折りたたみ傘はとても便利ですが、
やっぱり長傘も素敵です。
かつては、富の象徴だったという雨傘。
今回はFOX UMBRELLAS(フォックスアンブレラズ)を取り上げて
傘の歴史を紐解きながら、その魅力について綴っています。
この梅雨はとっておきの一本を手に取ってみませんか?
アンブレラ(傘)の語源は、ラテン語のアンブラ(影)だと言われています。
もともと、傘の起源は日傘なのだとか。紀元前1000年頃のエジプトでは、
権力者達は天蓋(現代に例えて日傘)を従者に持たせることで
威厳を示していたのだそう。
その後、ヨーロッパに渡来しても、傘は富の象徴となっていました。
そんな、「高貴なもの」とされていた傘を、現在の「便利な雨具」へと進化させたのは、
英国の哲学者であり、旅行家であったジョナス・ハンウエイでした。
1700年代中頃、彼は油を染み込ませた“雨用の”傘を考案し、
それをさしてロンドンの町を歩きましたが、世間からは変人として扱われ、
雨傘の普及には至りませんでした。
今では雨傘のない暮らしは考えられないだけに、
このエピソードには驚きですね。
そしてさらに時を経た1947年、小型パラシュートを製作していた
FOX UMBRELLAS(フォックスアンブレラズ)が、
パラシュートの残材ナイロンを利用して、世界で初めて化学繊維の傘を開発。
FOX UMBRELLAS(フォックスアンブレラズ)が考案したU字断面のスチールフレームは
世界基準となった骨組みの構造です。
曲面のバランスは当たる雨を柔らかく受け止め、水滴を傘の外へと導くように計算されています。
こうして雨傘の普及に大きく影響を与えたFOX UMBRELLAS(フォックス・アンブレラズ)は、
現代の傘の構造の原点を生み出し、それを守り続けてきました。
ふだん、何気なく使っている長傘。
実は、40~50個のパーツから出来ているというのをご存知でしょうか。
開閉時に緻密な動きをする骨やシャフトなどは特にデリケート。
歴史的に、丈夫さを反映させた傘も多く開発されてはいるものの、
長持ちさせるためには、やはり丁寧に扱ってあげることが重要です。
ところが、「正しい傘の使い方」となると、意外に知られていないもの。
雨風にさらされることを仕事とする傘ですが、
大切に使ってあげたいですよね。
◇ハンドル:持ち手は、傘布(カバー)の次に
傘のお洒落を演出する重要なパーツ。
FOX UMBRELLASでは、エレガントな藤(マラッカ)製のハンドルが人気です。
◇親骨(おやぼね):写真奥。傘の開いた時に生地を支える大切な部位。
親骨8本が主流で、折りたたみ傘は6本、
和傘調のもので16本・24本など、設計によって本数が異なります。
◇受け骨(うけぼね):写真手前。親骨に接続する骨で、開いた時に頭上に広がる骨です。
◇石突(いしづき):中棒の先端部分にあるパーツ。
クルクルと綺麗に畳んだ巻き傘はステッキのように美しいですが、
電車の中など、杖のようにして寄りかかると、この「石突」に負担がかかって
変形の原因となることもあるので、気をつけましょう。
◇露先(つゆさき):傘布の先端と親骨の先端を結合する部位。
開閉時、親骨にかかる負荷はこの部分に集まるため、
破損しやすいデリケートなパーツでもあります。
1:開閉は優しく
外に出たら、雨。
急いでいると勢い良く傘を開いてしまいがちですが、
骨に負担がかかったり、生地が骨に絡まって破損の原因となることも。
勢い良く一気に開くのではなく、ウォーミングアップするように軽く開閉してから
大きく開くようにすると、破損しにくいですよ。
2:たたむ時も優しく
傘をたたむ時、強い力で水を切ると、
本体に負担がかかるので要注意です。
また、手で生地を締め付けたり、こすったりすると
表面のはっ水加工などが取れてしまう可能性があるため、
ひだを優しく寄せるようにしてたたみましょう。
3:使用後は陰干しを
濡れたまま置いたり、充分乾燥させずに収納すると
生地の変色、カビの発生、はっ水機能の低下や
骨の結合部分が錆びる原因になります。
使用後は必ず陰干しして湿気を充分に取り除きましょう。
傘を干すときに直接太陽の光に当てると、
生地の色褪せや表面加工を痛めることがあるため、
干す時は必ず「陰干し」にします。
毎日目にする天気予報。
梅雨時期は、日本列島に傘マークが沢山並ぶ光景がお馴染みですよね。
ところで、こんな予報を耳にすることがあります。
「曇り、一時雨」
「曇り、ときどき雨」
「曇り、ところにより雨」
基本的に今日は曇り、でも雨が降るかもしれない、という点では
どれも似ているのですが、実際のところどんな風に雨が降りそうなのか、
イメージしにくいですよね。
気象庁の公式サイトによると、
一時:現象が連続的に起こり、その現象の発現期間が予報期間の1/4未満のとき。
ときどき:現象が断続的に起こり、その現象の合計時間が予報期間の1/2未満のとき。
ところにより:現象が地域的に散在する。対象予報区全体の50%未満で起きること。
とあります。つまり、1日の天気予報なら、
「曇り、一時雨」:1日のうち、1/4くらいの時間で雨が降りそう
「曇り、ときどき雨」:1日のうち半分は雨が降りそう
「曇り、ところにより雨」:場所によっては雨が降りそう
という風に、微妙に意味合いが違ってきます。
いずれにしても、お出かけの時間帯にその場所で
雨が降るかどうかは判断が難しいもの。
念のため傘を持った方が良さそうですね。
ちなみに、こういった天候の表現とは別に「降水確率」も
傘を持つかどうかの重要なヒントになりますが、
そもそも、降水確率は1mm以上の雨が降る確率のことで、降水確率が高いからといって
雨がたくさん降るというわけではないそうです。
降水確率90%で弱い雨がしとしと降り続くことがあれば、
確率は50%「曇り、ところにより雨」の天気予報で、
短時間かつ局地的に、たくさんの雨が降るということも在り得るのですね。
天気予報は、あくまでも予報。
急な雨でも奥せず、スマートに街を歩けるよう
お気に入りの傘があると素敵です。
傘と雨の切っても切り離せない関係を知ると、
雨がより面白い存在になるかもしれません。
梅雨の傘学、いかがだったでしょうか。
アンブレラ(傘)の語源は、ラテン語のアンブラ(影)だと
ご紹介しましたが、漢字で「傘」と書くと、
屋根の中に人がたくさん並んで
雨宿りしているような意味合いが感じられます。
やはり、傘は人が持ってこそ美しく見えるものです。
傘は必要から生まれた道具ですが、
ここまでの美意識を見出だせるアイテムは
他にはなかなかないかもしれません。
是非、お気に入りの一本を探してみてくださいね。