幼い頃、キッチンで母が料理をする傍らで、よくその日の出来事をペラペラと話していました。そのためか、母が料理をする姿と調理道具、そして「美味しい記憶」は鮮明に残っています。
中でも、毎日のようにお米を炊く際、桐の米櫃(こめびつ)からお米を出して研ぎ、土鍋を火にかける動作は日常の風景としてありました。桐の米櫃がお米を保存するのに最適な素材だということを知ったのは大人になってから。子どもの頃の記憶と結びついた時に、妙な感動があったことを覚えています。
自分が愛着をもって使い続けたモノが、時を経て誰かの愛着へとなっていく【愛着をつなぐモノ】シリーズ、今回ご紹介するのは、東屋の米櫃です。
東屋の米櫃は、装飾も何もない、シンプル。
丸みのないフォルムには凛とした美しささえ感じます。
そもそも、なぜ桐がお米の保存に適しているのかといいますと、桐の自然の成分には防腐効果・防虫効果があり、虫やカビからお米をしっかり守ってくれるそう。そして多孔質な木肌は調湿効果に秀でていて、湿気の多い日本の暮らしの道具として様々な場面で重宝されています。
米櫃の上部は半分が引き戸になっていて、引っかかりもなくスーッと気持ちよく開きます。中に入ったお米を見るとなんだか嬉しくなりますね。この引き戸、精度がとても高くぴったりと閉まるので、虫が入る心配少ないのです。
蓋は取り外しが出来、お米を新しく入れる時や掃除の時もとても楽です。そしてもちろん、この蓋も隙間なくぴったりとはまります。
桐の無垢板を使い、釘は一切使わずに仕上げています。そのため錆びる箇所はありませんし、落として割れてしまうことを気を付けていれば世代を超えて愛用出来ます。
残りのお米が少なくなってきたら、古いお米を一度別の容器に入れ、米櫃内を硬く絞った布巾で軽く拭きます。
中が乾燥するのを待って、新しいお米を先に入れ、その上に古いお米を戻します。
東屋の米櫃には1合の枡が付いています。桐の米櫃から、枡でお米を計る。お米を炊くのが楽しみになりますね。
せっかくなので、土鍋でごはんを炊いてみました。
本当は米炊き用の土鍋が最適なのですが、普通の土鍋でも(フライパンでも)炊けます。
1. 3合のお米を研ぎ、30分水に浸す
2. 米をざるにあげる
3. 土鍋に650ccの水を入れ、米を入れ蓋をする
4. 沸騰まで強火→中火に落とし5分→弱火で4分→火を止め10分蒸らす
火の加減を見る必要がありますが、慣れれば
難しいことも面倒なこともありません。
土鍋で炊いたごはんは香りも良く、
お米一粒一粒が立つのでオススメですよ。
桐の米櫃からお米を枡で計量し、土鍋で炊く。
贅沢で気持ちの良い食卓です。
【暮らしの記憶の中の米櫃】
今回は図らずも、米櫃から幼い頃の食卓の記憶がよみがえってきました。
美味しいごはんは記憶に残り、その風景として様々な道具が暮らしを彩っていたのだと。
様々な【愛着】について考えることが多いのですが、米櫃のように、道具として暮らしに密着したものほど昔の記憶とともに愛着となっていくのかもしれないと改めて考えさせられました。
母が使っていた米櫃はいまも現役で実家の台所にあり、これからもごはんと記憶をつなぐ役割を果たしていくのだと、感慨深くなるのでした。
今回ご紹介した東屋の米櫃、商品ページはこちら。
※この記事でご紹介している5kgの他に、10kgもご用意がございます。
ブランドである東屋の紹介ページはこちら。
【米櫃と一緒に使いたい、お米の道具たち】
2. ご飯釜 二合炊
3. 平茶わん ST-15
4. 小判弁当(小)ふき漆
愛着をつなぐモノシリーズ おさらい
【あなたの愛着は、だれかの愛着へ】
私たちがモノに愛着が湧くのは理由があります。
使いやすいから。気持ちがいいから。社会や地球にいいから。
これに、「いつか誰かに使って欲しいから。」が加わるとどうなるでしょう。
いつか子どもに使って欲しい。いつか友達にあげたい。そんな、自分の手から離れたあとも誰かの暮らしの中で変わらず使い続けてもらうために、大切にする。
ロングライフ商品には、そういう「育てたあとの楽しみ」も待っています。経年変化を楽しめる丈夫な素材、メンテナンスをして使い続けられる、メーカーで相談や修理を受け付けている。そんな商品を「いつか誰かが」の気持ちで使う。なんだか、今までとも違う愛着が湧いてきます。