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比べる二人の使い心地。大館工芸社「小判弁当箱」編

 

使い心地を比べるよみものシリーズ、今回はZUTTOスタッフ2名が愛用中の大館工芸社「小判弁当」をピックアップ。丸いフォルムが可愛らしいこちらは、東北の厳しい寒さに耐えた秋田杉を使った曲げわっぱのお弁当箱です。世にあまたモノが溢れる時代、何を着るか何を持つかは自由ですが、その中で同じモノを選び取るには理由があるはず。同じ曲げわっぱのお弁当箱を愛用する二人の「使い心地」にどんな共通点、はたまた違う点があるか取材してきました。

 

 

 

異なる二人が、それぞれ同じ「曲げわっぱ」を選んだ理由

 

 

使い手の紹介

・編集担当U:

曲げわっぱ歴3年。伝統的な日本の調理器具や食器が好き。

 

・お客様担当M:

曲げわっぱ歴1年。食べることが好きだが料理は勉強中。家がオフィスから遠く、日々満員電車に揉まれている。

 

見た目から杉の良い香りが漂ってくる「小判弁当」。お二人ともサイズは違えど、同じ曲げわっぱを愛用中とのことですが、このお弁当箱を選んだきっかけなどありましたら教えてください。

 

U:きっかけはスタッフが曲げわっぱのお弁当箱を使っていたのを見て。一目惚れでした。それまではプラスチックのレンジで使えるお弁当箱を使っていたのですが、伝統的な日本の入れ物としての見た目の良さと、ご飯がとびきり美味しそうに見えるところが良いなと思いました。

 

M:私も見た目は大きなポイントでした。食べることが好きなので、曲げわっぱの存在は気になっていたものの「使い方、難しそうだな」と敬遠していましたね。でも毎日使うものだし、もっと料理を楽しみたいなと思って、1年前に思い切って小サイズを手に入れました。Uさんは中サイズですよね。

 

U:はい、ゆとりを持って入れられるかなと思って、私は中サイズにしました。丸型や細長いものなど、色々な曲げわっぱがありますけど、大館工芸社の曲げわっぱはシンプルで、使いやすい。バッグにも入れやすいところが好みです。

 

M:確かに、シンプル!それでいて美しいですよね。上質な秋田杉を日本の職人さんが1つ1つ丁寧に作っていると思うと、長く、大切に使いたくなります。きちんとケアしながら使えば、10年以上持つと言われるのも納得です。

 

 

 

詰め方で分かる、二人の使い方

 

早速、持ってきていたお弁当をチェックさせて貰いました。「人様に見せるほどではないんですが・・・」と恥じらう二人ですが、こうして比較すると同じお弁当箱なのに、印象が全然違うのが興味深いところ。

 

スタッフU:色とりどり、ご飯はおかずと分けたいタイプ

 

曲げわっぱに詰めるものは、自然と和食になることが多いと話すスタッフU。基本的に付属の仕切りを使って半分は白米、もう半分はおかずを。おかずは肉・魚・野菜で、週末に作り置きしていたものを詰めているそう。「中サイズはゆとりを持って入れられるのがポイント。おかずがたっぷり入るし、ご飯もふんわり持ち運べます。」

 

 

スタッフM:一点丼もの主義

 

「料理は得意な方ではないけれど、曲げわっぱに入れるとお弁当が様になる所がお気に入り」と話すスタッフM。小ぶりの曲げわっぱにぎゅっと詰め込まれたお弁当は、大好きなグリーンカレーペーストで作ったそぼろ丼。「小さいサイズにしたのは、はち切れそうなほどぎゅうぎゅうに詰まっているお弁当にロマンを感じたから。丼のようにぎゅっと詰めたり、夜ご飯の残り物を詰めたり。定番ですが鶏そぼろ丼も良く作ります。」

 

 

「曲げわっぱを使い始める前と後、変わったことは?」

お弁当箱を曲げわっぱに変えたことで、何か変化はありましたか?

 

M:お弁当を作る回数が増えました。帰り道に明日のお昼は何にしようかなと考えて、メニューを考えるようになったのも進歩です。

 

U:私もメニュー内容が変わりましたね。以前はお昼にご飯以外のパンを持っていくこともありましたが、圧倒的にご飯が増えました。おかずをたくさん詰めるので、食の偏りも少なくなったかな。やっぱりご飯が美味しそうに見えますし、お昼の時間が楽しみになります。

 

 

「お弁当包み、イメージに合わせて揃える?」

それぞれの私物を見た中で、個人的にお弁当包みも気になりました。二人ともナチュラルな印象の包みを使っていますが、こだわりなどありますか?

 

 

U:私が使っているのは、以前ZUTTOで取り扱っていたキッチンクロスで、fog linen work(フォグリネンワーク)のものです。洗い替え用に別の柄も持っていて、2枚を使い回してます。お弁当用の包みとして買ったので、もう3年くらい使っているかも。

 

M:やっぱり長く使っているだけあって、くたくたしていて可愛いです。お箸ケースもナチュラルで雰囲気にぴったりですよね。

 

U:公長齋小菅のうるしのお箸セットです。やっぱりお弁当箱以外もお弁当箱に合わせて、優しい素材のもので揃えてしまいますね。

 

M:私もお弁当箱に合わせました。今まではタッパーでお弁当を持ってきていたので、学生の時から使っている柄物の大判ハンカチのようなものを使っていたんですが、このお弁当箱だと何だかしっくりこなくて。たまたま雑貨屋で見つけた蚊帳生地のふきんを包みとして買ったら、実はZUTTOで取り扱っている花ふきんのシリーズということが判明しました!洗うたびにくたくたして、とっても結びやすい。別のスタッフもこの花ふきんをお弁当用に使っていて、人気がありますね。私が使っているこの色はZUTTOには置いてませんが、洗い替え用として他の色も買い足そうかなと思っています。

 

 

「汁気があるもの、どこまで入れられる?」

例えば、タッパーだとある程度汁気のあるものも入れられますよね。曲げわっぱだと、どんなものまで詰めますか?

 

M:特別気を使っていることはないですね。通勤の満員電車に揉まれてカバンが逆さまになることもあるので、心配な時はジップロックに入れることもあります。でも、今までに漏れたことはないかも。汁気をたっぷり含んでいるものをあまり入れないからかもしれませんが。

 

U:私は肉じゃが、照り焼き程度なら入れてしまいますね。ウレタン塗装してあるので、白木の曲げわっぱとは違ってシミの心配が少ないです。不安な時はラップをしても良いかもしれないですね。

 

 

「電子レンジにかけられなくて困ったりはしない?」

タッパーを使っている者からすると、電子レンジにかけられない点が気になりますが、実際に使ってみてどうですか?

 

U・M:全く気にならないです!

 

U:温めなくても気にならない理由の1つは、曲げわっぱ弁当だと「ご飯が美味しく食べられること」これに尽きます。天然の秋田杉が本来持っている吸湿性によって、時間が経ってもご飯がびちゃっとせず、ふんわり美味しく頂ける。この美味しさを知ってから、温められなくても気にならなくなりました。

 

M: 学生の頃って、電子レンジで温めなくても美味しくお弁当を食べられていたな、と思い返します。きっと母が冷えても美味しいお弁当を作ってくれていたんですよね。確かに電子レンジにかけられる方が便利かもしれませんが、伝統を継承している古き良き曲げわっぱの良い部分を知ると、味があって愛着が湧きます。冷えても美味しいご飯のおかず、研究したくなりますよ!

 

 

「詰め方のこだわり」

実際に使ってみて、詰め方にこだわりやポイントはありますか?

 

M:お弁当箱の端からご飯をギュッギュと詰めていきます。ご飯もおかずも斜めに入れます。中身がパンパンなお弁当が好きで、小サイズを選んだのはそこも理由でした。

 

U:私は、中サイズでゆとりがあるので、仕切りを使ってご飯とおかずを半分ずつ。おかずは硬いものから入れて、隙間が出来ないように気をつけています。

 

M:気を使わなくても美味しく見えるところが良い所ですが、お気に入りだからこそ、こだわりが生まれてしまいますね(笑)。

 

 

 

 

モノが語る時間。エイジング比較

 

天然素材で作られたお弁当箱。使っていくうちに風合いが変わってしまうのでしょうか。使い始めと今で変化があるか、さらに愛用期間が異なる二人の曲げわっぱにどんな違いがあるか比較してみました。

 

 

(左:中サイズ):週3程度、約3年使用

(右:小サイズ):週2〜3程度、約1年使用

 

U:(曲げわっぱを並べてみて)こう見ると、3年使ったものもかなり綺麗ですね。蓋の木の色は、買った時の個体差だと思います。

 

M:シミや汚れも無いですね。丁寧に使えば10年使えると言われているのも頷けます。木の香りはどうですか?私の1年使ったものは、まだおひつのような香りがします。

 

U:私は1年を過ぎたら収まりましたよ。ウレタンの塗装も綺麗で、3年経ちましたが新品とも見た目は遜色無いです。

 

 

 

愛用者同士でこっそり聞きたい、「これってどうしてますか?」

 

①蓋がパカパカ、気になりませんか?

 

U:タッパーやプラスチックでぴっちりと閉まるお弁当箱を使っている方は気になるのかも?でも一度使ってしまうと、気にならなくなりますね。お弁当包みでぎゅっと結んでしまえばグラグラもしないです。

 

M:私も気にならないです。ゴムバンドを付けて、包んでしまえば誤って開いてしまうこともないですよ。

 

 

②これびっくりされるかも、というメニューは?

 

M:例えば、カレーを持って行きたい時に、おひつ代わりに使ってしまうこともあります。曲げわっぱに白いご飯だけ詰めて、カレーはタッパーに持って行きます。美味しい白飯がお昼までキープされるのが嬉しいです。

 

U:アイディアですね!私は曲げわっぱのクラシックな風合いを生かして、定番の和食が多いです。

 

 

③お昼休みまでの保存時間、冷蔵庫に入れる?入れない?

 

U:冷蔵庫に入れますね、1年中、痛まないように入れるようにしてます。

 

M:私も入れています。冷たいご飯が苦手な方は、食べる1時間前に常温に戻しておいても良いかも。

 

 

 

④食べ終わった後、日々のケアは?

 

M:お手入れも簡単ですよ、白木と違ってウレタン塗装なので、洗剤も使えます。Uさんも食べ終わったらすぐ洗ってますよね?

 

U:はい、すぐ洗うように心がけています。洗った後もペーパータオルで水分を拭き取ってから、風通しの良い場所に置いています。お昼休みが終わると、いつも誰かの曲げわっぱが乾かされていますよね。

 

M:水に付けっぱなしは良くないと聞きました。使い終わったらすぐ洗って、すぐ乾かすこと。それがこの曲げわっぱ弁当を綺麗に長く使うポイントだと思います。

 

△洗剤で洗えます。

 

△軽く拭き取って風通しの良い場所へ。夕方にはすっかり乾いています。

 

多くの人に愛され、継承されるモノは、それだけの理由があるもの。身の回りを何でも便利にしてしまう現代において、一見不便に感じてしまう伝統工芸品は、実は「暮らしの豊かさとは」を再確認させてくれる「道具」なのかもしれません。

 

 

ブランド紹介:大館工芸社(おおたてこうげいしゃ)

 

 

秋田県の伝統工芸品として知られている、曲げわっぱ。その歴史は遡ること奈良時代、木こりが杉の木で曲げ物(容器)を作ったことが始まりと言われています。弾力性に富み、美しい木目を特徴とする天然の秋田杉を薄く剥ぐところから始まり、熱湯に漬けて柔らかくしたところで曲げ加工と山桜の皮の縫い止めを施します。生活の道具として伝わった伝統技術を現代に伝えるべく、日常に寄り添う商品を提案し続け、使い続けられている大館の曲げわっぱは、昭和55年に国の伝統工芸品として指定を受けています。

 

>>大館工芸社はこちらから 

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※1点1点職人さんが丁寧に作り上げる大館工芸社の曲げわっぱは、製造に時間がかかる場合がございます。欠品となっている場合も定期的に入荷がございますので、ぜひ次回入荷をお待ちくださいませ。

 

▽過去の「比べる二人の使い心地。」バックナンバーはこちらから

第1弾:PATRICK STEPHAN「3way レザーポシェト」編

 

投稿者: ZUTTO編集部 日時: 2018年03月16日 12:00 | permalink

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