身を嗜む(たしなむ)と書いて、身だしなみ。
嗜みという言葉には「心がけ」という意味があることから
身だしなみは自分の身なりを整える心がけを指します。
身だしなみのための小物は他人に見せるものではないけれど、
目的にあった機能的なものであれば
身だしなみをチェックする時間も楽しくなるもの。
今回はそんな身だしなみに役立つものたちをご紹介します。
爪先が美しい人と洗練された印象を受けます。
爪先のケアに欠かせないのが爪切り、そしてやすり。
これらには古くから続く職人の技術が継承されています。
江戸時代以前は、はさみが高級品であったため、
人々は刀などの刃物を活用して爪を切っていたようです。
爪が切れるとはいえ、刀を使っていたとは今では少々驚きですね。
そして大正15年、関東大震災後の住宅復興の需要に合わせ、
新潟県三条市に創業した諏訪田製作所から
大工職人のために「喰切(くいきり)」と呼ばれる爪切りが生まれます。
喰切とは、釘や針金などの硬いものを切るための工具。
両側の刃がぴったりと合う喰切の形は爪切りとして適していたのでした。
諏訪田製作所は喰切の取っ手を握った指に沿う形にし、
いわゆるニッパー型の爪切りが誕生しました。
諏訪田製作所は現在でもSUWADA(スワダ)というブランドで
ニッパー型の爪切りを作り続けています。
いわゆる上下に刃を動かすタイプの爪切りは広く流通しているものの、
切った爪先が尖りやすく、また割れやすくなります。
それに比べ、SUWADAのニッパー型の爪切りは
爪をそぐように切り、切った断面もスムーズ。
しっかりと刃が両側に開くようシリンダーバネを採用し、
厚い爪も切ることが出来るようになっています。
こうして爪切りは歴史の移り変わりとともに、
工具から日常で欠かせない道具となっていったのでした。
■爪切りのお手入れ
SUWADA(スワダ)の爪切りは素材の都合上、
使ううちに切れにくくなったり、錆が起きる場合があります。
長くお使い頂くためにも、使用後は柔らかい布で拭いたり、
ときどき防錆用の油を塗ってください。
また、SUWADA(スワダ)製品の場合、
メーカーにて有料のメンテナンスサービスがあります。
刃の欠けや研ぎをご希望の場合は、下記よりお問い合わせくださいませ。
>>SUWADAメンテナンスサービスのご案内
さて、爪を切った後のやすりがけ。やすりもまた、工具から生まれた経緯があるのです。形を整える道具であったやすりはもともと、木材や金属に扱うものとして作られていました。細かい刃を鋳造して作る技術が必要であったため、手がけていたのは刀鍛冶職人だったのです。
wataoka(ワタオカ)は、今ではやすりの産地として知られる広島県呉市仁方で刀鍛冶職人であった初代の手により創業したやすりメーカー。江戸時代末期から、工具として使える様々なやすり、そして爪やすりやかかとやすりを作り続けています。
ひょうたん型が愛らしいやすり。
wataoka(ワタオカ)のやすりの特徴は、切れ味の良さ、そして小刃の薄さ。爪やすりの場合、三方向に目を立てた細やかな刃を動かすと、爪の細胞を壊すことなく削ることが出来るのです。かかとやすりの場合、刃を平らに作り、深さと形状の異なる刃を組み合わせることで目詰まりを起こさず気持ち良くやすりをかけられます。どちらも手のひらに収まるほどの小さなやすりですが、代々続く職人の技術が表れているのです。
■やすりのお手入れ
やすりは使用していくと目が詰まることがあります。目が詰まったら水洗いをし、よく水気を拭き取るようにしてください。wataoka(ワタオカ)のやすりはステンレス製ですので錆びにくいですが、ほかの金属に触れると錆が生じる場合がありますのでお気をつけください。
爪先と同じくらい、身だしなみの重要な部分といえば髪。
さらさらと流れるように美しいロングヘアやさっぱりとしたショートヘア。髪の毛が整えられているだけで、その人の気持ちの余裕さえ感じられるのですから、男女問わず美しくしていたい部分ですね。
髪を整える道具にはヘアブラシとコームが代表的です。
ヘアブラシは髪のひっかかりをなくし、さらに天然毛を使ったヘアブラシを使えば、髪の毛に艶を出してくれる効果も。
ヘアコームは歯が一列に並んでいるので、髪の毛の流れを整えたり、髪の毛を結うときやパーマをかけている方でも使いやすい利点があります。ヘアブラシとコーム。上手に使い分ければ、美しい髪が保てます。
1936年にドイツで創業したブラシメーカー、REDECKER(レデッカー)。REDECKER(レデッカー)のブラシは天然の木材と獣毛で作ることで静電気が起こりにくく、頭皮にも優しい作り。束になった毛が髪に付いたホコリを落とし、もつれを直してくれます。
ブラシには猪の毛を採用。猪毛は硬めでコシがあり、しっかりと髪の毛を捕らえてくれるのでロングヘアの方におすすめです。
スタンダードなオリーブウッドヘアブラシは毎日の身だしなみに使いたい形。オリーブウッドロールヘアブラシはブローしながら、髪にカールを付けるといったスタイリングに使いやすいタイプ。どちらもコンパクトで女性の小さな手でも扱いやすいサイズです。
同じく、有数のブラシメーカーとして知られているG.B.KENT(ジービーケント)。
ZUTTOでは、G.B.KENT(ジービーケント)の作るヘアコームを取り扱っています。G.B.KENT(ジービーケント)の作るヘアコームは綿花樹脂であるセルロース・アセテートシートを原料に採用。飴色の歯は先端を丸く作ることで、頭皮にも優しい仕様です。
メンズ ポケットコーム (革ケース & 爪やすり付)
G.B.KENT(ジービーケント)のコームは女性にはもちろん、男性も使いやすいのが嬉しいところ。畳んでポケットに仕舞えるメンズ 折畳式 ポケット コーム 20Tやシックな革ケースとやすりまで付いたメンズ ポケットコーム (革ケース & 爪やすり付)は、イギリス生まれの紳士的なアイテムであることを感じさせます。
■ヘアブラシとコームのお手入れ
ヘアブラシはケア用品である以上、絡み取ったホコリなどがブラシ自体に付きやすくなっています。気になったらすぐにホコリを落とすようにします。コームは布などで拭き掃除をしてください。ブラシのホコリ落としには、ヘアコーム等が最適。以下のヘアリムーバーは、ブラシの根もとからホコリを落とすのに便利です。
>>REDECKER(レデッカー) ヘアリムーバー
身だしなみの最終チェックに欠かせない存在といえば、鏡。
外出前にぱっと覗ける場所にあると便利です。
Oak Village(オークヴィレッジ)のツーウェイミラーは机に置いて、もしくは壁に掛けて使えます。原料の木目がそのままに表れており、使っていくうちに艶と色合いを増していく風合いが自然素材ならではの味わい。机に置けば、覗きやすい角度になってくれますし、壁に掛けた際は、タオル等を掛けられる簡易なハンガーが鏡に付いた仕様です。外出前の玄関までに一台あると、身だしなみチェックに活用出来ます。
さて、お出かけ後も、お化粧直し等の際にあると便利な手鏡。手のひらサイズの手鏡をバッグの中に忍ばせておくと安心です。
輪島キリモトの蒔地漆手鏡は裏側が天然漆なので、とても上品な仕上がり。漆の手鏡は日本の遺跡からも発掘されており、昔ながらの奥ゆかしい雰囲気があります。
専用ケースに入れても邪魔にならないサイズで外出時の身だしなみの確認に最適です。
■鏡のお手入れ
鏡には表面にホコリや汚れが付きやすくなっています。
定期的に柔らかい布で拭き掃除、もしくははたきを掛けて汚れを落とすようにしてください。木製や漆塗りの部分には水をかけないようご注意ください。また、木部は乾燥しやすいため、天然由来の油を刷り込んで頂くと長持ちします。
身だしなみのための小物たち、お楽しみ頂けましたでしょうか。
ご紹介したように何気なく毎日のケアに使うものにも機能性や美しさに溢れたものが多くあります。
目的に見合った道具を用いて外見も心も整えてみてはいかがでしょう。