に創業したHADACHU ORIMONO(羽田忠織物)は繊細で高密度な絹織物を得意とする織り屋です。着物の裏地などに多く使われた甲斐絹(かいき)の一大織物産地として栄えた地域ですが、今ではその絹織物のノウハウを活かしネクタイの生産量日本一を誇ります。
HADACHU ORIMONOのネクタイの魅力は、画一的ではないところ。ネクタイを締めるシーンを想定すると、緊迫するビジネスの場や華やかなパーティーなど、上品で完璧な美しさが求められるような、そんな場面を思い浮かべるものですが、HADACHU ORIMONO(羽田忠織物)のネクタイは美しいながらもどこか力が抜けたような、自分らしさをも表現出来るような、そんな空気感があります。
それは、ブランドが大切にしている「クラシックカーやバイクが持つ人間味あるデザイン、古いイラストのデザインから感じられる味わい」が表現されているからだと感じます。
スピードと効率化を求めて織ると、布ならではのしなやかさが失われ、まるで紙のような質感になって全てが同じ表情になってしまうと言います。HADACHU ORIMONOでは織り機に職人が糸を1本1本通し、図案も人の手で描かれたものを使用。このアナログ的なやり方で、機械織りにない、柔らかい曲線を描くことが出来ます。ゆっくりと仕上げ、糸の間に空気を含ませ、風合いに優れた布に織り上げていることで、HADACHU ORIMONOらしいネクタイが生まれるのです。
ネクタイの贈り物は、女性からすると確かにしづらいもの。ですが、女性が選ぶからこそいつもと違うものを贈ることが出来る、という良さもあります。大事なのは相手の「安心要素」が盛り込まれている1本を選ぶことだと、HADACHU ORIMONOの方は仰っていました。
相手の好きな色は?持っているシャツの柄は?そんなことを思い返して、ネクタイを探してみましょう。