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多様な技術があふれる、有田焼 -やきものを愉しむ-

 

日本各地のやきものを追い、

その魅力を再発見するやきものを愉しむシリーズ。

最終回の今回は、日本の磁器の原型となる

佐賀県の有田焼をピックアップします。

 

◇有田焼を求めて

 

1616年、朝鮮半島から日本に渡った陶工により

佐賀県有田の地で良質な白磁石を発見されたことが有田焼の始まり。

この白磁石を使って焼かれたものが日本で最初の磁器と言われています。

 

その後、この地で磁器生産がさかんとなりましたが、

1637年に山林保護のため窯を13箇所に限定し、

有田千軒と呼ばれる今では歴史ある建造物として

保護されている町が生まれたのでした。

有田焼は1650年頃から既に海外にも輸出されており、

有田焼を含む佐賀県から長崎県で作られた器は

伊万里(IMARI)という総称で親しまれていたと言います。

 

日本各地で磁器生産が広まると、

有田焼の人気は衰えるものの、明治時代には

ヨーロッパで開催された万国博覧会で再び人気を呼んだのだそう。

高級食器から、一般的な焼きもの、そして美術品としても

扱われるようになり、製造開始から400年が経つ今日でも

多くの人に愛用されている焼きものとなったのでした。


◇有田焼の強さと美しさ

 

有田焼の魅力を一言で言うと、

まずはその透き通る白磁の美しさにあると言えます。

有田焼に使われる陶石は均一に焼成することが出来、

滑らかで美しい素地が生まれます。

さらに1300度程度の高温で焼成することで、

弾くと金属音のように硬い音がする通り、薄く軽いのに丈夫な器が出来るのです。

李荘窯(りそうがま)の有田焼も、

こうした白磁の美しさが存分に生かされています。

 

 

きめ細やかな素地の白磁をまるでキャンバスのように捉え、

一度焼成した後に彩り豊かな色で絵付けをしていく色絵。

呉須(ごす)と呼ばれる藍色で染め上げていく染付。

職人が大胆かつ繊細に仕上げた絵柄は立体的で存在感があります。

朱色や藍色で描かれた絵柄はどこか日本的でもありながら、

中国や韓国の様式をも思い起こさせます。

器には表面だけでなく、裏側にも染付が施されています。

表から見るときだけでなく、裏返したとき、横から見たときなど、

使い手の様々な場面を意識しながら、抜かりなくその美しさが

表現されていることが分かります。

 

 

有田焼の第一人者と言われる陶工、李参平が暮らしていた

住居跡に開窯した李荘窯(りそうがま)。

初代は置物や帯留めなどを手がけ、現在は四代目が後を継いでいます。

いわゆる有田焼というような伝統的な器だけでなく、

ちゃぶ台からテーブルの上に置くことの出来る

今なお新鮮で、モダンに使える有田焼を

白磁と藍色の染付で作り続けています。

 

◇未来へ繋いでいく新しい有田焼

 

長い歴史を持つ有田焼は、時代を経るごとに

その趣を変えてきたとも言えます。

1616/arita japan(イチロクイチロク)は、

有田焼の新たな可能性を模索し誕生した有田焼ブランド。

もともとは1647年(正保4年)より有田の地で焼きものを手がけてきた

老舗の窯元​、百田陶園が母体となっています。

 

食生活の多国籍化など、現代ならではの食文化を考慮したことで

原料、成型、釉薬など、基本の全てを見直し、

有田焼の歴史を繋ぎながら、より日常使いのしやすい器の生産を目指しています。

 

 

 

一見、洋食器にも見える1616/arita japan(イチロクイチロク)の器。

TY スクエアプレートシリーズは、白一色のシンプルな器ながら、

四隅に角が付けられており、通常器の裏に付いている高台を

あえて付けない作りが目を引きます。

高台がないことで、和食だけでなくナイフとフォークで食す洋食にも使え、

カタカタと器が動いてしまうこともありません。

また、釉薬をかけないことで、食材が引き立つような

磁器ならではの美しい白色がそのままに表れています。

 

 

オランダのデザイナーユニットが手がけたカラーポーセリンシリーズは、

淡く柔らかな有田焼ならではの色で染め上げています。

こちらも和食器にはなかなか見かけることのない独特の配色で、

現代的な雰囲気が表れています。

メイン皿になる大きめのサイズやティータイムに使えるミルクとシュガーポットなど、

有田焼の新しい可能性を秘めたアイテムです。

 

◇焼きものの楽しみ方

 

有田焼は美術品としても高い評価を受けるなど、

その美しいフォルムや色使いが際立っています。

ご紹介した李荘窯(りそうがま)や1616/arita japan(イチロクイチロク)も、

それ一つで見るものを楽しませてくれます。

 

 

いくつも並んでいるだけで楽しい気分にさせてくれる豆皿。

食器として使わない場合も、キッチンカウンターに飾るなど、

見せる収納はいかがでしょうか。

また、李荘窯(りそうがま)の豆皿は、シンプルな白磁に呉須の染付なので、

小物入れとしても役割を果たしてくれます。

ガラスやビーズといった素材にもしっくりと馴染んでくれます。

(器に置いたピアス:FALBE ベリービーズ フープピアス

 

モダンな雰囲気も持つ1616/arita japan(イチロクイチロク)は、

せっかくならその配色を存分に生かすテーブルコーディネートを。

ビビッドな色の食器とも相性が良く、洋風に仕上げても素敵です。

(上で合わせた食器:輪島キリモト ぐい呑み

 

 

日本の焼きものの魅力を改めて再発見する

焼きものを愉しむシリーズ、いかがでしたか。

その土地ならではの素材、他国や他の地域からの出会いと影響。

焼きもの一つを見るだけで、まるで代々たくさんの人によって

紡がれてきた歴史が垣間見えるようです。

これからも多くの人の手に渡るであろう日本の焼きもの。

その魅力を少しでも感じて頂けたら幸いです。

 

 

 

 

 

◇やきものを愉しむバックナンバー

>>食器の代表、伝統に培われた美濃焼に迫る

 

>>彩り豊かな、九谷焼の魅力

投稿者: 植田 日時: 2016年10月23日 11:00 | permalink

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