梅雨と夏。どちらの季節にも欠かせない日傘と長傘には、実は様々な種類があります。作りや素材の違いを知りながら傘を上手に使い分ければ、雨の日も日差しが強い日も、快適に過ごすことが出来ます。
日傘・雨傘と聞くと晴れの日用、雨の日用と天気に合わせた傘と感じますが、実は作りにも多くの違いがあります。
まず分かるのがサイズの違い。日傘はよりコンパクトに、雨傘はしっかりと雨を避けられるように、大きく作られています。下記の日傘と雨傘では、柄の長さや生地の大きさがまったく違うことが分かりますね。
また、サイズに合わせて石突の形も日傘と雨傘では違います。
石突とは傘の先の部分を指し、生地を束ねる部分。日傘の石突は丸みを帯びて小さく、雨傘は細長いのが特徴です。雨傘は傘を閉じた際に地面に着くため、より丈夫な作りとなっています。
小ぶりな石突が付いた KOMIYA(コミヤ)の晴雨兼用折りたたみ傘
細く長めの石突のZUTTOの長傘
さらに異なる点は生地に使われている素材。日よけが最大の目的である日傘は日光を遮断するだけでなく、日光の熱を吸収する素材が主に採用されています。代表的なものが天然素材である綿や麻、そして絹。昔ながらの素材であることに加え、天然素材ならではの味わいを見せてくれます。
一方、雨が漏れないことが最重要である雨傘の場合は、ポリエステルを始めとした化学繊維が多く選ばれています。ポリエステルは軽量で耐久性が高い上に発色の良さも選ばれる理由です。
綿にポリエステルやポリウレタンを含んで作られた、槙田商店(まきたしょうてん)の日傘
さて、近頃よく耳にするようになった傘に晴雨兼用の傘があります。晴雨兼用の傘は、基本的に日傘として作られていますが、生地に防水・撥水加工が施されていることで、とっさの雨にも対応出来るようになった傘を指します。
KOMIYA(コミヤ)の晴雨兼用折りたたみ傘 ストライプ オーガニックシェードは裏面にブラックコーティングが施されています。遮光率99.99%以上の高性能「一級遮光」の折りたたみ傘でありながら、撥水加工が施されているため、一時的な雨にも対応出来るようになっています。
こちらはFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)のレディース晴雨兼用折りたたみ傘。裏表同色系の生地を使用した、明るい遮光生地の傘です。バンブーの持ち手が上品で、普通の折りたたみ傘にはない高級感も漂う一本。どなたにでもお使い頂きやすい傘です。
尚、こうした晴雨兼用の傘は、日傘兼一時的な雨にも対応出来る傘として作られているため、長時間雨傘として使いますと雨漏りする可能性があります。雨傘としてでなく突然の雨にも対応できる傘としてご使用ください。
日傘と雨傘の生地に使われている素材は先述の通り、綿や麻といった天然素材のほか、ポリエステル等が主流です。
そのほかにも傘を支える素材は様々あります。傘の内側にある骨や中棒に使われる素材には、グラスファイバーやアルミがあります。グラスファイバーとはガラスの繊維をもとにしており、しなりが効くため、風に煽られても折れにくい原料です。またアルミは軽量化に最適。手で持つ必要のある傘は出来るだけ軽いものを、という方にはおすすめの素材です。
ドイツの折りたたみ傘、Knirps(クニルプス)もフレームにアルミとグラスファイバーを使用しています。軽量でコンパクトな収納が可能で、開閉も簡単。サイズも豊富なので用途に合わせてお選びください。
傘に使われている素材はほかにも。手で持つ部分となるハンドルは、傘によって多様な素材が扱われており、それぞれの傘の個性を作る部分でもあります。
ZUTTOのオリジナル雨傘には白木の籐素材を採用しています。藤は使えば使うほど色濃く変化していきます。表面に濃い斑点が表れているのも、藤の特徴です。和装などにも合わせられる落ち着いた雰囲気になっています。
KOUMORIUMBRELLAのハンドルにはタモ、中棒には樫が使用されています。どちらも外見の美しさと丈夫さから、家具に選ばれることも多い素材で、こちらも天然の木ならではの温かさの感じる素材です。
かわってこちらはKOMIYA(コミヤ)の甲州織 折畳み傘 かさね。ハンドルにはアクリル合成樹脂が採用されています。透明性のある合成樹脂を使うことで、まるで光を通すような不思議なハンドルになっており、この傘を特徴づける部分に。本体とは木製部品で接着されているので、小ぶりな折り畳み傘でありながらも、より丈夫な作りになっています。
日傘や雨傘と一言で言っても多種多様な作りや素材の違いがあることをご紹介してきました。生活の上で欠かすことの出来ないアイテムとして世界中で作られている傘は、ブランドによってもまた様々な特徴を持っています。数ある種類の中で、ぜひお好みのものを見つけてください。
1930年に東京で創業したKOMIYA(コミヤ)。KOMIYA(コミヤ)の特徴は何と言っても甲州織に代表される美しい生地。当時は高級装飾品であった洋傘を、山梨県の名産である甲州織で作ることでより洋傘を身近にし、時代の波に揉まれながらも日本の数少ない国産傘を作り続けています。
ツートンカラーで美しく仕上げたかさねシリーズは光沢のある先染めの甲州織の魅力がそのままに残っており、上品な佇まい。傘を開くと、はっとするような美しさのあります。
槙田商店(まきたしょうてん)もまた、国内で生産を続ける1866年創業の傘ブランド。昭和30年以降、先染めによる傘生地の一大生産拠点としてその名を確立し、今では最新の電子ジャガード織機を導入するなど、画期的な日傘と雨傘の製造に取り組んでいます。
まるで刺繍のようにポコポコと凹凸が表れた生地が特徴の日傘、菜(サイ)シリーズなど、立体感のあるモチーフが印象的な傘も作り続けています。
FOX UMBRELLAS(フォックスアンブレラズ)は世界で初めて化学繊維を使った雨傘を開発したことでその名が広く知られるようになったイギリスブランド。
FOX UMBRELLAS(フォックスアンブレラズ)が考案したU字断面のスチールフレームは今や骨組みの世界基準となっており、曲面のバランスは当たる雨を柔らかく受け止め、水滴を傘の外へと導くように計算されています。
紳士・淑女を連想させる品のある細身の長傘、コンパクトながらも、しっかりと雨を避ける構造になった折りたたみ傘。雨の多いイギリスで開発されたブランドならではの特徴が随所に含まれています。
KNIRPS(クニルプス)は、世界初の折りたたみ傘を考案したドイツ生まれの雨傘ブランド。携帯に便利なサイズ感で、小柄の女性も持ちやすい軽さ、それでいて傘を広げれば雨風にも負けない丈夫な作りが広く愛され、母国ドイツでは「Knirps」という言葉が辞書に載るほど。
折りたたみ傘の中でも、ベーシックな8本骨のT.220、コンパクトな6本骨のTS.220、軽くスリムな6本骨のU.220、ソフトカバー付きの超小型X1と多くのサイズを揃えており、ボタンでワンタッチ開閉の出来るシリーズも。サイズだけでなく実用性まで十分に考慮された傘です。
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