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愛着をつなぐモノ -角館 伝四郎の茶筒-

 

茶筒が欲しい、と思うようになったのはつい最近のこと。

日常の道具ではあるけれど、空き瓶で間に合わせていたり、いただき物の紅茶の缶詰が空いたら別の茶葉を入れて保管していました。引越して生活に変化が生まれ、家族とのお茶の時間を大切に思うようになって、美味しいお茶を飲むために茶葉を美味しく保管する茶筒に興味が出てきたのです。茶筒について調べてみると茶葉に関しても初めて知ることがたくさんありました。

 

自分が愛着をもって使い続けたモノが、時を経て誰かの愛着へとなっていく【愛着をつなぐモノ】シリーズ、今回ご紹介するのは、角館 伝四郎の茶筒です。

 

藤木伝四郎商店の茶筒

 

こちら、見た目にはちょっぴり渋めの茶筒です。生活に取り入れてみて日々使ってみて、段々とその良さに気付いていく。そんな不思議な魅力がこの茶筒にはあります。

 

写真左側:茶筒(中長)霜降皮
→ 桜の樹皮そのもののザラッとした質感です。

 

写真右側:茶筒(中長) 無地皮
→ 樹皮を磨きツヤを出した、幹の模様が際立つ仕様。

 

 

【樺細工の特徴と茶葉の関係】

角館 伝四郎は1851年の創業以来、秋田県の角館町で樺細工を作り続けている藤木伝四郎商店のブランドです。樺細工とは桜の樹皮を用いた工芸品で、この地に伝わる伝統技術です。山桜の樹皮を幹から剥がし、それを2年以上干して乾燥させたものを使います。樹皮は防湿・保湿性があることから古くは薬や弾薬などをの入れ物として、現代では茶筒や箱物アイテムを作っています。

 

茶葉は温度や光、湿気によって変質しやすく、変色を引き起こし味や香りが損なわれやすい、比較的デリケートな食品なので樺細工茶筒の防湿性と保湿性が高く、空気の出入りを上手にしてくれるという特徴は茶葉の保管に適しています。

 

茶筒には日本茶、紅茶、中国茶など何を入れても保管に適しています

 

どんな茶葉でも茶葉は茶葉。樺細工の茶筒が「茶葉の保管に適している」ということは、この茶筒に入れていいのは何も日本茶に限ったことではありません。紅茶も中国茶も茶葉ですから、何を入れてもきちんと保管してくれます。

 

 

【職人の技術はこんなところに】
茶筒の継ぎ目、蓋を閉めた時のぴたっと収まるフィット感など、職人さんの丁寧な手仕事が感じられる逸品。

 

茶筒の精巧な作りは「型もの」と呼ばれる樺細工特有の技法によって成り立っています。薄い桜の樹皮と経木に接着剤となるにかわを塗り、木型に巻いて高温に熱した金ゴテで張り合わせます。

 

茶筒は外芯と内芯の二重構造で、それぞれ外側と内側に桜の樹皮が貼ってあります。成形のための木型には切れ込みがあり、径を大きくして作った筒が外芯に、切れ込みをピッタリと合わせて作った芯が内芯になります。径の異なる2つの芯を組み合わせて茶筒の本体を作るのですが、これも隙間ないよう綺麗な円を作り、はめ込む技術が必要なのです。

この2本の筒を輪切りにし、茶筒の身の内芯、外芯、内蓋、外蓋が出来上がります。一つの茶筒で全てのパーツがピタッとフィットするのはそういった製法からなのですね。この本体にはこの蓋、という風に組み合わせが決まっているのも手作業ならではです。

 

 

【桜の皮の経年変化とは】

樺細工の経年変化

 

上画像の右側の茶筒はメーカーさんが15年以上愛用されているもの。深い茶色に色を変え、更にツヤが増しているのが分かります。茶筒は日常の道具ですので、日々触ることで美しく変化していきます。桜の皮は時を経るごとに赤茶色から茶色に変化し、美しい光沢を生み出すのです。渋いものが、時を経て更に渋くエイジングしていく。その変化を楽しむことが出来たら素敵だなと思うのです。

 

 

【長く愛用するためのお手入れ】

お手入れは乾いた布で優しく拭いて


茶葉を新しく入れ替える時も茶筒は水洗いせず、軟らかい乾いた布で皮の目の方向に拭いてください。また、メーカーである角館 伝四郎では修理体制も整っていますので、安心して使い続けられますね。

 

 

 

【茶葉をより美味しく保管するために】
茶筒を使用するだけでなく、他にも茶葉を美味しく保管するためのポイントがあります。

 

■冷蔵庫に入れるべからず
茶葉は他のものの臭いを吸い取りやすいので開封後の茶葉を冷蔵庫に入れてしまうと様々な食材や料理の臭いが移ってしまうのだそう。また、冷蔵庫の詰め込み具合などによって結露して湿気てしまうことも。茶筒に入れたあとは、高い位置の戸棚など、冷暗所に保管します。

 

■開封後は早めに
味と香りを楽しむためには、開封後なるべく早めにいただくこと。家族の人数にもよりますが、1ヶ月で飲みきれる量にするなど、少量をうようにしたほうが良いですね。

 

■茶葉がたくさんある場合は冷凍庫へ
未開封の茶葉がたくさんある場合は、そのまま冷凍庫で保管します。移り香や味の劣化を最小限に保管することが出来ます。注意点は、開封する際は必ず常温に戻してから。(水滴が付いて茶葉が湿気てしまいます)

 

茶葉を焙じてほうじ茶に

 

それでも湿気てしまった茶葉は?

日本茶はTOJIKITONYAの焙じ器を使って自家製ほうじ茶に。焙煎している間も、キッチンの臭い消しとして働いてくれます。焙じた茶葉はもちろん美味しく飲めますし、器に入れて玄関や下駄箱に置いて消臭剤にも。

 

 

暑い日はアイスティー

 


 

一つのモノから、色んな興味へ

茶筒から入って、だんだんとお茶が好きになる。その周辺の事柄をより深く知りたいと思うようになる。そういうステップもなかなか素敵です。大げさなことではないですが素敵な道具がいつの間にか時間の使い方、過ごし方を変えていくこともあるのではないかと思い、茶筒に限らずますます日常の道具選びには力が入りそうです。家族でも、友人でも、同僚でも、誰かと一緒にお茶を飲む時間というのは良いものです。

 

お茶の食卓イメージ

 

 


 

愛着をつなぐモノシリーズ おさらい

【あなたの愛着は、だれかの愛着へ】

私たちがモノに愛着が湧くのは理由があります。使いやすいから。気持ちがいいから。社会や地球にいいから。これに、「いつか誰かに使って欲しいから。」が加わるとどうなるでしょう。いつか子どもに使って欲しい。いつか友達にあげたい。そんな、自分の手から離れたあとも誰かの暮らしの中で変わらず使い続けてもらうために、大切にする。ロングライフ商品には、そういう「育てたあとの楽しみ」も待っています。経年変化を楽しめる丈夫な素材、メンテナンスをして使い続けられる、メーカーで相談や修理を受け付けている。そんな商品を「いつか誰かが」の気持ちで使う。なんだか、今までとも違う愛着が湧いてきます。

 

投稿者: 丸山 日時: 2015年06月30日 11:00 | permalink

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