日本人が昔から手にしてきた日用品が、生活様式の洋風化に伴い減ってきていることは、頭ではわかっていながらも、あるときふと気がつくものではないでしょうか。ごろんと寝転んで昼寝した畳の匂いや手触り、祖母が大切にしていた華やかな着物の文様、年末年始に親戚で囲んだ大きな座卓と、いつもお尻の下に敷いていた馴染みの座布団。
今の暮らしの中にはないけれど、偶然目にした似たものや香りが思い出に結びつく。そういったときに感じる懐かしさ、今はないものへの愛着を思い出させてくれるもののひとつに、本品堂(ポンピン堂)のプロダクトがあります。
慶應三年創業の着物の型染め屋「更銈(さらけい)」を母体とし、今の暮らしに合う和小物を展開されている本品堂。「日本の伝統的な文化・型染めの技術を、現代に伝えたい」という想いで、東京・浅草の工房を拠点にものづくりをされています。そして私たちZUTTOがお願いして、「洋風の暮らしに合う座布団」として試作を重ね、作っていただいたのが【別注】本縫いこざぶクッションです。
もともとあった本縫い小座布団の良さや耐久性はそのままに、フローリングとソファの暮らしでも合わせやすいよう、四方の房をなくし、一般的に想像する座布団よりもふた回りほど小さくするなど、仕様を相談しながら作っていただいたZUTTOの別注品です。
表地には耐久性の高い会津木綿、中綿には保温性と吸湿性に優れたインド綿を使用し、一つ一つ職人さんが手仕事で綿を入れて完成する「こざぶクッション」。スタッフも愛用していますが、本当に使いやすく、それでいて座布団の良さも感じられるもの。改めてその良さをお伝えしたいと思い、今年の夏から新柄を相談してきました。そうして完成したのが「柳に鳥」という、和と洋がちょうどよく同居しているような絵柄です。
新柄・柳に鳥
この「柳に鳥」の発売にあわせて、「こざぶクッション」の受注会を開催いたします。また、既にお持ちのこざぶクッションの打ち直しもオーダーを承りますので、ご希望の方はこの機会にご利用ください。
※スタッフの私物をお直ししている様子も後日紹介予定です。どうぞお楽しみに。
こざぶクッションの新しい柄をご相談したのは、夏が始まった頃のこと。打ち合わせを数回重ね、いくつか案を出していただく中で、この軽やかな鳥を描いた原案をいただきました。
そして案をいただいたあとに、この鳥は、本品堂の代表でありデザイナーである大野さんが、ある織物に描かれていた伝統的な装飾文様「花喰鳥」を見て描いたものとお聞きしたのです。
鳥をぐるりと囲む「柳」も、日本人にとっては馴染みのあるものでしょう。
大野さんのお話を伺って改めて絵柄と向き合ってみると、不思議と見え方が変わりました。受け継がれてきた想い、これからも続いていくもの、というイメージにZUTTOとしてお客様に届けたいものがつながり、「柳に鳥」を作っていただくことに決めたのです。
季節は過ぎ、暑さがまだ残りながらも秋が少しずつ深まる頃。浅草の工房へと足を運び、製作風景を見せていただきました。
本品堂では、「抜染(ばっせん)+捺染(なっせん)」という表現方法でものづくりをされています。それは、ブランドの母体である更銈(さらけい)が、幕末の世に創業して以来培ってきた技術も取り入れつつ、より多くの人に、手軽に手に取ってもらえるよう考えられた手法です。
1. 型彫り
文様全体のフォルムを抜染するための「型」を作る、非常に細かい工程です。この型を使って、抜染を行います。
2. 型付け、抜染
作った型に、もち米に水、塩、米ぬかなどを混ぜて作られた糊をのせて、生地から文様を染め抜きます。
糊からはお米の香りが。この技法が生まれてから作る材料はずっと変わらないのだそう。
手首を柔らかく使い、刷毛をカーブさせながら緩やかな動きで糊をのせていきます。
糊がのった部分は半透明に。この部分が乾くと、青い布地に鳥の形が抜かれて模様として浮かび上がります。
3. 捺染
文様の上に色を挿し捺染していくための、もう一つの型を使います。
抜染した部分に型を当て、色を調合させ捺染。
赤い目がついて、「柳に鳥」の絵柄が完成。
輪郭が柔らかく滲み、温かみのある表情に。ハンドドローイングでデザインを起こし、型をつくり、手で染め抜き、色を挿すことで、独自の表情が生み出されます。そして、その後、職人さんの手によって上質なインド綿が詰められ、クッションとして形になるのです。
今回のこざぶクッションを新しく製作いただく中で、コロナ禍で職人さんの状況も変わり、年々生産が年々難しくなっていることをお聞きしました。
以前お願いしていた職人さんがコロナ禍で引退されたり、原材料費も高騰したりと、ものづくりの環境が変化しつつありますが、こざぶクッションと本縫い小座布団は、布団職人さんの技術も含め、日本の伝統を伝え続けたいという想いから、利益は重要視せずに作っているものなのだそうです。そんなお話を聞きながら、本品堂のお二人の想いが込められた商品であることを改めて感じました。
椅子においてもおさまりがよく、ソファにも馴染む【別注】本縫いこざぶクッション。和洋どちらかに寄りすぎることのない、今の暮らしに合う日用品です。
既に多くのお客様に手に取っていただいているこざぶクッション。随分クッションがへたれてしまった、生地の汚れが気になるなと感じている方もいらっしゃるかもしれません。そんな方を対象に、中の綿をもう一度ふっくらさせる「打ち直し」も受注会期間中に承ります。
※ZUTTOで購入された商品(【別注】本縫いこざぶクッション、型染め本縫い小座布団)が対象です。
工程としては、こういった流れです。
・中のへたった綿をもう一度製綿機にかけ、新品同様のふっくらした綿に戻す
・生地のクリーニング(汚れに合わせた洗剤を使って手洗いいたします)
・絵柄の再捺染
・戻した綿と洗浄した生地とで仕立て直す
中の綿を新品にするのではなく、製綿機にかけ直し新品同様に戻す「打ち直し」。本品堂では、それに加えて生地も手洗いして再捺染。お客様の愛用品と向き合い、丁寧に仕立て直してくださいます。
▲打ち直しをお願いした、スタッフのこざぶクッション。しっかり弾力があり、まるで新品のような形に。
打ち直しをした方がいい目安はあるのですか?とお聞きすると、「それはないんです」とのこと。
▲スタッフはデスクワーク中に愛用しています。(画像は打ち直し前のものです)
ご希望の方は、以下の項目を確認した上でZUTTOカスタマーサポートまでお問い合わせくださいませ。
・生地に破れている部分、薄くなっている部分がないか。
綿を入れる工程は、強い力で生地を引っ張りながら入れていきます。
生地が破れたり、薄くなっている部分があると、その作業ができない場合がございますので、あらかじめご確認をお願いいたします。
・汚れは落とせる範囲のみでの洗浄となります。
特殊なシミの場合は別途クリーニング代がかかる可能性があります。その場合は別途ご連絡した上で、お客様のご希望にあわせて対応いたします。
▼打ち直しまでの流れ
1. カスタマーサポート(support@zutto.co.jp)まで、以下の内容をご連絡くださいませ。
・お名前
・(連絡のつきやすい)お電話番号
・打ち直しご希望の愛用品のお写真
※特に気になる汚れやシミがあれば、その画像、もしくはメールに一言添えていただけますと幸いです。
2. カスタマーサポートよりお返事後、現物をZUTTOまでお送りいただきます。
※送料はお客様のご負担となります。
25年1月中のご連絡予定
3. 現物を確認した上で、打ち直しのお見積もりを個別にお送りいたします。
↓
4. お見積もりご確認いただき、問題なければ打ち直しを行います。もし打ち直しをせず、返送をご希望の場合はお見積もり送付時にご連絡ください。
およそ1ヶ月半後(混雑具合にもよりますので、多少前後する可能性がございます)
5. 打ち直し完了次第、ZUTTOからお客様へ発送します。
※送料はZUTTO負担でお送りいたします。
▼こちらは打ち直ししていただいたZUTTOスタッフの私物。
生地の洗浄、再捺染、打ち直しをしていただきました。(参考価格:4,070円 ※返送料込み)
まるで新品のようにふっくら。再捺染した模様は生き生きして見えます。
※詳しくは後日よみもので公開予定です。
▼事前に必ず以下をご確認ください。
・商品のキャンセルやご返品は承っておりません。予めご了承くださいませ。
・代引き注文は不可となります。ご注文は【クレジットカード】をご利用くださいませ。また、決済の都合上、発送前に決済確定を行いますのでご了承ください。
・今回の受注会のお品物は、受注会以外のアイテムとおまとめができません。お手数ですが、別でご注文いただきますようお願い致します。
・2025年2月下旬頃の発送となります。配達日の指定ができませんことをご了承ください。