カッと暑い日もまだあれど、ぐずぐずと天気が悪い日も続くこの頃。これからの長雨や台風のシーズンを迎えるにあたって、レインシューズを検討している方も多いと思います。レインシューズで最初に思いつくのは安心できるロングタイプのレインブーツですが、重さ・歩きにくさ・ゴムの劣化、雨の日限定という汎用性の低さが気になります。あればすごく便利なのはわかっているのに、どんなものがいいのか考えているうちに「今年はもういらないかな?」と見送ることにもなりかねません。
理想を言うならば、使い勝手がいいから届いてすぐに使いたくなるようなレインシューズがいい。きっと車での移動や公共交通機関が発達している現代の私たちが欲しいのは、いますぐ使えるこんなレインシューズなのでは?
・足にしっかり付いてきて、歩きやすい
・雨でも晴れでも履ける
・アウトドアユースでも、タウンユースでも申し分ない
・長く愛用できる(劣化ではなく、経年優化)
今回は、これらの条件を満たしてくれる、Blundstone(ブランドストーン)のサイドゴアブーツに焦点を当てたよみもの。また、今シーズン新たに加わったシリーズもあわせてご紹介します。
新しく加わったヒール付きサイドゴアブーツ。
スタッフが5年愛用するサイドゴア ブーツ BS500 スタウトブラウン。たくさん履いて育ててきた様子が伝わってきますね。
Blundstoneは、サイドゴアブーツを一般に広めたとも言われているオーストラリアのシューズブランドです。大自然に囲まれ、開拓の進むタスマニアで重労働者のためのワークブーツを作り始めたのは1870年のこと。2020年で創業150年を迎える老舗ブランドなのです。
Blundstoneのアイコンとなっているブーツが”ORIGINALS”シリーズ。1960年代に誕生したこのブーツは、左右にゴムがついたいわゆる「サイドゴアブーツ」のデザインで、着脱の容易さに加え脚にフィットする感覚、そしてその頑丈さが評価されその後60年以上に渡り世界中で愛されることとなります。
ORIGINALSシリーズがそこまで愛される所以とは?
サイドゴアのゴムは、単に履き口が開いて足入れしやすいためのものではなく、ゴムがあることでレザーブーツながら足にフィットして、動きやすさ・歩きやすさを実現しているのです。大きめ設計になっているレインブーツとは違い、サイドのゴムがあることで甲を固定するので、歩いた時に靴の中で足全体が浮くことなく、歩きやすいです。
対して、つま先部分はスペースを広くとったラウンドトウで、細めな足型が多い欧米のブランドでありながらアッパーの高さも余裕があり、幅広・甲高が多いと言われている日本人の足にも合うと思います。(ですがそこはやはり個人差があるので、試着の際にご確認ください。)
また、かかとには歩行の際の衝撃を効果的に吸収する高性能なクッション素材、XRD®を採用しています。
履き口にプルストラップが付いているのは、足入れをしやすくするための機能ではありますが、Blundstoneのサイドゴアブーツは前後にストラップが付いているので両手で引っ張って履くことが出来ます。(もちろん片手でも履けますよ。)
そしてこのプルストラップ自体もシューズのアクセントとなっていて、Blundstoneサイドゴアブーツを象徴するアイコンとも言えるのです。
Blundstoneのサイドゴアブーツは、レザーにオイルを染み込ませた「ウォータープルーフレザー」をアッパー部分に使用しています。
レザー=雨・水NGという発想になりがちですが、特殊加工により雨の日でも問題なく履けるので、雨の日用のレインブーツを用意する必要がなく、下駄箱のスペースにも優しい一足です。
朝は雨が降っていたからレインブーツを履いて出たのに、途中で止んで(晴れて)帰りはなんだかちぐはぐなコーディネートになってしまって恥ずかしい、という思いは多くの人が経験があると思いますが、晴雨兼用のブーツはそもそもレインブーツのように見えないから、途中で晴れてきてもおしゃれなままの自分でいられます。
また、雨に強いもう一つの理由が、ソールとアッパー部分との接合部分が強いこと。加熱した素材を金型に流し、アッパーと結合させるインジェクション製法で取り付けているため、縫い目がないのです。縫い目がないということは、靴底から水が侵入しにくいということに繋がります。
もともとは開拓者向けのワークブーツを製造していたブランドですから、タフさを兼ね備えたブーツを作ることはお手の物。キャンプやBBQなどのアウトドアではくるぶしをしっかりとホールドして歩きやすさと保護をしてくれるので安心。
もちろん、スカートやワンピースなどのフェミニンなコーディネートにも合うのでおしゃれをしたタウンユースにも大活躍です。
レインブーツとして見たときに、ゴム製のものは新品が最も良い状態。履いていくうちに硬くなり、果てには割れてしまうことが多いゴム製シューズですが、Blundstoneのサイドゴアブーツはレザー製。
レザーは、丈夫だから長く使えるという観点だけでなく、お手入れ次第でレザーの風合いと表情を変えながら、「常に今が一番良い状態」を保っていられる素材だと考えることも出来ます。
定期的なお手入れは必要になりますが、やはりものを長く使い愛でることが出来るというのは良いものです。
そんなORIGINALSシリーズのいいところも残しつつ、変化を加えたのが新しく入荷した2つのモデルです。
上:ヒール付きサイドゴアブーツ、下:ALL-TERRAIN THERMAL サイドゴアブーツ
左:BS1671009 ブラック、右:BS1673251 ブラウン
ORIGINALSシリーズの雰囲気、歩きやすさがしっかり感じられて、なおかつヒールの存在感もある絶妙なバランスのヒール付きサイドゴアブーツ。
気負わないリラクシーな服装が増えてきている昨今、そんな装いにブーツを合わせるとなるとなかなか良いものが見つからない、という方も多いかもしれません。Blundstoneのヒール付きサイドゴアブーツはヒール付きでありながら、アウトドアシューズのようなラフな雰囲気も持ちあわせているので、例えばスウェットパーカーにロングスカートやデニムを合わせたカジュアルなスタイルの日にもお選びください。
ORIGINALS同様、履き口の前・後ろにプルストラップが付いているので、手間取りがちなヒールブーツの着脱も簡単。
ヒールブーツであっても歩きやすさへの工夫は忘れず、そのひとつとして、かかと部分に採用された高性能なクッション素材、XRD®が挙げられます。歩行時の衝撃を効果的に吸収するだけでなく、耐久性にも優れており、長時間の歩行でも足への負担を軽減してくれるのです。
どんな天気にも対応できて長時間の歩行も快適なので、旅行の一足にもおすすめ。雨の日だから選ぶのではなく、晴れていても選びたくなる素敵なブーツです。
左:BS2241009 ブラック、右:BS2250251 ブラウン
アウトドアシーンへの対応力を最も高めたのがALL-TERRAINシリーズ。イタリアのソールメーカーVibram社との共同開発から生まれたもので、中でもこの「THERMAL」は防水・防寒性も高めており、どんな冬にもこれさえあれば大丈夫という心強いモデルです。
ソールは滑りにくさを徹底追求。雪の上など滑りやすい環境でもグリップ力を発揮する配合のソールですが、履き心地は柔らかくクッション性もあるのが特徴です。
さらにソールのデザインにもこだわっており、縦横に走る溝が屈曲性を良くするとともに、泥落ちの良いセルフクリーニング機能も持ち合わせているのだそう。
普段使いだけでなく、アウトドアシーンやガーデニング、畑仕事などどんな環境でも快適に履いていただけます。また、寒い環境で履くことを想定し、履いたときの「暖かさ」にもこだわって作られています。
シープスキンを採用したボアタイプのインソールの他、アッパーレザーの内側には、薄くて軽量な断熱素材「シンサレート」を使用。除湿性を維持しつつ保湿性に優れているので、蒸れないようにしながら暖かく履けるのです。さらにライニングには0.8mm厚のレザーライニングを採用し、脱ぎ履きがスムーズになるだけでなく、こちらも保温性を高める一助を担っています。
Blundstoneの良さは、自分で育てながら長く愛用することができるところ。モノの良さは愛用者に聞いてみましょう。5年間、晴れの日も雨の日も、雪の日も履かれたブーツがこちら。秋〜冬の使用頻度は週に3回ほどとのことで、多くの場所にこのブーツと出掛けたのだなと分かるような、愛用の跡が見て取れます。
例えば、アッパーのレザーはその人の足の形に沿っていて、きっと他の人が履いたらクセがあってとても履きにくいのでしょうけれど、本人にしてみればスッと足を入れたら自分の足の形を覚えてくれている、履きやすい一足。
5年間ヘビーユースしているとは思えないほど、サイドゴアのゴム部分は伸びておらず、ピンと張って綺麗な状態です。
雨の日でも雪の日でも気にせずガンガン履いているとのことで、ただでさえ歩きにくい天候の日に、靴を気にしないで歩けるだけでもストレスフリーですね。
それでは5年愛用のブーツを、シューブラシ、シュークリーム、コットンネルを使ってケアしていきます。
1シーズンで2回ほど、ブラシとクリームでお手入れをしてきたそうですが、前シーズンの汚れが残ったままだったのか、全体的にホコリやチリが付き、レザー表面が曇ったように見えます。
まずは、ホコリとチリを落とすために全体的にブラシをかけます。これだけでも、表面の曇りが少し取れますよ。
次に、お持ちの方は汚れをとるレザー用のクリーナーで全体を拭いてください。前回のお手入れ時に塗ったクリームを落とす役割があります。
そして、コットンネルや毛羽立たない柔らかい布にケアクリームを適量つけて、ブーツ全体に均一に塗り込んでください。
歩くことで細かいシワが出来ている甲の部分は特に念入りに。布を指に巻きつけるようにして作業すると、細かくクリームを塗ることが出来ますよ。
しばらく乾かします。この時、シューツリーがある方はセットして、形を保った状態にしてください。
仕上げに、乾いた柔らかい布でブーツ全体を拭き上げて終了です。
曇っていたレザーにツヤが戻り、長年愛用してきたブーツであっても美しい状態を取り戻しました。クリームでのお手入れは月1回くらいで問題ないと思いますが、「帰宅したらブラッシング」を習慣にしておくと定期的なメンテナンスも楽に出来ます。
お手入れされた靴を履く清々しさと気持ち良さを、試してみてください!