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おろし生姜や鰹節まで。道具と器で、薬味を楽しむヒント

 

おろし生姜や鰹節まで。道具と器で、薬味を楽しむヒント

 

冷奴にはおろし生姜を乗せて、お醤油をたらり。素麺には、香り高いミョウガと大葉。食欲をそそる香りと風味をプラスしてくれる「薬味」は、夏バテが気になるこの季節に欠かせない、食卓の救世主ですね。

 

そんな薬味、簡単に使えるチューブやパウチ入りの市販品もありますが、せっかくなら食材から用意して、フレッシュな風味を楽しみたいもの。今回は、薬味の素材を活かし、風味豊かな味わいを感じることができる道具と器を特集します。道具にこだわりを持つと、生姜はおろし金でおろすだけ、胡麻はすり鉢でするだけでぐんと風味と食感が豊かになりますよ。

 

 

薬味とは?

 

「薬の味」と書いて薬味(やくみ)。そうはいっても、実際に薬の味がするわけではありませんよね。つまりは香味料や香辛料として食卓で用いられる野菜や果物(柑橘など)の総称で、お料理に少量だけ加えるだけで香りや風味を添えて、食欲を刺激したり、あるいは彩りをプラスしたり、そうした「ちょっとした何かをプラスする」目的で使われるもののことを言います。

 

なぜ「薬」という文字が用いられるようになったのかは諸説ありますが、お料理の消化を助けたり、体の熱をとる(あるいは熱を加える)といった薬膳的な意味合いを持つ食材もあることから、そうした総称が用いられるようになったとも言われるのだそう。

 

 

薬味といえば、生姜。

 

特に、夏のお料理に効果的に使いたい薬味といえば、生姜に梅干し、ミョウガなど。少し加えるだけで、味覚を刺激して食欲を増進したり、あるいは体を冷やしがちな食材と一緒に食べることで体を内側から温める効果を発揮するものも。夏野菜には、例えばキュウリや茄子など水分が多く体の内側から熱を冷ます食材が多くありますが、冷やしすぎるとかえって体が疲れてしまうことも。

 

そういった点から、茄子の揚げ浸しや焼きナス、キュウリのサラダといったお料理には生姜やミョウガをプラスすると、とてもバランスが良いですね。ちょっと加えるだけで、風味だけでなく、体の調子を整えてくれるというのも薬味の嬉しいポイントなのです。

 

 

おろし金の魅力

 

おろし金三種。

 

おろし金をいつも食卓に。

 

薬味といえば、最初に思いつくのが「おろし生姜」や「大根おろし」のように「おろし」と名のつく薬味。ここで登場するのがおろし金です。

 

ギザギザとした刃が並んだ金属製の小さなおろし金は、キッチンの定番品の一つ。一般的に大量生産されたおろし金は、刃が揃っている分食材の繊維を潰してしまったり、1ヵ所の面だけがおろされてしまいますが、手作りのおろし金は刃並びが微妙に不規則のため、おろす度に様々な面が当たります。そのため、食材の向きを何度も変える必要もなく、軽い力で手早くおろすことが出来ます。

 

そんな大根も生姜も、風味良くおろす時のポイントは、「歯ごたえ」。

大根おろしは水分を含んだままふんわり仕上がり、固い生姜も必要なときにさっと作れますし、食材の食物繊維を損なうことなく、口に入れた時に適度に食感を感じるので、より美味しく感じることが出来ますよ。

 

鬼おろし

 

夏の冷しゃぶサラダや、冬の鍋物など1年を通じて登場する薬味といえば、大根おろし。消化を助け、さっぱりとした風味を添える万能な薬味です。大根や山芋をたっぷりおろすなら、箱型おろし金がおすすめ。

 

 

 

おろし金と受け箱、水切り板がセットになっています。受け皿があることで、安定感が増し少ない力で早く楽におろすことが出来ますが、大矢製作所(おおやせいさくじょ)の箱型おろし金ではさらに、銅板と受け箱のフチの寸法を厳密に出すことで、銅板を受け箱に乗せた時にすき間が少なく、おろす作業中に銅板がカタカタと前後に動くことによる力のロスを防いでいます。大根、りんごなど大きなものをおろすのに使い勝手の良いおろし金です。

 

▼「おろし」の盛り付けに便利な小皿

山水絵替り角小皿 5枚

 

おろし生姜やわさびなど、小さな薬味の盛り付けに便利なのが和柄の小皿です。お客様を迎えての食卓など、「お好みでどうぞ」という言葉とともに、銘々に取り分けた薬味の小皿を並べられたら素敵です。

 

写真は、宮本泰山堂が描く美しい古典柄「山水絵替り角小皿 5枚」。それぞれ物語を感じる山水が色鮮やかに描かれています。薬味の他にも、お刺身などのしょうゆ皿や、天ぷらの手塩皿、餃子のたれを入れたりと、様々な用途に使えます。

 

 

すり鉢の魅力

 

すり鉢

 

おろし金と並んで、薬味の準備に欠かせないのが「すり鉢」。すり胡麻を作る時には欠かせない道具ですよね。

 

フードプロセッサーのように便利な調理機器が馴染み深くなったり、既にすり胡麻の状態に加工されたパック入りの胡麻が市販されていたりと他で代用は可能なものですが、すり鉢でゴリゴリと擦った時の滑らかな仕上がりや豊かな香りは、やはり絶品です。その起源は古く、鎌倉から室町時代の遺跡から現代のすり鉢の元祖とも言える道具が出土しているのだそう。そんなにも古くから存在していたすり鉢は、和食文化の発展の中で、日本の調理場には欠かせない道具となっていったのですね。

 

そんなすり胡麻を使用したお料理を楽しみたいのは、こんな和の器です。

 

 

▼漆椀に、箸置きを添えて

四つ椀 拭漆

 

ちょっとしたお茶漬けにも、香り高い擦り胡麻をぱらりとかけて。せっかくなので、漆のお椀を使ってみてはいかがでしょう。食卓には箸置きを置くのも忘れずに。

 

不思議なもので、器にこだわるだけでぐっと食卓の雰囲気が高まるから不思議です。まるで将棋盤に駒を差すように、食卓に箸置きを置いて箸を整える。小皿に盛り付けた薬味と一緒に、漆椀をそっと並べる。そんな一つ一つの動作を楽しんでみたくなります。

 

 

▼蕎麦猪口と、薬味

そばちょこ

 

胡麻やねぎ、みょうがなどの薬味と相性が抜群なお蕎麦は、ぜひ蕎麦猪口を揃えて頂きたいですね。ぐっと食卓の雰囲気が出ますし、ちょっとした特別感も味わえます。

 

愛媛県砥部町を中心に作られる砥部焼を展開する白青(しろあお)。砥部焼は白く光沢があり、厚みと重量感のある磁器に藍色で描かれた模様があるものがオーソドックスな特徴とされています。白青はその特徴を生かしながら、現代の食卓や生活様式に合うようデザイン。

 

 

こちらの蕎麦猪口も、混じり気のない美しい白地に手書きで濃くくっきりと描かれたラインや絵柄は、呉須(ごす)と呼ばれるコバルトを主成分とした藍色の顔料を何重にも重ねることで表現されています。爽やかな藍色は、涼やかに演出したい夏の食卓にぴったりです。

 

 

 

かつおぶし削りを使えば、ふわふわの鰹節が楽しめます。

 

 

和食を風味豊かなものにする、「かつおぶし」。現代では、真空パックに入った便利なかつおぶしがありますが、かつおぶしを削る作業自体それほどの手間ではありません。大工さんが使う「かんな」をそのまま小さくしたかのような佇まいで、シュッシュッとテンポよく削っていけば、家族2人〜4人分のちょっとの量なら、あっという間に食の幸せが広がりそうです。

 

 

コンパクトなので、収納もかさばりません。

 

鰹節の醍醐味といえば、その風味とふわふわの食感。

鰹節自体はとても酸化しにくい食品なのですが、削り節の方は削りたてから30分で酸化が始まるとも言われており、酸化した鰹節は色がくすみ、香りもどんどん薄まってしまいます。家庭に鰹節削りがあれば、使いたい時に少量削ってそのままさっと使うことが出来るので、豊かな風味とふわふわの食感を味わうことが出来ます。

 

食卓に和の器を。

 

つばめ皿

 

鰹節を乗せて食べたくなるものといえば、焼き茄子、ほうれん草のお浸し、オクラのおかか和えなど食材の旨味を生かした、シンプルなお料理が多いような気がします。そんなシンプルなお料理には、是非美しい絵柄の和食器を。

 

おかずの盛り付けには、「色」「柄」が重要な要素。シンプルなお料理ほど色味は少なくなりがちですが、絵皿に盛り付ければ食材の色味を際立たせながらさりげなく華を添えるので、食卓が寂しくなりません。繊細な絵付けが美しい九谷焼や渋めの色味で落ち着いたテイストの美濃焼など、焼き物ごとに異なる趣を楽しむのも素敵なものです。

 


気になるメンテナンス

 

「おろす」「する」「けずる」など、この薬味にはこの道具という風に目的と用途が決まった道具たち。日常的に使う道具だからこそ、大切に使って長持ちさせたいですね。特別なメンテナンスはしなくとも、用途を守って使っていれば長く愛用することが出来るものばかりですが、幾つか気をつけたいポイントがあります。

 

■おろし金

◇使用後は直ぐにすすぎ洗いし乾かし保管する。

◇浸け置き、塩素系漂白剤、クレンザー、スチールタワシの使用は避ける。

◇(銅製の場合)塩分や酸などを含んだ汚れを放置したり、

湿気の多い場所に保管したりすると、緑青(錆)の原因に。

緑青がでた場合は、酢と食塩を同量に混ぜたものを布やブラシにつけ擦り落とし、水で洗い流す。

 

■すり鉢

◇オーブン・電子レンジ・食器洗浄機の使用は避ける。 

◇吸水性が非常に高いため、浸け置きはしない。水洗いした後はよく乾燥させる。(カビ・しみ・臭い発生の原因となります。) 

◇油分の強い食品を長時間入れたままにしない。

 

■鰹節削り

◇日常的なお掃除を心がける。ハケ等で残った粉を払うようにする。

◇本体が変形する可能性があるので、水洗いはしない。

◇削りにくくなったら、適宜メーカーにメンテナンスを依頼する。

 

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投稿者: 斎藤 日時: 2016年07月28日 11:00 | permalink

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