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次シーズンへのバトン。衣替え前のメンテナンスはアイロンがけで仕上げる

 

そろそろ肌寒い秋冬の季節をともにしたお気に入りのワードローブはクローゼットやタンスに仕舞って、夏に向けた服を揃えるこの時期。

新しい季節の服に袖を通すのはいつだって楽しみではありますが、季節が終わった服にもきちんと目を向けて、また来年着続けるために丁寧に仕舞いたいものです。翌年クローゼットから取り出したら、服に穴が開いてしまっていた!ほつれたままだった!汚れが残っていた!なんてことがないように、仕舞う前のメンテナンスを徹底することが重要。お洗濯だけでなく、アイロンをかけることで次のシーズンにも気持ち良く袖を通すことが出来ます。

 

アイロンを役立てる

 

アイロンは服のシワを伸ばすためだけのものと思っていませんか?実はほかにも、アイロンの熱や蒸気の力によって食べ物やタバコなどの嫌な臭いを取ったり、服に付く虫を撃退するといった効果があります。また、アイロンをかけることで服の隅々にまで目をやることが出来ます。

 

左上から時計回りに:アイロンウォーター/Laundress(ランドレス)・霧吹き・スチームアイロン・ドライアイロン・あて布

 

アイロンには大きく分けてドライアイロンとスチームアイロンの2種類があります。

ドライアイロンとは、アイロンの熱と重さによってシワを伸ばすアイロンのこと。スチーム(蒸気)が出ないので、パリッとした仕上がりになります。熱に強い綿などの生地をアイロンがけする際に便利。一方、スチームアイロンはその名の通り高温の水蒸気を出しながら熱でシワを伸ばすアイロン。服に接着させて使うだけでなく、浮かしながら蒸気を当てたり、服をハンガーにかけたまま蒸気を当てるといったハンディタイプも増えてきました。スチームアイロンは縮みやすいウールなどの素材にも使える場合があります。

 

アイロンがけをする際に一緒に持っていると便利なものが、霧吹きやアイロンウォーター。

霧吹きはスチームの代わりに服に水を吹き付けることで、アイロンの滑りを良く、シワを伸ばしやすくします。また、Laundress(ランドレス)のアイロンウォーターはスイートムスク、イランイラン、シトラス、パチョリといった植物の香りを含み、水に溶かして吹き付けることで、衣類を爽やかな香りに包んでくれます。シルクやウールなど繊細な素材へのアイロンがけに必須なあて布は、薄手のハンカチを代用しても問題ありません。

 

アイロンがけの前に。見るべきチェックポイント

 

服を綺麗な状態で保つためには、お洗濯の後、アイロンがけの前のチェックが重要です。

 

①服に汚れや匂いが残っていないか?

衣服はお洗濯をしないままの状態だと、徐々に汚れが落ちにくくなっていきます。冬でも汗をかくため、特に皮脂が残りやすい襟元、脇の下や袖口、ボトムスの裾といった汚れが付きやすい場所を重点的にチェック。また、服に匂いが残っていないかも確認します。

 

皮脂が付きやすい場所を念入りに確認。

 

②虫喰いが起きていないか?

虫に好まれるのは、ウールやシルク、カシミヤといった天然素材の衣服。対策は早めが肝心なので、まずは今持っている服に虫喰いが起きていないかを確認します。

 

③ピリングが生じていないか?

また、冬服で生じやすいのがピリング(毛玉)。ピリングは生地の繊維が絡み合ってしまった状態を指しています。着用すると腕が当たる部分や座ると座面に当たる部分などが特に摩擦によってピリングを作ります。ウールやシルクといった、天然繊維がよりピリングを作りやすい素材です。ピリングを見つけた場合はそのままにせず、刺繍ばさみなどで丁寧にカットしておくと見た目を美しく保つことが出来ます。

 

糸を切る際には小さなサイズ、切れ味の良い糸切りばさみがあると便利。播州刃物(ばんしゅうはもの)の握り鋏は鋭い切れ味と耐久性が魅力。

 

④洗濯表記の確認

そして確認したいのがその服にアイロンをかけて良いのかということ。下記がアイロンに関する洗濯表示です。

 

①アイロン仕上げ禁止

②底面温度110℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げができる

③底面温度150℃を限度としてアイロン仕上げができる

④底面温度200℃を限度としてアイロン仕上げができる

 

マークにある点の数が多いほど、高温でアイロンがけして良いという表示。素材だけでなく、服の作りによっても表示が異なる場合がありますので、必ずご確認ください。

 

素材別、アイロンのかけ方

 

アイロンの基本

 

アイロンは基本的に生地に接着させた状態で、上から少し力を加えながら動かします。

 

 

アイロンがけのポイントは、片手で服を抑え、ジグザグ方向ではなく、まっすぐ一方向へかけること。ジグザグにかけたり、同じ場所を行ったり来たりさせるとシワの原因となります。

 

 

また、アイロンをかけ終わった直後は服に熱や蒸気が残っている状態。服を優しくならしたり、ハンガーに掛けて熱を逃がすようにします。この基本を守るだけでも、余計なシワが抑えられます。生地に使われている素材によっては高温に弱かったり、熱を加えることでテカリが生じてしまうため、素材に合わせたアイロンがけが重要です。

※同じ素材でも、推奨されているアイロンがけが異なる場合がありますので、必ず衣服に付いた洗濯表示をご確認ください。

 

①コットンのチノパン(中温〜高温)

 

コットンは比較的熱に強いため、高温のアイロンがけが可能です。

 

 

ZUTTOオリジナルのチノトラウザーズも、コットン100%で作られたパンツ。2本の糸を撚り合せて作る、「ウエストポイント(ウエポン)」と呼ばれる作りで、非常に強度が高くなっています。ハリがあるので、シワになりにくいですが、長期間の収納前にはアイロンがけをしておくことをおすすめします。

 

 

 

チノトラウザーズはテカリを防止するためにあて布の使用を推奨しています。まずはパンツの足の縫い目を揃えて、アイロンがけする部分を広げます。

アイロンがけの順序は大きな面の腰〜お尻の部分から、片足ずつアイロンをかけていきます。パンツの場合、縫い目を揃えること、そして片手でパンツを抑え、しっかり体重をかけて一気にプレスしていくのがポイントです。

 

②シルクのスカーフ(低温〜中温)

 

繊細なイメージのあるシルク。ルールを守ればアイロンがけをすることが可能です。

 

 

the PORT by marca(ポート)は、横浜生まれのスカーフブランド。一点一点が手捺染(てなっせん)と呼ばれる技法で染め上げられています。シルクが控えめながらも上品な光沢を放ち、滲みのない美しい柄はまるで絵画を見ているようです。 

 

 

軽くて滑らかな手触りが特徴のシルク。その理由は細い繊維にあります。肌にじかに触れてもちくちく感じないのが良い点ですが、一方で繊維が細いことで摩擦に弱いという性質があります。

 

 

生地への摩擦を極力無くすために、シルクのアイロンがけで心がけたいことは以下の3つ。

①あて布を忘れずに

②ドライアイロンを低温で

③手早く行う

スチームアイロンを使用すると、落ちた水滴がシミになってしまう恐れがあります。また、ゴシゴシとアイロンをかけると毛羽立ちの原因となりますので、スッと流すように手早くアイロンをかけてください。

 

③ウールのブランケット、セーター

 

冬の間、大活躍したウールもの。厚手のものはシワになりにくいですが、仕舞う前に熱を加えておくことで、防臭、防虫予防になります。さらに、縮みが生じたセーターも、アイロンをかけることで若干の復元が可能です。

 

 

スウェーデンのテキスタイルメーカー、KLIPPAN(クリッパン)のストールはエコラムズウール100%。厚すぎないのに暖かく、カーディガンのように羽織ればすっぽりと背中を包み、ひざ掛けとしても使うことが出来ます。

 

 

ウールのアイロンがけのポイントは、必ずスチームアイロンを使い、浮かせてアイロンをかけること。ウールは熱に弱いため、ドライアイロンをそのまま接着させて使うとテカリの原因となりますので、お避けください。

生地から1〜5cmほど離して、たっぷりとスチームを含ませます。温かいスチームによって繊維が膨らんで行きます。その後、十分に乾燥させます。乾燥する際に形が復元していきます。

 

④ボタンの付いたカーディガン

 

セーター同様定番のカーディガンは、脱ぎ着をするため、袖や背中側にシワが入ることも。収納前には一通りアイロンをかけることをおすすめします。

 

 

JOHN SMEDLEY(ジョン・スメドレー)のBELSIZE 30Gコットン Vカーディガンは上質なシーアイランドコットンで作り上げたカーディガン。細やかな編み地が気持ち良く、着ていることを忘れてしまうほど快適な着心地です。

 

 

カーディガンのアイロンも、ウールニット同様にスチームアイロンで浮かせながらかけることをおすすめします。また、カーディガンの場合、ボタンに熱が当たらないよう裏側からかけることを基本に。まんべんなくスチームをかけて、よく乾かしてから収納してください。

 

次のシーズンまで、綺麗なまま収納

 

アイロンをかけ終わったら、綺麗な状態で収納を。長期間収納した状態にする場合、本当に大事な服は湿気や虫を寄せ付けない場所へ保管がおすすめです。

 

 

 

Woodlore(ウッドロア)のシダー収納ボックスは、畳みの衣類収納に最適。シャツボックス、タイボックス、ソックスボックスの3サイズがあり、シャツボックスは畳んだセーターがぴったり入ります。アメリカ産のレッドシダーは消臭、防湿、防虫効果があるため、衣替えの衣服収納に活躍。森林浴をしているような気持ち良い香りが服を包んでくれます。

 

 

アイロンがけが重要な理由は服のシワを伸ばしたり、匂いをなくしたりするためだけでなく、服の隅々まで目が行くようになるということ。着続けてきた服の変化に気づき、毛玉があればカットを、縮みが生じたらアイロンのかけ方を変えるなど、一着ごとに適切なお手入れが出来るようになります。お手入れの仕上げとなるアイロンがけの効果を今一度見直してみませんか。

 

 

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投稿者: 植田 日時: 2018年05月23日 11:00 | permalink

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