ふと、スタッフの足元を見ると、柔らかくなった帆布のスニーカーが目に止まりました。どこかノスタルジックな見た目と、頼もしい生地。彼女の足の一部になったようなそのスニーカーは、新品のような美しさはないけれど、人の心を掴む魅力があるように感じました。きっと愛用している者だからこそ分かる、この靴の良さがある。今回はスタッフも一目惚れして愛用中のシューズブランドPRAS(プラス)のエイジングから、その魅力に迫ります。
シンプルでミニマムな印象のPRAS(プラス)のシューズ。PRASは、日本の老舗シューズメーカーのMOONSTARのお膝元、福岡・久留米で作られたシューズブランドです。久留米で伝統的に受け継がれてきた靴づくりの技術をグローバルに発信しています。
シーズンごとに新しい挑戦をし続けるPRAS。久留米と児島がプラスされて生まれるクリエイション、ブランド名にはそういった想いも込められています。
実際にZUTTOスタッフでも愛用者の多い、PRAS。数あるキャンバススニーカーがある中で、スタッフは何故PRASを選んだのでしょうか?(回答:ZUTTOスタッフM)
初めてPRASのスニーカーを見た時に、ナチュラルな雰囲気と、つま先の貝殻モチーフに心を奪われました。
こういうナチュラルなスニーカーって手頃な価格のものから揃えられると思うのですが、このSHELLCAPシリーズは正に細部まで丁寧に作られた「職人の想いを感じられる」一足だなと思いました。ナチュラルさの奥に感じられる無骨さが良いのです。
はい。見た目も、実際に履いてみても、ダメなところがないというか、不快に思う部分がないですね。きっとそれは真摯にものづくりに向き合ってきたブランドの想いが詰まっているからだと思います。海外製のキャンバススニーカーは私も何足か持っていますが、やっぱり長く履いていると取れない汚れが付いてしまったり型崩れしてしまったりするし、それが味だったりもするんですけど、汚れてくたくたしたスニーカーはカジュアルな格好の時じゃないと、コーディネートが難しいんですよね。でも、PRASのスニーカーなら、水でじゃぶじゃぶ洗えるから(※1)生成り色でも比較的綺麗なまま使える。
そうなんです。洗濯が出来ることも大きなポイントです。持っていたキャンバススニーカーは、アッパーとソールを糊で貼り付けてテープで巻いているタイプだったので、足の動きに合わせてそのテープが剥がれてしまいました。貼り付けているだけのものは、洗濯不可だったんです。きっと皆さんの中にも心当たりがある方もいらっしゃると思います。PRASのスニーカーは【バルカナイズド製法】というスニーカー本体とソールの間に未加硫ゴムを挟んで本体とソールを張り合わせる日本で数社しか行っていない特別な製法(※2)で作られていて、じゃぶじゃぶ水で洗えるのです。
シンプルなので服に合わせやすいな、使いやすいなと感じることが多かったですね。出張の時に一足だけ選ぶスニーカーはとりあえずこれです。何よりびっくりしたのは、長く履いていても疲れにくいことです。
これは個人の感想になるのですが、PRASのスニーカーが日本製で、日本人に合わせた靴型を使用しているところが大きいと思います。比較的足幅は広めに、甲は高めに作られていて、足に沿う自然なアーチが心地良いです。柔軟性があるので、ゴムのソールも足の動きに合います(※3)。是非一度この安心感は体感して頂きたいですね!
私は1年履いてみたのですが、まだまだしっかりしていますね。少しずつ馴染んできたものの、やっぱり帆布は丈夫だなあという印象です。履き続けて、洗濯を繰り返していくと、帆布の目が詰まってより丈夫になるんだそうです。今日はたくさん歩きそうだなという日や、仕事で歩くことが多い時にも大活躍してます。これからが楽しみです。
(※1)ガンガン洗っても大丈夫だから。目が締まって足に馴染む児島帆布
アッパーに使用している帆布は、岡山県倉敷市で作られる児島帆布。岡山・倉敷は古くから綿栽培が盛んに行われ、今では国内帆布のおよそ70%を作る、帆布の一大産地です。通気性が良く、丈夫で、使い込むほどに味が出てくる帆布は、PRASオリジナルのものを使用。スニーカーのアッパーに使うことを計算して、通常の10号帆布より糸の密度を少し落として最適な生地厚にしています。帆布なので、ある程度履いて汚れたら洗うことで帆布の目が締まり、洗わず履き続けるよりも比較的長持ちするとのこと。
(※2)キャンバススニーカーの敵。長く使ってもソールが剥がれてこない理由
PRASのスニーカーが長く使える最大の理由、それはバルカナイズド製法で作られているから。日本語では「加硫釜製法」と呼ばれ、スニーカーのアッパーとソール部分の圧着方法のことを指します。アッパーとソールを固まっていない生ゴムで成型し、専用の釜で高温の圧力を加えながら、硫黄(いおう)などの加硫剤で反応させてゴムを硬化し、圧着させていく方法の事です。異素材であるアッパーの帆布とソールのゴムを強力に圧着させる事が出来るのです。
(※3)足の動きに合わせる、ゴム製アウトソール
バルカナイズド製法によって長い時間をかけて作られたスニーカーのゴムは、伸びてもきちんと戻り、弾んだりしなやかに曲がるという本来の性質を持つように。そのため、足へのフィット感が非常に良く、蹴りだしもスムーズに行えるほか、底が剥がれにくいという特徴が生まれます。また、スニーカー本体とゴム底の境目には、補強のためにラバーテープが巻かれ、横方向の動きにも耐久性抜群です。
・使用年数:丸2年くらい。
・使用頻度:週1程度、休日に愛用中
・状態:かなりくたくたして足に馴染んできたものの、型崩れはなし。アッパーとソールの接着部分に張られているテープにも剥がれはありません。
BEFORE
AFTER
※販売終了品
・使用年数:1年とちょっと
・使用頻度:1週間に1〜2回。出張に行く時は毎日!
・状態:良く歩くので、帆布が随分くったり足に馴染んできました。足首部分も動きに合わせてシワになっています。
「PRASのスニーカー、私にはどのサイズが合いますか?」お客様から良く頂く質問です。
「PRASのスニーカーは基本的に日本人に合わせて作られているので、ぴったり履きたい場合、紐タイプのものは海外製のキャンバススニーカーより0.5cm下げて頂くのがおすすめです。スリッポンタイプの場合は、【足長】に合わせるのが良いと思います。」(お客様担当より)
【参考フィッティング】
・スタッフA:少々幅広・その他普通
海外製スニーカー:24.5cm(大きめに履く時はそれ以上)
パンプスやレザーシューズ:24cm
PRAS(紐あり):23:約23〜24cmがぴったり。厚手の靴下を履くときついので、薄手の靴下やタイツで履く事が多い。
・スタッフB:幅甲ともに普通
海外製スニーカー:23.5cmが多い
パンプスやレザーシューズ:23cm
PRAS(紐あり):23:約23〜24cmは少し大きめだが、紐で調整して履いている。
最後にお手入れのお話を。今回は、スタッフに普段のシューズのお洗濯を実践してもらいました。
基本的に、あまり手の込んだお手入れはしていないです。雨に降られたり、特別汚れが付いてしまった時は雑巾みたいなものでゴムの部分の汚れを取ったりしますが、疲れているとそのままにしている時もあります・・(笑) 洗濯は、季節の変わり目に一斉にお手入れしています。あまり気を使わなくても格好よく見えるのがスニーカーの良いところですね。
特にありません!きっと皆さんと同じだと思いますが、洗濯用洗剤でじゃぶじゃぶ洗って、強い汚れはブラシで良く擦る。ただ、洗剤が残ったり水分が残るとシミになりやすいので、すすぎと脱水は入念に行ってます。脱水は、洗濯機で3分回したりしてます。砂などしっかり落としておくのが条件ですが。
靴って絞れないし、気持ち水分が飛んだかなというくらい。ただ、靴を洗うのはからっと晴れた日だけではないので、そういう時に便利かもしれないです。最初は型崩れ防止と、早く乾くように靴の中に雑巾を入れていましたが、くたくた感が可愛くなってしまったので、今はそのまま乾かしています。日焼けしないように、陰干しです!
スタッフも愛用している、またZUTTOの商品ページのコーディネートでも出番が多いPRASのスニーカーのエイジングをご紹介しました。PRASのスニーカーは、毎年新色やマイナーチェンジを繰り返すものの基本的な形はほぼ同じ。それは、このスニーカーがいかに完成された品であるかということを裏付けています。お洒落と心地よさは一見相容れないものにも思えますが、愛用されたくたっとしたスニーカーを見ていると、人となりが現れているようで、お洒落で魅力的に思えます。春は疲れが溜まりやすいと言いますが、肩肘張らないリラックスした足元に、きっと活躍するスニーカーです。
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