Report 001 枯渇しない自然のエネルギーから生まれる電力
グリーン電力をご存知でしょうか。
ZUTTOのサイトも物流倉庫で使用する電気も、グリーン電力でまかなわれています。 今回は、グリーン電力証書を提供している、日本自然エネルギー株式会社にお邪魔してきま した。
お話を聞かせてくれた人
日本自然エネルギー株式会社 お客さまサービス部
戸塚勝博さん、河村えびねさん
◇グリーン電力とは
風力、水力、太陽光といった、自然エネルギーは、二酸化炭素の排出をせず地球温暖化の原因を作り出さず、化石燃料などと違って枯渇しない素晴らしいエネルギーです。グリーン電力証書システムは、自然エネルギーから生まれた電力を消費者が選んで購入できる仕組みのことです。自然エネルギーから生まれた電気自体の価値の他に、環境に対する価値を評価し、環境価値分に対して追加料金を払うことで自然エネルギーを普及促進させる考え方です。◇インタビュー
Q1.日本自然エネルギー株式会社について教えてください。
風力発電の利用を表すマーク 環境に配慮したエネルギー供給をと1999年に東京電力の新規事業である自然エネルギーの普及事業化検討プロジェクトがはじまりでした。それまでの自然エネルギーは、環境活動の一環として国の補助金を受けながら、地方自治体等の発電事業者が風力発電のための風車をつくり、電力会社が通常の電力よりも高い金額で購入することにより支えられてきました。ただ、それでは自然エネルギーが増えることは、国や電力会社の負担が増えることになり、目標である自然エネルギー自身の普及は難しい状況でした。そういった中、あるきっかけで取組んだプロジェクトからはじまった会社です。
Q2.きっかけとなった出来事を教えていただけますか。
風車模型 ある会社から、東京電力に相談がはいったことがきっかけです。その会社では、環境問題に取組むべくCO2の削減など独自の目標をたてていました。不必要な電気をこまめに消し、電気量を減らすことで省エネに努めたり、熱を有効に使うコジェネレーション設備に投資もしたけども、それでも目標を達成することが出来ない、CO2を発生しない電気を供給してもらう方法はないですかという内容でした。風力発電などの自然エネルギーを生み出す設備をつくり、直接送電を行うのは、現実的に難しい話になります。そこで提案したのが、自然エネルギーの環境価値を評価し、普及促進のためのコストを負担している企業に証明書を発行する、グリーン電力証書システムでした。この仕組みにより、自然エネルギーの発電所から自然エネルギーを利用したい企業へ直接送電していなくても、日本全体として自然エネルギーが増え、CO2削減に貢献していることとなります。海外には、原子力や火力の他に、環境に優しい風力やバイオマスといった電力を少し高めの価格を支払うことで選べる制度があります。私たちは、風力などの自然エネルギーを、証書としてCO2を発生しないエコロジーな付加価値分を購入してもらうことを考えました。そして、その会社にはじめてグリーン電力証書を導入させていただきました。
Q3.それからグリーン電力証書システムがはじまったのですね。
はい、そうです。環境に配慮することに努力している前述のような会社は、まだまだたくさんあり、グリーン電力証書は受け入れられるはずだと確信しました。そういう会社のニーズを掴み、新しい市場を作って普及すれば、電力会社が余分なコストをかけず、自然エネルギー事業が成り立つことも夢ではないかもしれない。そんな思いで、2000年11月に立ち上げられた日本自然エネルギー株式会社は、営業を開始しました。しかしながら、まったく未知のものということで理解されず、門前払いされることも度々ありました。それでも、自分たちに託された自然エネルギー普及の使命感で行動した結果、2001年3月には、20社からの賛同を受けることできました。Q4.最近は、色んなところでグリーン電力を見かけますが反応はいかがですか。
グリーン電力Tシャツ おかげさまで、導入いただいた企業・自治体は90を超えました。最近では愛知万博をはじめコンサートやミュージカルといったイベント会場用の電気から、グリーン電力を利用できる住宅や、グリーン電力でつくられた商品など利用の幅が広がっています。また、京都議定書の発行や、企業のCSR活動が重視されてきたこともあって、たくさんの問い合わせを頂いています。新しい試みとして、昨年からはじまった個人向けのサービスもはじまりました。例えば、Tシャツを購入することで、その夏のクーラー電気量分をグリーン電力に変えることができるなど、一般の方が環境貢献できるそんな企画もはじまっています。
Q5.それはすばらしいですね。では、最後にみなさんにメッセージをお願いします。
電気の使用と、環境問題との関係を意識されている方はほとんどおられないと思います。電力がたくさん使われると、その分CO2が発生します。グリーン電力をきっかけにして、自然エネルギーの普及が環境保全につながることを知っていただければと思います。◇取材後記
最後に、自然エネルギーを知ってほしいというメッセージを頂きましたが、たしかに私は日常、電気と環境問題を結びつけて考えるということをしていませんでした。グリーン電力を選ぶことが目的ではなく、本来の目的である地球温暖化の問題に向きあってほしいというメッセージは、目を覚まされた気がしました。本質を外さず、活動しているグリーン電力に今後も期待したいと思います。◇日本自然エネルギー株式会社
http://www.natural-e.co.jp/
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