クリスマスの飾りやプレゼントの準備とともに、年末年始に向けた準備も並行して行うのは日本特有なことなのかもしれません。
年始に向けた準備の一つに、お正月飾りがあります。鏡餅や門松、しめ縄など、お正月飾りは多く存在しますが、それらを毎年ちゃんと飾っているご家庭はどのくらいあるでしょうか。
国産の木材でできた、すべすべと気持ちのいい木肌の鏡餅。毎年同じものを愛でて大切にし、色の変化や傷でその家族だけの年月を重ねてもらいたいという思いから誕生した「ひのきの鏡餅」をご紹介します。
昨年からはより長いシーズン飾っていただけるよう、ウォルナットのバケツを作り、雪だるまとしても飾ることができるようになりました。鏡餅の橙の代わりにバケツをのせると、可愛い雪だるまに姿を変えます。
お正月という短い期間だけでなくクリスマスシーズンから飾っていただけますし、木の色味があって冬らしくなりすぎず、通年飾っても可愛いインテリアです。
鏡餅、橙、台座に加えてバケツもセットでお届けします。
門松、しめ縄、おせち、お年玉などのお正月の飾りものや風習の多くは「神様」と関係しています。鏡餅は、農耕の神様でもある「年神様」へのお供え物と考えられていて、年神様の運気や力を分け与えてもらうとともに一年の無病息災を願う意味があります。
ですが、実物の鏡餅は鏡開きを迎える前にカビが生えてしまったり、乾燥しすぎて鏡開きでどう食べるのか悩むことも多く、簡単に手を出せないことも事実です。また、扱いが楽だからとスーパーなどで購入できるプラスチック容器の鏡餅を検討するものの、やはり少し簡素に見えてしまうため購入をためらうことも。
今回お作りしたひのきの鏡餅は食べることは出来ませんが、季節のインテリアの一つとして楽しめることと、お正月飾りの意味を改めて知り体感するきっかけにもなります。お子さんがいたら、一緒に日本の風習や文化を勉強することにも繋がりますね。
こちらが、ひのきの鏡餅です。
お餅部分が2つ、橙(だいだい)、そして台座がセットになっています。
薗部産業さん選定の国産木を使っていて、それぞれのパーツによって木材も異なります。
お餅:ひのき
橙(だいだい):ケヤキ
橙(だいだい)の葉:ホオノキ
台座:サクラ
鏡餅本体は無塗装で、すべすべした手触りはまるで本物のお餅のよう。無塗装の木はどうしても汚れがつきやすいのですが、それでも、木の美しさと香りを楽しんでいただきたかったので、ウレタン処理などはせずに自然のままで仕上げています。
そして、雪だるまとして飾るときのバケツはウォルナットが使われています。(橙、葉っぱ、バケツはウレタン塗装が施されています)
鏡餅ならではの楕円の形が、雪だるまになるとユニークで愛らしく見えますね。小さなお子さんのいるご家庭でしたら、目や鼻、口のシールを貼ってみたら喜ばれるのではないでしょうか。
▼動画もご覧ください。重ねたときに鳴る音が積み木のようで可愛いのです。
箱を開けるとひのきの良い香りで、なんとも心が安らぎます。中に入っている緩衝材もひのきチップで出来ているので、箱を開けたらまずその香りを楽しんでください。
お餅部分に使用しているひのきは、日本と台湾、中国の一部にのみ生息する木で、日本では古くから法隆寺や伊勢神宮をはじめとした神社仏閣などで、神聖な木として使われてきました。
耐湿・耐水性がよく丈夫。防虫効果と菌の繁殖を防ぐ作用もあるので、シーズンオフで仕舞われる期間が長い飾り物として適している素材と言えます。
お餅部分はサイズ違いでお椀状になっているので、入れ子にして収納することができます。飾る期間を終えたら、お届けした箱に入れて、また来年まで仕舞っておいてくださいね。
薗部さんのアイディアで台座が八角形になり、和の印象が薄まったので、お正月だからといって和の小物とだけでなく、 北欧調のサイドボードやお気に入りの雑貨を飾っている棚にも、しっくり馴染みます。また、誤って食べられることがないため、ペットがいるご家庭にもおすすめですよ。
この「ひのきの鏡餅」は、ZUTTOが薗部産業さんに別注して作っていただいたものなので、他での販売はありません。せっかくなので、今回の鏡餅やブランドにまつわるお話をしましょう。
お話を伺ったのは、薗部産業株式会社の薗部弘太郎さん。ZUTTOからの別注のお願いを快く受けてくださり、職人さんとともにこの木の鏡餅を一緒に作り上げてくださった方です。
△SONOBEブランドの木のお椀、「めいぼく椀」
薗部さん:「そうですね、工程としてはお椀作りとほぼ同じです。丸太から板、板からお餅1つ分へのブロックの切り出しを行い、乾燥工程を経て木の鏡餅の形に削りあげます。この削り上げる作業は、「木地挽き(きじびき)」と呼ばれ、ろくろに木をセットしたら高速回転させ、そこに刃物を当てて削っていくのです。」
「形の違いとしては、お椀の高台部分(お椀の下にぐるりとついた輪っか、足の部分)がないので、今回のひのきの鏡餅はスープボウルを小さくしたような感じですね。
ただ、スープボウルやお椀の場合は、食べ物を入れるための道具なので、木を削ったそのままでは木が料理の水分を吸ってしまい割れ、数回ほどで使い物にならなくなります。そのためにお椀はコーティングとしてウレタン塗装をし、水分を吸わず汚れもつきにくいように処理を施す必要があります。
今回のひのきの鏡餅の場合、使うものではなく飾るものなので、コーティングは行わず、木の香りを感じられる「無塗装」として、みなさまの生活に寄り添えるものといたしました。」
このように、お餅部分のこの形状は薗部産業さんで作っているお椀の形状を元にしているのですが、完成品を確認しているとスタッフがボソッと「雪見だいふくみたいで可愛い・・」と。確かに、少しつぶれた形があのアイスのお餅みたいで、懐かしさや愛らしさが倍増しました。
薗部さん:「はい、作業の工程で出たひのきの木屑を緩衝材として使っています。私たちが出すゴミの中には、『木の燃えるゴミ』は木屑一つありません。例えば、木材に大きい節やシミがあって製品に使えなかったりしても、それを燃やし炭にして、鍛治によって職人が作業で使う刃物を作り出します。」
△刃物鍛冶が終わると生まれる灰は、畑にまき、野菜たちの栄養になります。
「また、大量に出る木屑は、木材を乾燥させるための燻煙乾燥室の燃料として使ったり、同じ小田原にある牧場の馬や他の動物の寝床となり、それがたい肥となり、そしてそれをまた畑にまき、みかんなどの柑橘類の木の栄養となっていきます。循環させているのです。」
「『木を始末よく』とは、木を使い切ってあげることです。自然が育ててくれた木を、自然に還し、次の時代の木々・植物のために。今で言うエコなんだと思いますが、もともとはエコのためというよりもわざわざ産業廃棄物とするより、木の乾燥のため、ものづくりのため、動物のため、育っていく木のため、みんなが愉しく幸せな方法がこの方法だというだけなのです。」
「今回のひのきの緩衝材も、もとはエコのためではなく、お客様にもっとひのきの香りを愉しんでもらいたい=お客様が少し幸せになるように、そんな思いからです。『木を始末よく』は理にかなった方法で木を使い切ってあげること。これが、私たちのブランドアイデンティティである『無理なく 無駄なく 土に還るまで』につながります。」
薗部さん:「薗部産業では、一部海外の木材も使用していますが、やはり国産の木を使いたい思いが強いです。それは、日本の「死んだ森」を蘇らせ、守りたいから。もともと、広葉樹が豊富だった日本の森は、戦中や戦後の建材となる杉やひのきを多く植えたことから、今や針葉樹の森になっています。ですが、その後海外の安価な木材によって国産材は使われる機会が奪われ、誰からも見向きもされない森、つまり死んだ森となっていきました。森は、管理し手を入れないと荒れていくので、使っては植えてを循環させる必要があるのです。」
「日本の木をつかうことは、そうした日本の森を守ることにつながります。まずは1つのモノ(製品)として、お客様が「使ってみたい」と手に取っていただく。そして、その「使ってみたい」が、いつの間にか気付かぬうちに日本の森のためになるのが理想です。そんな風にして、森林を守る動きのために、私たちは日本の木を使っていきます。」
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