和食に欠かせない、かつおぶし。ふわふわと柔らかく、ホッとするような良い香り。お吸い物の出汁をとったり、冷奴やほうれん草のお浸しの上にパラパラとかけたり。
現代では小分けになったパックのかつおぶしを使っているご家庭がほとんどかもしれませんが、少し前はどの家庭にも一台、かつおぶし削りはあったもので、本かつおぶしと呼ばれる、かつおの身を加熱・乾燥させたものを削ってかつおぶしを料理に使っていました。
今回は、そんなかつおぶし削りの使い方をご紹介する特集です。削りたてのかつおぶしは驚くほど香り高く、それを使ったお料理はシンプルな味付けでもその食材の美味しさを感じます。
今回用意したのは、台屋(だいや)のかつおぶし削り。
台屋(だいや)のかつおぶし削りは、昔のかつおぶし削りを知っている方なら驚くほどのコンパクトさです。その秘密は、従来の「引き出し型」ではないデザインにあります。削ったかつおぶしが下に落ち、引き出しを抜いてかつおぶしを取るのではなく、刃部分と受け皿部分が単純に上下に乗っかっているだけの構造になっているのです。現代に合うかつおぶし削りとして、いつでもすぐに使えるところに置いてほしいとの願いから既成概念を覆し、キッチンの引き出しにも収まり、テーブルの上で椅子に座った状態でも使える高さにしています。
このサイズ感は収納性だけでなく、実際にかつおぶしを削る時にも効果的です。高さをなくしたことで押さえつける力が入れやすく、削りやすい設計になっているのです。また、お子さんにも操作しやすいので、お手伝いがてら大人の方と一緒にかつおぶしを削るのも、食育につながりそうです。
木材は、ウォルナットとブナの2種類をご用意しています。(上画像はブナです)
かつおぶし削りに多い桐ではなく、ウォルナットやブナなどの素材を使用していることも、現代の暮らしや食卓にマッチしています。
ブランドである台屋(だいや)は、新潟県三条市で大工さんが使う鉋(かんな)を1946年から作り続けてきた山谷製作所が手掛けています。和食の良さが見直される中で、一般の人々の暮らしに役立つものを作りたいという想いから生まれたのが、このかつおぶし削りなのです。かつおぶし削りの要は、刃である鉋(かんな)。その道具のプロが作ったかつおぶし削りは、全製品試し削りをしてから出荷されているので、商品が届いたあとに調節することなくすぐに削ることがで出来るのも安心ですね。
それでは、実際に台屋(だいや)のかつおぶし削りを使ってかつおぶしを削ってみましょう。
1.本かつおぶし表面を拭く
本かつおぶしの表面は良質なカビで覆われています。口にしても問題ありませんが、キッチンペーパーやふきんで乾拭きしてください。
2.削る向きを確認
本かつおぶしには「頭と尾」の向きがあります。削る際は必ず、頭側を削ります。尾から削ってももちろん食べられますが、削り節がくるんとしたカールになりにくく、粉になってしまいます。
3.持ち方のコツ
本かつおぶしは少し立てて、斜めに持ちます。こうすることにより握りやすく、小さくなっても削りやすいのです。
4.下に押し当てながら勢いよく、真っ直ぐに
下に向かって力を入れながら勢いよく真っ直ぐに削ります。はじめは本かつおぶしに削り面が出来ていないので多少削りにくく、粉になりやすいのですが、徐々に面が出来ていくとクルクルの削り節が出来ます。
かつおぶし削りの裏面には滑り止めがついているので、力を入れても安心ですがもう片方の手でしっかり固定させてくださいね。
左:削りはじめてすぐのかつおぶし。まだ粉状です。右:削り面が出来て、ふわふわ、クルクルのかつおぶしになってきました。
※本かつおぶしは別売りです。かつおぶし削りには含まれませんので、ご自身でご購入くださいませ。
※本かつおぶしが小さくなってきたときは、危険ですので軍手をして削ってください。
食べてみよう!
ふわふわ、クルクルのかつおぶしが出来ました。まずはかつおぶしだけを一口頂きます。
じんわりとにじみ出るようなかつおの旨みと、鼻に抜ける香りがとっても良く、かつおぶしの奥の深さを改めて感じます。
他に、かつおぶしを活かしたこんな簡単料理(?)も作ってみました。
・たまごかけご飯+かつおぶし
ホカホカの炊きたてご飯に、かつおぶしをたっぷりかけた上に生卵を。そしてお醤油をタラッと一回し。こんなに美味しいたまごかけご飯はない!というくらいの美味しさです。かつおぶしの香り、濃厚な味はたまごの味に全く負けておらず、かといってケンカするでもなく、絶妙な味わいなのです。
・ほうれん草のおひたし、冷奴
かつおぶしをメインに、大量に食べるのに良い食べ方は?と考えた時に浮かんだのは「ほうれん草のおひたし」と「冷奴」でした。どちらも、かつおぶしの濃い味がそのまま味わえます。
この他にも、出汁をとってお吸い物を作ったり、出汁巻き卵にも惹かれますし、お好み焼きの上にふわふわと踊るかつおぶしも魅力的ですね。
・掃除はハケで
使用後は残った粉を払うようにハケでお掃除してください。変形する恐れがありますので、水洗いはしないでくださいね。
・刃の調整には、「かまぼこ木つち」を活用
長く愛用するうちに、削り具合も変わってくると刃の調整が必要となります。台屋(だいや)では簡単に調節が出来る「かまぼこ木つち」のご用意もあります。
1.刃を出す(下画像)
刃は鉋刃の頭部分を叩きます。刃は0.05ミリ(新聞紙1枚分)出すだけです。様々な角度で刃先を見てみましょう。(刃先が出過ぎていたら下記「3.刃を抜く」をお試しください。)
2.刃先左右の確認
刃を出すと斜めに出ることもあります。その時は刃の横を叩き調整します。
3.刃を抜く
刃先が出過ぎた場合は鉋台(鉋の木部)の頭部分を叩きます。軽く叩けば少し刃先が潜り、強く叩けば多めに潜ります。
かまぼこ木つちで刃を出している様子
・安心、メーカーのサポート体制
鉋刃の研ぎや、鉋台(木部)の直しが必要になった場合は台屋(だいや)に返送し、職人によるメンテナンスをお願い出来ますので、長く使う暮らしの道具として安心してお使い頂けます。(メンテナンスは有料です)
・使い途中の本かつおぶしの保管方法は、ラップに包んで冷蔵庫へ(賞味期限は、それぞれの本かつおぶしに記載の期間を守ってください。)
▼台屋(だいや)のかつおぶし削りはこちらから