どんな製品にも必ず、産地があります。
「職人の手仕事を感じさせる日本のものづくり」
「その国の歴史やデザイン性を感じさせる世界各地のものづくり」など、
国という視点でものづくりを見つめれば、日本と世界という2つの方向性がありますが、
いずれの場合も、その産地を見るとなんとなくその土地のものづくりの特性が分かるような気がします。
それはまるで、「もの」と一緒にいろいろな土地を旅しているようです。
今回特集するのは、フランス。
パリを始め、ファッションの中心地として老舗メゾンや新進気鋭のデザイナー達が
トレンドを意識しながら、長年受け継がれてきたものづくりの力を借りて
様々なファッションアイテムを生み出している場所です。
そんなフランスのものづくりを見ていきましょう。
フランスといえば、花の都パリ。
高級ファッションブランドのブティックが軒を連ねる華やかな風景が思い浮かぶ一方で
パリの女性達はさほど沢山の服は持たず、定番の品を上手に着まわして
自分らしいお洒落を楽しむという話も聞きます。
デザイン性や華やかさなど、いわば外側の美しさが先行しがちなフランスのものづくりですが、
フランスの近現代史を通してものづくりの発展を見ると、
外見的なこだわりだけでなく、機能や実用性、耐久性といった内なる面へのこだわりも感じ取ることが出来ます。
特に興味深いのが「ベル・エポック(Belle Époque)」と呼ばれた時代です。
ベル・エポックとは、「良き時代」という意味合いで、厳密な期間の定義はありませんが
だいたい1800年代後半から第一次大戦開始(1914年)までを指します。
どこの国にも、産業の発展をベースに暮らしの進歩を謳歌する、「古き良き時代」があるのですね。
この時代は戦乱の世とは一線を画し、人々が希望と活気に満ち溢れていました。
ベル・エポックの時代を謳歌した人々は、勿論ファッションにも高い関心を寄せており、
オーダーメードを基本とした高級服オート・クチュールに対して、
プレタ・ポルテ(prêt-à-porter)と呼ばれる既製服が普及し始めたのもこの時代のことです。
この時代はそういう意味で、庶民もファッションを楽しめるようになった重要な時代と見ることが出来ます。
つまり、誰もがファッションに対する価値観を持てるようになったということですね。
セザンヌやルノワールなど印象派の画家達が、独自の光の捉え方を模索した時代。
エミール・ガレのガラス工芸が人々の目を楽しませた時代。
そうした芸術の発展と時を同じくして、「自分らしく服を着る」ということがぐっと身近になったのです。
さて、そんな時代を経て発展してきたフランスのものづくりですが、
今私達の手に入るものづくりの中にも、機能とデザインを両立した品々がたくさんあります。
1924年より創業者のLEONがパリにて
レザーバッグやキャンバスバッグをハンドメイドで製作したのが、
LEON FLAM (レオンフラム)の始まりです。
オリジナルデザインのパターン・生地・付属品は全てフランス/ポルトガル製で、
環境負荷になるものを使用しないものづくりのLEON FLAM (レオンフラム)のパイロットバッグ。
独特の存在感を持ちながら、シンプルで洗練されたデザインの良質なバッグです。
生産は、フランスとポルトガルでしか行っておらず、
毎シーズン一定数の生産という体制で、貴重であり、作り手にとってもこだわりのバッグです。
シンプルながら、存在感があるこちらのバッグは、A4サイズがたっぷり入る横幅で、
ノートパソコンは縦向きでもゆったりと入る大きさでビジネスマンにもおすすめ。
正面には、深い外ポケットが二つ付いていますので、
移動中に頻繁に取り出すものや、細かいものは、表のポケットに収納出来ます。
ポケットの上には、革が覆うような仕様になっていて、ポケットの中の目隠しの役割にもなり、
内側のライニングは、赤いキャンバス生地で、
フランスのバッグである雰囲気を感じます。仕切りのように2つに分かれているのも便利です。
こちらはフランスのGuy de jean(ギ ドゥ ジャン)の晴雨兼用傘。
伝統的な手作りの製法を継承しながら今もなお丁寧な傘作りを守り続ける老舗の傘工房は、
独特のスタイルとノウハウを基にしながら生地やハンドル部分などにも
新しい技術・アイデアを反映させて、フランスを中心とするデザイナーズブランドからも
厚い信頼を受けています。
ウォータープルーフ加工のポリエステル生地は、
フランスが定める紫外線(UV)遮蔽性試験にてSPF50+の効果が証明されています。
内側の受け骨は丈夫なカーボン製のカバー付き。
ハンドルにあしらったフリンジはさりげないアクセントになっています。
1905年、フランスで創業した老舗シューズファクトリーブランド、UMO(ウモ)。
現会長の祖父がスリッパの製造を始めたのがシュービジネスの始まりでした。
創業後は製造規模を拡大し、第二次大戦後はPVC製のシューズを製造。
ウエリントンブーツ(ゴム長靴)やレインブーツ、ビーチサンダルを
生産するために機械化を図り、 UMO(ウモ)のブランド化に繋がっていきます。
UMO(ウモ)は、1946年頃に大流行していたビーチサンダルからヒントを得て、
水に強く、柔らかく、そして耐久性のある素材を用いた一体成型のレインシューズを
フランス国内で大ヒットさせました。
それまでの実用性には長けているものの、味気のないデザインのレインシューズを一掃し、
高いファッション性を取り入れたカラフルなレインシューズを製造。
今では年間400万足を生産するフランスシューメーカーのリーダー的存在となっています。
「お客様の生活を一変させる老眼鏡」。それがSee Concept(シーコンセプト)の理念。
フランス・リヨン出身の3人のデザイナーが,読書用メガネの置き場を探して常に奮闘している親の姿を見て、
誰もがいつか老眼になっていくのだということを見つめ直し、
2010年、パリで誕生したSee Concept(シーコンセプト)。
当初は卓上型のもので、銀行や保険会社、ホテルに置かれるようになり、
その後、一般の人にも使いやすいメガネ型が登場しました。
スタイリッシュでカラフル、ファッショナブルで心が踊るようなデザインは
いつでも身につけていたくなるから不思議です。
現在ではリーディンググラス(老眼鏡)の他に
夏に便利なサングラスも展開しており、世界中で愛用者が増えているのだとか。
フランスのものづくり、いかがだったでしょうか。
お洒落で目を引くデザインやカラーはもちろん、
着て良し使って良し、の機能こそが長く愛用したくなるポイントです。
中には現在は製造工程が海外に移っているブランドもありますが、
それでも各ブランドの背景には、
フランスという国が経験してきた、産業、ファッション、人々の暮らしの転換という歴史的背景が
「機能とデザインの両立」という共通点をもたらしているように感じます。