お手入れの仕方はものによって様々ですが、中でも「洗うこと」は、
衣類や食器といった普段私たちが使用するもののほとんどに通ずるお手入れ方法。
ものに合わせた適切なお手入れを行えば、愛用品もより一層長持ちし、愛おしいものに。
今回はものの特性に合わせた適切な洗い方を探求します。
もし、目の前に愛用品が山積みされていて、
洗えるものと洗えないものに分類してくださいと言われたら、何を基準に判断されますか?
考えるポイントは、水に強いかどうかという点だと思います。
例えば、コットンやリネンは、Tシャツやタオルといった
衣類に使われていることが多いので、水洗いが可能ということが分かりますね。
一方、革や木製家具は水に浸けるとカビが発生したり
変色の原因となってしまうため、水を使って丸洗いすることは出来ません。
はたまた樹脂や金属といった「洗う」ことに馴染みの薄い素材や
複数の素材が組み合わさった場合は水洗いして良いか判断しづらくなってきます。
ものを長く使うためには、まずそれぞれの素材の特徴を理解し、
作りや構造に合わせたお手入れを知っていくことが重要です。
衣類に使われている素材には、コットン・リネン・レーヨン・ナイロン・ウールなど、
挙げればきりがないほど、多くの種類があります。
自分の持っている衣類もいろんな素材のものがあるけれど、
とりあえず全て洗濯機に任せて洗っておく…という方もいらっしゃるかもしれませんが、
洗濯機で洗ったら本来の風合いがなくなってしまったり、
乾燥機にかけたら縮んでしまったり、ということもよくあることです。
まずは、衣類に付いた洗濯表記を確認し、表記に従ったお手入れを行うのが最善です。
また、水洗いが可能なもののうち、
シルクやウールといったデリケートなもの、
刺繍やビーズなどの繊細な作りや装飾品が付いたもの、
伸び縮みが気になるインナーや靴下、ハンカチなどは
自分の手で力の加減が出来る、手洗いをおすすめします。
洗ったもの:リブ タンクトップ
手洗いの仕方も様々ですが、基本的な方法はこちら。
洗面器に水を張り、デリケート衣類用の洗剤を少量(お料理用の小さじ1杯くらい)水に溶かします。
今回使用したTHE LAUNDRESS(ザ・ランドレス)のデリケートウォッシュは、
植物性原料を配合し、衣類にも環境にも優しいデリケート衣類用の洗剤。柑橘系のすっきりとした香りがします。
傷みやすい素材の場合は、そのまま水に浸して洗剤を浸透させ、ゆっくりと水をかき混ぜるようにします。
このとき無理に動かすと生地が傷んでしまいますので、衣類本体には触れないようにします。
インナーなどの場合は、上下に動かして優しく押し洗い。こすったり、揉んだりしないことがポイントです。
その後、綺麗な水に入れ替えて泡がなくなるまでしっかりとすすぎます。
このときも出来るだけ衣類に負担をかけないよう優しく行なってくださいね。
すすぎ終わったら、大きめのタオルにくるくると包んで水気を取るか、
洗濯機で短時間(1〜3分程度)脱水をかけ、形を整えて干します。
洗ったもの:ボーダー ハイネックカットソー
手洗いはデリケートな衣類の洗濯に限らず、「予洗い」としての役目も果たしてくれます。
汗汚れがひどいワイシャツや泥汚れが気になるパンツ、食べこぼしのシミがあるトップスなどは、
気になる部分に洗剤を少量付けて、専用ブラシでこすり洗いを。
その後、いつものお洗濯をすれば、汚れを綺麗さっぱり落とせます。
専用ブラシには、繊維が少し硬めのブラシがおすすめ。
天然素材の毛を使った、目が詰まったブラシなら汚れをしっかり浮かせてくれます。
また、ブラシの代わりに天然の棕櫚(しゅろ)製たわしを使うのも、おすすめ。
たわしを洗濯に?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、自然素材で出来た棕櫚の場合、
しなやかで柔らかさも兼ね備えているので、生地を傷めることなく汚れを落としてくれるのですよ。
おすすめのお手入れ道具
・ネイル・洗濯ブラシ/iris hantverk(イリス・ハントバーク)
・紀州野上谷産棕櫚たわし/高田耕造商店
・デリケートウォッシュ Lady/ THE LAUNDRESS(ザ・ランドレス)
食器もまた、毎日のように洗う必要があるもの。
陶磁器やガラス、金属など、衣類と同じようにさまざまな素材が使われている食器。
お手入れには食器に傷がつきにくく、汚れを落としやすい
柔らかいスポンジを使っている方が多いと思います。
スポンジの他にも、食器のお手入れに役立つのがブラシ。
日本では馴染みが薄いかもしれませんが、北欧の国々ではブラシを使った食器洗浄が一般的なのだそう。
ブラシを使うと手が濡れないので肌に優しく、細い瓶や穴の空いたザルなどの洗浄も簡単。
さらに洗い終わったあとに吊るすようにしておけば水気が切れて、衛生上も安心です。
上記のディッシュブラシと鍋洗いブラシは、スウェーデン生まれのiris hantverk(イリス・ハントバーク)のもの。
ディッシュブラシは程良い硬さのある馬毛を使い、緩やかに反り返った形がお皿にぴったりフィットしてくれます。
力を入れてゴシゴシこすらなくても、汚れが落とせる万能ブラシです。
鍋洗いブラシはエニシダと呼ばれる天然素材を束ねた形。
鉄のフライパンなどの焦げ付きに効果的で、見た目も可愛らしいのが嬉しいですね。
食器を洗う上で、気にしたいことがもう一つ。それは食器を洗う順番です。
油を使ったお皿と水を飲んだだけのコップを重ねてしまうと、
コップに油が付いてしまい、洗剤を使ってしっかりと洗わなくてはいけなくなります。
まずは油汚れのあるもの・ないものを分け、油汚れのないものから洗浄します。
また、木製のお皿、土で出来た陶器、漆器、お箸など、
水に浸け置くことが傷みの原因となる食器やカトラリーも優先的に洗浄するようにします。
油汚れのあるものは、予めキッチンペーパーなどで、汚れを拭き取っておくと洗いやすくなります。
洗浄後、布巾で拭いて乾かす場合には、厚手で速乾性のあるコットンなどで出来た布巾がおすすめ。
ONA-TISS(オナティス)のARGUIA トルション 2枚組シリーズは、
ポコポコとした手触りを持つ、ワッフル生地が特徴のクロス。
フランス南西部からスペイン北部にまたがるバスク地方で、古くから作られてきた
厚手で質の高い「バスクリネン」で、素材はコットン100%。
日本の布巾よりも大判なので、食器の水気も一気に拭き取ってくれます。
おすすめのお手入れ道具
・ディッシュブラシ/iris hantverk(イリス・ハントバーク)
・鍋洗いブラシ/iris hantverk(イリス・ハントバーク)
・ARGUIA トルション 2枚組 Forest/Rouble/ONA-TISS(オナティス)
洗うことが必要なものの中で、少し気合いを入れてやらなくてはいけないのが、寝具。
大きくかさばるものなので、お手入れが面倒…というのが本音ですよね。
ただ、ベッドのシーツや枕カバーなどは、汗をかく夏場は特に細菌が繁殖しやすい場所。
目に見えない汚れがあるからこそ、定期的なお手入れが必要です。
寝具のお手入れは普段の衣類より頻度が低くても、
週に1度もしくは2週間に1度の割合で行うことをおすすめします。
汗をかく枕カバーは複数枚用意しておき、他の衣類と同じように毎日取り替えるのも良いですね。
春夏は吸水性・速乾性のあるコットンやリネン素材、秋冬はウール素材を選ぶなど、
季節に合わせて上手に寝具を選び、お手入れを心がけていきたいものです。
夏の寝具にご紹介したいものが2つ。
益久染織研究所(ますひさそめおりけんきゅうじょ)の和紡ぎシリーズは、
人の手で綿糸を一点一点紡いで作られたもの。
機械織りでは出来ないポコポコとした不規則な織りが特徴で、
まるでコットンが呼吸するように、通気性の良い作りになっています。
fog linenwork(フォグリネンワーク)のリネンシャンブレータオルケットもまた、
暑い時期に使いやすいリネン素材のタオルケット。
ざっくりとした質感で吸水性が良く、何よりお洗濯にも強いというのがポイントです。
寝具をお洗濯する場合、毛羽立ちや絡まりを防ぐために他の衣類とは別にして洗うことをおすすめします。
また、枕カバーやタオルケットは洗濯用ネットに入れてお洗濯してください。
お洗濯する際のポイントは、汚れが目立つ部分を表側にしておくこと。
もし汗ジミなどピンポイントで気になる汚れがある場合は、予めこすり洗いか浸け置き洗いをしておくと効果的です。
お洗濯後は、バザバザと振り捌いた後に広げて干すようにします。
直射日光に当たると、濃い色のものは色があせてしまったり、
ゴワゴワとした風合いになってしまいますので、風通しの良い日陰で干すことをおすすめします。
おすすめのお手入れ道具
・ファブリックコンディショナー Classic(柔軟剤)/THE LAUNDRESS(ザ・ランドレス)
・籐バスケット丸型/ツルヤ商店
洗い方特集、いかがでしたか。
お手入れは時間もかかりますが、手間をかけることで
愛用品をより深く知っていく機会でもあります。
青空の広がる晴れやかな日に、お気に入りのものを洗って、
気持ちもすっきりと過ごしてみませんか。