あたたかい素材というと、定番なのはウール。ただ、ウールのチクチク感には個人差があり、なかには一切気にならないという方もいれば、カシミヤさえチクチクしてしまうという方も。敏感肌の方からすると、冬の服選びは寒さを我慢するか、着心地を妥協するかの二択…。
上質なスウェットを選び抜いてご紹介しているZUTTOスタッフからすると、我慢や妥協はやっぱりもったいない。冬をあたたかく、気持ちよく、そして一年きりの使い捨てじゃなく、来年も再来年もまた愛用していける、スウェットブランドをご紹介します。
目次
・はじめに
まず、一般的なスウェットへのイメージを思い巡らせてみました。スウェット愛用者であるスタッフが思いついたのは、大きく分けてこの3つ。
「楽で気持ちよくて、あたたかい。」
「自宅で洗えて清潔。」
「洗濯を繰り返すと膨らみがなくなり、1年で買い替えてしまう。」
洗濯を繰り返すと膨らみがなくなってしまう、よく曲げる肘や肩が伸びてしまう、というのは、着初めが綺麗でふっくらしているだけに、やはり劣化が気になってしまうものもありますね。スウェットをいつも綺麗な状態で着たいから、毎年同じ形の定番を買い換える方も中にはいるかもしれません。
そこで、裏起毛の買い替えを減らすために、どんな要素を重視したいのか、考えてみました。
・飽きのこないデザイン
・肘や膝が伸びたり、だれたりしない
・数年後も膨らみを感じられる
大切にすれば長く着られて、品質の良さをしっかり感じさせてくれる極上の肌触り。そんなスウェットを一枚選ぶと、結果的にコストパフォーマンスの良さを感じられるはず。
そんな想いに同感してくださる方へご提案したいのは、kitt(キット)、HAAG(ハーグ)、FilMelange(フィルメランジェ)の3ブランドのスウェットです。
ZUTTOに届いたkittのスウェットを一足先に触れた時、生地の柔らかさと軽さに驚きました。
まるでお餅のような伸びと、マシュマロのような弾力があり、腕を通すと頼もしいあたたかさが伝わってきます。kittのスウェットは、定番と聞いて思い浮かべるベーシックデザインを大切にしていて、5年、10年先も着たいと思えるもの。もし次に選ぶ時もまたこれがいいと思える定番なのです。
▲ソフトな糸の先端だけを起毛させることでフリースのような肌ざわりになっています。
一口にコットンといっても、種類やグレードは様々。
コットンは繊維が長ければ長いほど、グレードランクが高いとされています。最高級ランクは超長綿と呼ばれ、その超長綿の中でもピマコットンは一段と上質な綿を指します。コットンの繊維が長いとどんなメリットがあるかというと、
手触りはふっくら滑らか、見た目にはシルクのような光沢感、効果は吸湿性・放湿性に優れ、取り扱いは繊維が切れにくく丈夫
…などなど、挙げてみるとキリがないほど。高級と言われるのにも頷けます。
kittの裏毛には、スペイン南部、アンダルシア地方産のスペインピマコットンを使っています。スペインピマコットンは、なんと希少な超高級ピマコットンの中でも全体の1%だけしか流通していないというので驚きです。
そんな特別な生地を使用してつくるスウェット。2023年10月にブランドスタートしたkittですが、kittの担当者の方も半年愛用されているとのことで、愛用品を見せていただきました。
▲半年着用のkittのスウェット(お取り扱いのない色です)
柔らかいけれど型崩れしにくいというのは、スウェットを長く着る上で心強いですね。さらに、まだ隠されたポイントがあるのだそうです。
もっちりとしたストレッチ性は、kittのファクトリー・大営メリヤスが自社改良した特殊な編み機が編み出したもの。横糸にストレッチする糸を入れ、程よい伸縮性でありながらたるみが出にくい生地となっているのだとか。
愛用品を手に持つと、新品に比べても柔らかさが増していて「たゆん」とした柔らかい伸びを感じました。とても気持ちよさそうです。言われてみると確かに小さなピリングはありますが、劣化ではなくこれも味わいの一つ。そんな捉え方ができるのも、kittの良さです。
▲左:愛用品、右:新品
そう語る、kittの担当者さん。ネームの素材によって首や脇がチクチクするスウェットもありますが、そんな妥協をも許さない、徹底的な着心地の追求と生地への自信を感じました。
▲半年愛用品
裏起毛を見てみると、新品とほとんど変化がわからないほど非常に綺麗な状態のままでした。どんなお手入れをされていたのか、その方法を伺ってみたところ、
とのこと。こんなにふわふわの生地をガシガシ洗っていたとは、意外です。こういった扱いもニットならなかなか難しいところ、スウェットならではのお手入れの簡単さが嬉しいkittのスウェットでした。
時代を選ばずいつまでも飽きないデザイン。そういった意味で少し似ているのが、こちらのHAAGのスウェットです。ベージックデザインということもあり、見た目にも少し似ていますが、kittとHAAGの何が違うのかというと、大きな点は「着るたびに柔らかくなり、起毛がリラックスしていく」というスウェットの概念をひっくり返す着心地です。
洗濯するたびに硬くゴワゴワしていき、消耗品のイメージのある裏起毛。ですが、HAAGの裏起毛を選ぶと、着るたびに柔らかくなり起毛がリラックスしていくという、長く愛用する楽しみを知ることができます。
HAAGとは、Smile cotton(スマイルコットン)が展開するブランドで、日本アトピー協会の推薦をもらうほどの肌触りの良さを持っています。軽くてあたたかい服を着たくてもチクチクして苦手な敏感肌やアトピー肌の方には、特におすすめしたい肌触りの良さです。
スマイルコットンは、糸そのものを綿に戻す(=撚りがほぐれる)ので、繊維の間にふっくら空気を含むようになります。
▲繊維の間に空気が入ることで、同じ10gのコットンでも2倍近くの嵩の違いがあります。(引用元:https://www.smile-cotton.com/product)
このおかげで、糸の密度で誤魔化さずに空気をしっかり含んだ軽い着心地と、コットンのふっくらとしたあたたかさを最大限引き出すことができているのだそうです。HAAGのふわふわな肌触りには、こういった理由があったのですね。
長く着るためのスウェット選びのポイントとして気になるのは、洗濯してどうか?というところ。糸そのものを「わた」に戻した生地、スマイルコットンを使ったお洋服は洗濯してもゴワゴワ硬くならないとのこと。洗濯を重ねると繊維がリラックスし、柔らかさが増していくのだそうです。
また、HAAGのスウェットがどれだけあたたかいのか?ということを示したグラフがこちらです。
2倍近く空気をたっぷり含み、保温性も一般的な綿素材よりも約2倍あたたかい、という結果に。実際着てみても着用時のひんやり感が少なく、裏起毛はふわふわで冬も体が冷えにくいという、裏起毛の良さが最大限活かされているのを感じました。
さらに、吸水性も乾きやすさも抜群で、スマイルコットンは天気の良い晴れた日であれば約1時間で乾いてしまう素材。比較テストの結果では、国産の一般的な綿素材の2倍ほどたっぷり吸い込みつつ、断然乾きやすいということが証明されたそうです。
しっかりあたたかく、汗ばんでも汗をしっかり吸い込んで快適。しっかりと目を詰めて編んでいるので、程よい厚みはあるものの、見た目に反してとても軽く、柔らかな着心地がHAAGの魅力です。
上で紹介した2つのスウェットとは着心地が一味違って、一度着ると忘れられないフィルメランジェ。その独特の生地は、ムラ感のあるリサイクルコットンと美しい超長綿と合わせて糸番手の使い方により膨らみと柔らかさ・適度なハリ感・表情を追究し作られたものです。
ふわふわの裏起毛とは少し違い、まとまりがポコポコとしてとても柔らかい着心地が特徴です。
実は、フィルメランジェ愛用者はZUTTOスタッフにも。今回はフィルメランジェがとにかく大好きと語るスタッフに、その魅力を聞いてみました。
◇ 愛用スタッフM
フィルメランジェ愛用歴:4年近く
冬に着る頻度:週1〜2回
Q:愛用し始めたきっかけはなんですか?
スタッフM
▲確かに、新品でも少しくすんだ色味の生地やプリントは古着感があって可愛らしいですね。
Q:着心地やあたたかさはどうですか?
▲ サイズ3着用、身長:162cm
Q:たくさん洗っているとのことですが、裏起毛の様子はどうですか?
▲裏側の様子。なんと、裏起毛にありがちな毛玉がありません。
▲左:4年愛用、右:3年愛用
表生地も、古着風デザインの味わいを深めてくれるほどよい毛羽感にとどまります。
新品と比べてみても、大きく劣化と思える点はありません。3年愛用品は、少し生地がリラックスしてより柔らかな雰囲気に。
お手入れはどうしていたかというと、ネットに入れて洗濯機で洗って乾かしただけ。スタッフMは、乾燥はかけないように気をつけているとのことです。お洗濯を繰り返すと、着初めは柔らかく、徐々にぎゅっと引き締まっていく感じで変化していくのだそう。
裏毛スウェットというと小さな毛玉がたくさんついたり、生地が萎んで数年で外着として着られなくなるもの、というネガティブな印象もありました。しかし改めて考えてみると、洗濯してもふっくらしていることという要素はもちろんですが、意外にも「毛羽立ちが似合う」というような、その洋服の変化まで楽しめるものを選ぶことが長く愛用するスウェット選びのコツなのだろうと感じました。
今回ご紹介した3ブランドには、ネガティブをポジティブに変える、そんな力があるのでしょう。
▼紹介したブランドはこちら