5月も中旬、新茶の季節です。いつでもどこでも飲める便利なティーバッグやインスタントで淹れるお茶もこの時期だけは一休み。一年で一度しかこない新鮮なナマのお茶を味わうために揃えたい道具がいくつかあります。湯呑みはもちろん、急須、茶筒などなど、美味しいお茶を一番美味しく大切に飲むために、道具にもこだわりを持ってみるのもよいかもしれません。ZUTTOでは今しか味わえない新茶をしっかり楽しめる、職人技の茶器が揃っています。
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さて、ここからはお茶のお話。全国各地で栽培されているため地域によって異なりますが、お茶の葉っぱは4月初旬ごろから5月中旬頃に開き始めます。立春から数えて88日目のことを「八十八夜」といい、末広がりの八が重なることから縁起の良い吉日とされていますが、この頃がちょうど新茶の時期(4月初旬ごろから5月中旬頃)に重なるので新茶の代名詞となっているのだそうです。この日に新茶を飲むと、一年を無病息災で過ごせるという言い伝えもあります。
冬の間にたくさんの養分を蓄えて開いた新芽を摘み取り、新鮮なうちに茶葉に変えているため、新茶は栄養が豊富。
お茶を美味しく感じる成分は「テアニン」と呼ばれています。このテアニンは太陽に長くあたることで渋味成分のカテキンへと変化していくという性質があり、新芽をすぐ摘み取って作る新茶にはこの旨味成分であるテアニンが一番多く含まれているのだそう。旨味成分のテアニンを多く含む一方、苦味成分であるカテキンやカフェインが少なめということもあり、瑞々しい爽やかな味と甘みを味わえるのが新茶の大きな特徴なのです。
このテアニンにはリラックス効果があるとも言われていて、環境の変化によるストレスが多い春に飲むのにまさにぴったりの飲み物と言えそうです。
新茶は1ヶ月程度を目安に早めに飲むのがおすすめです。開封するとすぐに劣化が始まっていきますので、以下の点に気をつけていくのが良さそうです。
・冷蔵庫には入れない(出し入れ時の温度差で茶葉が劣化します)
・空気や光に触れさせない(味の劣化、お茶の色に影響します)
そんなわけで、お茶を楽しむのに最も大切といえるのは実は「茶筒(茶缶)」です。せっかく茶葉を手にしたのならば、茶筒を賢く使って長く美味しく味わっていきたいものですね。
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凛と落ち着きのあるこの佇まいがなんとも頼もしい茶筒。200年の長い歴史を誇る藤木伝四郎商店は、江戸時代末期の創業以来、6代に渡って高品質な樺細工を作り続けています。この茶筒は熟練の職人さん達により、一つ一つ丁寧な手仕事で作られており、入れた茶葉をいつも最適な状態で保存できます。また山桜の樹皮の特性により空気の出入りを上手にしてくれるので、防湿、防乾にもなり、ご自宅で美味しいお茶を長く頂くことが出来ますよ。
樹皮の表情をそのまま生かした、茶筒(中長)霜降皮。こちらは表面に研磨された艶はないのですが、木の温もり、力強さ、そしてありのままの素材の美しさがあり、そっと耳を澄ませば木の呼吸が聞こえてきそうです。伝統技術でありながら現代にもマッチするザインはもちろんのこと、茶筒の継ぎ目、内蓋を閉めた時のぴたっと収まるフィット感など、職人さんの丁寧な手仕事が感じられる逸品です。
普段はティーバッグだけど最近茶葉にも興味が出てきたという方には、急須や湯呑みがセットになっているものがやはり便利。中でも家族やパートナーと食後のお茶をするのに統一感が出せる2客セットは人気で、お茶が完成するのを待つひとときを見た目でも楽しませてくれるものが選ばれやすくなっています。普段仕事に家事に忙しい方は、洗いやすさも一緒に注目してみてみるのがおすすめです。
こちらの急須は日本らしいモチーフでありながら、北欧の食器を彷彿とさせるような愛らしさがある今の暮らしにもぴったりのデザイン。可愛らしいデザインの中に、素材の良さと職人技が光るのが赤椿 茶呑セットです。蔵珍窯(ぞうほうがま)で使われる赤は「蔵珍の赤」とよばれ、それはとても貴重なベンガラを用いて作られています。
ベンガラの赤は、千日かけてゆっくりと丁寧に擦り続け3年で完成する絵の具で、焼成後に時間をかけて深い赤い色となります。時間をかけて擦れば擦るほど美しい赤色になると言われ、気の遠くなるような千日間の下ごしらえを経てようやく完成する赤い絵の具は、昭和初期から貴重なものとして「幻のベンガラ」とまでいわれていました。中でも蔵珍窯のベンガラは市場に出回っていない非常に貴重価値が高い赤色なのですが、その赤をたっぷりと贅沢に使用して作られているのがこの赤椿 茶呑セット。使いながら時を重ね、味わい深い色に育っていくのがこのセットを使う楽しみです。
ベンガラを使用しているだけでなく、急須の注ぎ口、湯呑みの縁には金彩が施されており、なんとも高級感のある仕上がり。手仕事で作られており、大量生産にはない温かみも感じられるのがまずデザイン面でおすすめできる点です。
実際に日常使いするのに便利な茶漉し付き。茶漉しは取り外しできるので、もし茶漉しを洗うのも手間に感じるシーンではスーパーなどでも手軽に手に入るお茶パックに入れて淹れるのもよいかもしれませんね。
デザインにシンプルさとモダンさを求める方には、それぞれ黒と白を基調としたどっしりとした包容力のある白山陶器 (はくさんとうき)のセットがおすすめです。
華やかな美しさではなく、かといって平凡なものでもない、使っていて飽きのこないデザイン。そしてその愛着へ応える姿勢を大切にする白山陶器。1779年創業の白山陶器は、200年以上もの間日本人の日常に馴染むものをイメージしながら長く愛されるデザインを追求し続け、これまでに100点以上ものグッドデザイン賞、ロングライフ賞を受賞してきました。こちらの土瓶もグッドデザイン賞を受賞したものの一つで、安定感のあるバランスの良いカタチがその特徴です。オリジナルデザインは1970年代にまで遡り、長年に渡り愛されているロングセラーのセットは、いつまでも使える飽きのこないデザインそのものといえそうです。
茶こし部分は昔ながらの伝統ある共茶こしになっています。一般的な日本茶に適した細かさの穴が開いており、淹れると細かな茶葉が出てきますが、縁起の良い「茶柱が立つ」のはこの共茶こしの急須だからこそ。古くから愛されてきた日本茶の本来の姿を楽しめるのがこの急須なのです。土瓶の中で茶葉が悠々と広がり、まったりとした美味しいお茶を味わうことができます。さらに、土瓶のふたの部分は広く、お湯や茶葉の補給がしやすく使いやすく出来ています。
土瓶と急須の見た目の大きな違いは「持ち手」。ご覧の通り土瓶には本体の上側に提げられるツル状の持ち手がついている一方、急須は本体の横側に持ち手がついています。細かく突き詰めると素材や成り立ちに違いがあるのですが、どちらもお茶を淹れるのに使うことができるので、現代では見た目や持ち具合のお好みで選ぶ方が多いです。土瓶は上側に持ち手が付いていることもあり、大容量のものが多くみられます。
汲み出しはポテっとまあるいフォルム。片手で持つのに丁度よく、飲み口が広がっているので、お茶の香りがよく立ち、茶葉の香りを楽しむことが出来ますよ。
セット品は急須と湯呑みだけではなく、茶葉を大切にする茶筒と湯呑みセットもあります。
こちらは上で紹介した高品質な樺細工の茶筒と湯呑み+コースターが2客セットになったもの。樹皮をそのまま生かして作られた茶筒は何年も何十年も生きてきた庭の木のように、いつしかそこにあることが愛おしく思える、世代を超えて愛される存在です。200年の伝統に裏付けられた技術力とデザイン性のあるものづくりは、まさに匠の技。湯呑みはぽってりと丸いカーブが愛らしいデザインで、きちんと整いすぎないゆらぎのある飲み口からは温かみや心遣いも感じられるほど。持つと手にしっかりと馴染む感覚があります。
セット品ではないですがこちらの茶筒湯呑みセットと一緒に揃えるのであれば、ぴったりの急須があります。
なだらかな曲線と、天然青磁100%の原石で作られた希少な青磁釉薬で、淡い青が美しい土瓶。茶筒湯呑セットの綺麗な色と並べると一層引き立つ翡翠色。翡翠は深緑の半透明な宝石で、その色は日本の伝統色でもある心和む色です。容量は約500mlと大きめで、大きめの茶葉も葉が広がりやすく上手に美味しいお茶を淹れることができる土瓶です。その大きさからたっぷりと淹れたい時にも使えますが、深めの茶漉しで少なめの時にもしっかりと茶葉を抽出してくれます。
<鍋島青磁 土瓶> ※それぞれでお買い求めください。
こだわりを持って急須や湯呑みを個別で選ぶなら、インテリアになるような美しいデザインや、頻繁に使いたくなる丈夫な素材のものを選ぶのがおすすめ。愛好家も多く奥深いお茶の世界では、茶葉ごとで少しずつ違う繊細な香りや味わいを茶器を変えて楽しむ方も。茶葉が違えば味も違うのはもちろんそうなのですが、茶器が変わるとお茶の風味が変わるのをご存知でしょうか?デザインと素材で急須を使い分けて、お茶を堪能してみるのもよさそうです。
日本に古くから伝わる鋳物(いもの)。道具としての丈夫さを十分に感じさせる質感や、手に持った時の重量感、使うほどに増して行く風合いと、奥深い魅力をもったこのティーポットを普段使いにおすすめしたい理由は、初心者の方でも扱いやすいお手入れの簡単さです。
鋳物はとても丈夫で、陶磁器に比べて割れにくいという安心感があります。鉄から作られているので鋳心ノ工房のティーポットもやや重量がありますが、その分置いたときに安定します。また、鋳物の良いところは保温性が高いこと。一度温まると全体が冷めにくく、ティーポットの場合もちろん淹れたお茶も温かく保ってくれます。真空ではないので、もちろんそういったタイプに比べると保温性は劣りますが、陶磁器のものより温かさが持続します。
内側がホーロー素材でできていることが大きなポイント。鉄瓶というと、水分が付着したまま放置するとすぐに錆びてしまう心配がありますが、つるりとしたホーロー素材ならその懸念がありません。そのためこのティーポットは鉄瓶を使ってみたいけど、定期的なメンテナンスが苦手という方にもおすすめ。陶磁器の急須より割れにくく、鉄瓶よりも気軽に使いやすい、というアイテムなのです。
日本の鉄瓶らしい見た目は、特に和食にぴったり。このティーポットにいつもより少しだけ時間をかけて丁寧にお茶を淹れてくつろいだり、食事を楽しむひとときは、変わりばえが少ない日常の中でも贅沢さを感じられます。
九谷・京焼・有田焼・信楽・備前と比べると1つの焼物のスタイルを持たないのが「美濃焼」ですが、そんな中でも蔵珍窯は、大量生産の安価でないものづくりと絵付け、朱貫入などにこだわる窯元です。日常に食卓で華やかで楽しい空間をつくる器を目指して作られたこのポットも、上で紹介した幻のベンガラ「蔵珍の赤」を使用し貫入の技法により器に施しています。
貫入とは、陶器や磁器を焼く時に、陶土と釉薬の収縮率の差によって生じる表面(釉薬)の細かにヒビ状のもので、2種類の貫入があります。窯出し後、冷ました際に入る「直接貫入」と、時間を経て自然と発生する「経年貫入」です。こちらは製造工程で作った直接貫入で、貫入の入った器はそのものが長年大切に使われたことを感じさせる独特の風合いでもあります。
陶器の土らしさを感じさせる素朴さと見事な貫入がまるで芸術品のような趣を醸し出しています。飾っておくだけでも美しいポットではありますが、使うことでより美しく鮮明な赤へと育つベンガラを使用することで、使い続ける楽しみにもなる茶器なのです。
次は派手な装飾もなく、ぷっくり、ぽってりとした胴体に、おちょぼ口のような注ぎ口、たぬきの尻尾のような取っ手。分福茶釜のたぬきを想像してしまう東屋の炭色の急須。
この形には味を均一にし、最後の一滴まで美味しく味わえる工夫が施されています。まず、丸くぽってりとした形のおかげで茶葉がきちんと広がるようになっています。蓋と急須の胴体はぴったりとはまり、お茶を注ぐ際に蓋からお茶が溢れる心配もありません。急須は共茶こしでできていて、内側をのぞいてみるとこの穴の細かさに驚くほど。茶葉が目詰まりせず美味しく味わうために繊細な作りになっています。この茶こしと注ぎ口が最後の一滴まで注ぎ切って、無駄なく美味しいお茶を味わえるというわけです。
素材は朱泥(しゅでい)の生地に、呉須(ごす)とマンガンを混ぜたものをかけ、酸化焼成により急須表面を黒色に発色させたもの。釉薬をかけずに焼き締めた肌はお茶の香りを蓄え、使うほどに味わい深く香りの良いお茶が入るというのもこの急須の特徴です。
少しこだわってみるなら、鉄瓶を使ってみるのもよさそうです。鉄瓶を使うと、お湯が日本茶に適した硬度に変わります。柔らかくまろやかな味わいが日本茶の旨みや渋みのバランスを整え、お茶を一層美味しく味わえるのです。
10年、20年と使い続けられる岩鋳の南部鉄器。江戸時代、大名たちの間で流行していた「茶の湯」をきっかけに生まれたと言われている南部鉄器。その代表格とも言えるのが鉄瓶です。湯沸かしに使えば自然と水に鉄分が溶け込むので、手軽に鉄分を摂取できますし、茶こし付きなので茶こしを使って茶葉を入れれば急須としても、熱燗をいただく際の燗瓶としてもお使いいただける形です。
鉄瓶というとサビが心配だという方に、お手入れ方法もご紹介中です。
お気に入りのお茶道具は一揃い持っている方には、もっとお茶を楽しむ道具があります。お茶を美味しく飲むために肝心なもの、それは「温度」。茶葉の種類によって最も美味しくお茶を味わえる温度は異なりますが、高温で淹れる中国茶や紅茶とは違い、玉露や上級煎茶のような甘みと旨みの強い日本茶を最も美味しく味わえる温度は50~70℃程度の低温だと言われています。その適温に仕上げる道具たちが、こちら。
▼茶海
お茶に本格を求めるのであれば、沸騰したてのお湯を急須に注いではいけません。低温に冷まして急須に入れて、じっくりとお茶の旨みを引き出すのです。その湯冷ましに使えるのが、ピッチャーのような形のこの茶海。湯切れ抜群で、しっかり丁寧に急須に注ぎ入れることができる湯冷ましとして活躍します。お茶の海と名付けられたロマンチックな道具ですが、湯冷まし以外の使い方もあります。
急須で淹れるお茶は最後ほど濃く出てしまい、どうしても均一な味にならないもの。そこで一度急須で淹れたお茶を茶海にうつします。すると、茶海の中で均一な濃さに混ざり合い、全員が平等な味を楽しめるというわけです。約430ml淹れることができる安心感のある茶道具です。
▼切立 湯冷まし
季節にもよりますが、お湯を湯冷ましに入れると、10秒ほどで温度が10度から15度ほど下がります。このひと手間が、心に少しの余裕をもたらしてくれるように感じます。こちらは釉薬をかけずに焼き締めていますが、きめ細かい土をしっかりと焼き締めているので、吸水性はなく、におい移りも心配せずにお使いいただけます。
湯冷ましや湯のみに移し変えて程よく冷ましたお湯を、茶葉の入った宝瓶に注ぐ丁寧な一手間が、普段のお茶を一層美味しくさせます。熱めのお湯で淹れる場合は短めに、低温のお湯で淹れる場合は長めに時間を取ると旨みが効率よく抽出されるとのこと。手に持てる、ほどよい温度になったら湯のみに注いで旨みのあるお茶を味わってください。
▼入子茶器(宝瓶・入子碗)
一緒にもつなら、同ブランド南景製陶園の持ち手のない急須(宝瓶)と、大小二つの入子碗のセット。宝瓶は持ち手がないので直接持つことで伝わるお湯の温かさを感じながら、お茶を淹れるそのひとときを味わい過ごすためのもの。低温でじっくりお茶を味わうための形ですので、やけどしてしまうような熱湯は淹れないようにご注意くださいね。
こちらの宝瓶の内側には釉薬をかけていません。内側表面の細かな凹凸がお茶の渋みをほどよく緩和し、まろやかで美味しく味を変化させてくれます。
一方で入子碗の内側には乳白の釉薬がかかっています。お茶の色がきちんとわかり、目でも愉しむことができるセットです。
この入子碗は宝瓶の中にすっぽりおさまるので、ベランダや公園に持ち出してお茶の時間を楽しむのにも便利。収納するのにも幅を取らないので普段から使いやすさにも自信のあるセットです。
左:煎茶碗 金銀彩 秋草、 右:煎茶碗 金銀彩 草花
まるで日本画のような柔らかく穏やかな色彩と筆運びの様子まで感じられる曲線。100mlと少量入る小さめサイズが品の良さを際立てています。ピンクに淡い緑や茶、加えて金銀で描くことで、素朴な自然の草花が少し優雅な情景に感じられる西川貞三郎商店の煎茶碗です。
清水焼は、京都を代表する伝統工芸品の一つで、もともと清水寺に向かう清水坂界隈の窯元で焼かれていたものを指してそう呼んでいたのが始まりです。日本の各地の有名な陶磁器が、その土地固有の土や水など自然条件を生かしてつくられているのに対し、1000年に渡り、都として人々が集まった京都の美意識や文化が影響し、日本独特のわびさびの文化を感じさせる焼き物であることが特徴といえます。
西川貞三郎商店は、創業当初から国内だけにとどまらず、パリやオランダなどヨーロッパを中心に広く清水焼を紹介している老舗メーカーです。現代においては珍しいことではありませんが、当時のその功績から、全国中小貿易京都連盟の初代会長となり、京都伝統工芸品の輸出の草分けの一人として名を残し、日本の都、京都で大切にされてきた清水焼は、今も昔も世界で注目され続けています。
西川貞三郎商店の作る器は、日本の美しい風景を連想させつつ、雪・月・花をコンセプトに見立て、釉薬の重なりが織りなす繊細さや、澄みきった職人の技と揺るぎない伝統 、華やかさを愉しむ京の遊び心を器で表現しています。
沖縄、那覇から300年以上続く壺屋焼窯元 育陶園から2011年にスタートしたブランドKamany(カマニー)の湯呑み。この湯呑みの名前は「バサナイ」と付けられていますがバサナイは沖縄方言で「バナナ」を指し、バナナの葉の葉脈のおおらかさを彫刻刀で大胆に掘り進めて表現しています。
この彫刻刀で掘る技法は「線彫」と呼ばれ、壺屋焼の象徴的な技術の一つで、焼成前に化粧や釉薬がちょうどいい乾燥状態になったところで下絵無しで迷いなく描いていくという職人の勘と技術の成せる技。育陶園が得意としている技法で、沖縄の空気感を感じさせる大胆で華やかなデザインとなっています。
良質な粘土が採れる、水場がある、薪を運ぶ港に近い、登り窯に適した丘陵地があるといった、焼き物を作るための良い条件が揃っていることもあり、先祖代々続くこの土地に根付き、これまでの先人の知恵を受け継ぎながら、時代に必要とされるやきものを作り続けています。沖縄で作られている沖縄らしい焼物=やちむんというイメージが先行し、"壺屋焼"という言葉はいつしかあまり聞かなくなりましたが、現在もこの壺屋の地域で製造する窯元も十数件残っており、Kamany(カマニー)を作る育陶園もその窯元のひとつです。
左:カンナイ(カミナリ)、 右、バサナイ(バナナ)
お気に入りの道具を持つと、心が豊かになるのを感じます。「じっくりと選んで良いものを買う」。手に持って選ぶのももちろん素敵ですが、オンラインストアでものを選ぶと手に届くまでのわくわく感を含め、届いた時の大切にしようという気持ちが高まる方も多いことと思います。
今回は、奥深いお茶の世界の入り口をご紹介しました。茶葉を一番美味しく味わうために一手間加えるのも、道具の力に頼るのも、それぞれのライフスタイルに合わせて気楽に楽しんでいけたらよいですよね。一年で一度しかない新茶の季節。もし街やお店で新茶を見かけたら、ぜひ味わってみてください。