今回取り上げるのは、ZUTTOスタッフ2名が愛用中のPATRICK STEPHAN「3way レザーポシェト」。ポシェット・手提げ・クラッチと3wayで使える、真っ黒なレザーバッグです。世にあまたモノが溢れる時代、何を着るか何を持つかは自由ですが、その中で同じモノを選び取るには理由があります。そんな同じバッグを愛用する2人の「使い心地」にどんな共通点、はたまた違う点があるか聞いてみました。
「バッグの中身も、服装も普段通りで」と伝えたところ、図らずもZUTTOオリジナルのカシミヤニットで現れた二人。選び取るものの雰囲気は近すぎず遠すぎずといったところですが、やはりこのバッグに合わせる服装というイメージは共通のようです。そんな二人、愛用の様子にはどんな違いがあるのでしょうか。
本日の使い手はこちらの2名。
商品企画N:
ZUTTOオリジナルウエアの企画者。日々、デスクは新商品のサンプルと資料で溢れている。古い建物が好き。
編集担当S:
よみものの編集担当。優柔不断ゆえに、あまりモノは買わない。長身で眼鏡。
N:PATRICK STEPHANのスタッフの方が試作品を使っているところを拝見していて、 そのフォルムが絶妙に素敵!と思ったのがきっかけです。その後ぜひ、ZUTTOのために作って欲しいとお願いして、普段使いしやすく手にしっかり馴染む黒いこちらのレザーを選び、別注という形で作って頂いたんです(※)。仕事柄いろいろなバッグを見る機会が多いのですが、3WAYで使える小技の効いたデザインと、手で持った時の全体のバランスの良さが目を引きました。
※2021/3/23追記:その後PATRICK STEPHANでも同じ形が販売され、ZUTTOでもブランド展開の商品をお取り扱いしております。(別注品ではございません。)
S:誰かが持っているのを見て「それ、どこの??」と聞いてみたくなる雰囲気がありますね。
N:革を縫い合わせるパターンとか、外ポケットのステッチの入り方とか、細かいところにも技があります。
S:私はこのバッグの商品撮影に参加した時、スタッフNの私物を見て自分でも欲しくなってしまって。優柔不断でなかなかモノが買えないタイプなので、考えてみればZUTTOで自分用のバッグを購入したのは初めてでした。使い勝手の良さ、革の手触り、モードっぽく使える雰囲気などバランスが素敵です。
N:2人とも、人のものを見て、自分でも欲しくなっちゃった、という訳ですね(笑)
S・N:(二人揃って)「手提げ」です!
S:一緒ですね(笑)
N:内側の取っ手を出すと高さが出て見た目よりも結構入るから、つい手提げとして使っちゃいますよね。それとストラップを垂らして手で持つと、見た目のバランスが抜群なんです。外せるんですがクラッチバッグとして使う時以外は外さずに垂らしているかも。
S:私もストラップはつけたままです。必要最小限の荷物で出かける時はポシェットとして使って、外出先でちょっとした荷物が増えた時は手提げとして使うパターンが多いかもしれません。駅で買う小さいペットボトルとか、おやつとか。だから、家を出る時はポシェット、帰ってくる時は手提げというのが私流でしょうか。ポシェット→手提げという持ち替えは本当に便利です。
上:ストラップを自然に垂らして。ありそうでない、バランスの良さが持ち味。
下:手提げのハンドルとストラップを一緒に持つスタイル。ストラップがほどよいアクセントに。
S:休日はもちろん、ノートパソコンを持ち運ばなくて良い時は通勤で使うこともありますよ。これと、お弁当用の小さなトートバッグで身軽な感じです。あとは、出張の時にスーツケースに入れて持っていくことも。出張の時はできるだけ荷物を減らすこと、アウトドアよりの機能的なものを選ぶことが優先になりますが、ちょっと品のあるもの、女性らしいものが1つスーツケースに入っていると気持ちが明るくなる気がします。3WAYで使えるから旅先でも便利ですし。
N:旅のお供、良いですね。私は平日は外出が多く荷物も増えがちなので、主に休日用のバッグとして使っています。ごはんを食べに行く時や、一つだけの用事のために外出する時に使うことが多いです。あとはちょっとしたパーティーシーンがあれば使えそうかなとも思ったり。
S:クラッチバッグって、持ち方がワンパターンになりやすいのでなかなか取り入れられずにいたのですが、普段使いのバッグのストラップを外すだけでほんのりドレッシーに仕上がるのが良いですよね。
スタッフN:「長財布と大きめポーチもすっぽり入るのが嬉しい」
平日も服装や行き先に合わせてバッグを変えることが多いスタッフN。普段使っている長財布とポーチがそのまま入るので、移し替えも手間取らないのだそう。外側のファスナー付きポケットはパスケースとスマートフォンの定位置。
「小さめのショルダーバッグは長財布が入らないことが多いのですが、この組み合わせならちょうどすっぽり収まりました。細々した荷物をまとめてポーチに入れているので、荷物の量は多めかもしれません。上を折り返してクラッチの形で持とうと思うと難しいですが、手提げとして持つなら全部まとめて入りますよ。」
スタッフS:細々したものをそのまま入れたい
インナーポーチは使わず、細々した小物も直接入れるというスタッフS。外出先で荷物が増えることを考えて「家を出る時は必要最小限」が合言葉。近所のコーヒー屋さんに本を読みに行く、というイメージで中身を詰めてきたとのこと。
「中にスナップボタン付きのポケットがあるので、ハンドクリームやリップクリームのような小物はそちらに直接入れてしまいます。外出先で小さめのペットボトルを買って飲みきれず、しまった!と思ったことがあったんですが、入れてみたらすっぽり入りました。」
S:(Nのバッグを見て)なんだか私のものより、表面のシボ感がはっきりして見えます。私の方はつるっとしています。
N:これはきっと、革の使用箇所によるもともとの個体差ですね。あとは使い続けると、使用頻度によって艶の出方に差が出てくるというのもあるかと。
(今度はSのバッグを見て)あと、底の部分がまあるくカーブしているように見えるかも?私は使わない時は底面を内側に畳んでいるので、まっすぐなんですが。
S:言われてみれば確かに。タブレット端末など少し重めの荷物も入れて頻繁に使っているので、底面が少し伸びたのかもしれません。
それと、家ではクローゼットのフックに掛けて、いつでもすぐに使えるようにスタンバイしているので、重みでくったりしてきたのかも。
N:使わない時のしまい方ひとつでバッグのシルエットもその人らしく変わるというのは面白いですね。ほぼ同じ時期に使い始めたのに、こうして違いが出てくるとは思いませんでした。
S:目をつぶって触っただけで、どちらが自分のか分かっちゃうかも?(笑)
①ストラップの長さ、どれくらいで使ってますか?
N:もう少し大きめのショルダーバッグだとベルト式で長さを調整出来るものも多いですが、ポシェットと名のつく小ぶりなバッグはストラップが細くて、調整機能がないものも多いんですよね。このバッグもそうで、ストラップは125cmあるのでこのままだと少し長め。好きなところで結び目を作って長さを調整するよう想定されたデザインになっています。個人的には、それも持ち味だと思っていて、結び目がちょっとしたポイントになるなと感じるんですが、やっぱり結び目作ってます?
S:私も結んでますよ!身長高め(166cm)なほうですが、やっぱりそのままだと長いので好きなところで結んで使っています。
N:(2つのバッグを重ねてみて)好みの長さってやっぱり微妙に違うんですね。
S:ショルダータイプとして使う時は片方の肩にすとんとかけて持つことが多いのでこれくらいがベストポジションかと。好みに合わせて結べるように、もともとちょっと長めになっているのかなと思いますが、結び目を作ると、確かに可愛いですよね。
②斜めがけ、します?
S:そう考えてみると、このバッグで斜めがけってそんなにしないかもしれません。バッグの蓋に金具がないシンプルな作りなので、斜めがけしてバッグを後ろに持っていくと、中身が落ちそうでちょっと心配というか。斜めがけ、してます?
N:片方の肩にかける形でショルダーバッグとして使うのが好きなので、私も斜めがけはあまりしないですね。でも、ストラップの結び目を解けば長さがあるので好みに合わせて斜めがけできますよね。
③保湿クリームorオイルは使う?
N:保湿クリームとかオイルって、何か塗ってます?もともとしっとり柔らかい感じの風合いなので私は何もしていないです。
S:一緒です(笑)レザーバッグ=お手入れと思いがちですが、頻繁にお手入れしなくても自然な艶が出るのが良いですね。
N:革は使ってみないと経年変化の具合が分からないというのが難しいところですが、あまりデリケートな革だと普段使いに向かないですし、中身を入れて手に持った時にしっくりくる革を選ぶのは、商品作りという点でもとても大切なことだと思います。
S:私はあまり気を使わずにどんどんお出かけに持ち出すという使い方をしているので、使わない週末はないくらい。自然と手で触れる機会も多いですし、ショルダーバッグとして使うと服やコートと擦れる分、知らぬ間に風合いが育っているような気がします。
N:この先、5年10年と使ってみると、また違う味わいが出てきそうです。それも楽しみですね。
「ストラップを垂らしてトートバッグとして使う」「シーンによって形を変えて3WAYで」「自分の手になじむ経年変化を味わう」などいくつかの共通点がある中で、どこに持っていくか、どれくらいの頻度で使うのか、など様々な「使い方」の違いによって、経年変化にも違いが現れていました。「長く使えるもの」にはたくさんの共通項がありますが、使う人の生活に柔軟に対応するということも、重要なポイントのようです。
フランス北部ブルターニュ地方の荒涼とした沿岸にある島で生まれ育ったデザイナーPATRICK STEPHAN。学生時代をパリで過ごし、その後著名なデザイナーの元で様々な熟練者らから技術を習得。1998年よりディオールのクチュール部門に参加。一方、1984年に創業以来、他では対応できないようなデザインを実現できると国内の著名ブランドから厚い信頼を寄せられ、腕を磨き続ける東京下町のレザーのファクトリー。両者が出会ったことで、フランス人の感性と日本人の技が融合した珠玉のブランドが誕生しました。