私たちの毎日の食事に欠かせない道具、お箸。
食卓にあがる料理は和食だけでなく洋食、中華様々ですが、それでも食事の
道具として一番使うのはお箸、という方が多いと思います。
ナイフ、フォーク、スプーンのように、それぞれが「切る・刺す・すくう」の単一の
機能しか 果たさないのに対して、 箸は二本一組の「一膳」で「つまむ、はさむ、
押さえる、 すくう、裂く、のせる、はがす、支える、乞む(くるむ)、切る、運ぶ、
混ぜる」といった、言葉にすると実に多彩な機能を果たしている万能道具です。
こうして改めて考えてみると、お箸とはシンプルですごい道具なのですね。
いつもはあまり気にしないけれど、日々手に取るお箸について、学んでみましょう。
天(頭):お箸を持った時に上(天)を向くことから名前が付いています。
持ち代:お箸を持つ部分。箸頭に対して1/3程の場所に支点(親指)がくるように持ちます。
使い代:食べ者をはさむ部分。
箸先(食い先):食べ物をつかみ、口に入る部分。
食べ物をつまみ、口に触れる箇所が「箸先」です。
故に、この箸先は非常に大事で、料理の味や印象を変えてしまうと言われる程なのだとか。
細い箸先は口に当たりづらいため食感の邪魔をせず、料理をきちんとつまみ、
量をさほど持てないことから一粒のご飯の旨味も感じられるようになると言われています。
もちろん、細ければ良いという訳ではないと思います。
食べる食材や料理によって、箸先も様々なものがあるのです。
例えば、
・ラーメンの箸:箸先に縦横に溝を作り、麺をしっかりキャッチします。
・そばの箸:細くて四角の箸先でそばが食べやすい形状です。
・うどんの箸:星形の箸先でうどんをしっかりつまみます。
・刺身の箸:先端が極細でお刺身や繊細な料理をしっかりと挟みます。
・焼き魚の箸:魚の小骨までしっかりつまめる形状の箸先です。
多くの人が、自宅では「自分用」のお箸があるかと思いますが、お箸を使う文化は
世界中にあれど、自分用のお箸が決まっているのは割と珍しいことなのだとか。
日本では、お箸の長さや太さ、重さなど自分に合ったものを使うことが良しと
されてきました。男性と女性では合うお箸の長さが違うので、自然と「自分用のお箸」が
決まっていたのです。
一咫(ひとあた)とは、あまり聞かない単位ですが自分の親指と人差し指が
直角になるようにした時の、親指から人差し指までの長さのことを言います。
自分に合ったお箸の長さは、その一咫(ひとあた)に1.5を掛けた、「一咫(ひとあた)半」
だと言われているのです。
例えば、一咫(ひとあた)が14cmの人は、14×1.5=21cmのお箸が合っているということです。
お箸はいただいたり、何となく買ったものを使っていることが多いかと思いますが、
これを機に一度自分に合った長さのものを試してみるのも良いかもしれません。
【女性の目安】
一咫(ひとあた)14〜14.5cmの方(お箸の長さ21〜22cmが適切な方)
・輪島キリモト 拭漆楕円箸
・輪島キリモト お箸と箸置きセット
・HYOZAEMON 八景夫婦桐箱(金箔台紙)
【男性の目安】
一咫(ひとあた)15〜15..5cmの方(お箸の長さ22.5〜23.5cmが適切な方)
・HYOZAEMON 黒檀 利休(大)
・輪島キリモト お箸と箸入れセット
・公長齋小菅 お箸セット 竹箸 八角
【漆のお箸】
日本のお箸に多く見られるのは、木地に漆を塗ったもの。
漆には様々な機能があり、お箸にそれを塗るのは、ちゃんとした理由があるのです。
・防水性
・防腐性
・防虫性
・保温性(持った時、手に程よい温かさを感じる)
漆をコーティング材として使用することは、お箸の耐久性を高め長く愛用するための手法と言えます。
ザラついた木の表面を漆が覆うことで口あたりを良くし、何度も塗り重ねることで強くなっていきます。
【竹のお箸】
竹の特徴として、「軽くてしなやか、そして堅い」ことが挙げられます。
お箸は食べ物をつまむだけでなく、「切る、裂く、押さえる」といった、力を要する作業をすることがあります。
そんな時、竹のしなりのおかげでお箸に過度な負担をかけることがないのです。
他には、
・防カビ性
・防腐性
という特徴も持っています。
お箸は日々使うものですから、剥げたり、摩耗して色が薄くなったりと消耗していきます。
愛着のこもったお箸を長く愛用するためには、ちょっとした配慮が必要です。
・使ったらすぐに洗ってすぐに拭く。
お箸はどんな素材でも水や洗剤へのつけ置きはNGです。
食事を終え食器を下げたらお箸だけでもすぐに洗うのが良いです。
・たわしやクレンザーNG。
剥げの原因になりますので、お箸をきつく洗ってはいけません。
・食洗機はNG。
高温で水圧も高い食洗機の内部では、箸は固定されず箸同士が擦れるので細かい傷が付きやすいのです。
・表面がざらついた碗や器はなるべく使わない。
箸先を削る事になるので、箸だけの事を考えるとざらついた器は適しません。
・日陰に収納する。
日光を浴びるところに置いておくと漆や蜜ろうが紫外線を吸収して変色することがあります。
お箸にまつわるマナーは様々あり、「やってはいけない、禁じ手」が多く存在します。
中には「こんなことも?」と驚いてしまうような、ついついやってしまっていることも
あるかもしれません。
マナー上手になって、まわりの方とも気持ち良く食事を楽しみましょう。
・渡し箸
食事の途中で食器の上に箸を渡して置くことを言いますが、これは、「ごちそうさま」の意味。
箸は必ず箸置きに戻し、箸置きがない場合は最も低いお皿(豆皿や取り分け用の小皿など)に
箸先をつけて置きます。
・重ね箸(移り箸)
一つのおかずばかりを食べ続けること。
お箸の使い方というよりも、食事そのものの仕方を示しているマナーですね。
様々なおかずとごはんをバランス良く食べることを大事にしている和食ならではの禁じ手のようです。
・拝み箸
「いただきます」の際に、箸を持ちながら両手を合わせること。
お箸の先が横の人に向いてしまうのがマナー違反なのだとか。
・返し箸(逆さ箸)
大皿から料理を取り分ける際に、お箸の天部分(持ち手側)で取ること。
しかし、箸先で取り分ける直箸もマナー違反なので、取り分け用のお箸を用意するのが良いですね。
他にもお箸の禁じ手(嫌い箸)は様々あり、全部で約30種類ほど。
マナーとは形式的なことではなく、料理や食器そのものを美しく見せ、自らの振る舞いによって
感謝の気持ちを表すためのもの。
そんな気持ちを持って食卓につくと、自然と気も引き締まり、箸使いだけでなく姿勢も正したく
なってしまいそうですね。
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