冬になると着たくなる、ニットウエア。暖かさという点ではもちろんですが、ふんわりと包まれるような感覚や、デザインされた編み目のかわいらしさなど、私たちがニットに惹かれる理由というのは多々ある気がします。
編み物という意味でいうと、夏に着るTシャツや、マリンルックが素敵なバスクシャツも、ループがつながることで形成される「ニット」素材。でも、特に「ニット」という呼び方をするのは冬の、暖かいセーターやカーディガンが多いですね。
ニットは、編まれた生地の総称なので、そのニットを使ったアイテム名で呼ぶことが正しいのですが、ざっくりと編まれたセーターや、ふわふわと起毛されたカーディガンを「ニット」と呼びたくなるから不思議です。
ニットは、素材の多さや変幻自在な形が魅力の一つ。重ね着で肩が凝りがちな寒い時期には、一枚で着てお洒落に決まるようなデザインのものや、定番型でもディテールにちょっと凝っているものなど、自分のスタイルやファッションに合うマイ・ニットを見つけておくと冬のコーディネートの強い味方になってくれます。
【 ウール 】
パンツ:ビエラチェックパンツ
シューズ:サボ TEXAS 50 SWEDE
ウールと言うと、一般的には羊の毛を指します。水や汚れをはじく特性があり、弾力に優れてシワになりにくいのも嬉しい点の一つです。また、素材そのものが調湿効果を持っています。動物繊維の表面にはキューティクルがあり、これが開閉して湿った環境下では吸湿し、乾燥している場合は放湿を行い、空気中の水分を調節する役割を果たします。化学繊維にはない快適さはこの天然の機能からきているのです。
保温性という観点からは、空気の層を溜め込むので暖かく、見た目にも冬のファッションの代表格と言えます。
TW Kempton(ケンプトン)のウーリー・プーリー クルーネックセーターは、ひとひねり効かせたデザインで、これ一枚着るだけでお洒落に決まる頼もしい存在です。肩と肘部分に強度が高い生地コットン・ポリエステルツイル生地のパッチを縫い付けています。こうした縫製は狩猟用の衣類に多く見られる英国伝統のセーターの形で、元々は耐久性を高めるための工夫でした。ですが、デザインとして見てもポイントになっていますね。個性的な装飾があっても、形としては定番のセーターなのでスカートにもパンツにも合わせやすく使い勝手の良い一枚です。
ミドルゲージのちょうど良い厚みで、横方向によく伸びる畝(うね)状のリブ編みを採用しているので、無理なく体にフィット。首元が少しだけ立ち上がったミニモックネックタイプです。
【 カシミヤ 】
「繊維の宝石」と呼ばれる希少性を持つカシミヤは、繊維が細いためチクチクと皮膚を刺激せず、かつ長い繊維が独特の滑らかな肌触りと上品なツヤを生み出します。大人が持つべき一枚、とも言えるカシミヤを使い、ZUTTOがオリジナルで作り上げたのがこちらのセーターやロングカーディガン。
採用したカシミヤは、世界で最もカシミヤの産地で信頼を集めている内モンゴルのもの。その大自然の中で放牧され、非常に厳しい管理・検査の元、送り出されるカシミヤ原毛から一貫生産出来る、ニットの専門ファクトリーに製造を依頼しています。
カシミヤ100%の製品は特にカシミヤ以外の混入物を含まない事、その純度が気になりますが、原料加工から仕上げまで一貫して行うこちらのカシミヤ製品は、厳しい検査を経る確かな素材です。純度は、一般的にヨーロッパの基準が95%以上、日本97%以上という中、こちらのカシミヤは99.99%という検査結果を誇ります。
インナー:タートルネックカットソー
スカート:ニットボーダースカート LEF173013
バッグ:【別注】3WAY WALLET BAG
【 コットン 】
いくら暖かくても、ウールのチクチクが苦手だったり、赤くかぶれてしまう方もいます。肌に合わないものを無理矢理着続けるなんてことは出来ません。そんな方に是非おすすめしたい、コットン100%素材のもの。コットンは寒い、と思いがちですがふっくら厚手に仕上げたコットンのプルオーバーもあります。
アメリカの高品質アンダーニットウェアーメーカー、Healthknit(ヘルスニット)。良質な生地による心地よい肌触りと、ハードワークに耐えうる丈夫なウエアを作るブランドです。ZUTTOでは春夏向けのTシャツや薄手のロングスリーブをご紹介してきましたが、秋冬用に厚地のものが登場しました。
スーパーヘビーワッフル ロングスリーブは、編機の限界まで度詰めにしているほどのワッフル素材。ぽこぽことした均一の編み目は模様のようにも。コットン100%で、肉厚で伸縮性に優れていて保温性も抜群です。袖口は横編み機で編み立てられた特別なリブで仕上げています。秋口には一枚で、本格的な冬の寒さにはインナーとしても重宝します。
【 Vネック 】
ニットの首元の定番、Vネックはその開き具合やディテール一つで随分と印象を変えます。 女性らしくヘルシーに肌が見え、冬にありがちな窮屈な印象を与えません。
john branigan(ジョン ブラニガン)のVネック コートは、ざっくりと大きい編み目のデザインがかわいらしい一枚。ボタンを留めると深めのVラインなので、中に着るカットソーやセーターとのコーディネートを楽しんでくださいね。
コートという名ですが、厚手のカーディガン感覚で羽織れますので、これから長い期間活躍してくれます。
肩幅が大きめに作られているので、羽織ると肩が落ちて丸みを帯びたシルエットに。大きめのポケットが両サイドに付いていて、アクセントにもなっていますね。ネイビーとブラックを交互に編み込んでおり、奥行きがありながらどんな服にも合わせやすいベーシックなカラーが嬉しいポイントです。
John branigan(ジョン ブラニガン)は1964年、編み物の産地として有名なアイルランド東部の街、トロヘダ(DROGHEDA)に創業した、伝統的なアイリッシュツイードの生産を得意とする老舗ファクトリーから生まれたブランドです。独特な色づかいと丁寧な編み込みが印象的なアイリッシュの伝統あるスタイルを守り、受け継がれきた編み機を使って生まれる生地は、類まれなるデザイン性と実用性を兼ね備えています。
【 襟付き 】
ニットで襟付き、というのはなかなか珍しいデザインです。首元を温めたいけれど、タートルネックのようにぴたっと首に沿うものは窮屈で苦手、という方も。そんな時に丁度良いのはこのような襟付きかもしれません。立ち上がった首元だけれど、詰まった感じはしません。
スカート:チェックティアードスカート
シューズ:タッセルシューズ BROWN
幅広で緩やかなラインを描く大きめの襟が顔周りを演出するデザインで、シンプルなセーターを小洒落た雰囲気に見せてくれます。手首、腰回りの太めのリブ、しっかりと頑丈に仕上げられたパーツの合わせ目など、シンプルな中に長年マリンウエアを手がけてきたFileuse d'Arvor(フィールズダルボー)らしいこだわりを感じさせます。細いウール糸をしっかりと目を詰めて編み上げているので、大切に着れば長く長く愛用することが出来ます。
Fileuse d'Arvor(フィールズダルボー)は、1927年にフランス北西部、ブルターニュの港町カンペールで創業しました。港町で創業したブランドということもあり、創業当初より幅広くマリンウェアを展開し、フランス海軍のオフィシャルサプライヤーとしても活躍していた実績があります。
【 ハイネック 】
暖かに過ごせるハイネックセーターは肌寒くなる季節の必需品。首にぴったりと沿うものもあれば、Letroyes(ルトロワ)のこのタートルネック LTW910のように、緩くふんわりと首を包みこむようなデザインのものも。窮屈さを感じず、リラックスした雰囲気になるのでよりおしゃれな印象に。
ワッフル編みのボディには手触りのスムースなカシミヤウール(カシミヤ10%)を使用しています。ふわふわとしたモヘヤ糸で太さの異なるボーダー柄を表現し、編地の変化や異素材の組み合わせが凝った表情を作っているので、シンプルなボトムを合わせただけでお洒落なスタイルが作れます。
Letroyes(ルトロワ)はフランス・シャンパーニュ地方の老舗のファクトリーから、2009年にデビューしたニット・カットソーのブランド。フランスのブランドならではの上質な素材使いや洗練されたフィッティングを持ち、新しさと共にどこかノスタルジックな雰囲気も漂います。
広い面積を占めるコートなどのアウターは暗めのものが合わせやすいからと、ついつい、黒やグレー、ベージュに手が伸びる秋冬のファッション。中に着るニットまでその色ばかりにしてしまうと、気分まで暗くなってしまいそう、なんてことも。もちろん、使いやすいベーシックな色はワードローブには不可欠ですから、2枚目・3枚目にオススメしたいのは、明るい色で魅せるニットと、アースカラーでなじむ色だけれど季節を感じるニット。
【 レッド 】
目を奪う鮮やかなレッド。レッドはマンネリしがちな冬のコーディネートに変化をつけてくれる色です。お顔周りがパッと華やぎますし、存在感があるので目線を上に上げてくれる効果もあります。デニムとの相性も良いので、迷ったらまずはデニムに合わせて。写真では、ニットの下に白シャツを着て、足元はサイドゴアブーツ。メンズライクなものと合わせると赤が持つ「女性らしい雰囲気」をうまく調和してくれますよ。
ANDERSEN-ANDERSEN (アンデルセン-アンデルセン)のセーラーセーターは、デンマークの船乗りが着ていたフィッシャーマンセーターをベースにしています。原料は南米産・イタリア製のエクストラスパンメリノウール。メリノウールの中でも太目で繊維の長いものを厳選することで暖かさと柔らかさを作っています。厚地のニットで、編み目がぎゅっと詰まり、かつ表裏が同じ編み目となる両畦編みを採用することで、生地に厚みを出しています。上着いらずとも言えるほど、本当に暖か。
前後対称に作られているので、どちらを前にしても着られます。これは、明かりの少ない船内で、忙しい船員達が前後を気にせず素早く着られるようにする為のデザインの名残です。
【 ピンク 】
スカート:コーデュラミニ裏毛 スカート
シューズ:サイドゴアブーツ Black
バッグ:ショルダーバッグ STANDARD
女性らしく、柔らかい雰囲気のピンク。取り入れにくい、と思わずにコーディネートしてみたら意外にも合うものが多いですよ。画像は、ZUTTOオリジナルの裏毛スカート(ブラック)と合わせています。ブラックだけでなく、ピンクはカーキとも相性が良いですし、同じトーンのグレーとも馴染みます。ピンクをトップスに取り入れたら、他の色は落ち着いた色みにすると程よく引き立ちます。
C.T.plage(シーティー・プラージュ)のSOFT WOOL クルーネックセーターは、ウール100%とは思えないほどにしなやかで柔らか。一枚で着て透けない程よい肉厚感と、しっとり柔らかな肌触りが特徴で、首周りがすっきりとしています。ベーシックな薄手のニットは、何枚持っていても便利ですね。
ベーシックな形で何にでも合わせやすく、裾は入れても出してもバランスが取れます。
【 カーキ 】
スカート:ニットボーダースカート LEF173008
マフラー:マフラー Rievaulx Navy
シューズ:Professional プロフェッショナル Black Oiled
バッグ:SIBELL bordeaux
寒くなると着たくなる、カーキ色のセーター。どこか温かみもあり、ホッと安心する色なのかもしれません。メンズライクにも、女性らしくも着こなせる色なので、一枚あると重宝します。
一枚でサラリと着ても良いですし、白シャツを中に入れると明るさもプラスされ、合わせるボトムスの幅も広がってきます。
素材のシェットランドウールとは、スコットランドのシェットランド島で育つ羊の毛のこと。シェットランド島は、北大西洋の強風ゆえに、ほとんど牧草がなく、その島の羊は海藻を食べて育ちます。厳しい環境で育つため、非常に軽くて暖かく、発色が良いのが特徴で、その美しさは他に真似出来ないものです。
Harley of Scotland(ハーレーオブスコットランド)は、設立当初からホールガーメントを採用しています。丸胴編みと呼ばれる製法で、ボディとアームに縫い目がないため、着用時に中でごわつかず、着心地の良さにつながっています。毛足の長い糸で肌触り、保湿性が抜群ながら、着ていることを忘れるほどの軽さも特徴的です。
ニットの寿命は、毛玉との戦い。
ニットは、ほつれてきたり汚れることで着られなくなるより、毛玉が出来て見た目が悪くなってしまったことで寿命を迎えることのほうが多い気がします。
毛玉は、天然繊維のものには必ず出来るものなので、いかに毛玉を少なく抑えるか、を意識したお手入れを行うしかありません。
毛玉のメカニズムとは?
そもそも、毛玉はなぜ出来るのでしょうか?ニットからは、小さな繊維がたくさん出ていますが、その繊維が摩擦でからまることで毛の流れが乱れ、さらに洋服やバッグなどとの摩擦で毛が丸まることで毛玉となっていきます。
毛の流れが乱れた時に洋服ブラシで整えることが、毛玉ケアの第一歩です。毛玉が出来ていないうちから着用後は必ず、洋服ブラシを使ってください。
1.ニットを軽く振って表面についているホコリやゴミを落としてください。
2.ハンガーに掛ける、またはテーブル等の上で平置きします。
3.ブラシを当て、手首のスナップをきかせて、毛の流れに沿って一方向に、ホコリを払うようにブラッシングします。力を入れてゴシゴシこすっては繊維を傷つけたり編み目が広がってしまうのでご注意ください。
また、洋服ブラシの役割は毛玉ケアだけではありません。ニット製品は摩擦による静電気でほこりやゴミを集め、繊維に絡めてしまいます。ほこりやゴミは虫喰いの原因になりますので、洋服ブラシを使ってブラッシングすることは、それらを取り除くためでもあります。
また、繊維の毛羽立ちが少なくなるので新たなごみの付着を抑える効果もあります。
毛玉が出来てしまったら?
出来てしまった毛玉は、必ずハサミで取り除いてください。指でむしり取るとその周辺の毛が引っ張られ、新たな毛玉が出来やすくなります。
毛玉取りブラシや毛玉取り器は、毛玉を削り落とすので綺麗になったように見えますが、生地を傷めますし、何より大切なニットがどんどん薄くなっていってしまいますので、オススメしません。
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