「整える」
この言葉を聞いてどんなものを想像するでしょうか。
お部屋を整える、身なりを整える。
忙しい現代にとって、時に「整える」ことが難しくなってしまうこともあります。
今回は、そんな身の回りを整える、日本の暮らしの道具をご紹介します。
世界有数の刃物産地、新潟県三条市に大正15年(1926年)に創業した諏訪田製作所。
三条鍛冶として有名ですが、この歴史は寛永2年(1625年)から3年の間
三条に在城した代官所奉行大谷清兵衛が河川の氾濫に苦しむ農民を救済するため、
江戸から釘鍛冶職人を招き、農家の副業として和釘の製造法を指導・奨励したのが始まりとされています。
当初は農家の副業として和釘が作られていたものの、慶安2年(1649年)頃には鍛冶専業が現れ始めました。
寛文元年(1661年)頃に、会津方面より新しい製造法が伝わり、
製品も釘から鎌、鋸、包丁へと広がり、専業鍛冶が生まれたのだそうです。
この様に鍛冶専業者が増加し、鎌を初めとした刃物類が大量に製造されるに伴い、
やがて金物専門の商人が生まれてきました。
そんな三条市に生まれた諏訪田製作所。
初代 小林祝三郎が関東大震災(1923年)後の住宅復興需要に合わせ
大工職人の為に「喰切」を製造したのが始まりです。
刃物の中でも、喰切型つまり両側の刃がぴったりと合わさって対象を切るという刃物に特化し、
創業当時から変わらず材料吟味から完成まで一貫した丁寧な製造にこだわります。
良い材料、良い職人が揃うこの地で、多くが淘汰されていく中、
諏訪田製作所は伝統的な技術を維持し、さらに進化させ続けています。
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そんなSUWADAからご紹介するのは、もちろんつめ切り。
どのつめ切りも足・手の爪に使うことが出来ます。
左:つめ切り CLASSIC(L) 右:つめ切り CLASSIC(S)
ニッパーのような見た目で、正に”暮らしの道具”を感じさせる本物といった印象。
刃は爪の形にカーブしており、変形してしまった爪や、巻き爪のお手入れも出来ます。
一つ一つ職人の熟練の技で研ぎ上げており、刃先はとてもシャープ。
両刃がぴったりと合うので、すっぱりと綺麗な切れ味、そして切った爪も
あちらこちらに飛んでいくことはありません。
グッドデザイン賞を受賞した名品で、その無駄のない見た目と確かな切れ味は、
切れた後の爪もなめらか、切った後にヤスリが必要ないほどなのだとか。
つめ切りは全てケースに入っています。
切れ味が落ちてきたな・・と感じたら、メーカーで研ぎ直して貰えます。
多くはおよそ5〜6年ごとにメンテナンスに出す方が多いのだとか。
刃がなくなってしまったり、つめ以外のものを切ってしまった際の穴あきなどが
ない限り、研ぎ直しは可能とのこと。
30年、40年前のつめ切りも里帰りしてきているそうです。
丁寧に使えば、正に一生ものになりうるつめ切りですね。
ZUTTOではCLASSIC SとL、そしてベビーのサイズをご用意。
Lサイズはレギュラーサイズ、Sサイズは少々小ぶりで、
ニッパー型のつめ切りが初めての方にも。
刃先が鋭く、かすっただけでも肌を痛めてしまう恐れがあるので、
ベビーは刃先を丸く削ってあります。
つめ先をなめらかに整えてくれるので、
赤ちゃんが自分の爪で肌を傷つけてしまうこともありません。
もちろんどれも切れ味は全く変わりありませんので、
大人でも使って頂けますよ。
※CLASSIC Sとベビーは全長・重量は同じで、刃先の長さが3mmほどベビーのが小さくなっています。
私たちが定期的に美容院に行くように、
爪のメンテナンスにもプロの技を感じてみたいですね。
日々の生活の中で、何気なく過ごしている時間も
こんな道具があれば、豊かな気持ちになれる気がします。
日本における最古の籐工芸はおおよそ1000年以上前とも言われていますが、
生活用品として普及し始めたのは、明治に入ってから。
暮らしの籐工芸の人気がで始めたため、手に入りやすくなった東南アジア産の籐が
普及、そして日本の籐工芸は激減していきます。
西洋椅子の文化が広がり、中国から籐家具の製造技術がもたらされたこともあり、
籐椅子作りが盛んに行われるようになりました。
籐は東南アジアに生息するヤシ科の植物で、軽く、丈夫で、弾力を持っているという特徴があります。
ツルヤ商店では、千葉の職人による上質な手挽き皮籐を使用し、
曲げ、編み、巻きなどの昔から山形に伝わる昔ながらの技術を取り入れながら、
現代の暮らしに合わせた籐工芸シリーズを展開しています。
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ツルヤ商店の籐バスケットは、近くに置くと、ふんわりと柔らかい籐の香りが漂います。
さすが、国産の籐バスケットだな、と深呼吸したくなるような、落ち着いた暮らしに馴染む道具です。
繊細な手仕事が感じられます。
籐を「曲げる」「巻く」「編む」全てを手作業で行っています。
天然素材を使用しているので、どうしても素材に多少の割れが出る場合もありますが、
一つ一つ職人が丁寧に手作業で作り上げているバスケットは、
海外製品と比べて圧倒的な存在感を持っています。
ZUTTOでは、角型・丸型・楕円の3種類のバスケットをご用意。
バスケットの使い方といえば、
リビングではラグやブランケットをくるくるとまとめて収納しておいたり、
棚の中でバスタオルをまとめておくのにも活躍。
お子様がいるお家なら、お片づけバスケットにもなります。
ざっくりとものを詰め込むだけで、特別におしゃれ。
リビングに置いておいても雰囲気を壊しません。
何より、お子様の近くに置くものは、国産が安心ですよね。
素材は無垢材を使用しているので、最初は木そのままを楽しめます。
使っていくうちにだんだんと飴色に変化して、どんどん愛着の湧く存在に。
お風呂場の脱衣かごとしても使いたくなるサイズ感です。
国産にこだわったツルヤ商店の籐バスケット。
散らかった”モノ”を整理整頓するだけではなく、
お家の空気も整えてくれるような、丁寧な作りとデザインも
このバスケットの魅力なのかもしれません。
能作が生まれた富山県高岡市は、慶長14年(1609年)、
加賀藩主の前田利長が高岡の町を開いたことをきっかけに、
商工業の町として発展してきました。この開町から2年後、
前田は現在の金屋町に7人の鋳物師(いもじ)を招き、
これが高岡銅器の長い歴史の始まりとなります。
能作は大正5年(1916年)、そんな高岡の地に400年も伝わる鋳造技術を用いて
仏具製造を開始しました。
溶かした金属を型に流し込むことで金属を様々な形に変える製造方法、鋳造。
天然素材の良さを十分に生かした能作は、仏具だけではなく、
茶道具、花器、そしてテーブルウェアやインテリアなども手がけています。
その凛とした佇まいも、高度な鋳造技術や丁寧な仕上げによるものなのです。
錫は、金・銀に次ぐ高価な金属であり、酸化しにくく抗菌作用が強いという特性があり、
金属特有の臭いもありません。
暮らしの道具として、うってつけの素材と言えましょう。
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今回能作からご紹介するのは、錫の裁縫道具たち。
手に持つとひんやりとした、正に”道具”といったところ。
すずらん シザーケース
繊細なすずらんの文様を施したシザーケースは、
しゃんとした見た目と、すずらんの可愛らしさを持った一品。
すずらん ニードルケース
すずらん ピンクッション
細々とした針を仕舞っておける、ニードルケース。
錫の重厚感を生かしたピンクッションなどをご用意しています。
例えば、お気に入りのお洋服の糸が解れてしまっていた時、
雑然としたソーイングボックスではなく、ボックスの片隅に
本錫の重厚感あるお裁縫グッズがあれば、
思いがけないお裁縫の時間も素敵に過ごせるかもしれませんね。
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様々な種類の木材を組み合わせて、その色合いの違いを利用して模様を描く、寄木細工。
200年ほどの歴史を持っています。
お正月にテレビを賑わす箱根駅伝のトロフィーはこの寄木細工で作られているほど、
その歴史は深く根付いています。
そもそもの始まりは、江戸時代中期17世紀半ば頃まで遡ります。
そもそもは静岡県で発展した技術であったそうで、浅間神社建立のために
全国から集められた職人によって編み出された技術という説が有力です。
江戸時代の後期、石川仁兵衛という人がこの技術を箱根に持ち帰り、
もともと「箱根細工」として木工芸品が盛んに作られていた
箱根の細工技術と融合させ、新しい細工を編み出すことに成功したのが始まりです。
そんな寄木細工は、昭和59年には国の伝統工芸品に指定されました。
露木木工所(つゆきもっこうじょ)は、大正15年(1926年)に小田原で創業。
現在は3代目の清勝さん、4代目の清高さんが継いでいます。
箱根町に生まれた初代露木清吉さんが、寄木細工の創始者である石川仁兵衛氏の孫、
仁三郎氏に師事した後に独立したことから始まりました。
露木木工所は、伝統を継承しながらも、新しい分野への挑戦を厭わず、
箱根にある人気ホテルのインテリアにも採用されるなど、
現代の生活に溶け込むような新しい寄木細工を作り続けています。
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今回は、露木木工所の小物入れ 合子をご紹介。
寄木細工ならではの柄と、コンパクトな菱形が可愛らしいですね。
アクセサリーなどの小さいものを入れるのに適しています。
大切な指輪やアクセサリーを入れて。
贈り物にもぴったりです。
そんな寄木細工の美しい模様ですが、実はその模様にも意味があるんです。
麻の葉
麻は成長が早く、たくましいことから、
子どもの健やかな成長を願う為に産着(うぶぎ)にも多く使われていたと言います。
青海波(せいがいは)
広い海を思わせる、無限に広がる波の文様は、
未来永劫の願いと、平和への願いが込められた縁起の良い柄です。
松皮菱(まつかわびし)
大きい菱の上下に、小型の菱をいくぶん重ねるように取り付けた文様。
奈良時代から好んで使われた柄なのだといいます。
日本が誇る古典柄をその文様に宿した小物入れ。
そのすべすべと美しい寄木細工は、小さな宝箱となって、
使うごとに艶を増し、唯一無二の存在になってくれることでしょう。