家にいて料理をする時間が増えた今、道具感のあるどこか武骨な調理道具が好きだなと、改めて感じるようになりました。思えば親元を離れて新生活を始めるとき、一番わくわくしたのは「どんなフライパンや鍋、包丁を買おう?」と色々調べていた時間だったかもしれません。そんなこんなで新生活を始めてここ数年、ずっと気になっていたのが中尾アルミのシルクフライパンでした。
今回のよみものは、スタッフの愛用品紹介。遂に購入に至った「中尾アルミ製作所のシルクフライパン」について、気になっていたポイントから選び方、実際に使ってみて改めて感じた良さをレビューしていきます。
実は色々調べた当時、買ったフライパンは鉄フライパンのみ。もう一つは元々あったテフロン(=フッ素樹脂加工)フライパンをなんとなく使い続けていました。鉄フライパンは長く使い続けられ、カリッと焼き上げる・強火で炒めるのが得意な一方で、汁気の多いもの(トマト煮込みなど)が苦手。なので、煮込み料理や手軽に扱いたい場合はフッ素樹脂加工のフライパンを選んで使い分けていました。
そんな中で「シルクフライパン」が気になっていたポイントは大きく2つ。
・業務用らしい武骨な見た目
・プロの料理人も愛用する質の良さ(質の高いフッ素樹脂加工)
▲ZUTTOで取り扱っているのは、持ち手が熱くなりにくい「ステンキャストハンドル」タイプ。
特に持ち手の部分は、ほぼ一目惚れ。この持ち手はアルミではなくステンレス素材で、レストランの厨房にかかっていても絵になりそうな道具感が素敵ですよね。熱くなりにくい点も使いやすくて嬉しいポイント。
もともと中尾アルミ製作所は主に業務用の調理器具を製造・販売してきた老舗ということもあって、プロの料理人の方でも愛用者が多いとのこと。「料理が得意です」とまでは言えない自分でも、扱いやすい上質なフッ素樹脂加工という点が心強いなと思ったのです。2020年で自然と料理する時間が増えたこと、もともと使っていたフッ素樹脂加工フライパンが寿命だったことも重なり、遂に新年の買い替えでシルクフライパンをお迎えすることに。
ZUTTOでご用意しているサイズは、全部で3種類。タイプは「深型」になります。
底面はやや狭めの作り。煮込みの他、ほうれん草などを茹でる鍋としても使いたかったので、大きめの27cmを購入。元々軽いアルミをフッ素樹脂加工でコーティングしていることも、大きめを選びやすかったポイントでした。
▼参考に・・サイズ選び目安
21cm:一人暮らしの方におすすめ。また、副菜を作ったりお弁当のおかずを作ったりと、既に他サイズを持っている方の2本目に。
24cm:1〜2人用。スタンダードなサイズで、初めてフライパンを買うならこのサイズが安心。深さもあるので、片手鍋代わりにも。
27cm:3〜4人用。おもてなしのときにも活躍するサイズ。野菜をまとめて茹でる、具材の多い炒めものやパスタにもおすすめ。
実際に使い始めると思っていた以上に使いやすく、気付けば手に取っている存在に。主に二人分を作ることが多いですが、具材がたっぷりなものやまとめて作りたい煮込みもので使うこともあり、大きすぎると思うことはなく、逆に飛び散る心配がない27cmを選んでよかったと思うことが多いです。底面が狭いことで、五徳の上にもしっかり収まり安定感があります。
▲27cmと、500ml程度のペットボトルを比べた様子。深さがしっかりあります。
実際に使って気付いたポイントを挙げると、
・深さがあるので油はねが少なく、掃除が楽
・熱ムラが少ない(27cmでも実感!)
・炒める以外に「煮込む」「茹でる」「揚げる」もできる
・パスタとソースを絡める際もこぼれる心配がない
などなど。実際に調理方法に分けて、作った料理を交えながらご紹介していきます。
✓ 卵がするする滑る。オムレツや錦糸卵にぴったりな焼き上がり。
卵がするする滑るくらいの滑らかさで、以前使っていた使い込んだテフロンフライパンとは大きく違いました。また、大きいのに熱ムラがなく全体にしっかり火が通るのも実感。アルミの熱伝導の良さが活かされています。一番感動したのは、卵が綺麗な黄色で焼き上がること。オムレツ・オムライスや、ちらし寿司の錦糸卵を作るのにも活躍してくれます。
✓ 深さがあるから、こぼれる心配入らず。パスタやミートソースの煮込みに。
以前使っていたフライパンや、スタンダードサイズの鉄フライパンを使っていて悩みだったのが、パスタを加えてソースと絡めた際の飛び散り。トマト缶などを使うとどうしても汁気があるのでカサが増え、パスタを入れると全体がうまく混ざらなかったのです。
こちらは二人分を作っている様子ですが、シルクフライパンで作ると本当に安心。深さがあるので飛び散りません。料理の量に対してやや余裕のある大きさなのも良かったのかもしれません。ミートソースも作りましたが、口の広いお鍋のような感覚で作りやすかったです。
✓ ほうれん草を一袋まるまる茹でられる、頼れる存在。
今までは雪平鍋を使ってほうれん草を茹でていましたが、一気にまとめて茹でられないのと、茎から葉を入れていくのにやや手間取るなと思い、シルクフライパンで挑戦。
▲欲張って、一袋まるまる茹でてみました。
湯量とのバランスで多少ムラになるので、菜箸で調整しながらさっと茹でました。結果、雪平鍋よりも茎から葉を入れていく工程も含めてシルクフライパンの方が作りやすかったです。まとめておひたしを作ってもよし、冷凍してストックしておいてもよし。日々の料理がぐんと楽になりました。
✓ 油はねが気になる揚げ物も。(高温には注意)
揚げ物はこれまで小さめの片手鍋ですることがほとんどでしたが、試しにやってみたら片手鍋より遥かに楽。お肉同士がくっつくこともなく、一度に多く揚げられました。量が入る分、油の温度が下がりすぎるかも?と心配もあったものの、アルミの保温・蓄熱効果もあるのか温度はさほど気にならず。美味しさを優先すると違うのかもしれませんが、自分にとっては何度にも分けて揚げるよりも簡単で、何より油はねが本当に少なくて掃除が楽だったので、今後揚げ物はシルクフライパンにするつもりです。高温になりすぎないように、という点はしっかり注意します。
一つだけ気になる点を挙げるとすれば、アルミといえど27cmを片手で持ち上げるのは少し大変なところ。
不可能ではないですが、料理も入っている分軽々とはいきません。ただ、餃子をひっくり返したり、ささっとよそったり、といった程度であれば問題ない範囲です。傾けて持つ場合は真っ直ぐの柄の部分を持ってくださいね。根本はたまに熱くなっていることもあるので、中間より外側を持つのがおすすめです。
残念ながら「一生モノ」と言い切ることはできないフッ素樹脂加工のフライパン。それでも日々のお手入れや使い方で、より長く使い続けられます。実際に気をつけていることはこちら。
1. 空焚き、強火、金属製の道具NGは徹底
2. 急激な温度変化は避ける(使用直後に水につけない)
3. 鉄フライパンに油を塗るタイミングで、一緒に油を塗る
4. フライパンをよく温めてから使いたい場合は、お湯を沸かしてから調理する
5. 1週間に1〜2回程度、10分程度湯を沸かす(目に見えない表面汚れが浮き、滑らかに)
油の膜を薄く作っておくと滑らかに使えますし、フッ素樹脂加工もコーティングなので、油の膜でカバーすることでコーティングも長持ちし、結果長く使うことができるのだそう。毎回ではなくても、鉄フライパンのお手入れついでに塗ったり、気付いたタイミングにお手入れしたりするだけで変わってくるはずです。
また、知ってよかった!と思うのは、4の「フライパンをよく温めてから使いたい場合は、お湯を沸かしてから調理する」。これは、高温に弱いフッ素樹脂加工フライパンならではの使い方です。
アルミがいくら熱伝導がよいとはいえ、大きいサイズを選んだこともあってか、全体が温まるまで(鉄フライパンと比べると)やや時間がかかる印象でした。かといって、鉄のフライパンのように強火にはできないというジレンマ。なので、この方法を知ってから試しにスクランブルエッグを作ってみたところ、卵を入れたときの音や、火が通るまでの時間が違うと実感したのです。
いきなり熱いお湯を入れるのではなく、常温の水を火にかけて沸かしました。その後沸いたお湯をフライパンから移し、水気をさっと拭きます。油をひいて再度火にかけ、卵を投入。するとジュウッといい音が。
フライパンが温まっていないと卵の火の入り方が読めず、菜箸をいれるタイミングが難しかったのですが、温めてから卵を入れると火の通りが良く、手早く作ることができました。短時間で火を入れたい炒めものは、このやり方が失敗ないと思います。この方法だと、お湯を一度入れることでフッ素樹脂加工の表面温度が上がりすぎず、フライパンにも優しいのです。
実際に使ってみて、とにかく汎用性の高さに驚きました。深型は便利とは聞いていたものの、ここまでだったとは。使うたびに買ってよかったなと思うフライパンです。この深さ、持ち手、大きさ、色々見てもこのフライパンが一番しっくりくるので、たとえ寿命がきてしまってもまた同じものを買うつもりです。実はもっと取り回しやすい小さいサイズも欲しくなっているほど。
もちろん鉄フライパンも現役なので、使い分けることで双方もっと長く使い続けられるという点も嬉しいですね。なんとなくで使い続けているフライパンがある方には、是非試していただきたいフライパンです。
▼今回ご紹介したアイテム:シルクフライパン(フッ素樹脂加工)
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