白磁とは、白色の粘土の素地に釉薬(ゆうやく)をかけた磁器を指します。
光を美しく通す白磁の食器は、どんなお料理にも合う万能な器でもあります。
まずは簡単に基本的なやきもの特徴を抑えておきましょう。
磁器とは?
原料が石。岩石を粘土と混ぜて素地を作り、
約1300度以上の高温で焼き上げたやきものを指します。
表面はつるつるとした質感で水を通しにくく、
叩くとコンコンと硬い音がします。
・釉薬とは?
陶磁器の上にかけることで光沢や色を変化させる液体。
コーティング効果もあるため汚れや水をより付きにくくします。
白色の素地に透明の釉薬をかけた上で
高温で焼き上げた白磁は、透明感のある艶やかな姿になります。
さらに還元焼成と呼ばれる酸素を奪いながら焼き上げることで、
より青みがかった器が出来上がります。
焼成の仕方や釉薬の量によって、器一点一点が
異なる趣を持つのが白磁の器の魅力です。
一切の文様がない白地の磁器を白磁という場合がありますが、
今回は染付等が施された器もご一緒にご紹介します。
釉薬は器の透明感や色に重要な役割を果たします。
酸化鉄や酸化銅といった釉薬に含まれる成分の割合に応じて、
焼き上がりの姿は多様に変化します。
長崎県でシンプルの骨頂とも言える器を作り続けている白山陶器。
「波佐見焼」としても知られるこの地域のやきものは、
もともとは陶器からスタートしたものの、1602年に良質な磁器の原料が
発見されたことで、磁器生産がさかんとなった経緯があります。
また、白磁のほかにもうつわに模様を施した染付や青みを持った青磁のうつわも
発展した地域として知られています。
白山陶器の6寸浅めん丼は白色の素地がよく見える白磁の器に、
段々と彫模様が入ることで、光の当たり具合で陰影が出来、
より白色が際立つ質感になっています。
こちらは白山陶器の麻の糸 プレート。
白磁のシンプルなプレートに、輪のように麻模様が描かれています。
インディゴは呉須(ごす)と呼ばれる顔料を使うことで
美しい藍色が発色し、セピアには錆釉(さびゆう)と呼ばれる
釉薬が使われることでモダンな色合いを表現しています。
麻の糸シリーズは400年もの歴史を持つ波佐見焼を現代的にかつ実用的に
使えるようにと、とことん使い勝手や生活に馴染むうつわを追求した
白山陶器のうつわづくりを象徴するかのような白磁です。
「白磁」といっても、真っ白な器だけとは限りません。
愛媛県伊予郡砥部町で作られる、中田窯の砥部焼(とべやき)は
白色の素地を焼いた白磁になりますが、
表面にぽつぽつと黒い点が入っているのが分かります。
この黒い点は、釉薬にグレーの点は焼成する際に酸化して表れた鉄粉。
中田窯ではこの鉄粉をあえて残すことで、
砥部焼の中でもさらに独特の雰囲気を持った器になっています。
真っ白の白磁は洗練された印象に、
鉄粉を残した白磁は素朴で味わい深い印象に。
作り手のこだわりが良さとなって表れるのも、白磁の魅力です。
様々な種類の料理を楽しむ現代ではお料理に合わせて
無意識にお皿を使い分けることがしばしばですが、
和食器と洋食器には、用途や文化に合わせて機能が考えられてきた背景があります。
・和のうつわ
器を手に持って、箸で食べる文化の日本では
持ちやすいサイズで軽いことが器に求められます。
また器に口を付けることもあることから、手触りも重視して作られてきました。
長崎の波佐見市で作られる東屋(あづまや)の印判花茶碗。
焼き締められた白磁に印判と呼ばれる江戸時代から続く
伝統技法で染付が施されています。
印判とは銅板などを使い、顔料の一種、呉須(ごす)を
転写紙に吸わせた後、手作業で柄を素地に移していきます。
非常に手間のかかる製法のため、採用されることが少なくなってきた
印判ですが、手作業だからこそ表れる色の濃淡や絵柄のずれが
味わい深さにつながっています。
印判花茶碗は大小サイズの茶碗がセットになっています。
考えられた高台の高さや椀の形から片手で持ちやすいサイズ感で、
つるつるとした手触りが気持ちよく、
さらに意外と深さがあるのでご飯をよそいやすいのも嬉しいところです。
白磁に美しい色絵が施された石川県の九谷焼、宮本泰山堂(みやもとたいざんどう)の器。
様々な種類のおかずに合うようにと小さなお皿が作られてきたのも
日本の食文化の特徴で、豆皿もその一種です。
宮本泰山堂の八角花紋小皿 5枚セットは、手のひらに収まるほどのサイズで
深さもあるのでちょっとしたおかずはもちろん、
漬物やしょうゆ皿としてもお使い頂けます。
白磁は水分を通しにくいので、液体を入れても手入れがしやすいのがポイントです。
・洋のうつわ
西洋の文化ではナイフ・フォークを両手に持って食事をすることから、
お皿はテーブルの上に置いた状態で食べるものとして、
高台の低い平皿が定番として作られてきました。
そして硬いカトラリーがお皿に当たっても傷つきにくいように
硬質な磁器が使われてきた経緯があります。
17cm・21cm・26cmの3サイズが揃ったiittala (イッタラ)のTeema プレート。
洋食器は一人前のメインディッシュがのるプレートが揃っていると便利。
iittala (イッタラ)のTeema プレート26cmは、
ちょうど肉料理や魚料理のメインディッシュにぴったりと合うディナー皿。
どんな食事にも合うお皿として、家族やゲストの人数分を揃えておきたいプレートです。
1881年にフィンランドで創業した iittala (イッタラ)。
創業当時は、高品質のガラス器が「特別の輝きを持ったガラス」として
高く評価され、以来、世界中で愛されるテーブルウエアブランドとして知られています。
Teema(ティーマ)は iittala (イッタラ)を代表するシリーズのひとつで
模様の入っていないシンプルだからこそ、硬質な磁器の性質がそのままに表れたデザイン。
お料理を引き立てる名脇役として活躍してくれます。
和食器としても洋食器としても扱えるのが1616/arita japan(イチロクイチロク)。
1616/arita japan(イチロクイチロク)は、高級品、美術品のように扱われていた有田焼を
日常の暮らしに取り入れやすいものへと変化させ、有田焼の可能性を広げるブランドとしてスタート。
有田焼によく見られる高台、華美な装飾をなくすことで、洋食器に近い形となっています。
四隅が折り込まれた四角いプレートは、食材を引き立てるデザイン。
ナイフ・フォークを使う洋食も、お箸で食べる和食にも合わせたい白磁です。
■ご使用上の注意点
先述の通り目が詰まった磁器は水分を通しにくいため、
使用前に特に水に浸すことをせずに使い始めることが出来ます。
一方で、硬質のため硬いものがぶつかった際の衝撃に弱い性質があるため、
カトラリーや他の食器とが強くぶつからないようにお気をつけください。
■お手入れ
ご使用後はすぐに洗浄することをおすすめします。
磁器は食材や調味料の色が移りにくいですが、
素地に色が移ると落とすことが難しく、また匂いが付いてしまう原因にもなります。
柔らかいスポンジに食器用洗剤を付け、十分に洗浄してください。
■保管方法
保管の際に器を重ねる場合は、柔らかい布や紙を間に挟むことをおすすめします。
互いの器の表面の傷つきを防ぎます。