好きな服を身に付けて着飾り、お洒落を楽しむ。様々なコーディネートスタイルが溢れる現代で、何を着るかは私たち一人一人に委ねられる要素ですが、自分らしく装いたいと願う想いはいつだって共通です。ところが、例えば、季節やお天気など、これを着たい身に付けたいと思う気持ちにブレーキをかけてしまう要素があるのもまた事実。特に真夏は、出来るだけ身軽でなおかつ暑くないようにという機能性を重視するがゆえに、着こなしがワンパターンになってしまいがち。
その意味で、夏本番は服の本来の機能に立ち返り、着心地重視の服選びを見直すのにぴったりなシーズンでもあります。今回ピックアップするのは、ZUTTOオリジナルのチノトラウザーズ。春先に登場して以来、じわじわとファンを増やしているアイテムの一つです。実際にチノトラウザーズを手に入れたZUTTOスタッフの話をもとに「夏にチノって、どうなの?」という視点で実証してみました。
何となくイメージは湧くけれど、正確に説明するのはちょっと難しい。どうやら、世の中にはそんなアイテムが幾つも存在するようで、チノパンというのもその一つにカウントされる模様。「シンプルなコットンパンツ」で「色はカーキやベージュ」、「定番品として愛され続けるボトムス」「そして長い歴史があるらしい」。そんな断片的なイメージを繋ぎ合わせれば、確かにチノパンのアイデンティティが見えてきますが、明確な理由もなしに何となく手にすることが多く、その正確な定義を意識する機会は少ないかもしれません。もともとこのチノパンという言葉は、かつての世界大戦時に、アメリカ軍が軍服用として中国から大量に買い付けた生地が由来になり、【CHINA(チャイナ)】から”チノ”と呼ばれるようになったという説があります。
チノパンが生まれた背景や歴史についてはこちらで詳しくご紹介しています。チノパンのストーリーに興味がある方はぜひご参考ください。
>>>よみもの「履き込んでじっくり育てる。こだわりを詰め込んだチノトラウザー」
ZUTTOでは、軍服であったチノトラウザーの良い部分を存分に取り入れながらも、女性が取り入れやすく美しいシルエットにこだわるという視点で企画を進めました。
シルエットは、女性にも使いやすくメンズライクになりすぎない裾にかけて細身になるテーパードタイプ。生地にはVATDYE(バット染め)を施しています。このVATDYEは洗剤に強く、色落ちしない一方で、摩擦での堅牢度が低いために、着用時のアタリ(デニムなどに良く見られる色落ちした部分)が出やすく、履き込むごとに自分だけのヴィンテージの風合いを作り出すことが出来ます。この染色方法は濃色の色出しが非常に難しく、熟練の職人でも手を焼くほど。現在では衣類に関しては殆ど使用されていません。摩擦で表面の色が落ちてしまう訳ではなく、着るほどに素材の良さを実感できる生地なので、デニムと同じような「育てるトラウザー」といえます。
情報として「チノってこんなもの」と詳細に語ることは出来ますが、一番気になるのは「実際の着心地」。ここからは、夏にチノってどう?という視点で実際にこのチノトラウザーズを愛用しているスタッフに一問一答を投げかけてみました。
Q1:夏にチノって、ずばり暑い?暑くない?
愛用者の答え:真夏以外は十分履けると思います!
「ZUTTOのチノに採用されている生地は丈夫なワークウエアの生地を得意とし、著名な海外ブランド等にも供給する広島県福山市の織物工場と、FOB FACTORYが共同開発したオリジナル。実際に穿いてみると、新品の時は結構ハリがあるなという印象だったのですが、定期的に身につけるようになって1ヶ月ほど経つと、すこしくったりしてきたように思います。
厚みという点では、真夏に穿くには少し暑さを感じてしまうかもしれません。ただ、腰から太ももにかけて、少し膨らみがあり裾にかけてすぼまるテーパードシルエットなので長時間歩いた時に汗がついて不快、というようなことは今の所感じていないですね。例えば肌にぴったりフィットするスキニージーンズだと汗がじっとりまとわりつくような感覚があると思いますが、それと比較すると不快さは少ないように思います。」
Q2:トップスとの相性は?
愛用者の答え:カットソーも綺麗めシャツもOK。タックインかアウトかで印象が変わります。
テクノラマ天竺 切り替えトップス 、 レザーベルト PV887 、 スネークデザイン バングル/196
「チノパン=カジュアルというイメージですが、ラフなTシャツはもちろん、リネン素材のノースリーブシャツのように綺麗めな襟付きのトップスも合わせていますね。そもそもチノパンが合わせる服を選ばないシンプルなアイテムだというのもありますが、ここでもテーパードラインによるシルエットの美しさが効いているのかなと思います。それと、着回しやすい理由の一つが、トップスの裾はインでもアウトでもバランス良く仕上がるというポイント。これは商品ページの画像でも紹介があるのですが、ハイウエスト気味に穿いてトップスの裾を入れると、脚がぐんと長くすらりと見えるんです。逆に、パンツのウエストラインを腰まで落としてトップス裾を外に出せば綺麗めなカジュアルというラフな感じに仕上がります。」
Q3:夏シューズとの相性は?
愛用者の答え:そのままだと丈が長め。ロールアップで、フラットサンダルともスニーカーとも綺麗なバランスに。
左:ロールアップ1回 右:ロールアップ2回
※身長166cmサイズ1着用時
「私はスニーカーを含めヒールのないフラットシューズを履くことが多いのですが、フルレングスだとギリギリ足首が見えないくらいの長さなので、サンダルを履く時は1回か2回ロールアップしています。1回だと膝下の長さが保たれてすらりとした印象、2回だと足首がしっかり見えるのでほっそりとした印象になります。身長と着用サイズにもよると思うのでロールアップするか、するとしたらどれくらいかはお好みになりますが、個人的には夏のサンダルと合わせるならしっかり足首を出して涼しげに見せるのがおすすめです。実際その方が涼しく感じますし(笑)」
Q4:洗いざらしの風合いは?
愛用者の答え:きちんと伸ばしてから干せば、シワは気になりません。
「チノパンに限らず、特にコットンや麻のような天然由来の繊維の場合、はじめてのお洗濯の時はどんな風合いになるのか、悪い意味で風合いが変わってしまわないか気になりますよね。私はZUTTOのオリジナルチノのカーキ色を持っているのですが、最初のお洗濯では色落ちも風合いの変化も特に気になりませんでした。綿のお洋服はシワになるものもあるので、洗濯機から取り出した後、干す前にきちんとシワを伸ばしてから乾かすようにしているのも良かったのかもしれません。」
Q5:アイロンがけは必要?
愛用者の答え:綺麗に履きたいなら、アイロンがけの一手間を!
「シワは気になりませんが、洗いざらしの風合いはラフでカジュアル。洗いたての白いTシャツに合わせて履きたいなぁという感じです。逆に、綺麗に履きたい時は少々手間でもアイロンがけをしてぴしっとプレスすることで、綺麗なテーパードラインが出ます。ヒールサンダルや女性らしくエアリーなノースリーブトップスなど、女性らしいコーディネートで見せたい時、アイロンがけしたばかりのチノパンを穿くと不思議と背筋も伸びる気がしますね。
ZUTTOのチノパンの詳しいアイロンがけの方法は過去のZUTTOのよみものシリーズでご紹介があります。これを見ると、やはりアイロンがけをすると同じパンツでも印象がぐっと変わるなと思います。そのよみものは”衣替え”をテーマに編集したものですが、もちろん日常的なケアも同じです。」
チノパンのアイロンがけも詳しく紹介しているよみものはこちら
>>>次シーズンへのバトン。衣替え前のメンテナンスはアイロンがけで仕上げる
合わせるお洋服によって、活躍の場が広がるZUTTOのチノトラウザーズ。ZUTTOスタッフの一問一答にもある通り、特に夏はロールアップとシューズの相性次第でいろいろな見せ方が出来る模様。
【別注】ワッフルクルーネックショートスリーブ H/GRAY、デッキシューズ L012 BLACK、2WAYカンケンバッグ ブリック レギュラー、ダブルリングベルト、ALBA リキ腕時計 AKPK426
ハイカットスニーカーに、多めにロールアップしたチノパンを合わせたコーディネートがこちら。ジャストサイズよりも1つ上のサイズのチノパンを腰履きしてゆるりと着こなすと、また違った印象になります。腰履き+パンツを多めにロールアップすると脚が短く見えやすいのですが、トップスの裾を入れることでバランスよく仕上がっているのが分かりますね。
ヘビーウェイトTシャツ 、 STERLING SILVER BANGLE SLIM SB9 、ターバンデザインエスパドリーユサンダル
夏らしいジュートのヒールサンダルと合わせれば、同じチノパンもぐっと洗練されたアイテムに。トップスもボトムスも、それぞれ袖口と裾をロールアップしているので夏らしい着こなしに仕上がっています。また、ZUTTOのチノトラウザーズはひざ下のパターンが立体的になっていて、生地の切り返し(合わせ目)のラインが緩やかなカーブを描くため、ヒールを履いた時に脚がより美しく、かつ長く見えますよ。
ワイドワンピース BLACK、プレーンパンプス GARGOYLE、FLAT SHOULDER/S BLACK、STERLING SILVER BANGLE SB32
2回ロールアップしたチノパンを合わせると、ボリュームのあるチャンキーヒールのパンプスを合わせてもすっきりコンパクトなシルエットにまとまります。さらにこちらのコーディネートではオーバーシルエットのシャツワンピースを重ねているので、上半身と足元にボリュームの重心が分かれるのですが、その分ボトムスの裾を多めにロールアップしてキュッと引き締めることでメリハリを生まれます。
▼ディテールが光る、ZUTTOのオリジナルチノ
▼着る人に寄り添う素材と形。ZUTTOのオリジナルウエア一覧