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丈夫さとしなやかさのバルカナイズド製法、PRASの帆布スニーカー

 

「バルカナイズド製法」という製法で生み出されたスニーカーをご存知でしょうか。

日本語では「加硫(かりゅう)釜製法」と呼ばれ、スニーカーのアッパー(本体上部)とソール部分(靴底)を圧着する方法のことを指します。それは、今は数少なくとても貴重な存在となった製法ですが、実はスニーカー作りの基礎といっても過言ではない、伝統的な製法のひとつなのです。

 

今回取り上げる帆布素材スニーカーブランド、PRAS(プラス)の靴も、そんな、いまでは希少となったバルカナイズド製法で作られています。PRAS(プラス)こだわりの製法や素材、ブランドに込めた想いについて深堀りしていきます。キーワードは、「丈夫さ」と「履きやすさ」です。

 

 

 

「バルカナイズド製法」とは、どのような製法なのでしょうか。


日本語では「加硫釜製法」と呼ばれ、スニーカーのアッパーとソール部分の圧着方法のことを指します。アッパーとソールを、まだ固まっていない生ゴムで成型し、専用の釜で高温の圧力を加えながら、硫黄(いおう)などの加硫剤で反応させてゴムを硬化、圧着させていく方法です。これにより帆布のアッパーとゴムのソール、異なる素材を強力に圧着させ、しっかりと一体化させることが出来ます。

 

1840年代に確立された製法で、それまではゴムをソールに利用する試みはあったものの、耐久性に問題があり、製品として完成することはありませんでした。しかしバルカナイズド製法によりゴムの自由度が増し、各シューズメーカーが履きやすさと耐久性を追求したゴム底のスニーカーを製造するようになったと言われています。

 

 

「靴」には、それに適した耐久性を求められる材料・部品が必要です。適切な配合で練られた生ゴム、裏地をゴム糊で張り合わせた表生地、キャンバスを挟み込んで強度を持たせたゴムテープ、ひとつひとつの部品を丁寧に作り上げています。

 

 

平面に切り出された各パーツを、立体的に縫製していくのは、熟練の技を持つ職人たち。1人の職人が様々な工程の技を習得する多能工化により、生産効率の向上や技術の継承につなげています。

 

 

縫製されたアッパーを足型のラストに沿わせて吊り込み、ソールを付けてシューズ全体にゴムテープを巻きます。微妙な力加減を必要とするこの工程は人の手でないと完成品に影響が出るほどだと言います。

 

1足1足吊り機にセットします。

 

専用の釜に入れ、120℃で70分間、高温の熱と圧力を加える工程を「加硫=バルカナイズ」と言います。釜に入れる前の生ゴムの状態から、弾力性のあるゴムの性質を得て釜から出てきます。

 

 

 

 

こうして出来上がったバルカナイズドスニーカーの特徴を見ていきます。

 

SHELLCAP LOW OFF WHITE

・アッパーとソールの結合が強く、底はがれの心配が少ない
帆布のアッパーとゴムのソール、異なる素材をくっつけるのに接着剤を用いると使用により剥がれてくることが多くありますが、バルカナイズド製法により強力に圧着されるので、その心配は劇的に少なくなります。

 

SHELLCAP LOW BROWN

 

・ゴムテープで靴全体を補強
ゴムソールとアッパーの境目の補強を目的に靴にぐるりと一周ゴムテープを巻くため、横方向の動きにも耐久性を持ちます。そしてこのゴムテープが、バルカナイズド製法のスニーカーならではの表情なのです。

 

SHELLCAP SLIP-ON OFF WHITE

 

・接着と成型を同時に行うため、柔軟性があり形崩れが少ない
接着剤でゴム底を貼り付ける方法に比べ、歩いた時に曲がる部分が無理なく曲がります。長い間履いたスニーカーは、親指と小指の脇部分のゴムがぱっかり割れることが多いのですが、そういった心配も少ないのです。

 

 

 

 

今回ご紹介してきたPRAS(プラス)のコンセプトは'JAPANISM PRODUCT'。
日本で製造されている製品、ということ以外にも「真摯に素材と向き合うこと」や「繊細で愚直なモノづくり」、「誠実さ、謙虚さ、懇切さ」といった、日本のものづくりにおける内面的な特性を発信しようと始まりました。製品を手にすると、そのコンセプトが体現されていることがうかがえるのが不思議なのですが、他とは違う独特の空気感すらまとっているスニーカーです。


ブランド設立は2015年ですが、その生産は全て福岡の老舗シューズメーカーMOONSTARです。スニーカー好きの方にはおなじみのMOONSTARは、久留米市で明治6年、足袋の製造を開始しました。以来、日本人の足に合った靴を、形と素材両面から追求しています。


アッパーに使用している帆布は、国内帆布の70%を製造する岡山県倉敷で作られる児島帆布。帆布は撚り合わせた綿糸を織った平織りの厚い布のことで、通気性が良く丈夫、使い込むほどに味が出てくるのが特徴です。倉敷は、古くから綿栽培が盛んで、帆布の一大産地として栄えました。倉敷で生まれる帆布には長い歴史と共に歩んできた実績と確かな品質があります。

 

SHELLCAP SLIP-ON OFF WHITE

 

帆布は、PRAS(プラス)オリジナルのものです。スニーカーのアッパーに用いることを計算し通常の10号帆布(12.6oz)より経緯の糸の密度を少し落とし、縫製に最適な生地厚にしています。


PRAS(プラス)は、そんなMOONSTARの靴製造技術と児島帆布を掛け合わせたスニーカーレーベルなのです。久留米と児島がプラスされて生まれるクリエイション、ブランド名にはそういった想いも込められています。

 

 

 

SHELLCAP LOW OFF WHITE

 

そんなバルカナイズド製法で作られるPRAS(プラス)のスニーカーですが、そのデザインはシンプルです。アッパーの帆布は生成り一色で、本体をぐるりと囲むゴム部分のカラーのみOFF-WHITE・BLACK・BROWNの3色展開です。

靴製造の技術力と、素材の良さで勝負をしている、そんな印象を受けますね。

 

SHELLCAP LOW OFF WHITE

▲かかとの赤いステッチが効いています。ゴムテープ部分にはブランド名が。

 

SHELLCAP LOW BLACK

SHELLCAP SLIP-ON BROWN

 

スリッポンタイプ。靴紐がない分、帆布の表情を存分に楽しむことが出来ます。すっきりとした印象で、スカートに合わせるとカジュアル過ぎずに楽しめます。
 

 

SHELLCAP SLIP-ON BLACK

SHELLCAP SLIP-ON OFF WHITE

帽子:fog linenwork/クレアリネンハット グラフィット

 

 

アッパー部分が生成りの帆布なので、履くうちに汚れは目立ってきます。キャンバススニーカーはちょっとくらい汚して、こなれた感じで履きこなすのがかっこいいと思う人も多いので人それぞれですが、靴は壊れたからという理由よりは、「汚くなってしまった・形崩れがひどい」という理由で履けなくなってしまうことのほうが多いので、長く履き続けることを目指す場合にはきれいに使用することを意識したほうが良いですね。


【履いたあとには】
・靴ブラシで簡単にホコリを落とす
・つま先のゴム部分が汚れていれば、濡れ雑巾で拭く


【目立つ汚れがある時には】
バルカナイズドのスニーカーは水洗いが可能です。
1.靴紐を取り、水またはぬるめのお湯につける。
2.靴用洗剤または中性洗剤で洗い、汚れのひどい部分は
ブラシや歯ブラシなどで落とす。
3.充分にすすぎ洗いをする。
4.脱水後、新聞紙等で形を整え風通しのよい日陰で乾燥させる。

コツは3番のすすぎです。洗剤をすすぎ切れないとシミになる恐れがありますので、しっかりと。4番の乾燥は、必ず陰干しで行ってください。
 

メーカーに伺うと、基本的にはガンガン洗って問題ないとのことです。そして長持ちさせるコツはずばり洗うことなのだそう。アッパーが帆布なので、ある程度履いて汚れたら洗うことで帆布の目が締まり、洗わず履き続けるよりも比較的長持ちするとのことでした。

 

 

 

現在、日本でバルカナイズド製法で靴作りを行っているのはわずか数社だけです。もともとこの製法が発明されたアメリカでは、なんと1社も残っていないと言われているのですから、その希少性が分かります。


労力と手間がかかり、通常のスニーカーの倍ほどの時間がかかりますが、バルカナイズド製法で作られるスニーカーは、しなやかで足に沿う自然なアーチと立体感があります。その他の製法のスニーカーでは出せない、どことなく懐かしいクラシカルな雰囲気も、魅力です。

 

PRAS(プラス)ブランドページ

投稿者: 丸山 日時: 2016年04月26日 11:00 | permalink

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