少ないモノで、豊かに暮らす。こうした価値観が少しずつ通念化し、どれだけたくさんのモノを持っているかではなく、どれだけ深く愛し、自分らしくいられるかが豊かさの尺度となりつつある現代。「あの人」と同じものを持ちたい、名の知れた「あのブランド」が欲しい。そうした「誰か」「何か」と同じものさしから離れて自分らしさを追い求めるということは、分かりやすいお手本が不在であることの裏返し。
ということは逆の捉え方をすれば、リアルな愛用品を見つめることで「自分らしさ」「その人らしさ」が分かるはずです。今回の主人公は、ZUTTOのスタッフの仕事カバンと仕事靴。セレクトや企画を担当する2名の愛用品とその表情を紐解きます。
愛用者:
商品セレクト担当のスタッフS。日本製/インポート問わず、長い歴史に裏付けられたもの、職人の手仕事や技術力を感じられるモノを広くセレクト。
最近セレクトしたのは、絲tabane(たばね)のジュエリーや、 ABBEY HORN(アビーホーン)のシューホーンなど。
アイテム名:fabricaトートM 0002 ash gray
愛用歴:約3年
fabrica(ファブリカ)は、帆布ブランド6SHiKiが手がけるシリーズの一つで、帆布には珍しいアースカラーの色展開とレザーとのコンビネーションが特徴。ZUTTOでのお取り扱い開始当初は、ブランドの意向でギャラリー限定での販売だったそう。スタッフS自身が個人的に購入し、その使用感や「ありそうでない」帆布とレザーのニュアンスを実感したことでZUTTOでもご紹介出来ることになったと言います。
「使うほど自分色になっていく帆布はもともと好きなのですが、このトートはレザーとのコンビになっていて、床に置いた時に汚れにくいのが実用的で気に入っています。商品セレクトの展示会に行くと、たくさんの資料やサンプルを頂くのでどんどん入れられる収納力の高さは必須です。新品の時は糊が効いていてバリッとしているのですが、毎日使っていたらかなりくったりしてきました。」
スタッフSが使っているトートバッグは、実は過去のZUTTOのよみものでもご紹介したことがあります(当時の記事はこちら)。その時に、新品と私物の愛用品を比較した画像です。もとは濃かったアッシュブルーの色みが薄く、優しげに変化したのは、雨の日も晴天の日も一緒に仕事を共にしてきた証。さらにバッグ全体がくったりと重心を落とし、持ち手が柔軟性を増したのは、たくさんの荷物を運んできた日々を思わせます。
商品セレクトに関する打ち合わせや展示会で歩き回ることが多いバイヤー仕事。歩く距離も長いことから、歩きやすさ重視のスニーカーを選ぶことが多いというのも納得です。
「Asahi(アサヒ)の白スニーカーと、Blundstone(ブランドストーン)のサイドゴアブーツをメインで履いています。もともとヒール靴やカチッとしたレザーの靴は履かない方で、歩きやすさと普段の装いにフィットするかどうかを重視して選びますね。」
愛用歴:半年
オーセンティックな白スニーカーは、まるでまだ何も描かれていないキャンバスのよう。機能的でマニッシュな装いをすることが多いスタッフSですが、時には古着の総柄ワンピースや刺繍入りのカーディガンといったノスタルジックな女性らしさも取り入れる彼女には、このスニーカーのように気取らずに全身のバランスを調和してくれるアイテムがちょうど良いのだとか。
アイテム名:サイドゴア ブーツ BS500 スタウト ブラウン
愛用歴:約3年
雨の日のレインブーツとして、はたまた寒い冬の防寒靴としてヘビーに使っているというのが、Blundstone(ブランドストーン)のサイドゴア ブーツ。
「雨の日は商品の資料やサンプルをかかえて、傘を差して長時間歩いて、電車に乗って…という移動のストレスがどうしても大きくなりやすいですよね。そんな中で、出来るだけ気持ちの面でのマイナス要素を減らすために、靴ってとても大切な要素だなと感じることが多々あって。Blundstoneのサイドゴアブーツは、防水性が高いだけでなく、とても歩きやすいので仕事靴にぴったりなんです。あとは、底冷えのする冬の倉庫にこの靴を履いていったことがあるのですが、その時もこのシューズの頼もしさを感じましたね。」
愛用者:
オリジナルウエア企画担当のスタッフN。「数々の服に袖を通した先に、辿り着くべき服」を求めて、生地やパターンを追求する日々。
最近手がけたアイテムでは、リネン ワンピースや、コズモラマ タックTシャツをご紹介中。
アイテム名:【別注】リネン レザー ショルダーバッグ FONIKKU
愛用歴:半年
奇をてらう訳ではないけれど、思わず「それ、どこの??」と聞いてみたくなるようなモノを持っている人に出会うことがあります。例えて言うならば、スタッフNの選び取るものには、そんな雰囲気が共通しているかもしれません。
「自分が携わった服は、実際に身につけてみて着心地や着回しのバリエーションを考えるようにしているのですが、バッグや靴も出来るだけ同じ目線で捉えるようにしています。
最近メインで使っているのは、MARVELETS(マーヴェレッツ)のもの。リネンとレザーというなかなかお目にかかれない組み合わせを、素材一つ技術一つからこだわって別注としてご紹介したものなのでアイテムとして発信する立場としてはもちろんなのですが、実際に使っていみると経年変化への愛着もやはり大きいなと思います。内側にはポケットが3つ付いているので、名刺やメモなど、お仕事の中でさっと取り出したい時に便利です。手提げにするとくったりと丸みを帯びた形になり、リネンの柔らかさが直に伝わってくるのが気に入っています。」
普段はスニーカーもよく履くというスタッフNですが、「思い入れのある愛用靴2足」というリクエストをしたところ、こちらの2点が登場。
「レザーのフラットシューズが好きで、ブランド違いで似通ったテイストのものが揃ってしまいました。どちらも育てていく楽しみがあるレザー素材で、なおかつスリッポンタイプというところまで一緒ですね。私自身「頑張らないおしゃれ」が快適なので、時間を経るほどに好きなものに対して正直になってきているかもしれませんね。」
アイテム名:chausser 2wayシューズ BL
愛用歴:1年半
chausser(ショセ)の靴は他にも持っていて、その履き心地からファンになってしまったのだそう。
「普段はスニーカーが多いですが、お仕事でちょっとシックなブランドにお邪魔する時やかしこまった場所に出向く時にも履ける靴って、意外と選ぶのが難しいんですよね。こちらはシューレース(靴紐)をつけても、つけなくても履ける2WAY仕様。白いパターントップス+サルエルパンツのような体のラインを拾わない、かつシルエットがユニークに出るモノトーンな装いをすることが多い私にとって、そういった時に足元を引き締めるのに革靴が欲しい、けれど紐靴じゃなくて、かといってパンプスでもなくて。。。という絶妙なラインを拾ってくれるというか。靴紐を取ってスリッポンとして使えば、脱ぎ履きもしやすいのでおすすめですよ。」
アイテム名:タッセルシューズ BROWN
愛用歴:約2年
「 J.REINALDO(ジェイ・レイナルド)のタッセルシューズも、デザインが気に入ってよく履いています。
深めのスリッポンなので、少し慣れるとスニーカーに近い感覚で楽に履けるのがこのシューズの良いところかなと思います。こうした深さのあるスリッポンシューズは、長い距離を歩く方など、中敷を入れてクッションを調整したいという方にもおすすめしたい一足ですね。
またはじめは少し硬く感じましたが、2年ほど履いたら少しずつ馴染んでいってだんだん履きやすくなってきました。タッセルタイプなので足元が寂しくならないですし、黒だとおとなしすぎるかな、、という時にはこちらを選ぶ。そんなイメージでの使い分けています。」
2名それぞれの働く鞄・働く靴を見せてもらったところで、仕事の必需品は?と聞いたところ、両名が差し出したのがこちら。
名刺入れはSonnenLeder(ゾネンレダー)のシンプルなカードケース。そしてFABER-CASTELL(ファーバーカステル)のボールペンは奇しくもエイジングが進んだレザーと同じ色味。
名刺入れ、ボールペンともにバイヤー仕事には必須の仕事道具。先にご紹介した彼女のトートバッグの内ポケットには、いつもこの名刺入れとボールペンが仲良くスタンバイしている訳です。バッグの中でこすれたり、名刺交換をしたりするたびに、革が自然に磨かれるような形になり飴色になっていった、その時間の蓄積を感じさせる愛用品です。
※残念ながら、いずれのアイテムもZUTTOではご紹介が終了していますが、両ブランドとも新たなアイテムを取り揃えていますので、ぜひブランドページをご覧ください。
服とうまく調和し、お互いの存在感を引き立てあうようなアクセサリーを取り入れるのが好きというスタッフN。実際にZUTTOのカタログページの撮影現場でも、シルバーバングルやモードな幾何学デザインのペンダントを取り入れることが多い彼女は、自分自身のワードローブにもそうしたアクセサリーをコーディネートしています。特に、 I.Ronni Kappos(ロニー・カポス)のヴィンテージビーズジュエリーは、身につけない週はないくらいの頻度で愛用中。彫刻や建築の美しさをそのまま身につけることができるような、シンプルだけれど奥行きのあるお洒落を感じさせます。
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