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英国の名門マフラーとストール。定番こそ長く愛用するための選び方

 

冬の必需品といえばマフラー。サイズやシルエットによっても似合うかどうか大きく左右されるお洋服と比べると、首元にくるりと巻くだけの手軽なマフラーは選ぶのが楽しいアイテムですよね。

 

一方で、お顔周りで一定のボリュームを占めるだけあって、色・柄によって大きく印象が異なるアイテムでもあります。絵柄が気に入って選んだのに、いざ巻いてみると何だかしっくりこない。冬らしいカラーを贈り物に選んでみたけれど、相手に似合うかどうか心配。意外にもそうした小さな悩みに出会いやすいのも、気軽に取り入れやすいアイテムならでは。

 

そんな、色柄豊富なマフラーを長く愛用するという視点で、自分にしっくり似合う、あるいはギフトとして贈りたい人にぴったり似合う1枚を上手に選ぶためのヒントをご紹介します。取り上げるのは、英国の名門マフラー・ストールブランドとして名高いHighland Tweeds(ハイランドツィード)。豊富なラインナップから、きっとお気に入りの一本が見つかります。

 

 

 

 

 

 

どこまでがマフラーで、どこからがストール?と呼び名の使い分けを疑問に思ったことはありませんか。サイズの違いによって呼称が異なるのですが、ブランドによって幅や長さは様々で、どうやら明確な規格は存在しないようです。分かりやすく区別すると、「首に巻くもの」をマフラー、「肩から羽織れるもの」をストールと名付けるのが一般的。

マフラーは幅が30cm程度、全長が160-180cmほどの長さが王道で、これは「一重に巻き、両端のフリンジを左右に垂らす」「二つ折りで巻いて、輪にフリンジを通す」といった巻き方をした時に、男女とも違和感なく使いやすいサイズにあたります。

一方、ストールと名の付く巻き物は、マフラーよりもサイズ展開が幅広いのが特徴。薄手なら、幅が小さくなるように折り畳んでマフラーのように首元に巻くことも出来ますし、厚手なら、カーディガン代わりに羽織るようなイメージになります。

 

 

 

こちらの写真は、身長158cmの女性が25×180(cm)のマフラーを2種類の巻き方をした比較図。短すぎるとアレンジの幅が狭まってしまいますし、長すぎるとお洋服とのバランスも取りづらくなるので、「程よい長さ」を見つけるのがポイントとなります。全長180cmの長さだと、一重で巻いた上で左右のフリンジに結び目を作ることも容易です。また、冬本番には首元にボリュームのあるハイネックニットを着る機会も増えますよね。そんな時、首元を締め付けずに巻くためには、これくらいの長さがあった方が良いでしょう。

 

 

 

一方、こちらは同じ女性が50×185(cm)のストールを巻いたところ。先述のマフラーと同じ厚みで、面積はおよそ2倍となります。ストールとしてコートの上から大きく纏うのはもちろん、幅を折り畳めばマフラーとしても使えるボリューム感。「羽織る」「巻く」という2つの用途で使えるので、お洋服の組み合わせや、寒さの度合いに合わせて様々にアレンジすることが可能です。

 

 


 

「ネイビーのニットは必需品」「気づくと身の回りにグリーンの小物が増えていた」「アクセサリーの金具はいつもシルバー」など、知らず知らずのうちに持ち物に色の偏りが出てくるもの。「好きな色」と「似合う色」が一致しているのが理想的ですが、「好きな色」を選んで買ったは良いけれど、手持ちのお洋服と合わせにくくてあまり活躍せずに季節が終わってしまうということもままあります。

サイズの次は、そんな「色」の上手な選び方という視点でマフラー、ストールを考えてみましょう。

 

 

 

例えば、「赤いチェック柄のマフラー」と一口に言っても、ベースとなる赤のトーンや、チェック柄を構成する他カラーの組み合わせなどバリエーションは様々です。マフラー、ストールともに顔周りで一定の面積を占めるアイテムのため、少し色の風合いが違うだけで、印象ががらりと変わります。そんな時は、自分の肌色のトーンに合わせたり、小物との合わせ方で見え方を調整したりと工夫するのがおすすめです。

 

 

 

ここでチェックしたいのが、自分の肌のトーンが「イエローベース」「ブルーベース」のどちらに近いかということ。女性の場合、分かりやすいのはお化粧の仕上げに使うチークカラーが「オレンジ系(サーモン、コーラル、アプリコットなど)」「ピンク系(フューシャ、マゼンダ、ローズなど)」のどちらが似合うかという点。一般的にはチークの色味がオレンジ系なら肌のトーンは「イエローベース」、ピンク系なら「ブルーベース」と言われています。また、腕の内側の肌を見た時に、血管の色がグリーンに見える人は「イエローベース」、ブルーに見える人は「ブルーベース」という風に見分けることも出来ます。

 

 

 

たとえば、ブルーベースのお肌は血色が悪く見えやすいのですが、このようにレッドが差し色になったマフラーがあると「暖かさ」「明るさ」というイメージが加わり、お顔まわりが快活な印象になります。ベースはホワイト、グレー、ブラックというモノトーンなのですが、小さい面積でもそこにレッドが加わることで印象がぐっと変わるのが分かりますね。また、併せて差し色に使われているボルドーは青みを含むカラーなので、ブルーベースのお肌との相性も良いのです。

 

 

イエローベースのお肌の場合、ブルーやパープルがベースのマフラー・ストールは肌の色と喧嘩してしまうのでなかなか手に取らないという方も多いはず。そんな方にもぜひおすすめなのが、こちらの一本。ベースはコーラル系の色味で肌馴染みがよく、そこにブルーとイエローが差し色となっています。イエローとブルーは色相の中でちょうど反対に位置する「補色」と呼ばれる関係で、一緒に配置されることで単色の場合よりもお互いを引き立て合うと言われています。全体は落ち着いた色彩ですが、補色であるイエローとブルーが差し色になることで、全体が華やかで明るい印象になるのです。

またブルーの面積が比較的多いので、この配色は実はブルーベースのお肌とも好相性。ブルーが肌と馴染みながら、コーラルとイエローの温もりを補うことで暖かさを演出することが出来ます。「色の組み合わせ」という視点で見てみると、チェック柄のマフラーは「好きな色」「似合う色」の良いとこ取りを出来る優秀なアイテムと言えるかもしれません。

 

 


 

複数の色味が含まれるマフラーの色合わせのコツは、合わせるお洋服や他の小物とのコーディネートでも共通です。

 

 

 

こちらは、小物とマフラーで色味を合わせた例。チェック柄の中に含まれるボルドーが、バッグ本体と手袋の縁取りとマッチしています。1つのアイテムに3〜4色含まれるマフラーはそれだけで目をひくので、そこにバラバラの小物をプラスしてしまうと全体にしまりがなく、雑然と見えてしまいます。そんな時は、合わせる小物の色味を合わせると統一感が出ます。この場合は差し色の面積が大きくなると色の印象が大きすぎてしまうため、大判ストールではなくスリムなマフラーでワンポイントとするのがおすすめです。

 

 

 

 

続くこちらは、グリーンのストールを合わせた例。手袋とバッグは先のコーディネートと同じですが、組み合わせる巻物の面積と色によってぐっと印象が変わるのが分かります。緑と赤は補色の関係にあるため、一緒に持つと対比効果によってメリハリが出ます。ボルドーがグリーンを、グリーンはボルドーを、それぞれに引き立てて見せてくれるのですね。

 

 

 

色選びという視点でこれだけ奥深い、ストール・マフラー選び。さらに、チェック模様それ自体にも長い長い歴史によって培われた素敵なストーリーがあります。中世のスコットランド・ハイランド地方には、それぞれの地域を収める氏族がいました。タータンは、その氏族を見分ける為の柄。日本でいう家紋で、タータンは、原則的に経糸・横糸の配列が同じで正方形のチェックあることが定められています。今はファッションの定番柄の一つになっているタータンですが、スコットランドの歴史から生まれた由緒正しき柄であると言えます。 どれも定番として根付いた格子模様なので、自分用にはもちろん贈り物として選ぶのにもぴったりです。

 

ここで、いくつか定番のタータンチェックを見てみましょう。

 

Royal Stewart(ロイヤルスチュワート)

 

「タータンチェック」と聞いて、誰しも最初に思い浮かべるのはこの柄ではないでしょうか。スチュワート家は14世紀以降、長きにわたって王位を冠した伝統ある氏族。「ロイヤル」と名のつくことからもわかるように、王室ゆかりのタータンチェックで、かつては女王陛下の許可のもと厳粛に家臣たちが着用したのだとか。この他にも、「スチュワート」という名が入っているタータンチェックは、何らかの形でスチュワート王家やイギリス王室にゆかりのある模様だと想像することが出来ます。

 

Black Watch(ブラックウォッチ)

 


DRESS GORDON(ドレスゴードン)

 

上のブラックウォッチは、軍服に用いられていた伝統柄。こちらも誰もが一度は目にしたことのある定番のチェック柄ですね。キャンベル家を起源とし、ドイツから迎えられたイングランド王国ジョージ1世が編成した軍隊の軍服に用いたチェック模様のことをいいます。当時争いをしていたイングランド軍の赤い軍服と見分けるために、あえて暗い色味を用いたそうで、実用品としての歴史を語る柄です。 

 

そして、下のドレスゴードンは、ゴードン一族のゴードン公爵の柄です。12世紀頃よりスコットランド東部を統治していたゴードン一族の柄は、ブラックウォッチをもとに生み出されたのだそう。ドレスゴードンは、そのゴードンタータンにホワイトを加えて、女性らしくアレンジした柄で、公爵夫人や一族の婦人に親しまれた歴史があります。 

 

 

 

ここまでサイズや色など、選び方を中心にご紹介してきましたが、お気に入りのマフラー・ストールが見つかったら、巻き方にもこだわりたいもの。一重に巻いて、端を結ぶ。二重に巻く。王道の結び方も良いですが、少し変化のある巻き方を覚えておくと、様々なアレンジが出来て巻物使いがより楽しくなります。今回は、「簡単に出来て、美しく柄が引き立つ。尚且つ暖かい」という3拍子揃った変形巻きを一つご紹介します。

 

 

 

ご紹介するのは、こちらの巻き方。編み込まれたような見栄えで、チェック柄のラインが縦横斜めと複雑に行き交う、動きのある仕上がりです。薄手のウールストールは、首元にしっかりと巻きつけないと風が通って暖かさが半減してしまいますが、かといって幅のあるストールを幾重にも巻くと息苦しいですし、首元がもたついてしまいます。そんな悩みを解消する実用的な巻き方ですので、ぜひ試してみてくださいね。

 

 

 

50×185(cm)のストールを使ってご紹介します。広げてみるとこんなサイズ。肩から羽織れるだけのたっぷりとした大きさです。

 

 

 

1.幅を二つ折りにした状態で、首にかけます。

2.首の前に輪が出来るように一重巻きにします。この時、輪はゆったりめに作るのがポイント。

3.2でつくった輪をくるりと捻り、8の字にして小さな輪を作ります。(図の○印)

4.小さな輪の中に片端を入れ込みます。

5.続いてもう一方の端も輪の中に入れ込みます。

6.フリンジを整えて完成です。

 

王道の一重巻きに「ひねり」を加え、両端のフリンジを入れ込むことで立体的に見せているのが面白いところです。ぎゅっと締め付けなくても自然にハイネックのように首回りに高さが出るので風を通しにくく、実用的。180cmくらい長さのあるものならマフラーサイズでも使える巻き方です。

 

 

 

 

ウール(羊毛)製品はラノリンという成分が水分をはじく役割を果たすので、本来あまり汚れが付きにくい優秀な素材です。そのため、日常使いにするウールマフラー・ストールについてはさほど神経質になる必要はありません。長く使うために、定期的に汚れのチェックと適切なケアを行いましょう。

毛足の長いニット、マフラー、コートなど、繊維製品を重ね着する機会が増えると、摩擦による静電気によって、ホコリやゴミを集め繊維に絡まりがち。そのまま放っておくと虫喰いの原因になり、乱れた毛並みは毛玉が出来る原因にもなるのです。

 

洋服ブラシを使ってブラッシングすることは、絡んだ繊維の流れを戻しほこりやゴミを取り除くこと。また、繊維の毛羽立ちが少なくなるので新たなホコリの付着を抑える効果もあります。洋服ブラシは必ず静電気が起こりにくい天然素材を使用してください。おすすめは、適度なコシがある豚毛です。

また、頻繁にクリーニングに出すことが出来ないので、匂いのケアも要注意です。人の多いレストランや満員電車など、匂い、湿気のこもりがちな場所では出来るだけ折り畳んでバッグの中にしまうようにし、やむをえず匂いがついてしまった時は、ウール製品にも使用できる消臭スプレーでケアしましょう。直射日光を避けて風に当てると匂いが軽減します。

 

 

 

 

Abraham Moon & Sons Ltd(アブラハムムーン&サンズ社)は1837年設立の老舗織物メーカー。 その歴史は、リーズ市近郊のギズリーという街とヨークシャデールズ周辺で発祥し、地元の多くの人々に愛用されていたものから始まります。 その地方の各家庭で手織り機を使い織られていた生地を アブラハムは馬とカートに乗せ、市場で売るためにリーズ市へ運んでいたのだそう。30年後には工場を構えるようになり、1890年代初めには日本にも輸出が始まりました。

 

 
1900年代初めには現在の工場に変わり、染色・混合・紡毛・工職の作業を一貫して可能になり、時代を経て今もなおその伝統的が受け継がれています。 Abraham Moon & Sons(アブラハムムーン&サンズ)は世界的ブランドに生地を提供しており、製品はスコットランドの五つ星ラグジュアリーホテルに提供している信頼のあるウールメーカーであり、今回ご紹介してきたHighland Tweeds(ハイランドツイード)は、そのプレミアムラインです。ここで取り上げた以外にも、美しいカラー、柄が目白押しのHighland Tweeds(ハイランドツイード)。ぜひ、長く愛用できるお気に入りの一本を見つけてみてくださいね。

 

 

▼ビクトリア女王の時代から続く、ウールの名門

ーAbraham Moon & Sons・Highland Tweeds

 

 

▼ウールの名門が手がける、タータンチェックがずらり

ーHighland Tweeds

 

投稿者: 斎藤 日時: 2017年11月02日 11:00 | permalink

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