モロッコの朝摘みばらを使用したばら水、
ネパールのパーマカルチャー農場生まれの
蜜蝋リップクリーム、新鮮なオリーブオイルで手作りする石鹸、いずれも素材が持つ力が最大限に引き出された商品たちです。出来るだけシンプルに素材を活かすことには、とても大切なメッセージが込められていました。
naiad(ナイアード)のものづくり一つ一つに、現地の人との出会いと自然からの恵みに真摯に応えたいという熱い想いが伝わります。
モロッコのムゴナは、ばらの谷として有名な地域ですが、ここで暮らす人々にとって、ばらは彼らの伝統的な生活に重要な役割を持っています。モロッコ文化を築いてきたベルベル人は畑に多様な作物を植え、野菜、麦、オリーブ、アーモンドなど、自給自足に近い食文化を続けています。ばらは、それら畑を害獣や部外者から守るように囲い植えられているのです。
農作物を守るもの、副産物としてムゴナのばらは存在し、特別な世話はしません。そのため、自然なばらの姿・香りを楽しむことが出来ます。
naiad(ナイアード)がムゴナでばら水作りを始めた理由は、ムゴナの人々がばらとともに生きる生活に誇りを持っているから。
かつて、フランスの大手香料メーカーがばらの値段を極端に低く設定した際は、人々は村中のばらを全て刈り取ってしまったと言います。ムゴナの人にとってばらは誇りであり、民族の生活そのものなのです。
朝摘みばら水の作り方はとてもシンプルです。
ばらの花を地下水で蒸留し、その水を冷却するだけ。何かを添加することは一切ないので、ばらの香りと、丁寧に一つ一つ作業を行うことがとても重要になります。香りを守るには鮮度を守る。そのために、ばら水の工房は現地ムゴナに置き、ばらの花が開花するわずか3週間の間にのみ手作業で生産を行っています。
ばらの芳香成分が最も高いのは早朝です。
そのため、村の人々は開花時期には早朝にばらを摘み、それがナイアードの工房に届けられます。
届けられたばらの選別では、古い花や痛んだ花、蕾、葉など手作業で取り除きます。この作業が、完成するばら水の香りの善し悪しを左右します。
籠に入れられたばらは圧力をかけずにじっくりと時間をかけて蒸留されます。使用したばらの花と同じ重さのばら水のみを作ることを原則とし、蒸留するタイミングに
よって香りの濃度が変わるので、
毎回香りを確認し、
蒸留するばらの量を調整します。
こうして丁寧に作られたばら水が皆様に届き、化粧水として、手作りコスメの基材として、またはリフレッシュウォーターとして、様々な用途で楽しむことが出来ます。
蒸留を終えたばらは、天日乾燥させて羊のエサにしています。羊の糞が肥料となり、作物やばらを育てる循環の形がそこにはあります。
垣根となって畑を守り、羊を養う事で食を支え、肥料となって作物を育て、さらにばら水で収入と香りを生活にもたらすばら。
ムゴナの中で、ばらが本当に多彩な役割を担い、人々がばらをいかに大切にしているか、実感することが出来ます。
モロッコ・マラケシュから西へ進むと、荒野にぽつぽつと立つアルガンの木を見ることが出来ます。かつてはモロッコ全土に広がっていたアルガンの森は、農地拡大や伐採、気候の変動で群生域はモロッコ南西部のみに減少しました。現在はモロッコ政府による森の保全が行われており、生命力あふれるアルガンの木は地中深くに根を張り、厳しい乾燥地帯で生きています。
そんなアルガンの木は非常に貴重で、胚から採油されるアルガンオイルは抗酸化作用に優れたビタミンEを多く含む事で知られています。
naiad(ナイアード)は、アルガンオイルの研究者を中心に設立された【コーポラティブ・アマル】と呼ばれる、女性に就労機会を与える協同組合からアルガンオイルを購入しています。オイルの質の良さだけでなく、アルガンの木が社会や環境にもたらす影響の大きさや有益性を理解した上で活動を行っていることに共感しています。
協同組合で働いている女性たちは、母から子へ受け継ぐ堅い種を割る作業をきっかけに、自立や地域社会への参加の可能性を手にしています。
アルガンオイルはモロッコで搾油され、ミツロウと合わせて最終製品にするのはタイ。
naiad(ナイアード)がつなげた2つの国ではそれぞれに女性達の働きがありました。
アルガンの実を乾燥させ、果肉の部分を取り、その中の種を石で割って胚の部分を取り出します。実の殻はとても硬く、また機械も使えないため手作業となります。
1日かけても2kgの胚を取り出すのが精一杯です。
不純物の少ない良質なオイルの搾油のために、プレスマシンを用いています。
胚の重量に対して40%ほどのオイルを採ることが出来ます。
モロッコでつくられたオイルはタイのnaiad工房に送られ、ラムヤイ(龍眼)というフルーツのビーワックスを加えて【アルガンクリーム】となります。
このクリームの優しい使い心地に合うように、容器には乳白色の陶器を使用しています。タイの伝統的な青磁器、セラドン焼きのような美しいクラックが特徴的です。8ml、50mlともに同じ素材を利用しています。
8mlには携帯に便利な袋が付属しています。
この袋もまた手作りで、少数民族であるモン族の人々が手織りしたヘンプ布を使い、ラフ族の人々が一つ一つ丁寧に縫いあげています。
ネパールの中央、 ヒマラヤ山脈に属する山群、アンナプルナの麓に「はなのいえ」はあります。パーマカルチャーを実践する農場に併設された宿泊施設で、美しい自然に囲まれながら、農業体験やゆったりとした時間を過ごすことが出来ます。
その「はなのいえ」で作られているのがビーワックスリップクリーム。
使う素材はミツロウ・ヒマワリオイル・シャクナゲの精油のみ。
シンプルですが、豊かな自然に育まれた素材だからこそ、優しい使い心地と力強さを実感出来ます。
パーマカルチャーとは、 「永久」という意味のパーマネントと「農業」という意味のアグリカルチャー、そして「文化」という意味のカルチャーを併せた造語で、その土地の地形や気候に最も適したものを作り、生態系に負担をかけずに、持続可能・循環型かつ生産性のある無農薬・有機農業を行うことを指します。
たった3つの素材しか使わないビーワックスリップクリームですが、ものづくりへのこだわりは強く、いかに大事に作られているかが窺えます。
素材集めから容器に至るまで、丁寧な人の手仕事が重なり私達のもとに届いているのです。
ミツバチの巣に含まれるワックス分がミツロウです。
フラボノイドやプロポリスの殺菌効果、ビタミンBによる保湿効果も期待出来ます。
ビーワックスリップクリームに使用されるミツロウは、
ネパールの野生の蜜蜂「ヒマラヤオオミツバチ」と「オオミツバチ」の2種類のものです。
ヒマワリの種からとれるオイルは、オレイン酸・リノレン酸など皮脂に近い成分を含んでいます。
肌なじみが良く、優しく素早く浸透します。
ビタミンEも含んでおり、抗炎症作用・抗酸化作用もあります。
ネパールの国花であるシャクナゲは、毎年春に花を咲かせます。精油がとれる品種は森林限界より更に上の、標高3,700~4,700mに生育する高山シャクナゲのみ。花のシーズンが終わり、秋になるとその枝と葉を集め、山中の蒸留所で精油を採ります。
高山に暮らすチベット系の民族は、朝夕にこの枝を焚き、祈りの香りとして神々に捧げます。花は乾燥させ、お茶に混ぜて香りを楽しんだりと、シャクナゲは、この地に暮らす人々が生活に取り入れ、愛する伝統的な植物です。
ビーワックスリップクリームを入れる木の容器も、カトマンズで1つ1つ手作りされています。
形を細い棒に整えたあと、くり抜くように形づくられていきます。まず蓋のストックを作ったあと、本体を作ります。
本体が出来たあと、その径に合わせて先に作った蓋の内側を少しずつ削り、本体とサイズを合わせながら調整していきます。
こうして、1つの器に対し1つの蓋しか合わないこだわりの器が完成します。
※保存料が入っていないので、夏季販売休止です。ビーワックスリップクリームには合成保存料等の化学合成添加物は入っていません。
デリケートな商品のため、夏季に販売休止期間を設けております。
モロッコに昔から伝わる、ガスールという粘土(クレイ)があります。
アトラス山脈の麓のごく限られた高山で採掘されるガスールは、ジュラ紀の湖の堆積物が火山の影響で変化して出来た粘土です。
プランクトンや貝など古代の生物が長時間かけて変化し、ミネラル、マグネシウム、カルシウムが豊富に含まれています。
粘土のマイナスイオンが汚れを吸着することから、ガスールは古くから顔や身体、髪の美容や洗浄に用いられてきました。
ガスールの働きは古くから広く知られており、交易によってモロッコからチュニジアや中近東の国々へ伝わり、用いられてきた歴史があります。
モロッコの女性たちはガスールにばら水やオイルを加え、自分なりのヘアパックやスキンケアを楽しんでいます。
鉱山でガスールの原石を採掘することから始まるガスールづくり。各工程が力仕事のため、関わるスタッフは男性がほとんど。鉱山近くの村のベルベル人がその役割を担っています。鉱山には、そこで働く鉱夫のために、小さなカフェや床屋、モスクなどが併設されています。
ガスール原石の採掘は全て手作業で行われます。
地層の厚みがまちまちで、中にはとても薄い層もあるため、機械での採掘は難しいのです。
原石は、とても密度が高いので採掘されたままでは水には溶けません。
先ず、北アフリカの強い日射にさらして乾燥させ、自然と小さくひび割れて砕けるのを待ちます。
この状態になるとガスールの原石は水に溶けるようになります。
細かくなったガスールを、地下水で約1日かけて溶かします。ひび割れから水を吸い込み、ガスールは徐々に滑らかなペースト状に変化していきます。
溶かしたガスールは目の細かいフィルターで漉し、原石の中に残っていたケイ素の結晶などを取り除きます。
フィルターに通したガスールの溶液を工房の屋上に流し、乾燥させます。一度溶かし、きめ細やかにしたうえで乾燥させることで、滑らかに水に溶ける、使いやすいガスールが出来上がります。
その後、ガスールの大きさによって選別し、小さい欠片は粉砕して粉末ガスールにします。
naiadの3種類の石鹸には、アダテペ・オリーブオイルミュージアムで作られるエクストラバージンオリーブオイルが使われています。
トルコ西部に位置するアダテペ村は、一面オリーブの木で覆われた小高い山々が続いている、エーゲ海を望む丘の斜面にあり、ギリシャ文化の影響を受けた古い石造りの家が残る小さな村です。
世界第三位のオリーブオイル生産国であるトルコの中でも、その多くはアダテペの村周辺で生産されています。
アダテペ・オリーブオイルミュージアムは人々の伝統的な暮らしとともにオリーブの歴史を紹介する「博物館」であり、かつエクストラバージンオリーブオイルとオリーブ石鹸を作る「工房」でもあります。
オリーブの収穫時期は晩秋から冬にかけて。ミュージアムの畑と、周辺の契約農家のオリーブの収穫が始まります。収穫されたオリーブは可能な限り新鮮なうちにオイルにすることが最も大切なことです。
オリーブの収穫期には、その日届いたオリーブを新鮮なうちにオイルにするまで夜遅くまで作業が続けられます。
収穫するオリーブは、完全に熟すよりわずかに前のもの。
香りと、実の油分の含有量のバランスが良いそうです。
収穫されたオリーブは朝から夕方までひっきりなしにミュージアムに届けられ、洗浄されます。
オリーブの実を石臼でつぶし、ペースト状にしていきます。
ペーストは圧縮用のプレートに乗せ、重ねていきます。
オリーブペーストを圧縮用のプレートに乗せ、重ねていきます。その後水圧式プレス機で一定の圧力をかけると、オリーブの果汁がしみ出し、貯蔵する水槽へと果汁がしたたっていきます。
その後、オイルとオイル以外の水分が分離するのを待ち、上にたまったオイルをすくいます。このオイルをフィルターでろ過し、エクストラバージンオリーブオイルが完成します。
こうして搾油された、アダテペのエクストラバージンオリーブオイルを使って作られるnaiad(ナイアード)の3種類の石鹸。いずれも素材であるオイルの良さを活かした使用感の石鹸です。
その違いをまとめてみました。
※釜焚き製法とは
釜で石鹸を焚き上げる製法。純石鹸分が高いため汚れをしっかり落とすことが出来ます。
※コールド製法とは
熱を加えず、じっくり熟成させる製法。オイル本来の手触り、香りを楽しめ、グリセリン等の保湿成分がそのまま残ります。