一歩ずつ冬が近づいてくる雰囲気。暖かいミルクティーが恋しくなったり、部屋のしつらいをコットンからウールのものに変えたりと、様々なシーンで季節の移ろいを感じる機会の多いシーズンには、暖かなニットセーターがよく似合います。クローゼットの一番取り出しやすい、秋冬の特等席に掛けておきたくなるニット。日常着にぴったりの上質さと、肩肘張らずに繰り返し愛用したくなるシンプルさ。この2つを上手に両立した、心地よいニットをお届けしたい。こうした想いから、ZUTTOのカシミヤセーターは誕生しました。
今回お作りしたのは、「Vネックセーター」「タートルネックセーター」「ロングカーディガン」の3種。冬のはじめの一週間、暖かい部屋からしんと冷え切った冬の風に飛び込むのはちょっと勇気がいるけれど、日々の装いを考えるのが楽しくなりますように。そんな3種のカシミヤニットに込めたストーリーをご紹介します。
普段はクローゼットの奥に丁寧に畳んでしまっておき、ここぞという特別な日に身につけるカシミヤのお洋服やマフラーも良いけれど、その心地よさを日常に感じられる、等身大のセーターをお届けしたい。そんな想いでこのニットづくりがスタートした訳ですが、そもそもカシミヤニットはなぜこれ程までに、他とは違う風格を持つのでしょう。
ふんわり軽く、柔らかく、独特のしっとりとした質感を持つカシミヤ。ウール製品には、ヒツジを始めアンゴラ、キャメル、アルパカ、モヘヤなど様々な動物の毛を使うものがありますが、中でもカシミヤは繊維が一番細いと言われています。 この繊細さが生地のしなやかさや滑らかさを生むとともに、糸そのものに強い”復元力”があるため、大切に着用すれば、形の崩れ・たるみ・伸びを最小限に抑えながら長く愛用することが出来るのです。
カシミヤは山羊の一種で、年間の寒暖差70℃(35℃~-35℃)年間降雨量100~200mmという牧草も生育しにくい乾燥地帯で放牧されています。 厳しい自然環境から身を守る為の柔毛を春の毛の生え変わりのときにクシで梳いて集め、1頭のカシミヤ山羊からとれる産毛は150~200g。この希少性から「繊維の宝石」と呼ばれることも。
長く愛着を持って身につけたいカシミヤニットは、ZUTTOでも是非ご紹介していきたいアイテムの一つ。そんなニット作りは、着心地の良さを実現するためのファクトリー選びからスタートしました。
大切な原毛は、世界のカシミヤ産地の中でも特に信頼を集めている内モンゴルから。その自然あふれる地域で放牧され、非常に厳しい管理・検査のもと、送り出されるカシミヤ原毛から一貫生産出来る、ニットの専門ファクトリーに製造を依頼。世界から高度な生産技術を受け継ぎ、熟練の域に達している中国のニットファクトリーは、名だたる欧米高級百貨店のニット製造も請け負い、名実ともに信頼できるニット作りを続けています。
カシミヤ100%の製品は特にカシミヤ以外の混入物を含まない事、その純度が気になりますが、原料加工から仕上げまで一貫して行うこちらのカシミヤ製品は、厳しい検査を経る確かな素材です。純度は、一般的にヨーロッパの基準が95%以上、日本97%以上という中、こちらのカシミヤは99.99%という検査結果を誇ります。
誰でも一着は持っているほどに定番の形といえば、タートルネック。今回お作りした3種のニットは、このタートルネックセーターをはじめ12ゲージという厚さを採用しています。これはコートの中でももたつかず、かつ真冬シーズンに必要な暖かさが確保できる、「薄すぎず厚すぎない」というゲージ。ファインゲージニットの着心地の良さが実感出来る一着です。
ジーンズ+スニーカーのコーディネートでカジュアルに、膝丈のプリーツスカートに合わせて清楚に、ハイウエストのワイドパンツに合わせて旬の装いに…、と着こなしの幅が広がります。
Vネックシルエットは前開きの角度や深さによって印象が様々に変わるため、1枚でさらりと着ても様になる、浅めのネックラインに。ベーシックながら、肩を落としたパターンでリラックス感のあるシルエットを作り出しました。一枚で着ても、内側にシャツを着ても着心地の良いVネックニットは、色違いで揃えるのもおすすめです。
カシミヤという素材の良さを存分に味わえるロング丈のカーディガンもご用意。少し幅広のアームホールやキュッとすぼまった袖口など、フェミニンな甘さも適度に加えつつ、左右にポケットをつけて実用的な一着に。カジュアルなカットソーやシンプルなシャツの上からさっと羽織るだけで品が生まれます。
冬の装いに取り入れやすく、長く愛用するほどにその心地よさが分かるニット。そう言葉で表現するのは簡単だけれど、ベーシックなニットセーターは世に溢れているからこそ、実際にどんな着こなしが出来るか、どんなシーンで着る人に寄り添うことが出来るのかが気になるところ。ましてカシミヤとなると、他のアイテムとの相性や、自宅でのお手入れ方法もポイントです。ここで実際に、ZUTTOのカシミヤニット3種を取り入れた、冬の一週間を見てみましょう。
天気予報を見てなんとなく想像はしていたけれど、今日は一段と肌寒い。そんな一週間の始まりの朝、コーディネートがすっと決まると気持ちが良いもの。デニムのスカートにタイツ、ヒールブーツという女性らしいコーディネートに合わせると、カシミヤニットの上質さが際立ちます。
Vネックセーターは襟の開き具合で印象ががらりと変わりますが、このニットだけを単体で着ても、インナーにもう1枚着て重ね着しても美しく見える、適度な浅さとV字のカーブにこだわりました。1枚で着ると鎖骨がちょうど良い具合に見え、ネックレスを着けた時もバランス良く仕上がる、そんな開き具合になっています。
また、先のコーディネート例では首元にタックの入った薄手のシャツをインナーに着て、一味違うレイヤードスタイルで見せています。飽きのこないシンプルなデザインだからこそ、着こなしの余白を持たせることが出来るのですね。
バッグ:【別注】3way レザーポシェト enveloppe BLACK
お仕事で打ち合わせに出かける日や、少々緊張しながら人に会う約束がある日に何を着て行くか。それはどんなに数をこなしても悩ましい問題です。あれこれ意気込むほどではないけれど、かといってカジュアル過ぎても良くない、そんな日にはタートルネックセーターを。こうして全体を一つのトーンでまとめると、カシミヤならではの光沢と独特のぬめりがコントラストを生み、シャープな印象に。
写真のコーディネートでは内側にシャツを着てレイヤードスタイルにしていますが、もう一段寒くなった冬本番には、タートルネックの上にジャケットを重ねても綺麗にまとまります。ここでも「薄すぎず、厚すぎない」というファインゲージニットの利点が効いていますね。ジャケットやコートの下でもたつかない12ゲージは、重ね着にもぴったりです。
毎日じっくりと時間をかけてお洋服を選ぶことが出来れば申し分ないのですが、忙しい日々でそれを叶えるのは、なかなか難しいものです。週の中盤に差し掛かると、コーディネートをじっくり考えるが億劫になってしまったり、時には不本意に朝寝坊してしまうことだってあります。そんな時、トップスにデニムパンツ、フラットシューズという至極シンプルな着こなしもしっくりと決まるのがカシミヤVネックセーターの心強いところ。
先に同じVネックセーターのレイヤードスタイルをご紹介しましたが、1枚で着ても美しく見える襟元の開き具合になっているので、こうしてさらりと着ても格好良くまとまります。軽くストールやマフラーを巻けば、それだけで冬の装いが完成します。
日常着で外せないポイントといえば、見た目の美しさだけではなく、着心地が良いこと。たとえば、今週も折り返し、今日は溜まったデスクワークをまとめて片付けようという日には、ストレスなく着られるハイネックセーターを。
ハイネックセーターは1枚で着てもシャープにまとまる定番アイテムですが、長時間着ていると首元がチクチクしてストレスになりがち。直接肌に触れた時にチクチク感じやすいかどうかはニットの糸そのものの品質に左右される部分が大きいのですが、ハイネックのデザインはちょっとしたディテールが着心地を決めることも。
一般的なハイネックセーターには、首部分を筒状にするためにニットの端と端をつなげる合わせ目(リンキングと呼ばれます。)が生じます。このジョイント部分は首の後ろや脇の目立たない部分に作られることが多いのですが、肌に直接触れるとチクチクしたり、ネック部分のシルエットに影響したりと、デメリットになりやすいのです。ZUTTOのカシミヤタートルネックセーターは、この合わせ目を作らずに筒状のネック部分を作るよう工夫しています。こうした「見えない部分だけれど、長く着ると分かる」という部分でこそ、ニットの真価が問われるのかもしれません。
金曜日の夜、お仕事帰りに気の置けない友人とごはんへ。翌日の土曜日には、近所のカフェまで気ままにお散歩。いずれもリラックスして自分らしく装うことが出来る日常の風景ですが、カジュアルに装う時にカシミヤのニットが1枚あると、上質な気品を纏うことが出来ます。
日中は長袖のトップス1枚で十分でコートはいらないけれど、朝晩は冷えるという時には、ロングカーディガンが一枚あると便利。
バッグ:【別注】帆布バッグ SCCV002 NATURAL/CAFÉ AU LAITT/SAXE
こちらのコーディネートに登場しているトップスは、実は先のお仕事シーンでご紹介したのと同じタートルネックセーター。アンクル丈の細身パンツからボーダー柄のスカートに、ヒールのパンプスからスニーカへと組み替えるだけでぐっとリラックスした印象に変わるのが分かりますね。それでも、決して緩い雰囲気になることなく、品良く仕上がるのがカシミヤニットならではの利点です。
カシミヤは毛足が柔らかいためどうしても毛玉が出来やすいのが難点ですが、自宅で適切なケアをしながら着用することで、その着心地の良さを実感することが出来ます。連続着用を避けるのがニットを長持ちさせるポイントとはいいつつ、お気に入りのニットは登場回数も増えるものです。ここでチェックしたいお手入れのポイントをまとめました。着用ごとにコツコツお手入れしつつ、週末のお休みには目立った汚れやほつれがないか重点的にチェックするのがコツです。
▼日々気をつけたいこと
・毎日の着用は避け、局所的に摩擦しないようにご注意ください。
・強い引っ張りや激しい運動は避けましょう。
・濃色は摩擦により他の物に色が移る可能性があります。淡色の衣類やバッグとのコーディネートは避けましょう。
▼日常的なケア
・洋服ブラシで優しくブラッシングし、毛並みを整えることでホコリを落としながら毛玉(ピリング)を防止することが出来ます。
・獣毛特有の匂いが気になる場合、食べ物等の匂いが移ってしまった場合は衣類専用の消臭スプレー等でケアします。
▼水洗い?ドライクリーニング?
本来カシミヤは水洗いが可能な繊維ですが、カシミヤニットを自宅で水洗いすると、脱水時の繊維の絡まりや型崩れによって風合いを損なう可能性が高いため、シーズン毎にドライクリーニングに出すことをおすすめします。
着用した状態でたくさん汗をかいたり、雨に直接濡れたりというアクシデントを避けるのもポイントになりますが、万一濡れてしまった場合や、衣類用のスプレーを吹きかけて水分を含んだ状態では、写真のように平干しにするのが理想的です。
平干し用のラックがない等、場所の用意が難しい場合は短時間だけハンガーに掛けて干し、それ以外の保管では丁寧にたたんで平らな場所に重ねて置くのがおすすめです。頻繁にクリーニングに出すのが難しいカシミヤだからこそ、こまめに状態をチェックして適切なケアをすることが、より長く風合いを保つことへとつながります。
ZUTTOのオリジナルカシミヤニットの物語、いかがだったでしょうか。思わず両肩をすくめ身震いしてしまうようなキリリと肌寒い朝、暖かい部屋から外に出る時のちょっぴりブルーな気持ち。寒さと向き合うのは厄介ですが、クローゼットにお気に入りのカシミヤセーターがあるだけで、そんな寒さも跳ねのけて季節を楽しむことが出来るから不思議です。
まだ冬本番までは時間がありますが、季節の変化は繋ぎ目なく、あっという間にやってきます。この秋冬は一足早く、日常使いのカシミヤニットから、季節の移ろいを感じてみませんか。
▶︎快適な暖かさを感じて ーハイネックセーター
▶︎リラックスしながら、美しいシルエット ーVネックセーター
▶︎もう一枚欲しい時、羽織って分かる上質さ ーロングカーディガン