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冬を彩るタータンチェック、その歴史と意味を知る

 

寒さが厳しくなってくると黒やグレーといったシックな色のアウターが多くなりますが、そんな中で街を彩り、見るものの目を楽しませてくれる、タータンチェック柄。女王を守る近衛兵も儀式の際にはタータンチェックのキルトを着用して行進したり、学校の制服としても採用されたタータンチェック柄。イギリスの国境を越え、今では世界中の人々に親しまれています。また、タータンチェックは有名海外ブランドや百貨店にも採用されています。その裏にある歴史や意味を知り、お気に入りを見つけてみてくださいね。

 

 

タータンチェックとは

 

タータンチェックとは、様々な色に染めたウールの糸を綾織にした、チェック(格子柄)の織物の一種です。日本ではタータンチェックと呼ばれていますが、海外では「タータン」のみで同じ意味となります。タータンの基準となる規則は多々ありますが、総称して太さの異なる帯を組み合わせて出来た柄とも言えます。帯と帯を交差させるという、言ってしまえば単純な柄ではあるものの、帯のそれぞれの並べ方や色、太さなどの組み合わせは自在に作ることが出来るため、世界中のあらゆる場所で新しいタータンが生まれています。

 

タータンが他のチェック柄と明らかに異なるのは、スコットランド政府の登記局による「スコットランド・タータン登記所(The Scotitsh Register of Tartans)」という機関が法律に則り、タータンをスコットランドの伝統的な織物として保存・保護・登録管理している点にあります。

 

タータンにはデザイン毎の名前があり、いくつかのカテゴリーに分けられます。そのデザインにはそれぞれ歴史と意味があり、どのような用途でその柄を作ったのかを表しています。

 

 

タータンの色

 

タータンには、色が4種類あります。

鮮やかで濃い色を差す「モダン色:Modern」、優しい色合いの「アンティーク(アンシェント)色:Antique(Ancient)」ぼやけた色合いの「ぼかし色:Muted」年月を経て変化したタータンの色合いを模した「複製色:Reproduction」があります。4種類の色が存在するということは、同じタータンの柄を4種類の色で作ることが可能になるということです。

 

 

 

タータンの柄

 

タータンの柄は、目的や用途によって幾つかの種類に分けられています。

 

クラン・タータン

 

まず、クラン・タータンとは、スコットランドの由緒ある氏族(クラン)とその家族が身につけられる種類。日本で言うところの家紋に近い存在です。一族の行事などの際、揃いのクラン・タータンを制服のように着たり、戦のときは味方を見分ける意味で使うなど、場面によっては旗印のような意味も持ちました。今ではファッションとして幅広い国や地域、世代の方に親しまれています。スコットランドのクランは300ほどもありますが、中でも主要なタータンをご紹介します。

 

Buchanan(ブキャナン)

 

 

 

Buchanan(ブキャナン)は、スコットランドのロッホローモンド(ローモンド湖)のほとりに住む一族であるブキャナン家のタータン。その土地の当主がスコットランド王からブキャナンの土地を賜ったことから、その名が付いたとされています。彼らはその地を約700年治めていた歴史ある氏族で、ブキャナンのタータンもまた長い歴史を持った柄と言えます。Highland Tweeds(ハイランドツィード)のストール Antique Buchananは、ブルーにイエロー、レッド、オレンジを重ねた柄で、ホワイトのストライプがアクセントになっています。

 

Stewart(スチュアート)

 

スチュアート朝といえば、1372年からアン女王が亡くなるまでの1714年まで長く続いたスコットランド起源の王朝。1603年以降はイングランド国王を兼ね、1707年にグレートブリテン王国(イギリス)を成立させました。スチュアート氏族のタータンは、グリーンとネイビーにレッドの帯の入ったものです。

 

 

ディストリクト・タータン

 

地域(地方)に関係したタータンがディストリクト・タータン。実際にその土地に根ざしていたタータンもあれば、単純に名前だけが付けられたものもあります。スコットランド以外の国や州、都市などが公式のタータンを持っている場合も、ディストリクト・タータンに分類されます。

 

 

 

例えば、こちらのDark Maple(ダークメープル)のタータンも、カナダのディストリクト・タータンをシックで落ち着いた色にアレンジしたもの。深みのあるレッドに、チャコール、グリーン、イエローで作られる格子の温かみと落ち着いた印象を感じるタータンで、雄大な自然の中に揺れるメープルのリーフが連想できますね。

 

 

ミリタリー・タータン

 

 

 

ミリタリー・タータンは、軍隊用のタータンを指します。「アーム・タータン」とも呼ばれ、最も良く知られているタータンがグリーンとブラックをベースにした、ブラックウォッチです。

 

スコットランドの軍隊が揃いのタータンを纏っていたのはかなり早い時期から。1725年にハイランド人で結成された歩兵隊が道路の建設、出身地の警備などを行っていました。軍隊のタータンは初期より緑・黒・青の三色を基調としており、黒っぽい色と警備の見張り(Watch:ウォッチ)から、連隊はブラックウォッチと呼ばれ、そのままタータンの名前になったと言われています。

 

 

ロイヤル・タータン

 

 

 

タータンといえば、このロイヤル・タータンを連想される方もいらっしゃるのではないでしょうか。ロイヤル・タータンとは、王家が用いてきたタータンのこと。最も有名なものでは「ロイヤル・スチュアート」です。このロイヤルスチュアートは、クラン(氏族)のものではなく、王室のスチュアートタータンになります。鮮やかな赤をベースにした配色は、お顔周りをパッと明るくし、秋口のトレンチコートから、冬のウールのコートまで良く似合います。

 

 

ドレス・タータン

 

Dress Gorden(ドレスゴードン)

 

 

 

女性のために明るい色で作られたドレス・タータン。ディナーの際に、正装に着替えるという習慣が広まった19世紀頃に作られ始め、社交界に参加する貴族から愛されていた柄です。太いホワイトのラインが入ることにより、華やかで、より女性らしい印象がありますね。

 

Dress Stewart(ドレス・スチュワート)

 

 

 

こちらもドレス用にと考案された、ドレス・タータン。優しくソフトな色を組み合わせたチェックは、繊細でフェミニンな雰囲気です。 白地が優しい雰囲気を引き立て、細く入った格子柄がアクセントになっています。 

 

この他にも、狩猟に適した色合いで作られたハンティング・タータン、大手百貨店でおなじみのコーポレート・タータン、ヴィヴィアン・ウエストウッドやバーバリーなどのファッションビジネスで使われるファッションタータンなど、非常に多くの世界にタータンが存在しています。

 

 

ご紹介したブランド

 

 

手軽に取り入れられる、ウールのストール・マフラー。Highland Tweeds(ハイランドツィード)

 

1837年、アブラハム・ムーン氏により、イギリス・ヨークシャー州リーズに創業の名門ファブリックメーカーのブランド、Highland Tweeds(ハイランド・ツィード)。伝統的なタータンを柔らかなラムズウールに施し、非常にしなやかでふっくらとした暖かみのある肌触りで、従来のウール製品にありがちなチクチクするなどの不快感がないのが特徴です。 

 

 

 

スコットランド伝統のキルトスカート。ONIEL OF DUBLIN(オニール・オブ・ダブリン)

 

150年以上の歴史を持つアイルランドのキルトスカートブランド、ONEIL OF DUBLIN(オニール・オブ・ダブリン)。

首都ダブリンでアイルランドの民族衣装であるキルト製品を作り続けている名門ファクトリーで、伝統的なタータンを使って、現代にも愛されるスタイルを作り続けています。クラシックなタータンチェックが施されたキルトスカートは、いくつになっても心をときめくような上質なアイテムです。

 

投稿者: 村上 日時: 2017年11月08日 12:00 | permalink

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