古くから様々な道具に姿を変え、人々の暮らしに使われてきた、竹かご。実用性だけでなく美しさも兼ね備えた、使うほどに味わいを増し、大切に使えば一生ものと言われるかご達の魅力をご紹介します。
(記事更新日:2020年6月22日)
同じ日本でも地域によって、竹の種類、編み方、用途がさまざま。どれも地域の暮らしの中から生まれた形ばかりで、日用品として使い勝手が良いように形づくられたかごは、現代の暮らしやインテリアと比べると、プラスチック製品にない佇まいがあり、機能的にも優れているのが魅力です。
かごの産地をおおまかに並べてみました。北は青森から南は熊本、鹿児島まで。もちろんここに挙げたのはほんの一例ですが、全国各地に生産地が散らばっているのが分かりますね。
そもそも、世界的にはさまざまな国さまざまな自然素材で竹の製品が作られ、愛用されてきました。その中でも日本はちょっと特別で、日用品の竹かごだけでなく、美術工芸品としても発達してきました。
歴史を掘り起こせば、千利休の時代から、茶道の世界で花かごとして竹かごは使われています。 日本ならではの繊細な手仕事が生み出した竹の工芸品と暮らしの日用品の竹かご、
どちらも人々の丁寧なものづくりの精神が反映され、現代でもその美しい仕事に私たちは感動させられます。
日本のかごは、古くは農閑期に生まれたものづくり。つまり、お米や野菜など農作物を作りながら、農作業が落ち着いた時期に兼業でかご作りを行うということ。そのため、各地方でも専業になっているところは少ないという背景があります。
地域によっては、竹が増えすぎてしまっているために、メーカーが新たな製品開発に力を入れているという場所もありますが、昔ながらの製法で少しずつ製造を行ってきた産地が多いようです。
そして、一言で竹といっても、実は種類が様々。竹の種類によって太さや硬さ、しなやかさが異なり、それぞれの性質に応じた編み方や造形がなされています。竹かごに使われる主な種類は、例えば真竹、鈴竹、根曲竹など。
◇真竹:
太い真竹は、生の素材そのままは使用せず油抜きをし、日光に晒すなどの加工を施すことが多い素材。晒すことで白くなることから、白もの、白竹とも呼ばれます。
◇鈴竹:
山野に自生する鈴竹(すずたけ)、篠竹(しのたけ)と呼ばれる、とっても細い竹。しなやかで弾力性のある篠竹のかごは、上から軽く押してみると手が跳ね返るほど。その性質を活かし、古くから数々の優れた暮らしの道具になり、身近な存在です。
◇根曲竹:
イネ科の竹笹類で、雪の重みで根が曲がることからその名前が付けられたそう。 根曲竹は収穫したばかりの青々とした竹を縦に割り、六角目に編むのが特徴です。木型を使わずに編み込まれているので、柔らかい仕上がり。
竹かごの用途は、大きく分けると「保管する」「持ち運ぶ」の2つに分かれます。
持ち手のないザルやかごは様々なシーンでの保管に重宝します。
例えば、きっちり、がっしりと編み目の隙間が小さく、丈夫そうな鈴竹のざるは、米研ぎざるや、水切りカゴ、野菜の洗いかごとして使える他、食器やカトラリーをまとめて入れる保管場所としても便利。
食器をまとめて入れて、目隠しに手ぬぐいを一枚かければそれだけで収納のインテリアに早変わりします。
一方、持ち手の付いたバスケットタイプのかごは収納を兼ねながら、中に物を入れて持ち運ぶことが出来ます。
大きなかごには、例えばお菓子を詰めて自宅の庭や公園でピクニックをするときや、リビングで使うブランケットや雑誌をまとめて入れて、そのまま部屋を移動するときにも便利。持ち手付きの竹かごと言えば、昔ながらの買い物かごを思い浮かべる方も多いと思いますが、こうして使うと、モダンな佇まいに見えてきますね。
竹かごは使い方はもちろん、使える場所も様々あります。リビングやキッチンだけでなく、書斎、玄関、お風呂の脱衣所などいろいろなシーンで活躍してくれます。
素材の白竹には真竹が使われることが多くあります。油抜きや日光に晒すといった加工作業によって白くなるため、白竹と呼ばれています。四角いかごは丸いかごに比べて高度な技術が必要とされており、今では四角いかごを編める職人の数が減少していることも事実です。愛媛の職人が手がけるかごは直方体と形に加え、竹の足が付いているという珍しいデザイン。足を付けることで通気性を良くなります。かさばりやすい食器やタオルの収納に。
真竹を編み込み、縁取りにも巻いてさらに籐(トウ)のひごで抑えるという非常に丁寧な作りが光る干しざる。干しざるは野菜を干したり、梅干し作りなどに向いた平たい形で、通気性が良く、強度も高く作られています。野菜用に調理道具の一つとして使うのはもちろん、平たいので衣類置き場としても便利。新聞紙や手紙の一時的な置き場としても使えます。
篠竹(鈴竹)を六角形になるよう編み込んだ定番のかご。側面だけでなく、底面も同じように編まれていることがポイントです。比較的小ぶりで非常に軽いので使い勝手が良く、ZUTTOでは3サイズのご用意があります。水切りしやすいので、野菜を洗ったあとのボウル代わりとして、食器を洗った後の一時置き場として、などキッチンでの出番だけでなく、お皿の代わりに天ぷらなどの料理を盛ってみたり、パンの収納置き場、お菓子を入れておやつ用にするなど、様々な使い方ができます。かごを大小重ねて収納することもできます。
竹の表皮のツルツルとした素材感としなりを活かした公長齋小菅(こうちょうさいこすが)の六つ目かご。規則正しい六角形が人の手で作られたものとは思えないほどの美しさで、置いてあるだけでも様になります。中に小鉢を置いたり懐紙を敷いて食卓に出しても良いですし、みかんなど果物を入れても。安定した形でさまざまな用途で使うことができます。
天然素材の竹は非常に丈夫なので、大切に使えば、何十年と長持ちするのが良いところ。美しく、そして衛生的に竹かごを使い続けるためのお手入れ方法をご紹介します。
・水気はすぐに拭き取り、乾かす。
・毎日、大切に使うこと。
鈴竹の竹ざるのように、水切れが良くキッチンで使うのに適した竹かごもありますが、水に濡れたまま放置すると劣化や破損の原因になる場合があります。そのため湿気や水気に触れた場合は、使用後にケアしてください。
水回りで使ったざるやかご等は、水気に触れる時間を最小限にする為、出来るだけすぐに水をしっかりと切り、乾拭きしたのち風通しの良い場所で陰干しをしてください。日なたに干し続けると乾きすぎてしまい、割れてしまう恐れがあるので、日陰で干してください。
水回り以外のものは、できるだけ水気を避け、乾いた柔らかい布などで軽く拭いてください。毎日できるだけ手で触れて使うことも竹にとっては大切です。
お手入れとは別に、竹かごを長持ちさせるためには使い方も重要です。
竹は丈夫ですが力が一箇所にかかると割れてしまう場合があります。そのため、例えば竹ざるなら縁を持つのではなく全体を持つなど、できるだけ力を分散させて扱うことで、変形させることなく長持ちさせることができます。
竹かごのカビを避けるためには、湿度の高い場所での保管を避けることが重要です。
保管は風通しの良い、出来るだけ乾燥した場所にしてください。湿気は低いところに溜まりやすいため、高いところへの収納もおすすめです。
また、竹は糖分を含んでおり、殺虫剤などを使わずに作られていることから、時々、虫が発生することがあります。竹の内部に潜んでいる虫は事前の発見が困難で、虫の発生によって小さい穴から白い粉が出る場合があります。万一、商品に白い粉が発生した場合には熱湯(60℃以上)をその部分にかけて熱処理し、様子を見てください。