フィンランドのスポーツの歴史の中でも多くのプロが愛用してきたKARHU(カルフ)のスニーカー。抜群のフィット感で、陸上競技からウィンタースポーツまでトップレベルのオリンピック選手までもが愛用する機能性と、大手スポーツブランドにはない独特の色合いが特徴です。今回はそんなKARHUの魅力を見ていきましょう。
フュージョン2.0 KH804139
1916年、フィンランドの首都ヘルシンキで誕生したスポーツシューズブランド「KARHU」はフィンランド語で「熊」を意味していて、初めはスキーの板や陸上競技の槍を製作する小さな木材加工の工房からスタートしました。1920年にフライング・フィンズ(世界的に有名なフィンランドのスポーツ選手に対して称える意味で使われる愛称)であるパーヴォ・ヌルミが、このフィンランド製のシューズを履いてオリンピックで9個の金メダルを獲得し、KARHUの知名度を高めます。
当時、競技用のシューズは多かったものの、日常のトレーニングに適したランニングシューズの種類が多くなく、選手は実際に競技中に使用するようなシューズを求めていました。KARHUはいち早く足を保護するパッドやアーチサポートを搭載した機能性に優れたシューズを発表しました。競技用シューズにおけるリーディングメーカーの地位を確立し、国民的なブランドになり、今では競技用のシューズはもちろん、タウンユース用のスニーカーまで幅広く手がけるブランドとなりました。
生誕から100年以上の歴史を誇るKARHUは、伝統的な技術を用いた機能性を活かし、人々に「走る喜び」を体験してほしいという思いから日々革新的なフットウェアを開発しています。
KARHUの哲学と理念
KARHUは創設以来、フィンランド人の内面にある粘り強さ、あきらめてしまいそうな局面でも戦い続ける力や勇気、意志の強さや決断力といったものを意味する「SISU(シス)」の精神を大切にしてきました。このSISUの哲学を根底に据えている彼らは、機能性もデザインも妥協許さないものづくりを行なっています。
また、KARHUのブランドコンセプトに「FUN LIFE,FUN RUN」という言葉があります。
これはより長く、より速く走ることも楽しみ方のひとつではありますが、もっとシンプルに街や自然の中を駆け抜けて、時には自由に立ち止まり、そこで新たな発見をすることができたら人生そのものがより豊かになるのではないか、という彼らの考えに基づくもの。彼らのこの哲学と理念が、オリジナリティ溢れるシューズを生み出し続ける原動力となっているのです。
シンクロンクラシック
シンクロンクラシック KH802674
シンクロンクラシック KH802668
シンクロンシリーズのシューズは1980年代に登場しました。より良いフィッティングのアッパーにするために、小指部分までフィットするような革新的なシューレースシステムにしたのが1990年代のモデルのシンクロンクラシックです。(画像上)
さらに、ランニングシューズで初めて特許を取得したAir Cushionユニットを採用していて、かかとが安定してくれます。実際に履いてみると、厚みのあるクッションが柔軟に動き、心地よいホールド感です。ソールには、独自開発したエアクッションが搭載されてクッション性も高く、弾む足取り、駆け出したくなるほどの心地の良さです。そのため、移動時間が長い日や立ち仕事の方でも疲れにくく、玄関でつい選んでしまう快適なスニーカーです。
Air Cushionミッドソール
シンクロン KH802673
シンクロン KH802670
シンクロンクラシック KH802668
シンクロンクラシック KH802511
フュージョン2.0
フュージョン2.0 KH804139
1996年のコレクションの中でトップランニングシューズであったFUSIONをリニューアルしたモデル、FUSION2.0。トレードマークであるMラインをシューレースと連動させることでフィット感を高めた一足で、KARHUの特徴的なデザインです。丸紐のシューレースとかかとについたプルタブなど、スポーティーな見た目が特徴で、アッパーは、パーツ毎にスウェードやメッシュ等の生地を使い分けたこだわりのシリーズ。他のシリーズよりも色を多く使っている印象で、絶妙な配色が足もとを彩ります。
履いてみると厚みのあるクッションが柔軟に動き、心地よいホールド感です。元々軽量系のシューズでありながら、フィット感が高いおかげで、実際の重さよりも軽くも感じます。
フュージョン2.0 KH804111
フィンランド語で「チャンピオン」を意味する「Mestari」を意味する、ランニングシューズで唯一の商標である「Mロゴ」。Mロゴは他のシリーズにも見られますが、シューレースと一体化したデザインになっているのは、フュージョンならでは。
フュージョン2.0シリーズの中には、テーマを持ってデザインされたものも。
フュージョン KH804134
オリエンテーリングという競技を構成する風景、地図、マーカー、道具というアイテムからインスパイアされたカラーリングを乗せて、都会的で洗練されたデザインに仕上げたのが「ORIENTEERING PACK」シリーズのフュージョン KH804134です。(※オリエンテーリングとは、北欧で誕生した競技。野山の中で、地図上に表示された目印の地点をたどっていき、ゴールまでのタイムを競います。)
フュージョン2.0 KH804124
フュージョン2.0 KH804118
こちらの2足は、幻想的な星座や夜空からインスピレーションを得たコレクション。ミッドソールには逆三角形パーツ「FULCRUM(フルクラム)」を搭載しています。重いものでも小さな力で持ち上げることができるテコの原理を利用した機能で、着地から前方向へのエネルギーを推進力に変換するKARHU独自のテクノロジーによって、足への衝撃の軽減し、スムーズな足の運びを実現しているシリーズです。
アリア
アリア KH803094
1995年にデビューしたアリアシリーズは、当初ランニングシューズとして作られました。当時の機能にインスパイアされたデザインになっており、シュータンを無くし、アッパーと靴の内部が一体化したインソックス構造を採用し、軽快な履き心地と安定したホールド感を実現しています。タンが歩行中にずれる心配もなく、実際に履いてみると厚みのあるクッションが柔軟に動き、寧ろ心地よいホールド感です。足裏にしっくりとくるソールは、履き心地が良く、確実に前へ前へと歩きやすくサポートしてくれます。また、元々軽量系のシューズでありながら、フィット感が高いおかげで、実際の重さよりも軽くも感じます。スウェードアッパーで涼しくなっても履きやすく、色合いも比較的落ち着いています。丸紐のシューレース、シュータンのないデザインが特徴です。
アリア KH803093
レガシー96
レガシー KH806021(25.5~26.0サイズのみ)
1996年にデビューした「LEGACY」を現代版にアップデートしたモデルがレガシー96。LEGACYは、独自開発のエア―クッションを搭載し、サンドイッチ構造のヒールキャップ、EVAミッドソールなどが特徴で、クッション性に優れた安定感のあるランニングシューズです。他のモデルと違う点は、側面のMロゴのデザインがモダンなデザインなこと。アッパーにはスエードと通気性の良いナイロンを使用した、スポーティーで履きやすいスニーカーです。スポーティな色合いと平紐のシューレースで、タウンユースしやすいモデルです。
レガシー KH806023
こだわりのたくさん詰まったKARHUのスニーカーは、北欧らしい独特な配色と、実際に履いてみてわかるサポート力の高さが魅力です。同じKARHUでも、シリーズによってデザインや作られた背景が異なることもあり、選ぶのに迷ってしまいそうですね。